理学療法士問題表示
理学療法士国家試験
臨床医学総論(病理学)
解説
この問題では、脳波検査に関する知識を問うています。脳波検査は、脳の電気活動を測定する方法で、α波、β波、θ波などの波形があります。それぞれの波形は、特定の状態や年齢において現れることが知られています。
選択肢別解説
選択肢1は正しいです。α波は、安静で覚醒した閉眼状態で頭頂部や後頭部に現れます。目を開くと、α波は抑制されることが知られています。
選択肢2は正しいです。α波の周波数は8~13 Hzであり、β波は13 Hz以上です。従って、周波数はα波よりβ波の方が大きいです。
選択肢3は正しいです。ノンレム睡眠は、睡眠の深さによって4段階に分かれており、睡眠が深い状態では高振幅徐波が出現します。
選択肢4は正しいです。小児の脳波は成人と比べて高振幅で周波数が低く、不規則で左右差が見られます。従って、小児では成人に比べて背景活動の周波数が低いです。
選択肢5は誤りです。成人の安静覚醒閉眼時の背景活動はα帯域であることが一般的です。θ帯域は、安静閉眼時には通常出現せず、てんかんや脳腫瘍などの脳機能障害時に出現することが知られています。
解説
組織の再生能力は、その組織の細胞の分裂能力や修復能力によって異なります。再生能力が高い組織には結合組織、神経膠組織、表皮、粘膜上皮、肝細胞、骨組織などがあります。
選択肢別解説
角膜は、再生能力がほとんどないため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
骨髄(骨組織)は、再生能力が高く、骨折などの際に修復が行われるため、組織の再生能力が最も高いと言えます。
心筋は、再生能力がほとんどなく、心筋梗塞などの際に損傷した部分が修復されにくいため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
神経には末梢神経と中枢神経があります。末梢神経は再生能力が強いですが、中枢神経は再生能力がほとんどないため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
横紋筋(骨格筋)は、再生能力が比較的弱く、筋肉損傷などの際に修復が遅いため、組織の再生能力が最も高いとは言えません。
解説
この問題では、疾患とその遺伝形式の正しい組み合わせを選ぶ必要があります。正しい組み合わせは筋強直性ジストロフィーと常染色体優性遺伝です。
選択肢別解説
筋強直性ジストロフィーは常染色体優性遺伝の疾患であり、正しい組み合わせです。常染色体優性遺伝では、病気の遺伝子を1つだけ持っていても病気が発症します。
脊髄性進行性筋萎縮症は常染色体劣性遺伝の疾患であり、伴性劣性遺伝ではありません。常染色体劣性遺伝では、病気の遺伝子を2つ持っていないと病気が発症しません。
Becker型筋ジストロフィーは伴性劣性遺伝の疾患であり、常染色体劣性遺伝ではありません。伴性劣性遺伝では、X染色体上の遺伝子が原因で、女性はキャリアになりやすく、男性が病気を発症しやすい特徴があります。
Duchenne型筋ジストロフィーは伴性劣性遺伝の疾患であり、常染色体優性遺伝ではありません。伴性劣性遺伝では、X染色体上の遺伝子が原因で、女性はキャリアになりやすく、男性が病気を発症しやすい特徴があります。
Huntington病は常染色体優性遺伝の疾患であり、伴性劣性遺伝ではありません。常染色体優性遺伝では、病気の遺伝子を1つだけ持っていても病気が発症します。
解説
急性炎症と慢性炎症は、症状や組織の変化に違いがあります。急性炎症では炎症の四徴(熱感、発赤、疼痛、腫脹)が見られ、血管の変化や白血球の動きが特徴的です。一方、慢性炎症では萎縮や循環障害、進行性病変が特徴です。
選択肢別解説
局所の浮腫は急性炎症の特徴であり、慢性炎症ではないため、この選択肢は正しくありません。
白血球の集積は急性炎症時に見られる現象であり、慢性炎症の特徴ではないため、この選択肢は正しくありません。
フィブリン析出は急性炎症時に血管透過性の亢進により起こる現象であり、慢性炎症の特徴ではないため、この選択肢は正しくありません。
毛細血管の退縮は慢性炎症の特徴であり、急性炎症時には毛細血管の拡張が見られるため、この選択肢が正しいです。
血管透過性の亢進は急性炎症の特徴であり、慢性炎症ではないため、この選択肢は正しくありません。
解説
ボツリヌス毒素は、筋緊張や痙攣の治療に使用される。作用機序は、運動神経終末のアセチルコリンの分泌を阻害することで、筋収縮が阻害され、筋緊張や攣縮が改善される。
