臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
薬理学の基礎
解説
薬物動態(pharmacokinetics)は、生体が投与された薬物に対して行う過程の総称で、基本はADME(吸収 Absorption、分布 Distribution、代謝 Metabolism、排泄 Excretion)で構成される。投与部位から体循環へ入るまでが吸収、血中から各組織・臓器へ広がるのが分布、主に肝での酵素反応による化学変化が代謝、腎や胆汁などを介して体外へ出るのが排泄である。一方「合成」は生体内で物質を作り出す生合成過程を指し、薬物動態の主要過程(ADME)には含まれないため、不適切と判断できる。
選択肢別解説
吸収は薬物が投与部位(例:消化管、筋、皮下など)から毛細血管やリンパ管を介して体循環に到達する過程で、ADMEのA(Absorption)に該当する。経口投与では初回通過効果の影響を受けうる。薬物動態の過程として適切である。
分布は吸収され血中に入った薬物が、血漿タンパク結合や組織親和性、血液脳関門などの影響を受けながら各組織へ移行する過程で、ADMEのD(Distribution)に該当する。薬物動態の過程として適切である。
合成は一般に生体内で物質を新たに作る生合成を意味し、薬物動態の基本過程(ADME:吸収・分布・代謝・排泄)には含まれない。薬物の化学的変換は通常「代謝」に分類されるため、本設問においては薬物動態の過程として不適切である。
代謝は主に肝臓の薬物代謝酵素(例:CYP)により薬物が化学的に変化する過程で、ADMEのM(Metabolism)に該当する。多くは水溶性が高まり不活性化されるが、プロドラッグでは活性化される場合もある。薬物動態の過程として適切である。
排泄は薬物やその代謝産物が腎臓(尿)、肝・胆道(胆汁)、肺(揮発性物質)などを介して体外へ除去される過程で、ADMEのE(Excretion)に該当する。腎機能は排泄クリアランスに大きく影響する。薬物動態の過程として適切である。
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解説
未分画ヘパリンはアンチトロンビンIII(ATIII)に結合してその阻害活性を著明に増強し、セリンプロテアーゼ型の活性化凝固因子を失活させる。特にIIa(トロンビン)とXaに対する阻害が主要で、未分画ヘパリンは鎖長が十分に長いためATIIIとトロンビンの“架橋”によりIIa阻害が強い。結果としてフィブリノゲンからフィブリンへの変換が抑制され、凝固が抑えられる。したがって選択肢中でヘパリンにより活性が直接阻害されるものはトロンビン(第IIa因子)である。
選択肢別解説
フィブリン(第I a因子)はフィブリノゲンがトロンビンの作用で重合して生じる産物であり、ヘパリンはフィブリン自体の活性を直接阻害しない。ヘパリンはATIIIを介してトロンビン(IIa)やXaなどの酵素活性を阻害し、その結果としてフィブリン生成が抑制される。よって不適。
トロンビン(第IIa因子)は未分画ヘパリンがATIIIと複合体を形成することで強力に阻害される主要標的である。未分画ヘパリンは十分な鎖長によりATIIIとトロンビンを同時に結合させ失活速度を大幅に高めるため、正答である。
第III因子(組織因子:TF)は外因系の開始因子であり酵素ではない。ヘパリン-ATIIIの阻害標的は主に活性化セリンプロテアーゼ(IIa、Xa、IXa、XIa、XIIaなど)であり、組織因子自体は直接の阻害対象ではない。したがって不適。
第XII因子の活性化体(XIIa)はヘパリン-ATIIIにより阻害されうるが、一般に臨床的に主要な標的はIIaとXaである。選択肢は活性化体(XIIa)ではなく第XII因子と記載であり、問われる「活性が阻害される凝固因子」としてはIIaが適切であるため不正解。
第XIII因子はフィブリンを架橋し安定化するトランスグルタミナーゼであり、セリンプロテアーゼではない。ヘパリン-ATIII複合体の主な阻害対象ではなく、直接の阻害は受けにくい。よって不適。
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解説
