80歳の男性。3年前に脳梗塞による右片麻痺を発症したが、独歩は可能であり、ADLは自立していた。肺炎のため1週間の安静臥床が続いた後、伝い歩きはできるものの独歩は困難となった。最も考えられる原因はどれか。
1: 褥瘡
2: 脳梗塞の再発
3: 下肢筋力低下
4: 呼吸機能低下
5: 精神機能低下
小脳失調患者の上肢の協調性向上を目的とした方法で正しいのはどれか。
1: 上肢遠位部に弾性緊迫帯を巻く。
2: 上肢遠位部に重錘を負荷する。
3: 筋にタッピング刺激を与える。
4: 筋に寒冷刺激を与える。
5: 筋の他動伸張を行う。
65歳の女性。脳幹部の梗塞で、発症2日後からベッドサイドでの作業療法が処方された。血圧は不安定で、意識レベルも変動している状態である。この患者のベッドサイドでの早期作業療法プログラムとして適切なのはどれか。
1: 車椅子で30分間座位耐性訓練を行う。
2: 麻痺側上肢の筋力強化を図る。
3: 書字練習により手指機能を高める。
4: 背臥位で上肢の両側活動を行う。
5: ベッド上座位での食事動作訓練を行う。
脳卒中片麻痺患者。ブルンストローム法ステージIII。痙縮による高度の内反尖足。適切な下肢装具はどれか。
58歳の男性。右利き。職場で倒れているところを発見され搬入された。意識は傾眠状態であったが、発症後4日で改善した。この時点での発話には異常がない。左手足に重度の運動障害と感覚障害とを認める。筋緊張は低下している。視力・視野は正常であるが、顔面は常に右方に向け、指摘しても左側を見ようとしない。発症10日目に数分の端座位保持が可能となったが、立位保持は介助でかろうじて可能であった。この時点で適切な治療計画はどれか。2つ選べ。
1: 頸部右回旋位を徒手的に矯正する。
2: 左上肢を意識させる。
3: 左下肢をナイトブレースで固定する。
4: 左下肢への荷重を促す。
5: 電動車椅子操作の訓練を行う。
25歳の男性。事務職。外傷性脳損傷後5か月経過。明らかな麻痺はなく、いつも落ち着きなく動き回る。些細なことですぐに怒り出し、軽度の記銘力障害がある。作業療法の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。 ア.メモを利用する。イ.怒ったときは本人に詳しく理由を聞く。ウ.慣れたことより目新しい課題を設定する。エ.定期的に受傷前の職場に通う。オ.作業工程を短く区切って指示する。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
右延髄外側の脳梗塞で認められるのはどれか。
1: 右顔面の温痛覚障害
2: 右顔面神経麻痺
3: 右上斜筋麻痺
4: 右片麻痺
5: 左小脳性運動失調
3歳の男児。痙直型右片麻痺。図に示す右上下肢の肢位に影響しているのはどれか。2つ選べ。
1: 非対称性緊張性頸反射
2: 緊張性迷路反射
3: 陽性支持反応
4: 逃避反射
5: 自動歩行
70歳の男性。脳梗塞片麻痺、発症後2か月。図の上の絵を患者の正面に置き、模写を指示したところ、下の図のように描いた。考えられる障害はどれか。
1: 半側空間無視
2: 失 書
3: 失 語
4: 左同名半盲
5: 物体失認
35歳の男性。交通事故による外傷性脳損傷で入院となった。受傷10日後から作業療法が開始された。運動麻痺や感覚障害はみられなかった。些細なことで怒りをあらわにし、作業療法中も大きな声をあげ、急に立ち上がってその場を去る、というような行動がしばしばみられた。患者はこの易怒性についてほとんど自覚しておらず病識はない。この患者の怒りへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 原因について自己洞察を促す。
2: 感情をコントロールするよう指導する。
3: 周囲に与える影響を書き出してもらう。
4: よく観察し誘発されるパターンを把握する。
5: 脳損傷との関係について理解が得られるまで説明する。
60歳の女性。主婦。発症後2か月の脳卒中右片麻痺。ブルンストローム法ステージは上下肢、手指いずれもIVである。認知的問題はない。表は患者が現時点で改善したいと考える活動とそれらの活動の重要さ、出来ばえ、現状の満足感を各々10点満点で 主観的に判断した結果を示す。この表から作業療法士がする判断で適切なのはどれか。
1: 「炊事」へのアプローチは満足感が得やすい。
2: 「買物」へのアプローチは成功体験が得やすい。
3: 「電話」へのアプローチは優先度が高い。
