理学療法士問題表示
理学療法士国家試験
精神障害と臨床医学
解説
成人期中期は40~60歳であり、この時期に発症しやすい病気はうつ病である。他の選択肢は好発年齢が異なるため、成人期中期に発症しやすいとは言えない。
選択肢別解説
うつ病は若年層(10~30歳)と中高年層(40~59歳)の2つの層で発症しやすい。成人期中期は40~60歳であるため、うつ病が発症しやすいと言える。
統合失調症は好発年齢が思春期から30歳であり、成人期中期(40~60歳)よりも若い年齢で発症しやすいため、この選択肢は正しくない。
血管性認知症は好発年齢が60歳から70歳であり、成人期中期(40~60歳)よりも高齢で発症しやすいため、この選択肢は正しくない。
社交不安障害は好発年齢が10代半ばであり、成人期中期(40~60歳)よりも若い年齢で発症しやすいため、この選択肢は正しくない。
神経性無食欲症は好発年齢が10歳から19歳であり、成人期中期(40~60歳)よりも若い年齢で発症しやすいため、この選択肢は正しくない。
解説
リエゾン精神医学における医療スタッフのベッドサイドマナーは、患者との良好な関係を築くために重要な要素です。適切なベッドサイドマナーには、笑顔で接する、座って対応する、心配なことを聞く、患者が誇りに思うことを称賛するなどが含まれます。一方、抽象的な情報を与えることは、患者に不安や混乱を与える可能性があるため、適切でないとされています。
選択肢別解説
笑顔で接することは、患者に安心感を与え、信頼関係を築くために重要な要素であるため、ベッドサイドマナーとして適切です。
座って対応することは、患者と同じ目線でコミュニケーションを取ることができ、患者にリラックスして話を聞いてもらうことができるため、ベッドサイドマナーとして適切です。
心配なことを聞くことは、患者の不安や懸念を理解し、適切なケアやサポートを提供するために重要な要素であるため、ベッドサイドマナーとして適切です。
抽象的な情報を与えることは、患者に不安や混乱を与える可能性があり、良好な関係を築くためには適切でないとされています。この選択肢が正解です。
患者が誇りに思うことを称賛することは、患者の自尊心を高め、良好な関係を築くために重要な要素であるため、ベッドサイドマナーとして適切です。
解説
質問紙法は、性格検査や心理状態検査に用いられる方法で、回答者が自己評価を行う形式の検査です。この問題では、質問紙法によって行われる検査を2つ選ぶ必要があります。
選択肢別解説
MMPI(ミネソタ多面的人格目録性格検査)は、質問紙法を用いて人格特徴を検査する検査であり、正解です。
WCST(Wisconsin Card Sorting Test)は、神経精神の分析を行う投影法の検査であり、質問紙法ではないため、間違いです。
YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)は、質問紙法を用いて性格を検査する検査であり、正解です。
バウムテストは、性格を検査する投影法の一つである描画法を用いた検査であり、質問紙法ではないため、間違いです。
Rorschachテスト(ロールシャッハ・テスト)は、性格検査を投影法で行う検査であり、質問紙法ではないため、間違いです。
解説
てんかん発作には様々なタイプがあり、意識障害を伴うものと伴わないものがある。この問題では、意識障害を伴わないてんかん発作を求めている。
選択肢別解説
間代発作は意識障害を伴い、手足をガクガクと一定のリズムで痙攣が起きることが特徴であるため、正解ではない。
強直発作は突然に意識障害が起き、呼吸が停止し、手足を強直することが特徴であるため、正解ではない。
欠神発作は突然に意識障害が起きるが、痙攣などは確認できないため、正解ではない。
Jackson発作は単純部分発作であり、意識障害を伴わないため正解である。この発作は局所の痙攣から始まり、拡大して全身の痙攣に至ることがある。
非定型欠神発作は意識障害とミオクロニー発作などの他の症状も見られるため、正解ではない。
解説
後頭葉の血流量低下が特徴的な認知症はLewy小体型認知症である。それぞれの認知症は、異なる脳領域の血流量低下が特徴となる。
選択肢別解説
HIV認知症は、特徴的な血流低下が見られないため、後頭葉の血流量低下が特徴的ではない。
血管性認知症は、脳血管障害の部位によって低灌流の部位が変化するため、後頭葉の血流量低下が特徴的とは言えない。
前頭側頭型認知症では、前頭葉や側頭葉の血流量低下が特徴であり、後頭葉の血流量低下が特徴的ではない。
Lewy小体型認知症では、後頭葉、一次視覚野、頭頂葉の血流量低下が特徴となるため、この選択肢が正解である。
