58歳の男性。歩行時のふらつきを訴えて受診した。歩隔はやや広いが左右方向は安定しており、前後方向への振り子様の歩容がみられる。検査結果を表に示す。協調運動改善のための理学療法として適切なのはどれか。
1: 自転車エルゴメーターによるペダリング運動
2: rhythmic stabilization
3: 下肢筋群の持続的伸張
4: Frenkel体操
5: Epley法
50歳の女性。10年前に義母の介護に際して突然の視力障害を訴えたが、眼科的異常はみられなかった。1か月前に夫の単身赴任が決まってから、下肢の冷感、疼痛を主訴として、整形外科、血管外科などを受診するも異常所見は指摘されなかった。次第に食事もとれなくなり、心配した夫が精神科外来を受診させ、本人はしぶしぶ同意して任意入院となった。主治医が、身体以外のことに目を向けるようにと作業療法導入を検討し、作業療法士が病室にいる本人を訪問することになった。本人は着座すると疼痛が増強するからと立位のままベッドの傍らに立ち続けて、他科受診できるよう主治医に伝えてほしいと同じ発言を繰り返す。この患者に対する病室での作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1: 他科受診できるよう約束する。
2: 夫の単身赴任をどのように感じているか尋ねる。
3: 痛みが軽減することを約束して作業療法への参加を促す。
4: 身体的には問題がなく、心の問題であることを繰り返し伝える。
5: 他のスタッフの発言との食い違いが生じないよう、聞き役に徹する。
片麻痺、感覚鈍麻および異常感覚で発症した多発性硬化症患者の急性増悪期から回復段階初期にかけての対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 感覚障害への再教育
2: 運動麻痺に対するPNF
3: 起き上がり動作時の介助
4: 疼痛緩和のための温熱療法
5: 筋力低下に対する漸増抵抗訓練
24歳の男性。会社員。オートバイによる自損事故で外傷性脳損傷となった。受傷後2か月経過。抗てんかん薬を内服中。意識は清明。易怒的である。左不全片麻痺と軽度失調症とを認める。歩行は短下肢技装具で自立。ADLはほぼ自立しているが、病室を間違えたり、他患者とけんかするなどの問題があった。社会復帰の準備を始めるにあたり誤っているのはどれか。
1: 病前の教育歴、社会歴を調べる。
2: 記憶、情動制御など高次脳機能を評価する。
3: IADL能力を把握する。
4: 現状での作業能力を検査する。
5: 会社の上司に復職準備を依頼する。
38歳の男性。30歳ころから歩行時にふらふらする感じを自覚していた。最近、階段昇降で手すりが必要となり、構音障害と上肢の協調性低下も出現した。症状が徐々に進行し、屋内つたい歩きとなったため入院した。意識は清明。知能は正常である。感覚障害はなく、病的反射も認めない。兄も同様の症状を呈している。MRI(写真①~⑤)を示す。この症例はどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
腕神経叢の損傷部位を図に示す。臨床所見はどれか。2つ選べ。
1: 三角筋筋力低下
2: 上腕二頭筋筋力低下
3: 腕橈骨筋筋力低下
4: 前腕橈側感覚鈍麻
5: 中指感覚鈍麻
55歳の女性。8年前に多発性硬化症と診断され、再発や寛解を繰り返し、2回の入院歴がある。現在は症状が落ち着いており、訪問理学療法で屋外歩行練習が実施されている。その際、理学療法士は運動強度を軽度から中等度とし、かつ、外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している。この理由として関係するのはどれか。
1: Barré徴候
2: Horner徴候
3: Lhermitte徴候
4: Tinel徴候
5: Uhthoff徴候
脳卒中による右片麻痺患者が左下肢を挙上してバランスを保持している状態を図に示す。体重が60 kgのとき、麻痺側下肢への床反力で正しいのはどれか。
1: 6 kgw
2: 12 kgw
3: 24 kgw
4: 30 kgw
5: 48 kgw
58歳の女性。先天性股関節脱臼で小児期にリーメンビューゲル装具で加療した。10年前から歩行時に左股関節痛があった。痛みは進行し、1年前から杖が必要となり、靴下の着脱も困難となったため手術を受けた。股関節の術前と術後のエックス線単純正面像(別冊No.4A、B)を別に示す。術後の理学療法で誤っているのはどれか。
1: 術後2日目から中殿筋の筋力強化を行う。
2: 術後3日目から全荷重を開始する。
3: 術後10日目から水中運動療法を行う。
4: 入院中から靴下の着脱は外旋位で行うよう指導する。
5: 退院後も低いソファーに座ることを避ける。
小脳失調患者の上肢の協調性向上を目的とした方法で正しいのはどれか。
1: 上肢遠位部に弾性緊迫帯を巻く。
2: 上肢遠位部に重錘を負荷する。
3: 筋にタッピング刺激を与える。
4: 筋に寒冷刺激を与える。
5: 筋の他動伸張を行う。
