65歳の男性。多系統萎縮症。日常生活活動では一部に介助を要するが、明らかな廃用症候群はみられない。最近、起床して布団から立ち上がるときに、ふらつきを強く感じるようになった。ふらつきの原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
1: 運動麻痺
2: 視覚障害
3: アテトーゼ
4: 協調運動障害
5: 起立性低血圧
76歳の男性。誰もいないのに「自分の布団に知らない子どもが寝ている」と訴え、妻に連れられて受診した。妻の話では、数年前から些細な物忘れが増え、日中ぼう然としていることも多いという。歩行中に転倒することも増えてきているという。作業療法室でみられるこの患者の特徴はどれか。
1: 些細なことで泣き出す。
2: 他人の物を勝手に持っていこうとする。
3: 時間どおりに来室し必ず同じ席に座る。
4: わからない質問に対し言い繕って答える。
5: 日によって意識レベルの低下度合いが異なる。
45歳の男性。息切れで階段を昇れなくなったため受診した。スパイログラムで図のような計測値と努力呼出曲線とを得た。この患者の1秒率で最も近いのはどれか。
1: 88%
2: 83%
3: 70%
4: 66%
5: 58%
42歳の男性。気管支喘息。ある薬物の吸入療法前後のフローボリューム曲線の変化を図に示す。この薬物によって生じた呼吸器系の変化として正しいのはどれか。
1: 気道抵抗の低下
2: 呼気筋力の増強
3: 肺拡散能の改善
4: 胸郭柔軟性の改善
5: 肺コンプライアンスの増加
72歳の男性。肺機能検査の結果を図に示す。正しいのはどれか。
1: フローボリューム曲線である。
2: 1回換気量は約2.8リットルである。
3: 予備吸気量は約2.2リットルである。
4: 肺活量は減少している。
5: 1秒率は低下している。
健常人の呼吸量で誤っているのはどれか。
1: 1回換気量は約500 mlである。
2: 機能的残気量とは努力呼息後に肺内にある肺気量をいう。
3: 成人男子の肺活量は3,500~4,000 mlである。
4: 1秒率の基準値は70%以上である。
5: 予備吸気量とは安静吸息後の努力吸気量である。
70歳の男性。パーキンソン病。ヤールの重症度分類ステージIII。理学療法で誤っているのはどれか。
1: 関節可動域運動を行う。
2: 呼吸訓練を行う。
3: 背中を押して歩行を介助する。
4: メトロノームを利用して歩行練習を行う。
5: マット上で起き上がり練習を行う。
56歳の女性。10年前に多発性硬化症と診断され、3回の入院歴がある。1年前からベッド上で生活している。1週前から、飲み込みの悪さ、左下肢の脱力感およびしびれの増強を感じるようになった。夕方になると軽度の発熱がある。2週に1度の在宅理学療法で訪問した際に優先すべき対応はどれか。
1: 全身の保温を促す。
2: 腹式呼吸の指導を行う。
3: 下肢の筋力増強訓練を行う。
4: 直接嚥下訓練を家族に指導する。
5: 現状を把握し主治医に連絡する。
55歳の男性。急性心筋梗塞後合併症なく4週で自宅退院となった。復職までの2か月は自宅療養の予定である。自宅療養中の生活指導として適切でないのはどれか。
1: 1日に1~2 kmの歩行
2: 休みながらの階段昇降
3: 脈拍120/分以下での自転車エルゴメーター
4: 洗車・ワックスがけ
5: ボルグ指数12以下での運動
慢性閉塞性肺疾患で運動療法を中止しなければならないのはどれか。
1: 動脈血酸素飽和度─85%
2: 酸素摂取量─最大酸素摂取量の70%
3: 心拍数─最大心拍数(220-年齢)の60%
4: 収縮期血圧─170 mmHg
5: ボルグ指数─11
55歳の男性。慢性腎不全。高血圧症を合併。外来にて3年間、週2回前腕シャントによる人工透析を受けていた。日常生活で強い倦怠感を覚え独歩にて来院した。基礎体力改善のための運動療法で適切でないのはどれか。
1: 血圧はシャントのない側で測る。
2: 転倒に注意する。
3: 筋力強化は等尺性運動で行う。
4: ヘモグロビン値に注意する。
5: 運動指標として心拍数を利用する。
慢性閉塞性肺疾患における包括的呼吸リハビリテーションで正しいのはどれか。
