第57回午後第14問の類似問題

第57回午後:第43問

アルコール依存症の治療について正しいのはどれか。  

1: 本人や家族に対する心理教育が有効である。

2: 離脱への導入の時期から作業療法を実施する。

3: Wernicke脳症の予防にビタミンCを投与する。

4: 離脱症状の予防にベンゾジアゼピン系薬物は無効である。

5: 患者に拒否的な家族には自助グループヘの参加は勧めない。

  • 答え:1
  • 解説:アルコール依存症の治療には、患者本人や家族に対する心理教育が有効であり、共依存が形成されやすい家族にも対応することが重要です。また、作業療法や薬物療法も適切な時期に行われることが大切です。
  • 本人や家族に対する心理教育が有効である。アルコール依存症は患者本人だけでなく、共依存が形成されやすい家族への心理教育が有効とされる。家族が患者の状況を理解し、適切なサポートができるようになることが重要です。
  • 離脱への導入の時期から作業療法を実施する。これは間違いで、作業療法は離脱期を過ぎてから開始される。離脱期には、患者の症状が安定するまで待つことが適切です。
  • Wernicke脳症の予防にビタミンCを投与する。これは間違いで、ウェルニッケ脳症の予防にはビタミンB1が投与される。ビタミンB1はアルコール依存症患者に不足しがちであり、ウェルニッケ脳症の予防に重要です。
  • 離脱症状の予防にベンゾジアゼピン系薬物は無効である。これは間違いで、離脱症状にはベンゾジアゼピン系薬物を投与して予防する。ベンゾジアゼピン系薬物は、不安や緊張を緩和し、離脱症状を軽減する効果があります。
  • 患者に拒否的な家族には自助グループヘの参加は勧めない。これは間違いで、患者に対して拒否的な家族には、自助グループの参加を促すことや、心理教育により家族が患者に協力できるように支援する。家族の理解と協力が治療の成功に大きく寄与します。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第45回午後:第12問

56歳の女性。10年前に多発性硬化症と診断され、3回の入院歴がある。1年前からベッド上で生活している。1週前から、飲み込みの悪さ、左下肢の脱力感およびしびれの増強を感じるようになった。夕方になると軽度の発熱がある。2週に1度の在宅理学療法で訪問した際に優先すべき対応はどれか。  

1: 全身の保温を促す。

2: 腹式呼吸の指導を行う。

3: 下肢の筋力増強訓練を行う。

4: 直接嚥下訓練を家族に指導する。

5: 現状を把握し主治医に連絡する。

第53回午前:第19問

26歳の女性。衝動的な浪費や奔放な異性交遊の後に抑うつ状態となり、リストカットを繰り返していた。常に感情が不安定で、空虚感や見捨てられることへの不安を訴える。職場での対人関係の悪化をきっかけに自殺企図が認められたため入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。  

1: 患者の申し出に応じて面接を行う。

2: 初回面接で自殺企図について話し合う。

3: 攻撃性がみられた場合には治療者を替える。

4: 患者の希望に合わせてプログラムを変更する。

5: 治療目標や治療上の契約を繰り返し確認する。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、境界性パーソナリティ障害の症状がある患者に対する作業療法で適切な方法を選ぶことが求められています。境界性パーソナリティ障害は、情緒の不安定性や自己の空虚感が目立つため、治療目標や治療上の契約を繰り返し確認することが適切です。
  • 患者の申し出に応じて面接を行うのは適切ではありません。パーソナリティ障害患者との面接は、時間や頻度などの枠組みを決めて行い、患者の希望に合わせることは避けるべきです。
  • 初回面接で自殺企図について話し合うのは適切ではありません。初回の面接では治療の枠組みについて説明し、行動のルールを話し合うべきです。自殺企図については、初回面接では話し合わない方が良いです。
  • 攻撃性がみられた場合に治療者を替えると、患者の感情の向くままに人を操作しようとするパーソナリティ障害の不適応な行動を助長する可能性があるため、適切ではありません。
  • 患者の希望に合わせてプログラムを変更するのは適切ではありません。導入時に取り決めた枠組みは、患者の希望だけで安易に変更してはならない。プログラムを変更する理由として、他者の意見を含む妥当的で合理的な理由がある場合には変更しても良いです。
  • 治療目標や治療上の取り決めを患者と繰り返し確認することは、患者に対して安定した枠組みを維持する点で適切であるため、この選択肢が正解です。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第55回午後:第18問

