48歳の男性。市役所に勤務。住民の苦情に対応する業務に就いたころから、不眠、食欲不振、意欲低下および思考抑制が始まった。3か月間の休職を取り自宅療養をしていたが「自分は役に立たない」と言い、希死念慮を認めたため入院となり、2週後から作業療法が開始された作業療法の初期評価で把握すべき内容として適切でないのはどれか。
1: 興味関心
2: 身体症状の有無
3: 病前の生活状況
4: 現在の睡眠状態
5: 集団への参加技能
67歳の女性。認知症。2年前ごろから身だしなみに気を遣わずに出かけるようになった。次第に同じ食事メニューを繰り返し作る、日常会話で相手の言葉をオウム返しにする、買い物をしても代金を払わず、とがめられても気にしないといったことが多くなったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1: 転倒しやすい。
2: 情動失禁がみられる。
3: 手続き記憶が損なわれる。
4: 時刻表的生活パターンがみられる。
5: 「部屋にヘビがいる」といった言動がある。
脳卒中片麻痺患者の反張膝への対応で適切なのはどれか。
1: 骨盤前傾位での歩行指導
2: 短下肢装具足継手の底屈制限
3: ターンバックル付膝装具の使用
4: 患肢での片脚立位訓練
5: ハムストリングスの持続的伸張
48歳の女性。外傷性脳損傷後1か月経過。意識は清明。麻痺は認めない。ミニメンタルステート検査(MMSE)は30点。三宅式記銘力検査の正答は有関係対語10-10-10、無関係対語2-3-7。ベントン視覚記銘検査即時再生で正確数10・誤謬数0、15秒後の再生で正確数7・誤謬数3。障害されているのはどれか。
1: 意味記憶
2: 近時記憶
3: 遠隔記憶
4: 展望記憶
5: 手続き記憶
66歳の男性。要介護1となり介護老人保健施設に入所した。入所1週後、作業療法士によるリハビリテーションを行うために機能訓練室に来室した際、動作の緩慢さと手指の振戦が観察された。妻は本人が中空に向かって「体操服姿の小学生がそこにいる」と言うのを心配していた。本人に尋ねると、見えた内容について具体的に語っていた。疾患として考えられるのはどれか。
1: Creutzfeldt-Jakob病
2: Alzheimer型認知症
3: Lewy小体型認知症
4: 意味性認知症
5: 正常圧水頭症
65歳の女性。約1年前から抑うつ気分、意欲低下、判断力低下、不眠、食思不振などがあり、約9か月前に精神科外来を初めて受診した。希死念慮や貧困妄想も加わり、約8か月前に医療保護入院となっている。抗うつ剤投与により不眠、食思不振はある程度改善されたが、悲観的な思考内容は遷延化した。促してかろうじて病棟外への散歩に応じるようになり、数か月が経過したところで、主治医から作業療法の依頼があった。この時点での作業療法として適切でないのはどれか。
1: 本人の自己決定を見守る。
2: 個別のかかわりから開始する。
3: 1回の活動時間は短く設定する。
4: 長期間をかけて完成する課題を採用する。
5: なじみのある課題より初めての課題を採用する。
脳梗塞の発生部位と出現する症状の組合せで正しいのはどれか。
1: Broca領域 ── 遂行機能障害
2: 右小脳半球 ── 左上下肢の運動失調
3: 右内包後脚 ── 左上下肢の運動麻痺
4: 左前頭葉 ── 左半側空間無視
5: 左放線冠 ── 感覚性失語
脳卒中による右片麻痺患者に対する上肢の随意性向上を目的としたアプローチで、易しい順に並んでいるのはどれか。
1: ①-②-③
2: ①-③-②
3: ②-①-③
4: ②-③-①
5: ③-②-①
26歳の女性。躁病。雑誌の編集員。昼夜が逆転し、職場では同僚や上司に無遠慮な言動が目立ち始めた。日常行動もまとまりに欠けてきたので入院した。入院後1か月で落ち着き始め、職場復帰に向けて作業療法が開始された。開始時の評価内容で適切でないのはどれか。
1: 集中力の程度
2: 自我機能
3: 疲労度
4: 対人関係のパターン
5: 集団適応力
67歳の女性。作業療法中に傾眠傾向が続いた日があるかと思えば、声かけにはきはきと受け答えをする日もある。部屋の間違いや道に迷うことも多い。あるとき突然「カーテンの陰に人がいる」と話し怯えだした。この患者の原因疾患として最も可能性が高いのはどれか。
1: Alzheimer型認知症
2: Lewy小体型認知症
3: 前頭側頭型認知症
4: 正常圧水頭症
5: 血管性認知症