選択肢別解説
筋小胞体は、筋肉細胞内のカルシウム貯蔵庫であり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
脊髄前角は、運動神経細胞の集まりであり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
脊髄前根は、運動神経が脊髄から出る部分であり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
運動神経終末は、ボツリヌス毒素がアセチルコリンの分泌を阻害する部位であり、正しい答えである。
脊髄後根神経節は、感覚神経が脊髄に入る部分であり、ボツリヌス毒素の作用部位ではない。
解説
抗コリン薬は、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑えることで、消化器運動の亢進や胃腸などの痙攣を改善します。そのため、尿閉や便秘、せん妄、めまいなどの症状が生じやすくなりますが、流涎は抗コリン薬の作用で生じにくい症状です。
選択肢別解説
尿閉は、抗コリン薬の作用により生じることがあります。これは、抗コリン薬が尿道括約筋の緊張を維持し、尿の排出を阻害するためです。
便秘は、抗コリン薬の作用により生じやすい症状です。これは、抗コリン薬が消化器の運動を抑制し、便の通過が遅くなるためです。
流涎は、抗コリン薬の作用で生じにくい症状です。抗コリン薬は唾液の分泌を抑制するため、むしろ口の乾燥が生じることがあります。
せん妄は、抗コリン薬の副作用として生じることがあります。これは、抗コリン薬が中枢神経系に作用し、神経伝達物質のバランスが乱れることが原因です。
めまいは、抗コリン薬の副作用として生じることがあります。これは、抗コリン薬が血管の拡張や平滑筋の緩和を引き起こし、血圧の変動が原因で起こることがあります。
解説
炎症の原因は生物的原因、物理的原因、化学的原因に分類されます。生物的原因は病原体による刺激、物理的原因は機械的外力や放射線などによる刺激、化学的原因は化学物質による刺激です。この問題では、放射線が誤って化学的原因とされているため、選択肢4が正解です。
選択肢別解説
外傷は機械的外力による刺激であり、物理的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
日光は紫外線などによる刺激であり、物理的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
寄生虫は病原体による刺激であり、生物学的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
放射線は物理的原因に分類されるべきですが、この選択肢では誤って化学的原因とされています。この選択肢が正解です。
アルカリは化学物質による刺激であり、化学的原因に分類されます。この選択肢は正しいです。
解説
人工透析患者の死亡原因で最も多いのは心不全であり、次に感染症、悪性腫瘍、脳血管障害の順に多い。
選択肢別解説
肺炎は人工透析患者の死亡原因としては2番目に多い疾患であり、最も多い原因ではない。
心不全は人工透析患者の死亡原因として最も多い。透析患者は心血管系の合併症が多く、心不全が最も多い死亡原因となる。
脳出血は人工透析患者の死亡原因としては悪性腫瘍に続く多さであり、最も多い原因ではない。
悪性腫瘍は人工透析患者の死亡原因として感染症に続く多さであり、最も多い原因ではない。
慢性肝炎は人工透析患者の死亡原因としては少なく、最も多い原因ではない。
解説
肺機能検査は、肺の働きを評価するための検査であり、様々な指標が存在します。この問題では、それぞれの指標とその説明が正しい組み合わせを選ぶことが求められています。
選択肢別解説
1秒量は、努力肺活量測定の過程で、1秒間にどれだけ吐き出せたかを示す指標です。しかし、この選択肢では「安静呼気の呼出開始から1秒間に呼出した肺気量」と説明されているため、正しくありません。
残気量は、最大限に呼息を行っても肺内に残る空気量を示す指標です。この選択肢では「安静呼気位に肺内に残存した肺気量」と説明されており、正しくありません。
肺活量は、最大吸気に引き続いて、最大呼気により呼出される空気量を示す指標です。この選択肢では「最大吸気位からゆっくりと最大呼気位まで呼出した肺気量」と説明されており、正しい組み合わせです。