62歳の女性。約半年前から歩行中にふらつき、しゃべりにくいことに気付いていたが、最近これらの症状が悪化してきた。その他、四肢協調運動障害、頭部CTで小脳および脳幹萎縮を指摘されている。この症例の評価指標として適切でないのはどれか。
1: FBS
2: 踵膝試験
3: 鼻指鼻試験
4: FMA〈Fugl-Meyer assessment〉
5: SARA〈scale for the assessment and rating test〉
6歳の痙直型脳性麻痺児。図はバルーン上で動的座位バランスを促す訓練の開始姿勢である。望ましくない反応はどれか。
1: バルーン上で万歳をしたとき、頭頸部と体幹を垂直に維持する。
2: バルーンを斜め前方に動かしたとき、両上肢が斜め後方に挙上する。
3: バルーンを斜め後方に動かしたとき、両上肢が斜め前方に挙上する。
4: バルーンを後方に動かしたとき、両上肢が後方に挙上する。
5: バルーンを右に動かしたとき、左上下肢が側方に挙上する。
65歳の女性。右中大脳動脈領域の脳梗塞。発症後3日経過。ベッドサイドでの作業療法が開始された。GCS(Glasgow coma scale)はE3+V2+M5=10、血圧は不安定でギャッジアップ60°で収縮期血圧が25 mmHg低下する。背臥位では頸部が右回旋している。作業療法の初回評価として適切なのはどれか。
1: 表在感覚
2: 端座位姿勢
3: 追視による眼球運動
4: 簡易上肢機能検査(STEF)
5: Trail Making Test(TMT)
28歳の男性。交通事故による頭部外傷のため入院した。作業療法が開始され、4か月が経過した。四肢に運動麻痺や感覚障害を認めず、歩行は自立している。日中はボーッとして過ごすことが多いが、促されると日課を行う。今日の日付を聞くと、カレンダーを見てようやく答えることができる。病棟と作業療法室の行き来では、今いる場所や行き先が分からなくなるので見守りが必要である。現時点の頭部CTを示す。この患者の状態を評価するのに適切でないのはどれか。
1: TMT
2: MMSE
3: WCST
4: 線分抹消検査
5: 線分2等分検査
60歳の女性。うつ病。夫と2人暮らし。1年前からうつ状態が遷延し、抑うつ気分や意欲の低下が強く、家事もできなくなり入院した。1か月でうつ状態がやや改善してきたが、記憶力減退を強く訴え、「自分は痴呆になった」との不安が強い。気分転換と生活リズムの回復を目的に作業療法が処方された。主治医からの留意事項として、薬の副作用によるふらつきへの配慮が指示されている。作業療法の初期評価で適切でないのはどれか。
1: 歩行の状態を把握する。
2: 日常生活の状況について尋ねる。
3: 発症に先立つ環境変化について情報収集する。
4: 高次脳機能検査を行う。
5: 患者が関心を持っている活動を聞く。
60歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅢ、クラス3で寛解状態であり安定している。理学療法士が行う生活指導について誤っているのはどれか。
1: 歩容に応じた足底板を調整する。
2: 頸椎の等張性抵抗運動を励行する。
3: 変形防止用のスプリントを用いる。
4: 再燃の急性炎症期には運動を避ける。
5: 大関節を使う関節保護方法を指導する。
25歳の女性。境界型人格障害。手首の自傷行為の反復、睡眠薬遊びや万引きがある。「何でも良いからやれる仕事をやってはどうか」と言う母親に暴力を振るい、止めに入った父親の前で「死んでやる」と言って再び手首の自傷行為に及び入院した。入院後、穏やかになり作業療法が開始された。作業中に「息が苦しくなり手がしびれる」と言い出した。考えられる発作はどれか。
1: 低血糖発作
2: 過呼吸発作
3: けいれん発作
4: 欠神発作
5: 情動脱力発作
脳卒中片麻痺の歩行訓練で阻害因子となりにくいのはどれか。
1: 半側空間無視
2: 表在感覚障害
3: 膝関節屈曲拘縮
4: 弛緩性麻痺
5: 疼痛
38歳の男性。30歳ころから歩行時にふらふらする感じを自覚していた。最近、階段昇降で手すりが必要となり、構音障害と上肢の協調性低下も出現した。症状が徐々に進行し、屋内つたい歩きとなったため入院した。意識は清明。知能は正常である。感覚障害はなく、病的反射も認めない。兄も同様の症状を呈している。臨床所見として認められるのはどれか。2つ選べ。
1: 企図振戦
2: 膝踵試験異常
3: Romberg徴候
4: Lhermitte徴候
5: ミオトニア現象
45歳の女性。3日前、自宅で荷物を持ち上げた際に、腰部と左下腿の後面から足背外側部にかけての強い痛みがあった。安静にしていたが、疼痛が軽快しないため受診し、腰椎椎間板ヘルニアと診断された。発症から2か月が経過し、足背外側部の疼痛と安静時の腰痛は改善したが、労作時に軽度の腰痛が続いているため再度受診した。理学療法として適切でないのはどれか。
1: TENS
2: ホットパック
3: Williams型装具の装着
4: 体幹筋群の筋カトレーニング
5: ハムストリングスのストレッチング