理学療法士問題表示
理学療法士国家試験
精神障害と臨床医学
解説
てんかんは、発生原因により特発性と症候性に分けられる。特発性は遺伝素因の関与が大きく、症候性は脳の器質的障害によるものである。また、意識障害は発作の種類により生じる場合もあれば生じない場合もある。高齢発症は稀ではなく、増加傾向にある。日本のてんかん患者数は約100万人と推定されている。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。特発性てんかんの発症には遺伝素因の関与が大きいとされ、症候性てんかんの発症も遺伝素因の関与が否定できないとされています。
選択肢2は間違いです。てんかん発作のうち、複雑部分発作や全般発作は意識障害を生じますが、単純部分発作は意識障害を生じないため、意識障害が必ずしも発生するわけではありません。
選択肢3は間違いです。てんかんの発病年齢は幼少期から思春期までが最も多く、20歳以降で急激に減少しますが、60歳以降に再び上昇し、高齢初発てんかんの患者数は増加傾向にあります。
選択肢4は正しいです。てんかんは発生原因により特発性と症候性に分けられます。特発性は遺伝素因以外に発作を起こす原因が不明なものであり、症候性は脳炎や脳血管障害、脳腫瘍、外傷など脳の器質的障害によるものです。
選択肢5は間違いです。てんかんの有病率は人口1000対3~10と考えられており、日本におけるてんかん患者数は約100万人と推定されています。
解説
統合失調症に特有の思考の障害は、思考の進行が突然遮断され、会話が停止する状態であり、これを思考途絶と呼びます。
選択肢別解説
思考が緩徐でうまく進まない状態は、思考制止と呼ばれ、うつ病やその他の抑うつ状態で見られる現象です。
思考の進行が突然遮断され、会話が停止する状態は、思考途絶と呼ばれ、統合失調症に特有の思考の障害です。この選択肢が正解です。
まわりくどく、要領よく思考目標に到達できない状態は、迂遠と呼ばれ、知能障害やてんかん性性格変化で見られる現象です。
観念の間に論理的な関連がなく、意識の混濁を伴う状態は、思考散乱と呼ばれ、産褥期精神障害や中毒性、内分泌性精神障害などで生じるアメンチアで見られる現象です。
観念が次々に沸き起こるが、つながりは表面的で目標から外れていく状態は、観念奔逸と呼ばれ、躁状態に特有の現象です。
解説
摂食障害には、神経性無食欲症や神経性大食症などがあり、男性にも発症することがある。神経性大食症は神経性無食欲症より有病率が高いが、受診率は神経性無食欲症の方が高い。また、摂食障害は状態が移行することがあり、運動強迫や過活動が認められることもある。
選択肢別解説
摂食障害は女性のみに発症するわけではなく、男性にも発症することがある。
神経性大食症は神経性無食欲症より有病率が高い。ただし、受診率は神経性無食欲症の方が高いとされる。日本では神経性無食欲症は10万人に10人程度、神経性過食症は5人程度と厚生労働省が発表している。欧米では過食症が多いことが報告されている。
神経性大食症では、体重の増加を防ぐために、自己誘発性嘔吐を行ったり、下剤や利尿薬を乱用したりする様子がみられる。
神経性無食欲症から神経性大食症に移行するなど、両者を繰り返す者も多い。また、神経性無食欲症の経過中に過食になる場合もある。
神経性無食欲症では、肥満恐怖がみられ、活動性の亢進がみられることがある。過活動や運動強迫が認められることもある。
解説
概日リズムの障害による疾患は睡眠相後退症候群であり、睡眠時間帯が遅れた状態のまま固定するものです。他の選択肢は概日リズムの障害ではなく、それぞれ異なる種類の睡眠障害です。
選択肢別解説
睡眠時遊行症(夢遊病)は概日リズムの障害ではなく、ノンレム睡眠中に起き上がり歩き回る症状で、睡眠時随伴症群に含まれます。
ナルコレプシーは概日リズムの障害ではなく、睡眠発作や情動脱力発作などを主症状とする中枢性過眠症群に含まれる疾患です。
睡眠相後退症候群は概日リズムの障害であり、睡眠時間帯が遅れた状態のまま固定するものです。典型的には、午前3~5時以降でないと入眠できず、午前9~11時以降に覚醒する。期日リズム障害-覚醒障害群に含まれます。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は概日リズムの障害ではなく、夜間に下肢や上肢に生じる異常感覚により不眠が生じる症状で、睡眠関連運動障害群に含まれます。
