46歳の男性。アルコール依存症。以前から大酒家で、糖尿病、高脂血症および肝障害があった。出張先で連続飲酒状態になり、家族と会社嘱託医師の勧めでアルコール専門病棟に初回入院。離脱症状が治まって1週後、作業療法に参加となる。作業療法参加時の観察事項として適切でないのはどれか。
1: 睡眠不足による注意力散漫
2: 肝障害による易疲労感
3: 飲酒欲求による無断外出
4: フラッシュバックによる幻覚
5: 末梢神経障害による歩行障害
23歳の女性。境界型人格障害。中学時代から対人関係が不安定で、不登校、家出、過量服薬、恋人との激しいけんかなどを繰り返してきた。今回、失恋を契機に睡眠薬自殺を図ったが、救命救急センターで意識回復し精神科へ入院した。左手首に数本の切創痕を認める。母親に甘えた態度をとったり、大声で怒鳴ったり、死にたいと言ったりする。治療目的で作業療法が依頼された。治療計画として適切でないのはどれか。
1: 個別プログラムを設定する。
2: 欲求充足から実用性のある作業に移行する。
3: 自由度の高い作業場面を設定する。
4: 共同作業で所属感をもたせる。
5: 結果が明確な作業種目を選ぶ。
67歳の女性。認知症。2年前ごろから身だしなみに気を遣わずに出かけるようになった。次第に同じ食事メニューを繰り返し作る、日常会話で相手の言葉をオウム返しにする、買い物をしても代金を払わず、とがめられても気にしないといったことが多くなったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1: 転倒しやすい。
2: 情動失禁がみられる。
3: 手続き記憶が損なわれる。
4: 時刻表的生活パターンがみられる。
5: 「部屋にヘビがいる」といった言動がある。
40歳の男性。20歳から飲酒を始め、就職後はストレスを解消するために自宅で習慣的に飲酒していた。その後、毎晩の飲酒量が増え、遅刻や無断欠勤をし、休みの日は朝から飲酒するようになった。連続飲酒状態になり、リビングで泥酔し尿便を失禁していた。心配した妻に連れられて精神科を受診し、そのまま入院となった。離脱症状が治まり、体調が比較的安定したところで主治医から作業療法の指示が出された。初回面接時には「自分は病気ではない」と話した。初期の対応で適切なのはどれか。
1: 飲酒しないように繰り返し指導する。
2: 心理教育により依存症の理解を促す。
3: AA〈Alcoholics Anonymous〉を紹介する。
4: 10 METsの運動で身体機能の回復を促す。
5: 飲酒による問題の存在を受け入れるよう促す。
52歳の男性。アルコール依存症。7年前から飲酒量が増え、コントロールがつかず昼から飲むようになり、2年前に会社を辞めた。2か月前から連続飲酒の状態となったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。離脱症状が改善されたため作業療法を開始した。この患者の退院に向けた支援で適切でないのはどれか。
1: 心理教育を行う。
2: 作業時間を増やす。
3: 家族会を紹介する。
4: デイケアの利用を検討する。
5: 自助グループへの参加を促す。
21歳の男性。知的障害。養護学校の高等部を卒業後、魚屋に住み込みで3年間働いていた。接客をすることになったころから、腹痛で休みがちとなった。つり銭を間違えたことがきっかけとなり、自分の頭を壁にたたきつけるなどの自傷行為がみられるようになり、精神科に入院となった。入院1週後に作業療法を開始した。この患者の行動特性はどれか。2つ選べ。
1: 同じ動作を繰り返す。
2: 1つのことにこだわる。
3: 感情表出が苦手である。
4: 単純な作業は得意である。
5: じっとしていられない。
