36歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。20歳代に発病。就労を目的としてデイケアの通所を開始。対人関係は表面的には如才なく接している。しかし、女性や年下の人には横柄で命令的な反面、目上や初対面の人には緊張して口もきけない状態になることもある。就労に関しては公共職業安定所で職探しをしている。デイケアの活動で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.集団療法で過去の職歴について話し合う。イ.生活技能訓練で面接訓練を行う。ウ.外部機関への単独訪問を制限する。エ.自由画などの創造的作業を行う。オ.興味のある趣味的な作業を行う。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
65歳の男性。老年期うつ病。妻と2人暮らし。会社を定年退職後、不眠および食欲不振などの体調不良を訴え始める。些細なことを気にするようになり、「簡単なことも出来なくなっている。物忘れがひどくなった。痴呆ではないか。」などと言ってふさぎ込んでいる。家族も対応に困り入院となった。入院後1か月で睡眠がとれるようになったが、抑うつ気分は続いている。この時点で作業療法が処方された。作業療法開始時の留意点で適切なのはどれか。
1: 作業能力検査を実施する。
2: 病前に得意であった活動を導入する。
3: 物忘れへの対応を実施する。
4: その都度元気づけをする。
5: 徐々にグループ参加へ方向づける。
23歳の男性。会社員。6か月前、交通事故による外傷性脳損傷を受傷したが、身体的後遺症はなく、職場復帰した。病前と性格が変わって怒りっぽく頑固になり、職場の人間関係が悪化して精神科を受診し、外来作業療法に参加となった。作業療法の初期目標で適切でないのはどれか。
1: 実施上の取り決めの遵守
2: 興味ある作業への参加
3: 定期的な参加の継続
4: 安心できる関係作りの構築
5: 職場の人間関係の改善
51歳の男性。仕事中に3 mの高さから転落し、外傷性脳損傷を生じ入院した。受傷2週後から作業療法を開始した。3か月が経過し運動麻痺はみられなかったが、日付がわからない、1日のスケジュールを理解できない、感情のコントロールが難しい、複雑な作業は混乱してしまうなどの状態が続いた。作業療法で適切なのはどれか。
1: 静かな環境で行う。
2: 新規課題を毎日与える。
3: 複数の作業療法士で担当する。
4: 不適切な言動には繰り返し注意する。
5: 集団でのレクリエーション活動を導入する。
23歳の女性。境界型人格障害。中学時代から対人関係が不安定で、不登校、家出、過量服薬、恋人との激しいけんかなどを繰り返してきた。今回、失恋を契機に睡眠薬自殺を図ったが、救命救急センターで意識回復し精神科へ入院した。左手首に数本の切創痕を認める。母親に甘えた態度をとったり、大声で怒鳴ったり、死にたいと言ったりする。治療目的で作業療法が依頼された。この症例に認められない症状はどれか。
1: 情緒不安定
2: 薬物乱用
3: 退 行
4: 行動化
5: 強迫症状
65歳の女性。元来、几帳面な性格だが友人も多く活動的に過ごしていた。3か月前に、自宅のリフォームを契機に、早朝覚醒、食思不振、抑うつ気分や意欲低下が生じ、友人とも会わないようになった。自宅で自殺を企図したが未遂に終わり、1か月前に家族が精神科を受診させ、即日医療保護入院となった。単独散歩はまだ許可されていないが、抗うつ薬による治療で抑うつ気分は改善傾向にあり、病棟での軽い体操プログラムへの参加を看護師から勧められて、初めて参加した。この時点での患者に対する作業療法士の関わりで適切でないのはどれか。
1: 必要に応じて不安を受け止める。
2: 過刺激を避けながら短時間で行う。
3: 具体的体験により現実感の回復を促す。
4: 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。
5: 薬物療法の副作用が生じていないかアセスメントする。
68歳の男性。アルツハイマー型痴呆。数年前から道で迷ったり、電話できちんと受け答えしたのに、その内容を家人に伝えられなかったりした。最近では夜間になると興奮して動き回り、昼間はうとうとしている。半年ぶりに会った息子に初対面の人に挨拶するように対応したため、家人が心配して受診させ入院に至った。作業療法の導入で適切でないのはどれか。
1: 単純で繰り返しの多いものから始める。
2: 時間を要するものから始める。
3: 個別プログラムから始める。
4: 自信が得られるものから始める。
5: 得意であったものを取り入れる。
治療者を操作しようとしたり、独占しようとしたりする可能性が最も高い疾患はどれか。
1: 1. アルコール依存症
2: 2. 双極性感情障害
3: 3. 境界性人格障害
4: 4. 広汎性発達障害
5: 5. 統合失調症