最高血中濃度に最も速く到達するのは静脈内注射である。静脈内投与は薬物を直接全身循環に入れるため、消化管・皮膚・筋組織・粘膜などからの「吸収」過程を一切必要とせず、投与直後が事実上の最高濃度となる(ボーラス投与なら Tmax≈0)。一方、筋肉内・皮下・直腸内・経口はいずれも投与部位から血中への移行という吸収過程を要し、組織血流や膜透過性、製剤特性、初回通過効果などの影響で到達が遅れる。特に経口は消化管吸収と肝初回通過の影響で遅く、ばらつきも大きい。
選択肢別解説
正しい。静脈内注射は薬物を直ちに血管内(全身循環)へ導入するため吸収過程を介さず、投与直後に最高血中濃度へ到達し得る。ボーラス投与なら理論上の Tmax は0に近い。
誤り。筋肉内注射は筋組織から毛細血管への吸収を要するため、静脈内注射より最高血中濃度到達は遅い。到達速度は筋血流や運動、製剤(溶液・懸濁・油性)などに左右される。
誤り。皮下注射は皮下組織からの吸収が必要で、一般に血流が筋肉より乏しいため筋肉内注射より遅くなることが多い。持続性製剤ではさらにピーク到達が遅延する。
誤り。直腸内投与は直腸粘膜から吸収され、一部は門脈を回避して初回通過効果の影響を受けにくいが、吸収速度は静脈内に劣り、到達時間もばらつく。
誤り。経口投与は消化管での溶解・吸収や胃内容排出の影響を受け、さらに肝初回通過効果により血中到達とピーク到達が遅くなるため、静脈内注射より明らかに遅い。
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解説
降圧薬の主要な薬理群には、レニン・アンジオテンシン系抑制薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬[ACE阻害薬]、アンギオテンシンII受容体拮抗薬[ARB])、カルシウム拮抗薬、利尿薬(サイアザイド系など)、交感神経抑制薬(β遮断薬、α1遮断薬など)が含まれる。一方、β受容体作動薬は交感神経を刺激し、主に心臓のβ1受容体を介して心拍数・心収縮力を増加させ、腎でのレニン分泌も促進するため、臨床的には血圧上昇・頻脈などを来しうる。したがって降圧薬には分類されず、本問で「降圧薬に含まれない」のはβ受容体作動薬である。ACE阻害薬とARBはRAA系を抑制し、カルシウム拮抗薬は血管平滑筋のCa流入を抑えて末梢血管抵抗を低下させ、サイアザイド系利尿薬はナトリウム利尿により循環血液量や長期的な末梢抵抗を低下させて降圧する。
選択肢別解説
β受容体作動薬は交感神経作動薬であり、β1受容体刺激により心拍数・心収縮力を増加させ、腎でのレニン分泌も促進するため、概して昇圧方向に働く。降圧薬としては用いられないため、本設問で「含まれない」に該当する。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害してアンギオテンシンII産生を低下させ、血管収縮とアルドステロン分泌を抑えることで降圧する代表的な降圧薬群である。咳などの副作用はありうるが、分類としては降圧薬に含まれる。
L型カルシウムチャネルを遮断し、血管平滑筋へのCa流入を抑制して血管拡張・末梢血管抵抗低下をもたらす降圧薬である。臓器保護や狭心症・不整脈の一部にも用いられる。
遠位尿細管のNa⁺/Cl⁻共輸送体(NCC)を阻害してナトリウム利尿を促進し、循環血液量の減少と長期的な末梢抵抗低下により降圧作用を示す。第一選択薬の一つとして広く用いられる。
アンギオテンシンIIのAT1受容体を遮断し、血管収縮とアルドステロン分泌を抑えて降圧する。ACE阻害薬同様にRAA系を抑制する代表的な降圧薬である。
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解説
薬物治療に影響する因子は大きく生体側因子(年齢、体格[体重・体表面積]、臓器機能、遺伝的素因、疾患状態など)と薬物側因子(投与経路、用量、剤形、併用薬による相互作用など)に分けられる。投与経路はバイオアベイラビリティや作用発現時間に直結し、体重は分布容積や用量設定(mg/kg など)に影響する。併用薬は酵素誘導・阻害や輸送体競合などで相互作用を起こし、年齢は代謝・排泄機能の差を通じて薬力学・薬物動態を変える。一方、ABO式血液型は主として輸血・移植で重要となる赤血球抗原の分類であり、通常の薬物療法における用量設定や反応性の判断に用いられる要素ではないため、薬剤治療に影響を与える因子としては考えにくい。