52歳の男性。アルコール依存症。7年前から飲酒量が増え、コントロールがつかず昼から飲むようになり、2年前に会社を辞めた。2か月前から連続飲酒の状態となったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。離脱症状が改善されたため作業療法を開始した。この時期にみられやすいのはどれか。2つ選べ。
1: 過度な頑張り
2: 感情の平板化
3: 自己評価の低下
4: 基礎体力の低下
5: 主体的な役割行動
36歳の女性。アルコール依存症。専業主婦。以前から台所で飲酒をしていた。昼夜に関係なく隠れ飲みするようになり、半年後に入院となった。入院後、薬物療法と作業療法で症状は安定した。主治医から退院を勧められた後、作業療法場面で泣き出すなど情緒不安定になった。この患者への対応で適切でないのはどれか。
1: 支持的な態度で患者の訴えを聞いた。
2: 訴えを聞くうちに落ち着いてきたので作業を続けた。
3: 情緒不安定になったことを作業終了後に主治医へ報告した。
4: 作業療法終了後も行動観察をした。
5: 作業療法の実施回数を増やした。
48歳の男性。妻と2人暮らし。会社の営業課長をしていたが、重要な打合せを忘れたり、得意先へ行く道を迷ったりするようになり、妻の勧めで物忘れ外来を受診した。頭部MRIで脳萎縮が認められ、作業療法が処方された。作業療法開始時の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 休息の促し
2: 不安の軽減
3: 仕事の継続
4: 他者との交流
5: 自己認識の向上
31歳の女性。2か月前に地元が大規模な災害に遭い、親が死亡したものの看護師として救助隊に加わり1か月活動した。通常の勤務に復帰後1週ころから不眠や中途覚醒が続くようになり、災害発生時の情景を夢で見るようになった。夫が様子を聞いても詳細を語ろうとせず、その後、自ら精神科を受診し外来作業療法が処方された。考えられる疾患はどれか。
1: 適応障害
2: パニック障害
3: 全般性不安障害
4: 急性ストレス障害
5: PTSD〈外傷後ストレス障害〉
26歳の男性。統合失調症。大学卒業後、会社に就職し営業の仕事で出張することが多かった。出張途中の飛行機で突然耳鳴りがし、やがて幻聴に変っていったのをきっかけに精神科病院に入院した。薬物療法によって症状が落ち着いたので、2か月後に復職を目指して作業療法を開始した。この時点での作業療法評価で優先されるのはどれか。
1: 余暇活動
2: 集団内行動
3: 金銭管理能力
4: 作業遂行能力
5: 交通機関の利用
28歳の女性。全般性不安障害。コンピュータのシステム・エンジニア。システム設計の責任者として一つの仕事をやり遂げた頃から、持続的ないらいら感、不安、頭痛、肩こりなどを感じるようになった。仕事も負担となり、「このままでは病気になってしまい、何もかも駄目になりそう」と訴え外来受診した。薬物療法と並行して外来受診時に作業療法が処方された。開始時の目的として適切なのはどれか。
1: 緊張感の軽減
2: 作業能力の改善
3: 葛藤の洞察
4: 家族内調整
5: 職場上司との調整
22歳の男性。注意欠如・多動性障害。大学卒業後に営業職に就いた。顧客との約束や書類を忘れるなどの失敗が続き、上司が度々指導をしても改善しなかった。子供のころから不注意傾向があり、母親は「しつけをしてこなかった自分に非がある」という。その後も失敗が続いて自信を喪失し、1週前から欠勤し精神科の受診に至った。入院となり作業療法が処方された。この時期の作業療法士の対応として適切なのはどれか。
1: 仕事に適性がないと伝えて転職を勧める。
2: 休養に専念し職場復帰を焦らないように伝える。
3: 母親のしつけの失敗の影響が残っていると告げる。
4: 上司の指導方法が病気の誘因であることを説明する。
5: 職場復帰のために対人技能向上を目的とした作業活動を勧める。