78歳の女性。布団を持ち上げようとした際、背部から腹部への強い帯状痛を生じ、寝返りも困難となったため入院となった。入院時のエックス線写真AとMRI写真Bを示す。この患者がベッド上で行う理学療法で適切でないのはどれか。
1: 両側下肢への弾性ストッキングの着用
2: 背臥位で砂のうを用いた両上肢の筋力強化
3: 足関節の底背屈自動運動
4: 重錘バンドを用いた下肢伸展挙上運動
5: コルセットを装着しての背臥位での殿部挙上運動
30歳の女性。多発性硬化症によるL1レベル以下の対麻痺の増悪を認め、Danielsらの徒手筋力テストで下肢筋力は2となったが、ステロイドパルス療法でようやく症状の進行が止まった。この時期における理学療法で適切なのはどれか。
1: 上肢筋力増強訓練
2: 下肢筋力増強訓練
3: 関節可動域訓練
4: 座位持久性訓練
5: 立位訓練
48歳の女性。うつ病。教育熱心な母親としてパート勤務をしながら2人の娘を育てた。娘達が家を離れた頃から何もする気がなくなり、抑うつ状態となった。希死念慮がみられたため夫に付き添われて精神科を受診し入院となった。「何かしていないと落ち着かない」と訴えたため入院後5日目から作業療法が開始された。作業療法開始時の評価項目で適切なのはどれか。
1: 対人関係
2: 作業経験
3: 自己評価
4: 知的機能
5: 職業興味
図は脳卒中右片麻痺の理学療法である。誤っているのはどれか。
1: 患側下肢の反張膝を防止している。
2: 患側下肢の足関節背屈を促通している。
3: 患側上肢の屈筋を持続的に伸張している。
4: 患側への重心の移動を訓練している。
5: 患側股関節の伸展を促している。
35歳の男性。急性心筋梗塞で入院中。合併症はなく、現在、室内で2分程度ゆっくり歩くことを許可されている。この時期の患者の活動で適切でないのはどれか。
1: 入浴する。
2: 室内便器を利用する。
3: 立位で体重測定を行う。
4: ソファーで新聞を読む。
5: 近親者と短時間面会する。
脳卒中片麻痺患者のADL訓練で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 更衣動作の前開きシャツは、非麻痺側上肢から着る。
2: 移動動作では、車椅子を麻痺側上下肢で操作する。
3: 更衣動作訓練の導入時には、丸首シャツを用いる。
4: 洗体動作では、長めのループ付きタオルで背中を洗う。
5: トイレ動作では、壁のL字型手すりを使って移乗する。
23歳の女性。境界型人格障害。中学時代から対人関係が不安定で、不登校、家出、過量服薬、恋人との激しいけんかなどを繰り返してきた。今回、失恋を契機に睡眠薬自殺を図ったが、救命救急センターで意識回復し精神科へ入院した。左手首に数本の切創痕を認める。母親に甘えた態度をとったり、大声で怒鳴ったり、死にたいと言ったりする。治療目的で作業療法が依頼された。治療計画として適切でないのはどれか。
1: 個別プログラムを設定する。
2: 欲求充足から実用性のある作業に移行する。
3: 自由度の高い作業場面を設定する。
4: 共同作業で所属感をもたせる。
5: 結果が明確な作業種目を選ぶ。
66歳の女性。右利き。階段から転落。転落直後は意識消失していたが、数分後に意識回復。しばらくの間、意識は清明であったが、1時間後に手足の麻痺が出現し、再び意識が低下して昏睡になった。救急搬送時の頭部CTを示す。最も考えられるのはどれか。
1: 髄膜腫
2: 皮質下出血
3: くも膜下出血
4: 脳動静脈奇形
5: 急性硬膜下血腫
高齢障害者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 身体機能だけでなく、認知機能や生活習慣を把握する。
2: 病前の趣味に関連した作業を選択する。
3: 傾眠がみられたら、睡眠状況や脱水の有無を確認する。
4: 白内障では、できるだけ日光の当たる場所で作業を行う。
5: 日常生活の中で役割を持てるような作業を指導する。
42歳の女性。躁うつ病。高校卒業後からスーパーマーケットに勤務。30歳のとき躁状態で入院した。以後、躁状態またはうつ状態で6回入退院を繰り返した。今回は、パートタイムで働いていたが次第に不眠、抑うつ気分を呈するようになり入院した。入院から1か月後、作業療法が開始された。作業療法導入時の対応として適切でないのはどれか。
1: 作業療法の目標を取り決める。
2: 症状の変動を確認する。
3: 参加の意思を確認する。
4: 作業種目の決定を促す。
5: 作業の耐久性を評価する。