選択肢別解説
投与経路は吸収の有無と程度、初回通過効果、作用発現の速さに影響し、薬効に大きく関与する。経口・静注・筋注・貼付剤などで有効性や必要用量が変わり得る。従って影響を与える因子である。
ABO式血液型は赤血球表面抗原の違いによる分類で、主に輸血や臓器移植での適合判定に関係する。一般的な薬物療法の反応性・用量設定を左右する指標としては用いられず、薬効に与える影響は通常想定しないため、本設問で最も考えにくい因子である。
体重は体格の代表指標で、分布容積やクリアランス推定に関与し、用量設定(mg/kg、体表面積換算)に直結する。薬効・安全性に影響するため重要な因子である。
併用薬は酵素誘導・阻害、輸送体競合、薬力学的相互作用(相加・相乗・拮抗)を通じて血中濃度や作用を変える。したがって薬剤治療に強く影響する因子である。
年齢は肝腎機能や蛋白結合、受容体感受性などの加齢変化や未成熟性により薬物動態・薬力学を変化させる。小児・高齢者では特に用量調整が必要で、影響する因子である。
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解説
代表的薬剤と薬理学的分類の組合せを問う問題。誤りは「ミダゾラム — オピオイド鎮痛薬」。ミダゾラムはベンゾジアゼピン系鎮静薬で、GABA$_A$受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し抑制性伝達を増強して鎮静・抗不安・健忘・抗痙攣作用を示す。オピオイド受容体には作用せず鎮痛薬ではない。他は、ドブタミンは主に$\beta_1$刺激による陽性変力作用を示す強心薬、ニフェジピンはL型Caチャネル遮断で血管拡張をもたらす降圧薬、アトロピンはムスカリン受容体拮抗の抗コリン薬、デキサメタゾンは合成副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド)であり、いずれも正しい組合せ。
選択肢別解説
ドブタミンは合成カテコールアミンで主に$\beta_1$アドレナリン受容体を刺激し、心収縮力を増強して心拍出量を増やす強心薬。急性心不全やショックで用いられる。組合せは正しい。
ニフェジピンはジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬で、血管平滑筋のL型Caチャネルを遮断し末梢血管を拡張、降圧作用を示す。組合せは正しい。
ミダゾラムはベンゾジアゼピン系の鎮静薬・麻酔導入薬で、GABA$_A$受容体に作用して鎮静・抗不安・健忘・抗痙攣作用を示す。オピオイド受容体に作用する鎮痛薬ではないため「オピオイド鎮痛薬」との組合せは誤り。
アトロピンはムスカリン性アセチルコリン受容体の競合的拮抗薬(抗コリン薬)。徐脈治療や術前投与、コリン作動薬中毒の拮抗などに用いられる。組合せは正しい。
デキサメタゾンは長時間作用型の合成副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド)で、強力な抗炎症・免疫抑制作用をもつ。組合せは正しい。
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解説
薬物血中濃度モニタリング(TDM)は、薬効を最大化し副作用を最小化するために血中濃度を測定し、投与量を個別に最適化する手法である。TDMの必要性が高いのは、治療域が狭い、個体差が大きい、血中濃度と薬効・毒性が相関する、腎機能などの臓器機能低下がある、といった状況である。一方、安全域(治療域と中毒域の間隔)が広い薬物は、濃度の変動によって中毒に至るリスクが低く、一般にTDMの必要性は低い。本問では「治療域と中毒域が大きく離れている」状況がそれに該当する。
選択肢別解説
有効血中濃度範囲(治療域)が狭い薬物は、わずかな濃度上昇で中毒に至る可能性があるため、血中濃度の厳密な管理が必要でTDMの必要性は高い。不適。
吸収・分布・代謝・排泄など薬物動態の個人差が大きい場合、同じ用量でも濃度や効果が大きく変動しうるため、TDMで個別化する意義が高い。不適。
治療域と中毒域が大きく離れている(安全域が広い)薬物は、多少の濃度変動でも中毒に至りにくく、TDMの必要性は比較的低い。設問条件に合致する。