25歳の女性。境界型人格障害。手首の自傷行為の反復、睡眠薬遊びや万引きがある。「何でも良いからやれる仕事をやってはどうか」と言う母親に暴力を振るい、止めに入った父親の前で「死んでやる」と言って再び手首の自傷行為に及び入院した。入院後、穏やかになり作業療法が開始された。作業療法を開始する上で適切でないのはどれか。
1: チームの間でかかわり方の合意をしておく。
2: 実施時間を明確に決めておく。
3: 短期間で結果が得られるものを選ぶ。
4: 作業種目の選択を本人に任せる。
5: グループ作業を勧める。
28歳の女性。精神科クリニックで境界型人格障害と診断され精神療法と薬物療法を受けていた。母親と口論となり睡眠薬を大量に摂取して自殺を図った。意識回復後、希死念慮を認めるために精神科に入院となった。入院中に出現する可能性の高い症状はどれか。
1: 夜間せん妄
2: 幻覚
3: 行動化
4: もの盗られ妄想
5: 強迫観念
50歳の男性。生来健康であったが、大量飲酒で泥酔した翌朝から右下垂足を呈するようになった。この神経麻痺に対して低周波治療を行う際の運動点はどれか。
アルコール依存症患者の自助グループ活動で適切なのはどれか。
1: 体験を共有する。
2: 半年間で終了する。
3: 身体機能訓練に主眼を置く。
4: 医師の指導の下で行われる。
5: 週1回の参加が決められている。
74歳の女性。アルツハイマー型老年認知症。約6年前から、朝食の内容を昼には忘れてしまう。最近、貯金通帳の置き場所を忘れ、長女夫婦が盗んだと非難することが多くなり、「他人が勝手に玄関から入ってくる」と訴え入院となった。入院後は落ち着き、作業療法を実施することになった。この患者に作業療法を実施する際の留意点で誤っているのはどれか。
1: 身体機能の評価を行う。
2: 意欲低下がみられる場合は励ます。
3: 言い間違いは指摘する。
4: 単純な作業から始める。
5: 過去に行った作業を適用する。
40歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。19歳で発病し8回の入院歴がある。調子のよいときは家事の手伝いができていた。今回、いとこの結婚式の話を聞いてから言動がまとまらなくなり、「結婚しろ」という幻聴があり、他家を訪問するようになったので入院した。入院1か月後、落ち着きはないが、幻聴は軽減し作業療法の依頼があった。初回面接における作業療法士の対応で適切でないのはどれか。
1: 過去の入院理由を聞く。
2: 家事の手伝いの内容を聞く。
3: 退院後の生活に対する考えを聞く。
4: 幻聴の内容について聞く。
5: 作業内容についての希望を聞く。
アルコール依存症の離脱期の症状として誤っているのはどれか。
1: せん妄
2: けいれん発作
3: 粗大な振戦
4: 多量の発汗
5: 思考奪取
35歳の女性。統合失調症。デイケアの就労準備プログラムに参加している。普段は生真面目で穏やかな性格であったが、3週前から些細なことでいら立ち怒り出すようになった。悪化の原因を理解することを目的とした面接において、担当の作業療法士が優先して確認すべき項目はどれか。
1: 食欲
2: 服薬状況
3: 家族の問題
4: 就労に向けた不安
5: デイケアの人間関係
酔うまでの飲酒量が徐々に増加するのはどれか。
1: 渇望
2: 耐性
3: 身体依存
4: 飲酒中心性
5: 山型飲酒サイクル
65歳の女性。約1年前から抑うつ気分、意欲低下、判断力低下、不眠、食思不振などがあり、約9か月前に精神科外来を初めて受診した。希死念慮や貧困妄想も加わり、約8か月前に医療保護入院となっている。抗うつ剤投与により不眠、食思不振はある程度改善されたが、悲観的な思考内容は遷延化した。促してかろうじて病棟外への散歩に応じるようになり、数か月が経過したところで、主治医から作業療法の依頼があった。この時点での作業療法として適切でないのはどれか。
1: 本人の自己決定を見守る。
2: 個別のかかわりから開始する。
3: 1回の活動時間は短く設定する。
4: 長期間をかけて完成する課題を採用する。
5: なじみのある課題より初めての課題を採用する。
23歳の男性。高校卒業後、公務員として働いていた21歳時に統合失調症を発症したため退職し、入院した。退院後は家業を手伝っていたが、命令的内容の幻聴によって3日間放浪したため、2度目の入院となった。1か月後に退院し、実家からデイケアに通い始めた。この時点で把握すべき情報として最も重要なのはどれか。
1: 認知機能
2: 対人関係
3: 余暇の過ごし方
4: 就労に対する希望
5: 精神症状の生活への影響
21歳の女性。統合失調症。大学でグループ課題の実習中に錯乱状態となり入院した。入院後2週からベッドサイドでの作業療法が開始され、入院後7週で症状が落ち着いたため退院することになった。しかし、眠気やだるさ、疲労感があり、一方で復学への焦りが強い。この時期の患者の回復状態はどれか。
1: 急性期
2: 亜急性期
3: 回復期前期
4: 回復期後期
5: 維持期