レム睡眠行動障害は概日リズムの障害ではなく、レム睡眠時に夢の中で行動を反映する異常運動(行動)が認められる症状で、睡眠時随伴症群に含まれます。
解説
統合失調症の予後に関して、女性の方が男性より良い予後が見られることや、30歳以上での発症が若年発症より予後が良いことなどが知られています。また、急激な発病が緩徐・潜在性の発病より予後が良いとされており、陰性症状の重症度と予後は負の相関があることが報告されています。発病の誘因が明らかな場合は、誘因の不明な場合より予後が良いとされています。
選択肢別解説
男性ではなく、女性の方が統合失調症の予後が良いとされています。
若年での発症ではなく、30歳以上で発症した人の予後が全体的に良いとされています。
潜行性の発症ではなく、急激な発病の方が予後が良いとされています。
強い陰性症状の存在は、予後が悪いとされており、陰性症状の重症度と予後は負の相関があると報告されています。
明らかな発症誘因の存在は、予後が良いとされており、誘因が不明な場合よりも予後が良いとされています。
解説
うつ病の復職支援プログラムでは、生活リズムの立て直し、コミュニケーションスキルの獲得、職場ストレスへの対処法獲得を目的とするプログラムが行われるため、選択肢4が最も適切です。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。うつ病の復職支援プログラムでは、認知行動療法を行い、再発予防のために認知や思考の歪みを修正することが重要です。
選択肢2は間違いです。服薬自己管理の練習は、復職支援プログラムよりも前段階で行われるため、復職支援プログラムの内容としては不適切です。
選択肢3は間違いです。うつ病の復職支援プログラムでは、必要に応じてキャリア再構成の検討も行うことがあります。
選択肢4は正しいです。うつ病の復職支援プログラムでは、生活リズムの立て直し、コミュニケーションスキルの獲得、職場ストレスへの対処法獲得を目的とするプログラムが行われます。
選択肢5は間違いです。うつ病からの復職では、必要に応じて配置換えを行うこともあるため、配置換えをしないことを前提にするのは不適切です。
解説
解離性障害の治療では、患者や家族に病気と治療について明確に説明することが重要です。治療環境を整え、破壊的行動や空想の肥大化に対処し、心的外傷への直面化には焦らず、患者の人格の発達を促すことが大切です。
選択肢別解説
破壊的行動を許容するのではなく、行動制限を設けて患者の人格の発達を促すことが重要です。
空想の肥大化について指摘しないのではなく、空想・幻想の肥大化や没入傾向を指摘し、適切な対処が必要です。
有害な刺激を無理に取り除かないのではなく、安心できる治療環境を整えるために、有害なことが明確な刺激は取り除く必要があります。
速やかに心的外傷の直面化を図るのではなく、患者のペースに合わせて人格の統合や心的外傷への直面化に取り組むことが適切です。
解離性障害の症状は、患者本人や家族が十分に理解していないことがあるため、疾患についての知識や治療について明確に説明することが重要です。これが正しい選択肢です。
解説
てんかんに伴う精神症状として適切でないのは疾病利得である。疾病利得は患者が無意識的に疾病から引き出すあらゆる満足を指し、治療に対する抵抗となることが多い。解離性障害でみられることがある。
選択肢別解説
粘着性はてんかん患者にみられる性格特徴の一つであり、精神活動が遅く、回りくどく、几帳面で些事に固執する傾向があるとされる。
爆発性はてんかん患者にみられる性格特徴の一つであり、易怒的、攻撃的で、短絡的衝動行為に走る傾向がある。
疾病利得はてんかんに伴う精神症状として適切でない。これは患者が無意識的に疾病から引き出すあらゆる満足を指し、治療に対する抵抗となることが多い。解離性障害でみられることがある。
不機嫌状態はてんかん患者において、発作前や発作間欠時に、不機嫌状態や易刺激性がみられやすい。