1: 運動耐容能の改善を図ることができる。
2: 吸気時に動作を行うように指導する。
3: 上肢筋力トレーニングは行わない。
4: 健康関連QOLに影響を与えない。
5: 栄養指導は含まない。
新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎後の患者に呼吸機能検査を行ったところ、努力性肺活量は5.00 Lで、1秒率は80%であった。年齢、性別、体格をもとに計算した1秒量の予測値が3.46 Lであるとき、%一秒量(%FEV 1)で正しいのはどれか。
1: 76%
2: 86%
3: 96%
4: 106%
5: 116%
70歳の男性。身長180 cm、体重90 kg。脳梗塞のため麻痺肢に内反尖足がみられる。10 mであれば独歩可能であるが、軽度の分回し歩行となる。意識してゆっくりと歩けば分回しを軽減することは可能であるが、遊脚相の股関節屈曲は増加し立脚中期に膝過伸展がみられる。2動作前型で屋外歩行の自立を目標に理学療法を進めている。この患者に適切なのはどれか。
1: 装具は不要
2: 軟性足装具
3: プラスチック短下肢装具(ショートタイプ、継手なし)
4: プラスチック短下肢装具(つま先までの標準型、継手なし)
5: 金属支柱付短下肢装具
65歳の男性。老年期うつ病。妻と2人暮らし。会社を定年退職後、不眠および食欲不振などの体調不良を訴え始める。些細なことを気にするようになり、「簡単なことも出来なくなっている。物忘れがひどくなった。痴呆ではないか。」などと言ってふさぎ込んでいる。家族も対応に困り入院となった。入院後1か月で睡眠がとれるようになったが、抑うつ気分は続いている。この時点で作業療法が処方された。作業療法開始時の留意点で適切なのはどれか。
1: 作業能力検査を実施する。
2: 病前に得意であった活動を導入する。
3: 物忘れへの対応を実施する。
4: その都度元気づけをする。
5: 徐々にグループ参加へ方向づける。
60歳の女性。うつ病。夫と2人暮らし。1年前からうつ状態が遷延し、抑うつ気分や意欲の低下が強く、家事もできなくなり入院した。1か月でうつ状態がやや改善してきたが、記憶力減退を強く訴え、「自分は痴呆になった」との不安が強い。気分転換と生活リズムの回復を目的に作業療法が処方された。主治医からの留意事項として、薬の副作用によるふらつきへの配慮が指示されている。作業療法の初期評価で適切でないのはどれか。
1: 歩行の状態を把握する。
2: 日常生活の状況について尋ねる。
3: 発症に先立つ環境変化について情報収集する。
4: 高次脳機能検査を行う。
5: 患者が関心を持っている活動を聞く。
80歳の男性。体重70 kg。介護者は腰痛のある70歳の妻で体重39 kg。誤嚥性肺炎による1か月の入院後、下肢の廃用性の筋力低下をきたしている。端座位保持は可能であるが、立ち上がりは手すりを把持しても殿部が挙上できずに全介助である。立位は手すりを把持して保持できるが、足踏み動作は困難である。車椅子への移乗介助に使用する福祉用具の写真を示す。妻の腰痛を助長しないことを優先して選択する用具として適切なのはどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
Hugh-Jonesの呼吸困難度分類で誤っている組合せはどれか。
1: I度-健常者と同様の作業ができる。
2: II度-走行は困難だが、階段昇降は健常者と同様にできる。
3: III度-自分のペースでどうにか歩ける。
4: IV度-休みながらであれば、どうにか外出できる。
5: V度-会話や衣類の着脱にも息切れし、外出が困難である。
74歳の女性。慢性閉塞性肺疾患。スパイログラムで1秒率は60%であった。胸部エックス写真を示す。正しいのはどれか。
1: 肺透過性低下
2: 肺の過膨張
3: 胸水貯留
4: 肺水腫
5: 心拡大
呼吸器疾患患者へのADL指導で正しいのはどれか。
1: 食事動作:食事台を高くする。
2: 歯磨き動作:肩関節外転位の姿勢を保つ。
3: 上衣の更衣動作:前開きよりもかぶり型の衣服を選択する。
4: 下肢の洗体動作:長柄のブラシを使用する。
5: 洗髪動作:前かがみで洗う。