薬効や副作用が血中濃度と強く相関する薬物では、測定値が有効性・安全性の指標として有用であり、TDMの必要性は高い。不適。
腎障害では腎排泄薬が体内に蓄積しやすく、中毒リスクが上がる。血中濃度を確認して用量・投与間隔を調整する必要があり、TDMの必要性は高い。不適。
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解説
本問は「繰り返し投与により耐性が生じた」状況を、代謝酵素の誘導合成(酵素誘導)に焦点を当てて問うている。代謝耐性(薬物動態学的耐性)では、反復投与により主に肝の薬物代謝酵素(例:CYP450群)が誘導され発現・活性が増加する。その結果、薬物の代謝クリアランスが上昇し、より親水性の代謝物への変換が進むため腎・胆汁からの排泄も(広義の消失として)促進される。血中濃度は低下し作用部位到達量も減るため薬効が減弱し耐性として現れる。従って、①酵素誘導は「増加」、②薬物Aの排泄(消失)は「増加」となる。
選択肢別解説
正しい。酵素誘導により薬物代謝酵素の発現が増加し(①増加)、代謝クリアランスが上昇することで消失が加速するため、体外への排泄(広義の消失)も増加する(②増加)。これに伴い血中濃度が低下し薬効が減弱する。なお、消失半減期は $t_{1/2}=0.693\times \frac{V_d}{CL}$ で表され、CL上昇により短縮する。
誤り。耐性(代謝耐性)では酵素誘導が起こり発現は増加するため「低下」にはならない。また排泄(消失)も促進されるため「低下」は不適切。
誤り。耐性の前提である酵素誘導が「不変」では説明できず、実際には増加する。さらに代謝促進に伴い排泄(消失)は増加するのが一般的であり「低下」は不適切。
誤り。酵素誘導が「低下」するのは耐性の機序と逆であり、代謝耐性ではむしろ増加する。排泄(消失)だけが増加するという組合せも機序と整合しない。
誤り。酵素誘導が増加すれば代謝クリアランスは上昇し、結果として排泄(消失)も促進される。したがって②が「低下」となるのは不適切。
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解説
抗結核薬の代表的な副作用の対応として、イソニアジド(INH)はビタミンB6(ピリドキシン)欠乏に伴う末梢神経炎がよく知られ、予防にB6補充が用いられる。カナマイシン(KM)はアミノグリコシド系で、用量依存性かつしばしば不可逆な内耳障害(難聴・前庭障害)と腎障害が重要。エタンブトール(EB)は視神経炎による視力低下や赤緑色覚異常が代表的で、小児では自覚的評価が難しいため注意が必要。一方、ピラジナミド(PZA)の主な副作用は肝障害と高尿酸血症(痛風発作・関節痛)であり、心筋炎は一般的ではない。リファンピシン(RFP)は肝障害、体液の橙赤色化、薬物相互作用(CYP誘導)などが重要で、髄膜炎は薬の副作用ではなく結核の病態である。従って、正しい組合せは1(INH-末梢神経炎)、4(KM-難聴)、5(EB-視力障害)。
選択肢別解説
正しい。イソニアジドはピリドキシン(B6)欠乏を介して末梢神経炎を起こしやすい。しびれや感覚低下などが出現し、B6補充で予防・軽減できる。肝障害も重要な副作用。
誤り。ピラジナミドの主な副作用は肝障害と高尿酸血症に伴う関節痛(痛風発作)であり、心筋炎は一般的な副作用ではない。
誤り。リファンピシンは肝障害、体液の橙赤色化、薬物相互作用(CYP誘導)や間欠投与でのインフルエンザ様症状などが知られる。髄膜炎は薬の副作用ではなく結核の病態。
正しい。カナマイシンはアミノグリコシド系で内耳毒性(難聴・耳鳴・めまい)と腎毒性が代表的。特に難聴は不可逆となり得るため血中濃度や腎機能の管理が重要。
正しい。エタンブトールは視神経炎により視力低下や赤緑色覚異常を来す。用量依存性で、投与中は視力・色覚の定期的評価が推奨される。小児では自覚症状の評価が難しく原則避けることが多い。
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解説
初回通過効果とは、主として経口投与した薬物が消化管から吸収された後、門脈を経て肝臓に到達し、全身循環(体循環)に入る前に代謝を受けて有効血中濃度が低下する現象である。経口投与はこの影響を最も強く受ける。一方、舌下投与や吸入は門脈系を通らず全身循環へ入るため初回通過効果を回避できる。直腸内投与は上直腸静脈経由の一部が門脈へ入るため初回通過効果を受ける可能性があるが、中・下直腸静脈経由の成分は門脈を通らず、結果として初回通過効果は部分的・軽減的である。静脈注射は直接血管内に投与するため初回通過効果は生じない。よって問われた「血液中に移行する前に肝臓で代謝を受ける投与法」は経口投与である。
