第57回午後第12問の類似問題

第56回午前:第10問

32歳の女性。右利き。診断名は右乳がん(ステージⅡ)。右乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術施行目的で入院となった。夫と2歳の子どもとの3人暮らし。職業は保育士。術前の右上肢機能は良好であり、セルフケアや家事動作は自立していた。術後作業療法について正しいのはどれか。  

1: 日光浴を勧める。

2: 術側の上肢は固定する。

3: 事務職への転職を勧める。

4: 重量物を持たないように指導する。

5: 3か月間物干し動作は行わないよう指導する。

  • 答え:4
  • 解説:この患者は右乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術を受けた後に作業療法が実施される。術後の患側上肢には創部治癒のために重い物を持たないよう指導することが適切である。
  • 日光浴はがんの発生リスクを低減することを示唆する研究もあるが、観察研究のデータであり、術後の作業療法として日光浴を選択できない。
  • 術後に乳房切除創部の安静は行われるが、患側上肢を固定すると、関節拘縮が生じることがあるため、適切ではない。
  • 患者は保育士であり、子どもを上肢で介助することも想定できるが、業務内容としては役割分担などで調整する手段があり、事務職へ転職するまでの理由はない。
  • 術後の患側上肢には創部治癒のために重い物を持たないよう指導することが適切である。
  • 術後3か月間に物干し動作を行わせないとする合理的事象はない。物干し動作は肩関節の運動を伴うが、肩の安静は最小限にしながら、術後早期からADLを含めた活動は痛み自制内で行うことができる。
  • 科目:内科疾患
  • 重要度:プレミアム特典
  • 類似問題を見る
  • この問題について報告する

第45回午後:第11問

30歳の女性。多発性硬化症によるL1レベル以下の対麻痺の増悪を認め、Danielsらの徒手筋力テストで下肢筋力は2となったが、ステロイドパルス療法でようやく症状の進行が止まった。この時期における理学療法で適切なのはどれか。  

1: 上肢筋力増強訓練

2: 下肢筋力増強訓練

3: 関節可動域訓練

4: 座位持久性訓練

5: 立位訓練

第45回午前:第10問

42歳の女性。多発性硬化症による両側視神経炎を伴う四肢麻痺。筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。Danielsらの徒手筋力テストでは上肢近位部3+、遠位部4。有痛性けいれんがある。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 木工作業で本棚を作る。

2: 七宝焼きでピアスを作る。

3: ざる編みで籐カゴを作る。

4: 卓上編み機でマフラーを編む。

5: 小さな刻印で革に模様をつける。

第48回午前:第5問

88歳の女性。自営の商店や家事は息子夫婦に譲り、たまに店番をして過ごしていた。3か月前に転倒し、右大腿骨頸部骨折で入院した。人工骨頭置換術後のADLは、見守りによるT字杖歩行と入浴の介助以外は自立して自宅退院した。退院時のHDS-Rは22点と見当識と記憶障害を認めたが、日常の生活で問題行動はみられなかった。要支援2と認定され、通所リハビリテーションを利用することとなった。興味チェックリスト(高齢者版)の結果を示す。この対象者の作業療法目標として適切なのはどれか。 

48_0_5

1: 園芸・野菜づくりを導入してできた野菜で料理を行う。

2: グループの中で裁縫をしながら仲間づくりを促す。

3: 掃除・洗濯を含めた主婦の役割を再獲得する。

4: カラオケなどへの参加を促して趣味を広げる。

5: 旅行などの外出で応用歩行を習得する。

第53回午前:第1問

68歳の女性。変形性股関節症。発症して10年が経過し、右人工股関節全置換術を施行することとなった。術前評価として歩行分析を行ったところ、右立脚期にDuchenne歩行が観察された。この患者に行う検査として重要度が低いのはどれか。  

1: 筋力検査

2: 形態計測

3: 疼痛検査

4: 反射検査

5: 関節可動域検査

第47回午後:第14問

45歳の女性。脊髄小脳変性症。ADLは自立している。独歩は可能で、会社へは電車で通勤している。最近ふらつきが多くなり、時に転倒することがあるという。この患者に指導する内容として適切なのはどれか。  