Alzheimer型認知症では、頭頂葉、後方連合野、後部帯状回などの血流量低下が特徴であり、後頭葉の血流量低下が特徴的ではない。
解説
睡眠日誌は、睡眠・覚醒のパターンを記録し、そのデータをもとに適切な治療法を選択するために使用されます。この問題では、5つの睡眠障害の中で、睡眠日誌が最も有用なものを選ぶ必要があります。正解は睡眠相後退症候群です。
選択肢別解説
原発性不眠症は慢性的な不眠症で、基礎疾患や病態を持たないため、睡眠日誌よりも薬剤療法や精神療法、睡眠環境の整備が有用です。
ナルコレプシーは日中の過度の眠気や情動脱力発作などが特徴で、原因は不明です。睡眠日誌よりも睡眠のコントロールや薬剤での治療が有用です。
睡眠相後退症候群は、入眠・覚醒が困難な状態が慢性的に継続し、社会的に望ましい時刻に入眠・覚醒ができない症状です。睡眠日誌を用いて、入眠・覚醒のパターンを把握し、高照度光療法やメラトニンを調整する薬剤を使用することが有用です。このため、選択肢3が正解です。
レム睡眠行動障害は、レム睡眠中に異常行動をとる睡眠障害で、薬剤治療や就寝時の環境調整が有用です。睡眠日誌よりもこれらの治療法が重要です。
閉塞性睡眠時無呼吸障害は、睡眠中に上気道が閉鎖し、体内の酸素濃度が低下する障害です。CPAP(経鼻時持続陽圧治療)やマウスピースが有用であり、睡眠日誌よりもこれらの治療法が重要です。
解説
この問題では、疾患とそれに対応する治療法を正しく組み合わせることが求められています。正しい組み合わせは、強迫性障害と暴露反応妨害法です。
選択肢別解説
PTSDの治療法には、持続エクスポージャー療法、認知行動療法、ストレスマネジメントなどがありますが、電気けいれん療法は適応ではありません。電気けいれん療法は、双極性障害や統合失調症などの気分障害に適応される治療法です。
心気障害の治療法には、薬物療法や森田療法がありますが、持続エクスポージャー法は適応ではありません。持続エクスポージャー法は、不安症やPTSD、強迫症などに適応される治療法です。
解離性健忘の治療法には、イメージ法、呼吸法、筋弛緩法などのリラクセーション法が用いられますが、自律訓練法は適応ではありません。自律訓練法は、心身症や神経症に適応される治療法です。
強迫性障害の治療法には、認知行動療法、暴露反応妨害法、フラッディング法などが用いられます。このため、強迫性障害と暴露反応妨害法の組み合わせは正しいです。また、薬物療法も使用されることがあります。
身体化障害の治療法には、薬物療法や認知行動療法、自助グループなどの集団精神療法が有効ですが、系統的脱感作法は適応ではありません。系統的脱感作法は、恐怖症や不安障害に適応される治療法です。
解説
イネイブラーとは、アルコール依存症者を過保護に支え、依存状態を維持させてしまう家族や身近な人のことを指します。このような共依存関係が問題となる疾患はアルコール依存症です。
選択肢別解説
うつ病はイネイブラーとの共依存が問題とされる疾患ではありません。うつ病は気分が持続的に沈んでいる状態で、適切な治療が必要です。
統合失調症はイネイブラーとの共依存が問題とされる疾患ではありません。統合失調症は幻覚や妄想などの症状が特徴で、適切な治療が必要です。
アルコール依存症はイネイブラーとの共依存が問題とされる疾患です。イネイブラーは、アルコール依存症者を過保護に支え、依存状態を維持させてしまう家族や身近な人のことを指します。
Alzheimer型認知症はイネイブラーとの共依存が問題とされる疾患ではありません。Alzheimer型認知症は記憶障害や認知機能の低下が特徴で、適切なケアが必要です。
自閉スペクトラム症はイネイブラーとの共依存が問題とされる疾患ではありません。自閉スペクトラム症はコミュニケーションや社会性に困難がある状態で、適切な支援が必要です。
解説
適応障害は、日常生活の中で起こった出来事や環境に対処できず、心身の症状により社会生活に支障を生じる状態です。治療の中心はストレスを減らすための環境調整であり、認知行動療法や適応的なストレス・コーピング技能の養成が重要です。
選択肢別解説
選択肢1は正しいです。適応障害は、日常生活に支障を生じる状態であり、対処が難しい出来事や環境によって引き起こされます。
選択肢2は正しいです。認知行動療法は、適応障害の治療に有効であり、ストレスを減らすための環境調整や思考パターンの改善に役立ちます。
選択肢3は誤りです。適応障害の治療の中心は、ストレスを減らすための環境調整であり、薬物療法は短期間で少量使用することが基本です。
選択肢4は正しいです。適応障害は、抑うつ気分を伴うことが多く、社会的な活動ができなくなることがあります。
選択肢5は正しいです。適応障害は、強いストレスへの不適応が原因となるため、適応的なストレス・コーピング技能(ストレス処理)を養う必要があります。