選択肢別解説
舌下投与は口腔(舌下)静脈から上大静脈系へ入り、門脈・肝臓を経由せずに全身循環へ到達するため、初回通過効果を回避できる。代表例としてニトログリセリン舌下錠などがある。よって設問の条件(初回通過効果がある)には当てはまらない。
経口投与は消化管から吸収後、門脈を経て肝臓に入り、全身循環へ到達する前に代謝を受ける(初回通過効果)。このためバイオアベイラビリティが低下しやすい。設問の条件に合致する正答である。
吸入投与は肺胞から肺循環を経て直接左心系・全身循環へ入り、門脈系・肝臓を事前に通過しないため初回通過効果は回避される。よって設問の条件には当てはまらない。
直腸内投与は吸収部位により流入静脈が異なる。上直腸静脈からは門脈へ入り初回通過効果を受けうるが、中・下直腸静脈からは体循環へ直接入り初回通過効果を回避する。そのため全体としては初回通過効果は部分的で、設問の趣旨(明確に初回通過効果がある投与法)には該当しにくい。
静脈注射は薬物を直接血管内へ投与するため吸収過程がなく、門脈・肝初回通過を経ない。したがって初回通過効果は生じない。
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解説
高齢者では薬物動態・薬力学の加齢変化により、副作用が出やすく用量調整が必要となる。代表的な変化は、肝血流や肝の酸化的代謝(Phase I)の低下、腎機能低下、体内総水分量の減少、体脂肪率の増加、血漿アルブミン低下などである。これにより、水溶性薬物は分布容積が小さくなり同一用量で血中濃度が上がりやすく、脂溶性薬物は脂肪組織への分布が増え半減期が延長する傾向となる。また自律神経反射の低下や多剤併用の影響で薬物誘発性低血圧が起こりやすく、中枢神経系薬物(ベンゾジアゼピン系など)への感受性も高い。したがって「脂溶性薬物の半減期が短縮する」は誤りであり、実際は延長しやすい。
選択肢別解説
正しい。高齢者は加齢に伴う自律神経反射(特に圧受容体反射)の低下や脱水傾向、降圧薬・利尿薬などの多剤併用により、体位変換時を含め薬物誘発性低血圧が生じやすい。
正しい。加齢で肝血流量の低下や肝の酸化的代謝(CYPに関わるPhase I)が低下しやすく、肝クリアランスが下がる薬物では代謝が遅くなる。結果として作用が遷延・増強しやすい。
誤り。高齢者では体脂肪率が増えるため脂溶性薬物の分布容積が増大し、一般に半減期は延長する(t1/2はおおむね分布容積に比例)。したがって「短縮する」は不適切。
正しい。加齢により総体水分量が減少し水溶性薬物の分布容積が小さくなるため、同一用量投与で血中濃度が上昇しやすい。腎機能低下も相まって曝露が増える場合がある。
正しい。高齢者は中枢神経系への薬理学的感受性が亢進し、さらにアルブミン低下で遊離型分率が増える薬剤では作用が強まりやすい。ベンゾジアゼピン系では鎮静・ふらつき・転倒リスクが増えるため少量からの投与が推奨される。
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解説
生物学的半減期は、血中濃度が一定時間ごとに半分になる(一次速度過程を前提)という性質を表す。半減期がn回経過した後の濃度はピーク値の$(1/2)^n$倍となる。したがって3倍の時間(3半減期)では$(1/2)^3=1/8$となり、ピーク値の1/8倍まで低下する。数式で書くと、$C(t)=C_0\,2^{-t/T_{1/2}}$であり、$t=3T_{1/2}$なら$C= C_0\,2^{-3}=C_0/8$となる。
選択肢別解説
誤り。半減期が3回経過すると濃度は$(1/2)^3=1/8$であり、$1/3$ではない。半減は比例(線形)ではなく指数的に進む。
誤り。$1/4$は半減期が2回経過した場合の値に相当する。本問は3回のため$1/8$となる。
誤り。$1/6$は線形的に3で割ったような値だが、半減は指数的に減少するため$(1/2)^3=1/8$が正しい。
正しい。半減期が3回経過すれば濃度はピーク値の$(1/2)^3=1/8$倍になる。
