34歳の男性。交通事故による脳外傷。救急入院後10日目。頭部MRI検査でびまん性軸索損傷および左前頭部の脳挫傷を認める。JCS(Japan coma scale)は、現在は20に回復しているが、呼吸状態は不安定。左上下肢には随意運動を認めるが、四肢に著しい痙縮を認め、上肢は屈曲位、下肢は伸展位の姿勢をとることが多い。この時期の理学療法で適切でないのはどれか。2つ選べ。
1: 脳卒中右片麻痺と同様の回復を示すと予測する。
2: 尖足予防のため夜間装具を用いる。
3: 訓練前に意識状態、呼吸状態を確認する。
4: 体位を調整して四肢筋緊張の緩和を図る。
5: 立位訓練を進める。
脊髄損傷(完全麻痺)の機能残存レベルと可能なADLとの組合せで誤っているのはどれか。
1: 第5頸髄節-自助具を用いた食事動作
2: 第6頸髄節-下腹部叩打による排尿動作
3: 第7頸髄節-自動車の運転
4: 第6胸髄節-長下肢装具・松葉杖を用いての四点歩行
5: 第4腰髄節-短下肢装具・松葉杖を用いての屋外歩行
21歳の男性。交通事故によるびまん性軸索損傷と診断された。意識は清明で運動麻痺はない。新しい物事を覚えるのが困難で記憶の障害が顕著である。この患者に対する適切なアプローチはどれか。
1: 毎日異なる課題を与える。
2: 記憶の外的補助手段を使う。
3: 試行錯誤が必要な課題を行う。
4: 複数の学習課題を同時に行う。
5: 日課は本人のペースで柔軟に変更する。
25歳の男性。外傷性頸髄損傷。現在は図のような動作で食事を行っている。この患者に対して急性期に行った呼吸理学療法で誤っているのはどれか。
1: 胸郭モビライゼーション
2: 肋間筋強化
3: 息こらえ練習
4: 介助咳嗽練習
5: 体位排痰法
脊髄損傷(第5頸髄節まで機能残存)に対する理学療法で誤っているのはどれか。
1: ベッド柵を用いた寝返り訓練
2: 血圧測定しながらの座位訓練
3: 手関節背屈の抵抗運動
4: 大胸筋の筋力強化訓練
5: 胸郭モビリゼーション
72歳の男性。頸椎の過伸展損傷により四肢麻痺となった。徒手筋力テストで下肢筋は4、肩・肘・手関節周囲筋は3、手指筋は2であった。考えられる頸髄損傷のタイプはどれか。
1: 前部損傷
2: 後部損傷
3: 中心性損傷
4: 半側損傷(ブラウン・セカール症候群)
5: 完全損傷
30代前半の男性。システムエンジニア。自転車走行中に自動車とぶつかり、外傷性脳損傷を生じ入院となった。作業療法は受傷後20日目から開始。麻痺はみられない。病棟では、食事、更衣、整容、排泄などは自立しているが、トイレや病室の場所が覚えられない、今日の日付が分からない、担当者の顔は分かっているが名前が覚えられない、などがみられた。このような症状がある時期に適切な作業療法はどれか。
1: 調理
2: 日記
3: 買い物訓練
4: 職業前訓練
5: 電車乗車訓練
完全脊髄損傷(第12胸髄節まで機能残存)患者で、臥床時に褥瘡を好発しやすい部位はどれか。2つ選べ。
脊髄完全損傷者の機能残存レベルと日常生活動作の到達レベルの組合せで正しいのはどれか。
1: 第4頸髄節 - 手動での車椅子操作
2: 第5頸髄節 - 更衣動作の自立
3: 第6頸髄節 - 寝返りの自立
4: 第7頸髄節 - 介助によるトイレへの移乗
5: 第8頸髄節 - 介助による起き上がり
24歳の男性。脊髄損傷(第6胸髄節まで機能残存)。プッシュアップ動作を図A、図Bに示す。図Bの遂行に影響の少ない因子はどれか。
1: 脊柱の可動性
2: ハムストリングスの伸張性
3: 上肢長
4: 下肢長
5: 体 重
脊髄損傷(第7頸髄節まで機能残存)患者で自立が最も困難な項目はどれか。
