26歳の男性。オートバイ事故によるびまん性軸索損傷。2週間意識不明であった。受傷後2か月経過。病棟からの情報では、食事、整容は粗雑だが自立。車椅子への移乗は不安定で、ひとりでベッドから乗り移って転倒する。車椅子での自立走行は可能。自分の部屋を間違える。作業療法の開始時の評価項目で適切でないのはどれか。
1: 認知機能
2: 記憶
3: 運動・感覚機能
4: ADL
5: IADL
55歳の女性。乳癌。ステージⅣ。今回、両下肢の脱力を認めて受診した。腰椎と肋骨の多発病的骨折と診断された。L2以下の不全対麻痺を認め、放射線治療終了後に作業療法開始となった。ベッド上生活で食事以外には介助を要していた。Performance Statusは4である。患者は「足が動かないが、家族と暮らしたい」、家族は「できれば家につれて帰りたい」と希望した。この患者への作業療法について適切なのはどれか。
1: 退院の時期を決定する。
2: 下肢機能訓練は行わない。
3: 福祉用具の適応を検討する。
4: 現時点から積極的な離床を図る。
5: ADL訓練時にはコルセットは装着しない。
55歳の男性。倒れてきた本棚により右肘上部を圧迫され正中神経麻痺を生じた。約1か月経過したが、右上肢の運動障害と感覚障害を認めていることから装具療法を行うことになった。使用する装具で正しいのはどれか。
1: 長対立装具
2: IP伸展補助装具
3: ナックルベンダー
4: Thomas型懸垂装具
5: コックアップ・スプリント
40歳の男性。Charcot-Marie-Tooth病と診断され、最近跛行を呈するようになった。リハビリテーション科を受診し理学療法が開始された。この患者にみられるのはどれか。
1: 脊柱側弯変形
2: 股関節屈曲制限
3: 膝関節屈曲拘縮
4: 腓腹筋仮性肥大
5: 下垂足
7歳の男児。脳性麻痺の痙直型両麻痺。GMFCSレベルⅢ。床上を前方へ移動する様子を示す。考えられる状態はどれか。
1: 頭部保持能力の低下
2: 両側上肢の支持能力の低下
3: 下部体幹の支持能力の低下
4: 両側肩甲帯周囲筋の筋緊張低下
5: 左右股関節の交互分離運動能力の低下
70歳の男性。パーキンソン病。ヤールの重症度分類ステージIII。理学療法で誤っているのはどれか。
1: 関節可動域運動を行う。
2: 呼吸訓練を行う。
3: 背中を押して歩行を介助する。
4: メトロノームを利用して歩行練習を行う。
5: マット上で起き上がり練習を行う。
38歳の男性。3か月前に労災事故で左大腿切断術を受けた。本日から骨格構造義足を用いた歩行訓練を行う。全身状態、残存筋力および断端の状態は良好である。訓練で適切なものはどれか。2つ選べ。
55歳の男性。営業部の部長職に就いていたが、物や人の名前や地名が出てこないことを自覚し、その後は部下を同伴して仕事を継続していた。好きな日曜大工で使用していた工具を目の前にしてもそれを呼称できなくなり妻同伴で物忘れ外来を受診した。WAIS-IIIでは言語性IQが79、動作性IQは131、全検査IQは103であった。その後も徐々に言いたいことが言葉にならず、仕事で著しく疲弊するようになり退職した。徐々に誰に対してもなれなれしくなり、節度を失うような人格変化も認められるようになった。この患者の受診当初のMRI画像で予想される脳の萎縮部位はどこか。
1: 側頭葉内側部
2: 前頭葉眼窩面
3: 頭頂連合野
4: 側頭葉前部
5: 後頭葉
20代の男性。頸髄損傷完全麻痺(Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類C6B2)。仰臥位から長座位へ垂直方向の起き上がり動作獲得のために練習を行っている。図に示す肢位で肩甲帯を左右に振り重心を移動することを繰り返す。正常以上の関節可動域拡大を目的とした関節運動はどれか。
1: 頸部伸展
2: 肩甲骨外転
3: 肩関節水平伸展
4: 肩関節内旋
5: 肩関節外旋
25歳の男性。交通事故による頚髄損傷。受傷後8か月経過。褥瘡はない。筋力は肩関節周囲筋 4(Good)、肘関節屈筋4(Good)、肘関節伸筋0、手関節背屈筋4(Good)、手関節屈筋0、下肢筋群0であった。この患者の移乗動作の自立を目的とした作業療法で適切でないのはどれか。