誤り。$1/9$は$(1/3)^2$のような値であり、半減($1/2$を3回)では$(1/2)^3=1/8$が正しい。
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解説
治療係数 (Therapeutic Index: TI) は薬物の安全性の古典的指標で、半数致死量 (LD$_{50}$) を半数有効量 (ED$_{50}$) で割った値として定義される。すなわち $\mathrm{TI}=\dfrac{\mathrm{LD}_{50}}{\mathrm{ED}_{50}}$。図ではAが50%有効率となる用量 (ED$_{50}$)、Bが50%死亡率となる用量 (LD$_{50}$) を示しているため、治療係数は $\frac{B}{A}$ となる。値が大きいほど有効量と致死量の隔たりが大きく、安全域が広いことを意味する。
選択肢別解説
$\frac{A}{B}$ は ED$_{50}$/LD$_{50}$ に相当し、治療係数の逆数であるため不適切。
$\frac{B}{A}$ は LD$_{50}$/ED$_{50}$ を表し、治療係数 (TI) の定義に一致するため正しい。図中でA=ED$_{50}$、B=LD$_{50}$ を示す。
$\frac{A}{A+B}$ は治療係数の定義と無関係であり誤り。
$\frac{A}{A-B}$ は治療係数の定義ではなく、意味を持たない式であるため誤り。
$\frac{B}{B-A}$ は治療係数の定義に該当しないため誤り。
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解説
薬物動態(ADME)の基礎から判断すると、脳移行は血液脳関門(BBB)により一般に制限されるため「移行しやすい」は不適切。直腸内投与は直腸粘膜から比較的速やかに吸収され、下部直腸では門脈を介した初回通過効果を一部回避できるため、経口より効果発現が早いことが多い。血漿タンパク(主にアルブミン)に結合した結合型薬物は受容体結合や組織移行ができず、薬理作用を示すのは遊離型である。生体内利用率(バイオアベイラビリティ, F)は投与量のうち全身循環に到達する割合で、経口投与では初回通過効果等で低下する。生物学的半減期は血中濃度がある時点から半分に低下するまでの時間(例:一次消失では $T_{1/2}=\frac{\ln 2}{k}$)であり、「消失までの時間の半分」ではない。
選択肢別解説
誤り。脳実質への薬物移行は血液脳関門(BBB)により厳しく制限される。脂溶性の高い低分子や特定のトランスポーター基質は通過しうるが、一般に「移行しやすい」とは言えない。
正しい。直腸内投与は直腸粘膜からの吸収が比較的速く、下部直腸では門脈を介した初回通過効果の影響を受けにくいため、経口投与より効果発現が早いことが多い(製剤や投与部位により差はありうる)。
正しい。血漿タンパクと結合している結合型薬物は受容体結合や膜透過ができず、薬理作用は示さない。薬理活性を担うのは遊離(非結合)型であり、結合・遊離は可逆的平衡にある。
正しい。生体内利用率(F)は投与された薬物のうち全身循環に到達する割合を示す。経口投与では吸収不完全や初回通過効果で F が低下する。定量的には $F=\frac{\mathrm{AUC}_{po}}{\mathrm{AUC}_{iv}}\times\frac{\mathrm{Dose}_{iv}}{\mathrm{Dose}_{po}}$ と表される。
誤り。生物学的半減期は、血中薬物濃度がある時点の値から半分に低下するまでの時間である。一次消失では一定であり、式としては $T_{1/2}=\frac{\ln 2}{k}$(消失速度定数 $k$)などで表される。「血中から完全に消失するまでの時間の半分」という定義ではない。
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解説