解説
統合失調症は男女比がほぼ同数であり、発症年齢のピークは男性が10代から20代、女性が20代から30代である。予後不良因子には若年発症や病前機能不良などがある。また、高EE(感情表出)の家族のもとでは再発率が高くなる。
選択肢別解説
男性に多いというのは誤りで、統合失調症の男女比は基本的に同数である。ただし、発症年齢には男女差がある。
急性発症することが多いというのは誤りで、統合失調症は前駆期、急性期、消耗期、回復期の4段階で経過する。前駆期は明らかな症状に乏しい時期であり、急性発症は少ない。
若年の発症は予後が良いというのは誤りで、予後不良因子として若年発症が挙げられる。他にも病前機能不良や統合失調症の家族歴、陰性症状の多さなどが予後不良因子とされる。
中年期以後に発症することが多いというのは誤りで、統合失調症の発症年齢のピークは男性が10代から20代、女性が20代から30代である。
高EE(感情表出)の家族のもとで再発率が高くなるというのは正しい。統合失調症の本人に対する家族の感情表出に批判や敵意などが強く見られる場合を高EEとし、高EEの家族環境では再発率が高まることが知られている。
解説
知的障害の原因となるのは、染色体異常によって生じる症候群である。この問題では、Down症候群とネコ鳴き症候群が知的障害の原因となる症候群である。
選択肢別解説
Down症候群は、21番染色体の異常で生じる症候群で、筋緊張低下、関節弛緩、小頭などの臨床症状がみられる。また、運動の発達障害や知的障害がみられるため、知的障害の原因となる。
ネコ鳴き症候群は、染色体異常で生じる症候群で、低出生体重、成長障害が認められ、小頭、丸顔、両眼隔離などの臨床症状がみられる。また、知的障害もみられるため、知的障害の原因となる。
Korsakoff症候群は、ビタミンB(チアミン)欠乏で生じる症候群で、重度の記憶障害がみられる。しかし、知的障害はみられないため、この選択肢は間違いである。
Wallenberg症候群は、延髄背外側での脳梗塞により生じる症候群で、三叉神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経の障害がみられる。知的障害はみられないため、この選択肢は間違いである。
Guillain-Barré症候群は、キャンピロバクタ―菌やウィルスなどの感染症が引き金となる後天性の炎症性ニューロパチーである。主な症状は、弛緩性の筋力低下であり、知的障害はみられないため、この選択肢は間違いである。
解説
曝露反応妨害法は認知行動療法の一つで、患者を不安に曝すことで徐々に慣れさせ、強迫行為を行わないようにする方法です。強迫性障害に対して有効な治療法とされています。
選択肢別解説
強迫性障害は、曝露反応妨害法が有効な治療法です。患者を不安に曝すことで徐々に慣れさせ、強迫行為を行わないようにすることが目的です。
身体化障害の治療には、曝露反応妨害法ではなく、認知行動療法や支持的精神療法が有効です。身体化障害は、心理的な問題が身体的な症状として現れる障害です。
神経性過食症の治療には、曝露反応妨害法ではなく、認知行動療法や対人関係療法が有効です。神経性過食症は、過度な食事を繰り返すことで精神的な問題を緩和しようとする障害です。
全般性不安障害の治療には、曝露反応妨害法ではなく、認知行動療法が有効です。全般性不安障害は、日常生活において過度な不安や心配を感じることが特徴の障害です。
PTSD(外傷後ストレス障害)の治療には、曝露反応妨害法ではなく、持続暴露療法や認知行動療法が有効です。PTSDは、外傷的な出来事を経験した後に、その記憶や恐怖が繰り返し蘇る障害です。
解説
ナルコレプシーの主な症状は、睡眠発作、情動脱力発作、睡眠麻痺、入眠時幻覚です。これらの症状以外のものはナルコレプシーには認められません。
選択肢別解説
睡眠発作は、制御できない突然の眠気であり、ナルコレプシーの症状の1つです。
睡眠麻痺は、入眠前後や起床直後に体を動かせなくなる状態で、ナルコレプシーの症状の1つです。
入眠時幻覚は、入眠時に幻覚を見る症状で、ナルコレプシー患者の約3分の1にみられます。これもナルコレプシーの症状の1つです。
けいれん発作は、ナルコレプシーには認められない症状であり、この問題の正解です。
情動脱力発作は、突発的な感情により意識消失を伴わない突然の筋力低下が起こる症状で、ナルコレプシーの症状の1つです。
解説
てんかんは脳の神経細胞が過剰に興奮することで発生する病気であり、性別や年齢に関係なく発症する。単純部分発作は意識障害を伴わない。熱性けいれんはてんかんとは異なり、約5%がてんかんに移行する。症候性てんかんと特発性てんかんでは予後が異なる。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。てんかんは性別に関係なく発症する病気であり、女性に多いとは言えません。