1: 車椅子のキャスター上げ
2: 車椅子で5 cmの段差昇降
3: 床面から車椅子への乗り移り
4: ベッドから車椅子までの側方移乗
5: 車椅子の積み下ろしを伴う自動車の利用
70歳の女性。頸髄完全損傷で第4頸髄機能残存。認知機能は正常である。受傷後6か月で在宅生活となり、訪問リハビリテーション時に踵部の発赤を認めた。原因として最も考えられるのはどれか。
1: 痙縮
2: 褥瘡
3: 骨萎縮
4: 静脈血栓症
5: 異所性骨化
脊髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)の女性患者で、自立が最も難しいと考えられるのはどれか。
1: 手すりを使用して起き上がる。
2: ベッド上でズボンをはく。
3: 車椅子上でループ付き靴下をはく。
4: 車椅子上で自己導尿を行う。
5: トランスファーボードを使用して車に移乗する。
25歳の男性。転落による頸髄損傷。受傷後2年経過。筋力はMMTで、三角筋4、大胸筋鎖骨部2、上腕二頭筋5、上腕三頭筋0、回内筋0、腕橈骨筋4、長橈側手根伸筋3、橈側手根屈筋0、手指屈筋0で左右差はない。自動車運転の際に用いる旋回装置の写真を示す。この患者に適しているのはどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
脊髄損傷で誤っているのはどれか。
1: 強制的な関節可動域運動は異所性骨化の原因となる。
2: 起立性低血圧は対麻痺よりも四肢麻痺で起こりやすい。
3: 自律神経過反射は第5胸髄節以上の損傷で起こりやすい。
4: 呼吸機能では1秒率は低下するが、%肺活量は正常である。
5: 高位頸髄損傷では消化性潰瘍が起こりやすい。
45歳の男性。3年前に受傷した頸髄損傷による完全四肢麻痺。在宅での訪問リハビリテーションの訓練中に突然激しい頭痛と著明な発汗とを認めた。取るべき対応で適切でないのはどれか。
1: 血圧を測定する。
2: 麻痺部の有害刺激の有無をみる。
3: 膀胱が充満しているかをみる。
4: 下肢を挙上して経過を観察する。
5: 関連する医療機関に連絡する。
装具の適応で正しいのはどれか。
1: 正中神経麻痺
2: 橈骨神経麻痺
3: 脊髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)
4: 腱板断裂術後
5: 上腕骨骨幹部骨折
脊髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)患者の四肢麻痺治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 肩関節周囲筋に対する最大等尺性運動
2: 手指伸筋に対する自動介助運動
3: 大腿四頭筋筋力改善目的の電気治療
4: ハムストリングスへの持続的伸張運動
5: 上腕二頭筋の痙性への温熱療法
20歳の男性。オートバイ事故による外傷性脳損傷。受傷後3か月経過。女性に触れたがるなどの行動がみられ、ミニメンタルステート検査(MMSE)は10点、車椅子駆動は可能、右上肢(利き手)に中等度の運動麻痺を認める。作業療法で適切でないのはどれか。
1: 見当識訓練
2: 移乗動作訓練
3: 利き手交換訓練
4: 運転のシミュレーション
5: 生活リズムの定着化
68歳の男性。作業中に脚立の上から転落したため搬入された。強い腰痛を訴え、下肢の運動麻痺が認められる。脊椎MRIを示す。画像所見上、損傷部位として考えられるのはどれか。
1: 第9胸椎
2: 第11胸椎
3: 第1腰椎
4: 第3腰椎
5: 第5腰椎