1: 杖歩行

2: 片脚起立訓練

3: 下肢のスクワット訓練

4: 職場での車椅子の使用

5: リズムに合わせた歩行訓練

第43回午前:第25問

56歳の男性。階段で足を滑らせ階下まで転落し、病院に搬送された。入院時の頸椎X線写真(A)、CT(B)及びMRI(C)を示す。徒手筋力テストによる上下肢の筋力評価の推移を表に示す。感覚鈍麻は持続しているが、2週後には排尿は自力で可能となった。受傷4週以降の治療で正しいのはどれか。 

43_0_25

1: 車椅子での生活自立をゴールとして設定する。

2: 痙縮の増悪を考えて筋力増強訓練を禁止する。

3: 手指に関節拘縮を生じやすいので留意する。

4: 両側長下肢装具を作製して歩行訓練を行う。

5: 食事動作にはBFOの利用を検討する。

第54回午後:第7問

63歳の女性。主婦。関節リウマチ。発症後半年が経過した。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。料理など家事全般を好み、熱心に行ってきた。立ち仕事が多く、最近膝痛が出現した。この患者に対する作業療法の留意点で適切なのはどれか。  

1: 膝伸展固定装具を装着する。

2: 片手でフライパンを使うよう指導する。

3: 家事は一度にまとめて行うよう指導する。

4: 筋力強化は等尺性収縮運動を中心に行う。

5: 関節可動域訓練は最終域感を超えるようにする。

  • 答え:4
  • 解説:この問題では、63歳の女性で関節リウマチを持つ患者に対する作業療法の留意点を問うています。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2の患者は、軽度の軟骨下骨の破壊や関節周囲の筋萎縮があり、関節運動は制限されてもよいが関節変形は認めない状態です。適切な作業療法の留意点は、筋力強化を等尺性収縮運動を中心に行うことです。
  • 膝伸展固定装具を装着することは、長時間同一肢位を保つと疼痛を増悪させる可能性があるため、適切ではありません。
  • 関節保護のため、フライパンは両上肢で用いることが望ましい。片手でフライパンを使うよう指導するのは適切ではありません。
  • 家事は一度にまとめて行わず、短時間に分けて行い、安静も取り入れるように指導することが適切です。この選択肢は間違いです。
  • 等尺性収縮運動は、関節の動きを伴わず筋肉の全長が変化しない運動であり、関節自体にかかる負担を軽減できるため、関節リウマチ患者に適応しやすい。この選択肢は正しいです。
  • 関節リウマチ患者に対しては、関節保護のため、関節可動域訓練は愛護的に行う。最終域感を超えるようにするのは適切ではありません。
  • 科目:整形外科疾患
  • 重要度:プレミアム特典
  • 類似問題を見る
  • この問題について報告する

第53回午前:第17問

45歳の女性。右変形性股関節症。先天性股関節脱臼の既往がある。1年前から荷重時の右股関節痛があり、2か月前から安静時痛も出現した。起居動作時や歩行時の疼痛が強くなってきたため受診した。ADL指導として適切なのはどれか。  

1: 階段は右足から昇段する。

2: 階段は左足から降段する。

3: できるだけ低い椅子に座る。

4: T字杖を使用する場合は左手に持つ。

5: 左足よりも右足を手前に引いて椅子から立ち上がる。

第56回午後:第11問

71歳の女性。独居。臥床傾向となり、訪問作業療法が依頼された。畳の上に布団を敷いて就寝しており、床からの立ち上がりは台につかまり実施していた。セルフケアは時間がかかるが実施可能である。家事は簡単な炊事を行い、洗濯を時々行う程度であった。生活機能の拡大に向けて、作業療法士が行う指導で最も優先されるべきものはどれか。  