もうろう状態はてんかんにおける複雑部分発作の一つで、突然もうろう状態となって駆け出す疾走発作がみられることがある。
解説
うつ病に起こりやすい思考障害は思考制止です。これは、思考の進行が遅くなり、浮かんでくる観念も乏しくなる症状で、うつ病やその他の抑うつ状態でみられます。
選択肢別解説
迂遠は、思考の目標は失われていないが、目標とはあまり関係のない枝葉の観念にとらわれ、まわりくどい状態である。これはてんかん性性格変化や知的障害でみられるため、うつ病には該当しません。
観念奔逸は、思考進行が異常に速く、思考の方向性が変わりやすいため、全体としては統一性を欠く思考になりがちな状態である。これは躁状態に特有であり、うつ病には該当しません。
思考制止は、思考の進行が遅くなり、浮かんでくる観念も乏しくなる症状である。これはうつ病やその他の抑うつ状態でみられるため、うつ病に起こりやすい思考障害として正しい選択肢です。
思考途絶は、思考の進行が突然中断され、話をしていて急に止まってしまう状態である。これは統合失調症に特有であり、うつ病には該当しません。
滅裂思考は、思考の流れに前後の関連性と統一性が欠け、思考目標も定まらず、周囲の人には意味が理解できない状態である。この症状は特定の疾患に特有ではないが、うつ病に起こりやすい思考障害としては不適切です。
解説
アルコール離脱せん妄は、アルコール依存症の患者が飲酒を停止した後に起こる症状で、幻覚や運動不安を伴う振戦せん妄が特徴的です。飲酒停止後72~96時間に多く見られ、生命への危険性もあるため注意が必要です。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。アルコール離脱せん妄は生命への危険性があり、重篤な合併症で死亡することも稀にあるため、注意が必要です。
選択肢2は間違いです。羽ばたき振戦は重篤な肝疾患患者の切迫昏睡時に見られることが多いですが、アルコール離脱せん妄では振戦せん妄が特徴的です。
選択肢3は間違いです。抗酒薬はアルコール依存症の治療に用いられますが、振戦せん妄が生じている際には抗酒薬を投与すべきではありません。代わりに、ベンゾジアゼピンなどの薬物が用いられることがあります。
選択肢4は正しいです。アルコール離脱症候群における振戦せん妄は、飲酒停止後72~96時間頃に生じることが多く、後期症候群(大離脱)と呼ばれます。
選択肢5は間違いです。アルコール離脱せん妄は、アルコールによる身体依存の結果として生じるものであり、アルコール血中濃度の上昇に伴って生じるわけではありません。
解説
夢に関連する睡眠障害はレム睡眠行動障害であり、レム睡眠中にも身体運動が可能で、夢の精神活動に伴う複雑な運動が現実に行われる状態である。
選択肢別解説
睡眠時驚愕症(夜驚症)は、睡眠中に絶叫、激しい体動、自律神経興奮を伴う恐怖のエピソードであるが、夢に関連するわけではない。
睡眠時遊行症(夢遊病)は、睡眠と覚醒が組み合わさった意識の変容状態であり、夜間睡眠のはじめのころに患者は起き上がり、周囲を歩き回るが、夢に関連するわけではない。
レム睡眠行動障害は、レム睡眠期の筋緊張脱失状態が起こらないためにレム睡眠中にも身体運動が可能で、夢の精神活動に伴う複雑な運動が現実に行われる状態である。これが夢に関連する睡眠障害である。
睡眠関連摂食障害は、夜間睡眠中の覚醒時に、不随意的または自分でコントロールできずに大食をする。一般的には半覚醒状態で行われるが、夢に関連するわけではない。
周期性四肢運動障害は、睡眠中に反復性の激しい下肢の運動がみられるものである。本人は自覚していないことが多いが、夜間睡眠自体は妨げられており、昼間に眠気が起こる。しかし、夢に関連するわけではない。
解説
神経性無食欲症は摂食障害の一種で、病識が乏しく、ボディイメージの歪みが特徴です。骨密度の低下や消化器系の症状が見られることがありますが、消化管の吸収不全はありません。また、食物に対する関心は高いものの、肥満への恐怖から食事を嫌悪します。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。神経性無食欲症では骨密度が低下し、疲労骨折などを生じやすくなります。