抗トロンビン作用とは、アンチトロンビン(AT, ATIII)の作用を介してトロンビン(第IIa因子)を不活化し、凝固カスケードを抑制する機序を指す。ヘパリンはATに結合してその阻害活性を著明に増強し、トロンビンや第Xa因子などのセリンプロテアーゼを失活させるため、「抗トロンビン作用による凝固阻止剤」に該当する。一方、EDTA、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムはCa2+キレート作用により凝固系を止めるものであり、抗トロンビン作用ではない。ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子(II, VII, IX, X)の肝での産生を抑える間接作用であり、トロンビン自体を阻害する薬ではない。
選択肢別解説
EDTAは二価カチオン(特にCa2+)をキレートして凝固反応を停止させる抗凝固剤であり、トロンビンを阻害する作用はないため不正解。
ヘパリンはアンチトロンビン(AT/ATIII)に結合してその阻害活性を増強し、トロンビン(IIa)および第Xa因子などを不活化する。抗トロンビン作用による代表的な抗凝固薬であり正解。
ワルファリンはビタミンKエポキシド還元酵素を阻害し、ビタミンK依存性凝固因子(II, VII, IX, X)の産生を低下させる間接型の抗凝固薬。トロンビンそのものを阻害しないため不正解。
シュウ酸ナトリウムはCa2+をキレートして凝固を阻止する。抗トロンビン作用はないため不正解。
クエン酸ナトリウムはCa2+をキレートして凝固を抑制する(採血管で広く使用)。抗トロンビン作用ではないため不正解。
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解説
正答は「血漿蛋白と結合したものは薬理作用をもたない」。薬物は血中で結合型(アルブミンなどの血漿タンパクと結合)と遊離型に分かれ、受容体に結合して作用するのは遊離型である。治療係数は安全域の指標で、$\frac{LD_{50}}{ED_{50}}$ が大きいほど安全性は高い。坐薬(直腸投与)は直腸下部からの吸収では門脈を経ず全身循環に入るため初回通過効果を回避できる(一般的な試験解釈)。薬効持続は一般に内服が筋注より長い傾向にある。抗てんかん薬は治療域が狭く個体差も大きいため代表的なTDM対象薬である。
選択肢別解説
誤り。治療係数は $\frac{LD_{50}}{ED_{50}}$(半数致死量/半数有効量)で表され、この比が大きいほど有効量に対して致死量が十分に大きい=安全域が広いことを意味し、安全性は高い。
正しい。血中薬物は血漿タンパク結合型と遊離型に分かれ、受容体結合・組織移行・代謝・排泄に直接関与して薬理作用を示すのは遊離型である。結合型は貯蔵部位として機能し、平衡により徐々に遊離型を補うが、結合している時点では作用を示さない。
誤り。直腸投与(坐薬)は直腸下部からの吸収分が門脈を介さず体循環に入るため、肝初回通過効果を受けにくい。上部直腸からの吸収は一部門脈に入るが、一般に坐薬は初回通過効果回避手段として用いられる。
誤り。一般に内服は吸収が緩徐で作用発現は遅いが持続は長めで、筋肉内注射は内服より速やかに作用が現れ持続は相対的に短い傾向がある(内服>皮下注>筋注>吸入>静注の順に持続が短くなるのが典型)。
誤り。抗てんかん薬(例:フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸、フェノバルビタールなど)は治療域が狭く個体差や相互作用の影響が大きいため、治療薬物モニタリング(TDM)の代表的対象である。
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解説
ワルファリンはビタミンKエポキシド還元酵素(VKORC1)を阻害し、肝臓でのビタミンK依存性凝固因子(II、VII、IX、X)と抗凝固因子(蛋白C/S)の再活性化を妨げて抗凝固作用を示す。したがって、ビタミンKそのもの(ビタミンK剤)やビタミンKを多く含む・供給する食品の摂取はワルファリンの効果を弱める。納豆は納豆菌が産生するビタミンK2(メナキノン)を大量に含み、少量でも作用減弱が顕著なため禁食が一般的指導である。一方、うなぎやそばは通常摂取量でのビタミンK供給は少なく、カリウム剤は凝固系に直接関与しないため、ワルファリン作用減弱の原因とはならない。
選択肢別解説
誤り。うなぎのビタミンK含有は高くなく、通常の食事量でワルファリン作用を顕著に減弱させる根拠は乏しい。摂取量の急な増減は避けるが、一般に禁止食品ではない。
誤り。そばのビタミンK含有は低く、通常摂取でワルファリンの抗凝固作用を弱めるとは考えにくい。