65歳の男性。右利き。脳梗塞による片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢、手指、下肢ともにⅢ。回復期リハビリテーション病棟では車椅子で移動している。発症後3か月の頭部MRIを示す。出現しやすい症状はどれか。
1: 観念失行
2: 左右障害
3: 純粋失読
4: 半側空間無視
5: 非流暢性失語
57歳の男性。脳出血による左片麻痺。Brunnstrom法ステージ下肢III。左下腿三頭筋のMAS〈modified Ashworth scale〉は2。平行棒内歩行時に左下肢の踵接地はみられず、内反尖足となる。また、左下肢立脚中期に膝のロッキングを認める。そこでダブルクレンザック(ロッド式)短下肢装具を作製した。誤っているのはどれか。
1: 下腿半月の上縁の位置:腓骨頭
2: 下腿半月の幅:4 cm
3: 下腿中央部における支柱と皮膚との距離:5 mm
4: 足継手の位置:内果下端と外果中央を結ぶ線
5: 足関節の角度:底屈0°
80歳の女性。右大腿骨頸部骨折を受傷。人工骨頭置換術後6か月経過。室内ADLは自立し、在宅療養となった。室内環境整備として適切でないのはどれか。
65歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後3か月。1か月前から平行棒内で歩行練習を行っている。現在の歩行パターンを図に示した。この症例における歩行の特徴として誤っているのはどれか。
1: 患側の立脚初期に過度の股関節外旋が生じている。
2: 患側肢では足趾接地が踵接地の前に生じている。
3: 患側の遊脚期に過度の膝関節屈曲が生じている。
4: 患側の遊脚期に股関節外転分回しが生じている。
5: 患側肢に内側ホイップが生じている。
63歳の男性。健康診断で不整脈を指摘されたが放置していた。職場で突然倒れ病院に搬送された。重度構音障害と重度左片麻痺とが認められた。発症2日目のMRIを写真に示す。意識状態は徐々に改善し、左上下肢の動きも出現した。2週後にワルファリンカリウムの投与が開始された。この患者の心電図として可能性の高いのは①~⑤のどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
75歳の男性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。右短下肢装具を装着し四脚杖を使用して介助なく20 mまでの歩行が可能である。食事は左手で普通のスプーンやフォークを使用して介助なく可能だが箸は使えない。歩行と食事のFIMの点数の組合せで正しいのはどれか。
1: 歩行6点 ― 食事5点
2: 歩行6点 ― 食事6点
3: 歩行5点 ― 食事6点
4: 歩行5点 ― 食事7点
5: 歩行4点 ― 食事7点
70歳の女性。脳梗塞による右片麻痺。発症後5か月経過。Brunnstrom法ステージは上肢、手指、下肢ともにⅢ。金属支柱付き短下肢装具とT字杖とで病院内歩行が自立した。退院に向けたADL指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 屋内では短下肢装具を使用しない。
2: 浴槽への出入りは座位移動で行う。
3: 自宅トイレに手すりを設置する。
4: ズボンは立位のまま着脱する。
5: 洗顔は立位で行う。
35歳の女性。四肢のしびれで発症し、視力障害、不全四肢麻痺、体性感覚障害および息苦しさの増悪と寛解を繰り返した。小脳症状はない。MRIでは脳脊髄白質に多発性・散在性の脱髄斑が認められた。理学療法で適切なのはどれか。
1: 胸郭の可動性拡大運動
2: ボルグ指数で「きつい」運動
3: しびれに対するホットパック
4: 水温38~39℃の水中歩行訓練
5: 下肢に重錘を装着しての歩行訓練
56歳の男性。大工で上肢をよく使用する。3年前から左手の感覚障害と筋力低下を自覚していた。左手の写真を示す。図に示す装具で、この患者に必要なのはどれか。
60歳の女性。脊髄小脳変性症。四肢体幹の運動失調で座位保持が困難であったが、2週間の座位保持練習を行い、端座位は上肢で支持しなくても保持できるようになった。今後行うバランス能力改善の運動療法として最も適切なのはどれか。