選択肢2は間違いです。神経性無食欲症では消化管の吸収不全は見られません。消化器系の症状としては、上腹部の不快感や腹部膨満、胃食道逆流、便秘などがみられます。
選択肢3は正しいです。神経性無食欲症は病識が乏しいことが多く、自分が病気であることに気づかないことがあります。
選択肢4は間違いです。神経性無食欲症では食物に対する関心が強いものの、肥満への恐怖から食事を嫌悪します。
選択肢5は正しいです。神経性無食欲症はボディイメージの歪みがあり、既に痩せているにも関わらず、さらに痩せたいと考えることが多いです。
解説
パニック障害の薬物療法では、抗うつ薬が用いられます。パニック障害の患者は、長期的にうつ病を発症することがあり、うつ病との関連性も考慮されています。
選択肢別解説
抗うつ薬は、パニック障害の薬物療法で用いられる正しい選択肢です。パニック障害の患者は、長期的にうつ病を発症することがあり、うつ病との関連性も考慮されています。
抗精神病薬は、統合失調症などの幻覚妄想状態、不安緊張状態、精神運動興奮などに用いられますが、パニック障害の薬物療法には適していません。
気分安定薬は、躁うつ病の治療や予防に用いられますが、パニック障害の薬物療法には適していません。
抗てんかん薬は、てんかんや片頭痛に用いられますが、パニック障害の薬物療法には適していません。
中枢神経刺激薬は、注意欠如・多動性障害に適応となる塩酸メチルフェニデートなどがありますが、パニック障害の薬物療法には適していません。
解説
統合失調症の患者が「不気味な何かが起こりそうだ」と不安緊迫感を訴える症状は、妄想気分です。妄想気分は思考内容の障害で、「何か自分の周りでただごとではないことが起きる感じがする」などの思い込みが生じます。
選択肢別解説
考想伝播は、自分の考えが他人に伝わると感じるもので、作為思考の一つです。この症状では、患者は自分の考えが他人に知られていると感じますが、不安緊迫感を訴える症状ではありません。
作為体験は、自我意識の能動性が障害され、自分の思考・感情・行動が他人や外部の作用により支配されていると認識する症状です。患者は自分の行動が他者によって操作されていると感じますが、不安緊迫感を訴える症状ではありません。
妄想気分は思考内容の障害で、「何か自分の周りでただごとではないことが起きる感じがする」などの思い込みが生じます。この症状は、統合失調症の患者が「不気味な何かが起こりそうだ」と不安緊迫感を訴える症状で正しい選択肢です。
妄想知覚は、正常な知覚がある場合に、それに対して突然了解不可能な特別な意味付けがなされ、それが強く確信されるものです。この症状では、患者は特定の知覚に対して異常な意味を見出しますが、不安緊迫感を訴える症状ではありません。
連合弛緩は、患者の話はだいたいわかるがまとまりがない状態で、思考を構成する概念の間に関連性が乏しい症状です。この症状では、患者の話が支離滅裂になりますが、不安緊迫感を訴える症状ではありません。
解説
てんかんは脳の神経細胞の異常な興奮によって発生する症状で、発作の種類や原因によって異なる特徴があります。この問題では、てんかんに関する正しい情報を選ぶことが求められています。
選択肢別解説
てんかんは必ずしもけいれんを伴うわけではありません。発作の種類によっては、意識消失や自覚症状のみの場合もあります。
てんかんの発症率は年齢によって異なりますが、一般的には幼児期や高齢者に発症率が高くなります。30歳代よりも70歳代の方が発症率が高いとされています。
West症候群は乳幼児期に発症するてんかんの一種で、発症のピークは3~5ヶ月です。3~5歳ではありません。
高齢初発の症候性てんかんの原因疾患として、脳血管障害が最も多いとされています。これは正しい情報です。
てんかんによる突然死(SUDEP)のリスクは、強直間代発作の方が欠神発作よりも高いとされています。選択肢の記述は逆です。
解説
器質性精神障害は身体疾患に伴う精神障害で、急性期に最も見られる症状はせん妄です。せん妄は意識混濁を背景とし、不安や精神運動興奮、錯覚、幻覚などさまざまな精神症状を伴う状態です。
選択肢別解説
失語は巣症状であり、脳外傷や脳梗塞が原因となった場合に生じることがある。ただし、一般に慢性期の症状であるため、急性期の症状としては不適切です。