正しい。納豆は納豆菌由来のビタミンK2(メナキノン)を多く含み、ワルファリンのビタミンK拮抗作用を相殺して抗凝固効果を減弱させるため禁食が推奨される。
正しい。ビタミンK剤はワルファリンの拮抗薬として作用し、過量時の解毒や出血時の是正に用いられる。投与によりワルファリンの抗凝固作用は弱まる。
誤り。カリウムは電解質であり、血液凝固経路に直接の役割はない。カリウム剤はワルファリンの薬理作用を弱めない。
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解説
メシル酸ナファモスタットは合成セリンプロテアーゼ阻害薬で、トロンビンやXa因子、カリクレインなどを阻害して体外循環中の血液凝固を抑える。血中半減期は約5〜8分と極めて短く、投与を止めると速やかに抗凝固作用が消失するため、出血性病変を有する患者や出血リスクの高い症例での体外循環(血液透析・持続血液浄化など)にしばしば用いられる。カルシウムキレート作用はなく、クエン酸のように血中Ca2+を低下させない。中和薬としてプロタミンは無効であり、特異的拮抗薬はないが、半減期の短さが安全性に寄与する。陽性荷電性ゆえにAN69系などの陰性荷電膜や活性炭に吸着され、膜条件によっては有効濃度が低下しうる点に注意が必要である。
選択肢別解説
正しい。半減期が数分と非常に短く、投与中止で抗凝固作用が速やかに消失するため、出血性病変のある患者でも体外循環時の抗凝固薬として用いられる。全身的な抗凝固を最小限にできる点が利点である。
誤り。血中カルシウムイオンを減少させるのはクエン酸(ACD)によるカルシウムキレートであり、メシル酸ナファモスタットにはカルシウムキレート作用はない。
誤り。半減期は2〜3時間ではなく、約5〜8分と極めて短い。したがって作用のオン・オフが容易で出血高リスク症例で用いられる。
誤り。プロタミンはヘパリンの中和薬であり、メシル酸ナファモスタットには無効。特異的中和薬はないが、短い半減期により投与中止で効果は速やかに消失する。
正しい。メシル酸ナファモスタットは陽性荷電性を持ち、AN69系などの陰性荷電膜や活性炭に吸着されやすい。膜により体内(回路内)濃度が低下しうるため、膜選択や投与量調整に留意する。
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解説
薬物の生物学的半減期は、消失速度定数やクリアランスに依存する。数式では $T_{1/2}=\frac{0.693}{k_{el}}=\frac{0.693\times V_d}{CL}$ と表せ、半減期は主にクリアランス(CL)低下や分布容積($V_d$)増加で延長する。肝臓代謝や腎排泄はクリアランスの主要成分であり、これらの機能低下は消失が遅れ半減期を延長する。一方、吸収速度や分布“速度”の変化、投与量の多寡は、通常の一次速度消失下では消失定数やCLを変えないため半減期を延長しない。
選択肢別解説
消化管からの吸収能力低下は血中到達量や到達速度(Cmax低下・Tmax遅延)に影響するが、消失速度定数 $k_{el}$ やクリアランス(CL)を直接変えないため、通常の一次速度消失では半減期は延長しない。
血液から組織への移行“速度”の低下は分布相の速度に関する変化であり、平衡到達までの時間は延び得るが、CLや平衡後の $V_d$ を直接低下させるとは限らない。したがって消失速度定数 $k_{el}$ は通常不変で、半減期は延長しない。
肝臓の代謝能力低下は代謝クリアランスを低下させ、全身クリアランス(CL)を減少させる。式 $T_{1/2}=\frac{0.693\times V_d}{CL}$ より、CL低下は $T_{1/2}$ の延長を招くため、半減期は延長する。
腎臓の排泄能力低下は腎クリアランスを低下させ、全身クリアランス(CL)を減少させる。$T_{1/2}=\frac{0.693\times V_d}{CL}$ より、CL低下により半減期は延長する。
総投与量は血中濃度レベル(CmaxやAUC)に影響するが、一次速度消失の範囲では消失速度定数 $k_{el}$ やCLを変えず、半減期は用量非依存であるため延長しない。
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