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作業療法士国家試験
高次脳機能障害
解説
この患者は運動麻痺や感覚障害はないものの、感情表出が少なく、事故後の出来事に関する情報を忘れやすいという症状がある。このような状態を評価するために適切な評価法は、BADS(行動評価法)とRBMT(リバプール記憶評価法)である。
選択肢別解説
BADS(行動評価法)は、患者の日常生活における認知機能や行動を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのに適切である。
RBMT(リバプール記憶評価法)は、患者の短期記憶や日常生活に関連する記憶機能を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのに適切である。
SLTA(言語聴覚療法評価法)は、言語聴覚療法の効果を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのには適切ではない。
SPTA(社会心理療法評価法)は、社会心理療法の効果を評価するための方法であり、この患者の状態を評価するのには適切ではない。
VPTA(視知覚療法評価法)は、視覚失認やBálint症候群、半側空間無視などの評価が可能であるが、この患者の症状とは関連が薄いため、適切な評価法ではない。
解説
この問題では、記憶障害がある患者に対する適切なアプローチを選択することが求められています。記憶障害のある患者には、外的補助手段を使って記憶を補助する方法が適切です。
選択肢別解説
毎日異なる課題を与えるのは負荷が大きく、十分な練習効果が得られないため、この方法は適切ではありません。
記憶の外的補助手段を使うことで、日々行うことや注意すべきことをノートに健忘録のように記録しておき、これを見ながら行動することで、記憶障害による困難さを補助できるため、この方法が適切です。
試行錯誤が必要な課題を行わせると、誤ったことも記憶できず、誤りを繰り返すことが多いため、この方法は適切ではありません。
複数の学習課題を同時に行うと、進行状況の把握が困難になり、混乱しやすいため、この方法は適切ではありません。
日課が本人のペースで進むことは良いですが、日課を変更することで、手続き記憶のように、一度修得したことを利用して行動することが困難になる可能性があるため、この方法は適切ではありません。
解説
Catherine Bergego Scaleは、日常生活における半側空間無視の評価法であり、重度の無視のいずれかに採点する(合計0~30点)。半側空間無視は、脳損傷により、身体の一方向にある刺激や情報を無視する症状です。
選択肢別解説
身体が左に傾くことは、半側空間無視の症状ではありますが、Catherine Bergego Scaleの評価内容ではありません。
左右を間違えることは、空間認知の問題ですが、半側空間無視の評価法であるCatherine Bergego Scaleには含まれません。
模写をすると左側を書き忘れることは、半側空間無視の症状の一つですが、Catherine Bergego Scaleの評価内容ではありません。
髭剃りのときに左に顔が向いてしまうことは、半側空間無視の症状ではありますが、Catherine Bergego Scaleの評価内容ではありません。
移動時に左側にいる人や物にぶつかることは、半側空間無視の症状であり、Catherine Bergego Scaleの評価内容に含まれています。この評価法では、日常生活における半側空間無視の程度を測定することができます。
解説
遂行機能障害は、計画立案や行動の自己統制が困難な状態で、自己教示法が最も適した介入方法です。自己教示法では、患者と一緒に解決方法や計画を考えることで、遂行機能の改善を目指します。
選択肢別解説
ペグ法は記憶対象をペグ(掛け釘)にかけるイメージを使った記憶方法であり、遂行機能障害に対する介入方法としては適していません。
自己教示法は、行動の自己統制が欠け、課題の理解欠如などをみとめる患者に対し、解決方法や計画の立て方を一緒に考えるものである。遂行機能障害に対する介入方法として最も適している。
直接刺激法は、注意機能に関わる課題をコンピュータや机上の作業で直接的に練習する方法である。注意機能そのものの回復を目的として用いられるが、遂行機能障害に対する介入方法としては適していません。
間隔伸張法は、情報を保持する時間間隔を少しずつ延ばして想起させる記憶の練習法である。遂行機能障害に対する介入方法としては適していません。
物語作成法は、記憶する対象をなるべく印象に残るような物語を作って記憶するもので、言語的方略による記憶障害に対する介入方法である。遂行機能障害に対する介入方法としては適していません。