せん妄は、意識混濁を背景とし、不安や精神運動興奮、錯覚、幻覚などさまざまな精神症状を伴う状態であり、器質性精神障害の急性期にみられやすい症状です。このため、正しい選択肢です。
知能低下は、脳血管障害による器質性精神障害により認知機能の低下が生じることがあるが、慢性期の症状であるため、急性期の症状としては不適切です。
性格変化は、Alzheimer型認知症などで病期が進んだ場合に症状を呈することがあるが、急性期の症状としては不適切です。
健忘症候群は、前向性健忘と逆向性健忘を伴い、全般的な知的機能低下のないものを指す。病巣によっては健忘症候群を伴うこともあるが、慢性期の症状であるため、急性期の症状としては不適切です。
解説
リワークプログラムは、休職を余儀なくされた労働者が職場復帰を目指すためのリハビリテーションで、集団認知行動療法などを用いた集団療法として位置づけられる。
選択肢別解説
正しい。リワークプログラムは、集団認知行動療法などを用いて、職場復帰を目指すためのリハビリテーションであり、集団療法として位置づけられる。
間違い。精神科医療機関で行われるリワークプログラムは、医療リワークに含まれ、復職支援に特化したプログラムが実施される。
間違い。うつ病であっても、リワークプログラムの導入が困難な就労状況の場合には、適応とならない。
間違い。リワークプログラムの実施にあたっては、主治医と綿密な情報共有を行うことが重要である。
間違い。リワークプログラムは、生活リズムの回復がなされた後から行うのが一般的であり、急性期からの参加は推奨されない。
解説
成人のパーソナリティ障害への治療介入では、薬物療法が有効であることが正しい。抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法は、副次的ではあるものの、パーソナリティ障害に対して有効である。
選択肢別解説
薬物療法は有効である。抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法は、副次的ではあるものの、パーソナリティ障害に対して有効である。
家族との連携を控えるという選択肢は間違いである。パーソナリティ障害において、家族や患者を取り巻く周囲との連携を控える必要はない。
早期に診断して患者に告知するという選択肢は間違いである。パーソナリティ障害は、単独で精神科を受診することは少なく、うつ状態や不安状態といった症状の背後にあり、治療を始めて初めて発見され、前面に出てくる場合も多い。
秩序を乱した行動に対して何も言わないという選択肢は間違いである。パーソナリティ障害に対する治療では、治療構造を明確にすることが重要である。治療者にもできること、できないことがあること、受容できること、できないことがあることをはっきりさせ、受容すべきでないことに対しては注意をする。
自傷行為などが頻回な場合は電気けいれん療法を行うという選択肢は間違いである。電気けいれん療法は、うつ病において、自殺の危険性が高い際や昏迷などで薬物療法が困難な場合、精神運動興奮の極めて強い場合などに適応となる。
解説
器質性精神障害は、脳の機能や構造に異常があることが原因で起こる精神障害であり、Alzheimer型認知症や脳血管障害、進行麻痺、頭部外傷、脳腫瘍などが成因となることがある。ストレスなどの心理的要因の影響を受けることがあります。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。器質性精神障害では、意識混濁や顕著な幻覚などが明らかでない場合でも、器質性妄想状態を呈することがあります。
選択肢2は間違いです。器質性精神障害では、人格変化や情意面の障害がみられることがあります。
選択肢3は間違いです。器質性精神障害では、急性期の意識障害の回復期などに健忘症候群がみられることがあります。
選択肢4は間違いです。器質性精神障害で生じる行動障害に対しては、抗精神病薬が処方されることがある。そのほか、抗うつ薬や睡眠導入剤などの向精神薬が処方されることもあります。
選択肢5は正しいです。器質性精神障害はストレスなどの心理的要因の影響を受けることがあります。