選択肢2は正しいです。単純部分発作は、大脳皮質の一点にてんかん発作を起こす焦点があり、その支配領域に症状が出現する発作である。意識障害はみられないため、この選択肢が正解です。
選択肢3は間違いです。てんかんは年齢に関係なく発症する病気であり、高齢になると発症率が低下するとは言えません。
選択肢4は間違いです。熱性けいれんは、発熱を伴う発作であり、てんかんとは異なります。熱性けいれんの約5%がてんかんに移行するとされています。
選択肢5は間違いです。症候性てんかんは原因が特定できるてんかんで、予後は不良なことが多いです。一方、特発性てんかんは原因が特定できないてんかんで、予後は良好であることが多いです。
解説
パーソナリティ障害は約10%の人に見られ、男女差はあまりないが、種類によっては男女差が見られます。反社会性パーソナリティ障害や強迫性パーソナリティ障害は男性に多く見られることが知られています。
選択肢別解説
依存性パーソナリティ障害は、男女差がないとされています。この選択肢は正しくありません。
演技性パーソナリティ障害は、男女差がないとされています。この選択肢は正しくありません。
境界性パーソナリティ障害は、男女差がないとされています。この選択肢は正しくありません。
強迫性パーソナリティ障害は、男性に多く見られるとされています。この選択肢は正しいです。
反社会性パーソナリティ障害は、女性に比べ男性に約6倍多く見られるとされています。この選択肢は正しいです。
解説
複雑部分発作の場合、患者は意識が朦朧としており、周囲に対する反応が鈍くなります。そのため、無理に制限をかけたり、過剰な刺激を与えると抵抗や過剰反応を引き起こすことがあります。適切な対応は、患者の安全を確保しながら様子を観察することです。
選択肢別解説
体をゆするなど無理に行動制限をすると、患者が過剰な反応をすることがあります。この方法は適切ではありません。
大声をかけるなど過剰な刺激を与えると、患者が抵抗することがあります。この方法は適切ではありません。
危険な場所でなければ、患者と一緒に移動し、様子を観察するのが適切な対応です。これにより、患者の安全を確保しながら状況を把握できます。
タオルや割り箸を嚙ませることは必要ありません。発作時にこれらを使用すると、口腔内を傷つける可能性があるため、実施しない方が良いです。
室内に一人きりにすると、患者が転倒したり、危険な場所に行く可能性があります。そのため、この方法は適切ではありません。
解説
アルコール依存症患者の治療には、精神療法、薬物療法、自助グループへの参加、社会的な支援などの方法がある。集団療法が有効である。
選択肢別解説
催眠療法は、催眠による暗示によって神経症症状の改善をはかる方法で、神経症やパーソナリティ障害に適応するが、アルコール依存症患者の断酒継続には有効でない。
集団療法は、自助グループへの参加などがあり、アルコール依存症患者の断酒継続に有効である。
自律訓練法は、注意の集中と自己暗示の練習によって全身を弛緩させ、心身の状態をうまくコントロールできるように工夫された段階的訓練法であるが、アルコール依存症患者の断酒継続には有効でない。
来談者中心療法は、言語的コミュニケーションを中心とした面接過程によって患者自らが気づき、成長していく過程を援助していくものであるが、アルコール依存症患者の断酒継続には有効でない。
修正型電気けいれん療法の適応は、難治性の統合失調症などであるが、アルコール依存症患者の断酒継続には有効でない。
解説
うつ病の治療には、心理教育や薬物療法、電気けいれん療法などがあります。また、双極性障害の可能性も考慮する必要があります。
選択肢別解説
脱感作法は、恐怖や不安に対して行われる治療法であり、うつ病の治療には適用されません。
心理教育はうつ病の治療において重要な要素であり、患者や家族に病気についての知識を提供し、理解を深めることで治療効果を高めることが期待されます。
正しい選択肢です。双極性障害の場合もあるため、躁病相がないかを確認することが重要です。
修正型電気けいれん療法は、通常の薬物治療では改善がみられない難治性のうつ病や統合失調症などで適応となる治療法であり、無効ではありません。
薬物療法の第一選択は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)かセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)である。ベンゾジアゼピン系薬物は抗不安薬として症状に合わせて使用されるが、第一選択ではありません。