1: ベッドを導入させる。

2: 運動習慣を確立させる。

3: 食料品の買い出しを促す。

4: 家事動作を積極的に実施させる。

5: 地域活動への参加を促進させる。

  • 答え:1
  • 解説:この問題では、71歳の女性が臥床傾向であり、生活機能の拡大を目指すために作業療法士が行うべき指導を選ぶ必要があります。最も優先されるべき指導は、ベッドを導入させることです。
  • 正解です。ベッドを導入することで、起居動作の労力を軽減させ、離床を促すことで活動性を高めるきっかけができます。
  • 運動習慣を確立させることは重要ですが、この場合、即効性の観点から優先度として高くないため、選択肢2は正しくありません。
  • 食料品の買い出しに関する情報が問題文にないため、選択肢3は正しくありません。
  • 患者は炊事と洗濯を行う程度はできており、生活機能を拡大するために積極的に行うべき家事として優先すべきものは見当たらないため、選択肢4は正しくありません。
  • 患者の地域活動への参加を優先的に進めるための条件が問題文にないため、選択肢5は正しくありません。
  • 科目:認知症・高齢者障害
  • 重要度:プレミアム特典
  • 類似問題を見る
  • この問題について報告する

第45回午前:第12問

75歳の女性。右大腿骨頸部骨折による人工関節置換術後2週で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。初回訓練時での作業療法士の発言で適切でないのはどれか。  

1: 「こんにちは。○○花子さんですか。担当する作業療法士の◇◇太郎と申します」

2: 「ご自宅で転んで右脚の付け根の骨を骨折して、大きな手術を受けられたと聞きましたが、本当に大変でしたね」

3: 「手術を受けてから2週間が過ぎましたが、右股関節拘縮と筋力低下のために歩行障害を起こしているのですね」

4: 「今日は右足の力を強くして、バランスをよくするために立ち上がりと輪投げを行います。関節に痛みを感じたりお疲れになりましたら、遠慮せずにおっしゃってください」

5: 「今日はこのくらいで終了といたします。明日はもう少し楽しくできる種目を考えようと思いますので、ご趣味などについてお聞かせください」

第40回午前:第14問

40歳の女性。筋萎縮性側索硬化症。上肢近位筋の筋力4、遠位筋の筋力3、下肢の筋力4。最近、肺炎を2回起こしている。この患者の調理動作として適切でないのはどれか。  

1: 皮むき器で大根の皮をむく。

2: 電子レンジで食品を温める。

3: ざるを用いてめん類をゆでる。

4: 台ふきんで調理台をふく。

5: 調理用ハサミで野菜を切る。

第51回午前:第15問

45歳の男性。筋萎縮性側索硬化症。発症から1年経過している。ADLは自立しているが、主に下肢の筋力低下、バランス不良および鶏歩が認められる。理学療法で適切なのはどれか。  

1: 車椅子操作の練習

2: 下肢の漸増抵抗運動

3: 両松葉杖での歩行練習

4: 感覚再教育によるバランス練習

5: プラスチックAFOを装着した歩行練習

第52回午後:第13問

65歳の男性。被殻出血による右片麻痺。発症後2か月。意識レベル、認知機能および左下肢の機能に問題はない。右足関節の位置覚障害がみられる。起居動作は自立し、座位は安定している。現在、平行棒内での歩行練習中である。歩行中、右下肢の振り出しは可能であるが、踵接地がみられず、右下肢立脚中期に膝折れを認める。Brunnstrom法ステージ右下肢Ⅲ、右下腿三頭筋のMAS〈modified Ashworth scale〉は2である。歩行に用いる最も適切な装具はどれか。

52_1_13

第39回午前:第26問

48歳の女性。多発性筋炎。一般状態が落ち着いて理学療法が開始された。筋力は体幹筋4、上肢近位筋群3~4、下肢近位筋群3~4。院内独歩が可能。理学療法で誤っているのはどれか。  

1: 血中CK値推移の確認

2: 他動的可動域訓練

3: デローム法による筋力増強訓練

4: 万歩計による運動量の確認

5: 自覚的疲労度の確認

第56回午後:第7問

58歳の女性。関節リウマチ。Steinbrockerのstage II、class 2。この患者の日常生活活動を示す。正しいのはどれか。 

56_1_7

第38回午前:第12問

65歳の男性。脳卒中左片麻痺発症後3か月経過。ブルンストローム法ステージは上肢II、手指II、下肢II。左肩関節は一横指の亜脱臼があり、肩手症候群を合併している。左肩関節可動域は屈曲80°、外転60°、外旋10° と痛みを伴う制限がある。左半側空間無視があり、座位は患側前方へ傾き自立保持は不可能である。理学療法で適切でないのはどれか。  