22歳女性。摂食障害。同僚との対人関係の悪化から過食が始まり、食費を乱費するようになり入院となった。入院後は入院を不満として拒食に転じたが、3か月後には退院可能になった。退院後、再び過食が始まり、盗食や下剤の乱用がみられ再入院となった。入院後直ちに作業療法が処方された。作業療法開始当初にみられないのはどれか。
1: 作業療法上の約束には一応従う。
2: 作業種目を自ら希望する。
3: 作業療法士に万能感を抱く。
4: 自己中心的な行動をする。
5: 作品の出来映えに満足感を抱く。
68歳の男性。アルツハイマー型痴呆。数年前から道で迷ったり、電話できちんと受け答えしたのに、その内容を家人に伝えられなかったりした。最近では夜間になると興奮して動き回り、昼間はうとうとしている。半年ぶりに会った息子に初対面の人に挨拶するように対応したため、家人が心配して受診させ入院に至った。この患者に当てはまらないのはどれか。
1: 地誌的障害
2: せん妄
3: 失語
4: 記銘力障害
5: 人物誤認
統合失調症の一般的な回復経過を図に示す。「夜寝ても昼寝をしたくなる」、「やる気がおきない」、「疲れやすい」と訴える患者の時期はどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
13歳の男子。恐怖症性不安障害。父親の転勤で中学転校時から、漠然とした不安感情が表れるようになった。ある日、授業中に動悸や息切れがひどくなり発作性の震えが出現、養護教諭のすすめで精神科クリニックを受診した。その後、不安発作が激しくなり不登校の日が続いた。主治医・両親・患者・学校側との相談の結果、クリニック付設デイケアに参加することになった。デイケア開始時に治療者が留意する点で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 年齢を考慮し他のメンバーには紹介しない。
2: 年齢を考慮しプログラムはスタッフが決める。
3: 発作時の対処をスタッフ間で話し合う。
4: 患者と治療設定を確認し合う。
5: 不登校と発作の関係を聴く。
52歳の男性。アルコール依存症。45歳ころからアルコールによる肝炎で入退院を繰り返し離婚した。単身生活になって飲酒が一層激しくなり、食事も摂らず泥酔状態が続くところを保護されて入院した。離脱症状が消失した時点で作業療法が開始されたが、落ち込んだ様子や自己中心的な行動が見られたり、理由なく作業療法を欠席したりすることがある。この時点での目標で優先度の低いのはどれか。
1: 自ら作業療法士に相談することができる。
2: 他患の作業に協力することができる。
3: 大グループに参加することができる。
4: 身体的回復を優先することができる。
5: 欠席の理由を伝えることができる。
25歳の女性。境界型人格障害。高校時代から希死念慮や情緒不安定があった。アルバイト先の男性従業員と同棲していたが、21歳のときけんか別れして帰省した。帰省後は母親と生活していたが、母親への暴力と希死念慮が激しくなり入院した。入院後、落ち着いた時点で作業療法が開始された。この時期の実施上の留意点で適切でないのはどれか。
1: 参加に当たっての約束事を確認する。
2: 種目は患者に任せる。
3: 短期間で行えるものを選ぶ。
4: 手順と結果が明確なものを選ぶ。
5: 場面設定を一定にする。
21歳の女性。大学生で単身生活。日中は講義に出席しているが、帰宅すると過食と自己誘発性嘔吐に時間を費やし、睡眠時間がとれず、遅刻するなど日常生活に支障をきたしている。心配した母親に連れられて精神科を受診した。過食後の自己嫌悪感も強く、抗うつ薬を処方されたが、最近ではリストカットなどの自傷行為もみられるようになった。ある日作業療法室で本人が近況について報告をしてきた。そのときの作業療法士の本人への対応として最も適切なのはどれか。
1: 過食の理由を尋ねる。
2: 今後の自傷行為を禁じる。
3: 講義の出席状況を把握する。
4: 心配している気持ちを伝える。
5: 日々のスケジュール管理方法を指導する。