4: 列挙された活動のニーズは同等である。
5: 列挙された活動の意味と行い方を分析する。
脳卒中片麻痺患者の理学療法の組合せで適切でないのはどれか。
1: 非対称姿勢-矯正鏡
2: 痙縮-リラクセーション
3: 空間無視-傾斜台
4: 尖足拘縮-補高靴
5: 肩手症候群-愛護的関節可動域訓練
65歳の男性。脳梗塞。右片麻痺。発症5日目。意識レベルはJCS〈Japan Coma Scale〉Ⅰ-1。全身状態は安定し、麻痺の進行も24時間以上認めないため、リスク管理(リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン2006に基づく)を行いながら、ベッドアップを開始することとした。適切なのはどれか。
1: ベッドアップ前、動悸を訴えているが実施する。
2: ベッドアップ前、安静時SpO2が85%であったので実施する。
3: ベッドアップ後、脈拍が100回/分なので中止する。
4: ベッドアップ後、呼吸数が18回/分なので中止する。
5: ベッドアップ後、収縮期血圧が120 mmHgから170 mmHgに上昇したので中止する。
57歳の男性。脳出血による左片麻痺。Brunnstrom法ステージ下肢III。左下腿三頭筋のMAS〈modified Ashworth scale〉は2。平行棒内歩行時に左下肢の踵接地はみられず、内反尖足となる。また、左下肢立脚中期に膝のロッキングを認める。そこでダブルクレンザック(ロッド式)短下肢装具を作製した。誤っているのはどれか。
1: 下腿半月の上縁の位置:腓骨頭
2: 下腿半月の幅:4 cm
3: 下腿中央部における支柱と皮膚との距離:5 mm
4: 足継手の位置:内果下端と外果中央を結ぶ線
5: 足関節の角度:底屈0°
75歳の男性。脳卒中による左片麻痺。ブルンストローム法ステージは上下肢ともIII。屋内はプラスチック短下肢装具装着で歩行、屋外は車椅子で移動することで退院計画を立てることになった。住宅改造の指導で適切でないのはどれか。
1: 廊下に横手すりを設置する。
2: あがりかまちにL字型手すりを設置する。
3: 玄関口とあがりかまちの間に座れる椅子を置く。
4: 玄関の出入り口の段差にスロープを設置する。
5: 廊下に毛足の長いじゅうたんを敷き詰める。
70歳の独居女性。脳梗塞による右片麻痺。発症から3か月入院しリハビリテーションを受け、退院後2年経過。ブルンストローム法ステージは上肢・下肢ともにIII。屋内は短下肢装具、屋外は短下肢装具と杖とを使用して歩行。コミュニケーションは良好。在宅における指導で適切でないのはどれか。
1: 分離運動の獲得
2: 関節可動域の維持
3: 歩行能力の向上
4: 生活リズムの確立
5: 生活環境の整備
中等度の片麻痺を生じた脳梗塞患者に対する急性期の理学療法で正しいのはどれか。
1: 良肢位保持のため、麻痺側の股関節を外旋位とする。
2: 麻痺側の肩関節に対する関節可動域運動は、早期から全可動範囲で行う。
3: 他動的関節可動域運動では、素早く麻痺肢を動かして伸張反射を誘発する。
4: 覚醒した患者では、麻痺の進行が止まっていれば座位訓練を開始する。
5: 非麻痺側の筋力増強訓練は、麻痺の回復を阻害する。
63歳の男性。健康診断で不整脈を指摘されたが放置していた。職場で突然倒れ病院に搬送された。重度構音障害と重度左片麻痺とが認められた。発症2日目のMRIを写真に示す。意識状態は徐々に改善し、左上下肢の動きも出現した。2週後にワルファリンカリウムの投与が開始された。この患者の心電図として可能性の高いのは①~⑤のどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
78歳の女性。脳梗塞による右片麻痺。発症後5か月経過。20 cmの段差であれば、手すりを使用し2足1段で昇段し、後ろ向きに2足1段で降段することが可能となり、自宅に退院することとなった。自宅の玄関の様子を図に示す。この患者に適している家屋改造案はどれか。ただし、上りかまちは36 cmとする。
57歳の男性。視床出血後に表在感覚と深部感覚との障害を認める。運動麻痺は認めない。この患者に行う知覚再教育で誤っているのはどれか。
1: 開眼で代償させる。
2: 運動や動作は可能な限りゆっくり行う。
3: 15分程度の知覚再教育を一日に数回行う。
4: 識別素材を固定し、患側手を動かして識別させる。
5: 書字の際に、筆記具と手との接触個所で筆記具の特徴を感じさせる。