1: 肩手症候群に対するアームスリング装着

2: 座位での健側上肢体重支持練習

3: 長下肢装具を用いた平行棒内立位訓練

4: 患側下肢の随意運動促通

5: 患側片肘立ちの起き上がり動作練習

第44回午前:第22問

55歳の男性。3年前からろれつが回らず歩行が不安定で介助が必要であり、起き上がるとめまいが起こる。上肢の測定障害のためADLが制限されている。頭部MRIを示す。この患者に対する適切な治療計画はどれか。 

44_0_22

1: 四つ這い訓練

2: 主動筋と拮抗筋との協調運動訓練

3: 反動を利用した立ち上がり訓練

4: ロフストランド杖による歩行訓練

5: 改造自動車を利用した移動の指導

第56回午前:第11問

80歳の女性。2年前に夫と死別し、平屋の持ち家に1人暮らし。3か月前に屋内で転倒し、右大腿骨頸部骨折で入院した。人工骨頭置換術後のADLは杖歩行で、入浴のみ見守りでその他は自立し自宅退院となった。退院時のHDS-Rは28点であった。要支援1と認定され、通所リハビリテーションを利用するにあたり、担当作業療法士が自宅訪問することとなった。初回訪問時の対応で正しいのはどれか。  

1: 住宅改修を提案する。

2: 年金受領額を聴取する。

3: 訪問作業療法を勧める。

4: 夫の死亡理由を聴取する。

5: 生活の困りごとを聴取する。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、80歳の女性が通所リハビリテーションを利用するにあたり、担当作業療法士が初回訪問時にどのような対応が正しいかを問うています。選択肢の中で最も適切な対応は、生活の困りごとを聴取することです。
  • 住宅改修を提案するのは、患者の意見と動作を確認した後に判断しても良いです。問題文には、浴室内移動に関する見守りが必要であることが示唆されていますが、住宅改修の必要性は初回訪問時にすぐに提案するべきではありません。
  • 年金受領額は患者の生活状況を反映することがありますが、初回訪問時に聴取する必要はありません。患者が介護費用を支払えないことや生活苦があると判断する情報は問題文にはなく、金銭的生活苦があった場合に調査することは初回でなくてもよいです。
  • 訪問作業療法を勧めることは適切ではありません。患者は通所リハビリテーションを開始することが決まっており、サービス利用を変更するには手続きが必要です。担当作業療法士が訪問作業療法のほうが適すると判断したとしても、まずその判断材料を整理する手続きが要ります。患者に直接サービスを勧めることはできません。
  • 夫の死亡理由を聴取する必要はありません。夫の死因が、この患者の転倒やADLでの見守りを要すると判断できる情報はないため、これを聴取する必要はありません。
  • 生活の困りごとを聴取することは適切です。患者は入浴の見守りを要しており、初回訪問時にはADLの状況を含め、支援する箇所を確認するために困りごとを聴取することが適切です。
  • 科目:認知症・高齢者障害
  • 重要度:プレミアム特典
  • 類似問題を見る
  • この問題について報告する

第35回午前:第22問

70歳の女性。7年前にパーキンソン病の診断を受けた。現在、ヤールの重症度分類はステージIII。夫、息子夫婦と同居。発症前は夫とシルバーダンスクラブに所属し活躍していた。作業療法の指導として適切でないのはどれか。  

1: 着座するときは椅子に下肢が触れてから腰をおろす。

2: 歩き出すときは「イチ、ニ、イチ、ニ」と掛け声をかける。

3: 歩行中に方向転換するときは一旦立ち止まる。

4: 趣味活動は同一姿勢で行うものにする。

5: 物を取るときは目で位置を確認して手を伸ばす。