拘束性換気障害は、肺活量が正常よりも低下している状態を示す指標です。しかし、この選択肢では「%肺活量90%未満」と説明されているため、正しくありません。正しい基準は%肺活量が80%未満です。
閉塞性換気障害は、気道が狭窄しているために呼気がスムーズに行えない状態を示す指標です。しかし、この選択肢では「1秒率80%未満」と説明されているため、正しくありません。正しい基準は1秒率が70%未満です。
解説
先天性奇形を生じる胎児期の感染は風疹ウイルスである。妊娠初期に感染すると、新生児に先天性風疹症候群を引き起こすことがある。
選択肢別解説
MRSAは新生児や乳児期に感染すると、伝染性膿痂疹(とびひ)の原因となるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。
結核菌は周産期に感染すると新生児結核を引き起こすことがあるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。
風疹ウイルスは妊娠初期に感染すると、新生児に難聴、白内障、先天性心奇形、知能障害などを引き起こす先天性風疹症候群を生じるため、正解である。
B型肝炎ウイルスは分娩時の感染により新生児に感染症を引き起こすことがあるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃癌や慢性胃炎、胃潰瘍などと関連があるが、先天性奇形を引き起こすわけではない。

解説
尿検査項目とその検査結果が高値となる疾患との組合せで正しいのは、ミオグロビンと横紋筋融解症の組合せです。尿検査項目によって、それぞれ異なる疾患が疑われます。
選択肢別解説
ケトン体が高値の場合は、糖尿病性ケトアシドーシスや甲状腺機能亢進症などが疑われますが、膵炎とは関係ありません。
ビリルビンが高値の場合は、急性膵炎や肝硬変などの肝細胞障害や閉塞性黄疸が疑われますが、糖尿病とは関係ありません。
アルブミンが高値の場合は、糖尿病性腎症や動脈硬化、前立腺炎、膀胱炎などが疑われますが、肝硬変とは関係ありません。
ヘモグロビンが高値の場合は、発作性夜間ヘモグロビン尿症などが疑われますが、心筋梗塞とは関係ありません。
ミオグロビンが高値の場合は、横紋筋融解症が疑われます。横紋筋融解症は、筋組織が急激に破壊されるときにミオグロビンが漏出し、尿中に現れるため、この組合せが正しいです。
解説
ステロイド薬の長期投与によって生じやすい副作用は骨粗鬆症です。ステロイド薬は、抗炎症作用や免疫抑制作用がありますが、長期投与により様々な副作用が生じることがあります。
選択肢別解説
腎不全はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。しかし、ステロイド薬を突然中断すると、ステロイド離脱症候群として副腎不全を生じることがある。
低血圧はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。むしろ、ステロイド薬の長期投与により、体内に塩分が溜まりやすくなり、高血圧になりやすい。
骨粗鬆症はステロイド薬の長期投与によって生じやすい副作用です。ステロイド薬の長期投与により、骨密度が減少し、骨粗鬆症を生じやすくなります。これにより、圧迫骨折や大腿骨頸部骨折などがみられることがある。
体重減少はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。むしろ、ステロイド薬の長期投与により、浮腫を生じ、体重増加がみられやすい。
高カリウム血症はステロイド薬の長期投与によって直接生じるものではありません。むしろ、ステロイド薬の長期投与により、低カリウム血症を生じることがある。
解説
MRI拡散強調像は、脳梗塞急性期の診断に最も有用である。これは、発症1時間後から脳梗塞を検出できるためである。
選択肢別解説
頭蓋底骨折は外傷性病変であり、単純エックス線が診断に有用であるため、MRI拡散強調像は最も有用ではない。
脳室内出血の急性期は、CTにて高吸収域となるため診断が容易であり、MRI拡散強調像は最も有用ではない。
脳梗塞急性期では、MRI拡散強調像が最も有用である。解像度は低いが、発症1時間後から脳梗塞を検出できるためである。
脳出血急性期は、CTにて高吸収域となるため診断が容易であり、MRIではT2強調像にて低信号を示す。したがって、MRI拡散強調像は最も有用ではない。
くも膜下出血急性期は、MRIではFLAIR画像にて診断されることもあるが、MRIのみでの診断は困難なことも多いため、MRI拡散強調像は最も有用ではない。