21歳の女性。衝動的に食器を割ったり、自身の手首を切ったりするなどの行為が続いたため精神科病院へ入院となった。夜になると両親に電話し、自分を見捨てるのではないかと脅迫的に責めたてた。また主治医を罵倒し、椅子を投げつけるなどの暴力を振るった後すぐに「先生はすばらしいお医者さんですからどうか治してください」と泣きながら懇願することもあった。この患者の作業療法を行う上で適切でないのはどれか。  

1: 患者の退行的な言動を受け入れる。

2: 作業療法以外の治療状況を把握する。

3: 作業療法士の中に生じてくる感情を自覚する。

4: 行動化による自己破壊的な結果を患者に説明する。

5: 患者、作業療法士の双方が守るべき規則を明確にする。

  • 答え:1
  • 解説:この患者は境界性パーソナリティ障害であると考えられる。作業療法を行う上で適切でないのは、患者の退行的な言動を受け入れることである。境界性パーソナリティ障害患者に対しては、明確な枠組みを提供し、治療契約を重視することが重要である。
  • 患者の退行的な言動を受け入れることは適切でない。境界性パーソナリティ障害患者の退行的な言動を許容すると、問題行動がエスカレートしやすいため、明確な枠組みを提供することが重要である。
  • 作業療法以外の治療状況を把握することは適切である。境界性パーソナリティ障害患者は、不安定な対人関係がみられ、ときに対人操作があり、関わっている人によって対応が異なる場合がある。そのため、作業療法以外の治療状況も十分に把握する必要がある。
  • 作業療法士の中に生じてくる感情を自覚することは適切である。境界性パーソナリティ障害患者に対する関わりでは、治療者も、患者の両極端な言動によって感情に影響を受けることがある。治療者として対応を検討するため、できるだけ冷静に自分の関わり方や気持ちの動きを自覚して振り返ることが重要である。
  • 行動化による自己破壊的な結果を患者に説明することは適切である。境界性パーソナリティ障害患者は、分離や喪失に対する精神病的な退行、自己破壊的な退行を生じやすい。患者の行動化に対しては、行動の背景にある感情に理解を示しつつも、行った行動に対しては「行ってはいけない」ということを明示する必要がある。
  • 患者、作業療法士の双方が守るべき規則を明確にすることは適切である。境界性パーソナリティ障害患者に対する作業療法では、枠組みを明確にし、患者の要求のままに変更に応じないようにする。恒常的な関係性を保てない患者に対しての「治療契約」として重要である。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第57回午後:第15問

24歳の女性。大学卒業後に事務職として勤務していたが、汚物が付着していないかと気になり、頻繁に手を洗い何度も確認するようになった。確認行為により仕事に支障をきたすようになり退職した。家族は本人の確認行為に応じていた。精神科を受診したところ強迫性障害と診断され、外来での作業療法が処方された。作業療法士から家族へのアドバイスとして最も適切なのはどれか。  

1: 常に本人を監視するように伝える。

2: 本人の再就職を促すように伝える。

3: 家の中の消毒を徹底するように伝える。

4: 病気の原因を本人と話し合うように伝える。

5: 本人からの確認の要求に応じないように伝える。

  • 答え:5
  • 解説:強迫性障害は患者が不合理な行動を繰り返す病気で、治療には認知行動療法や薬物療法が用いられる。家族が患者の要求に応じないことで、患者が自分で心理葛藤に立ち向かえるようになる。
  • 家族に行動を監視されることで、患者の心理的緊張と不安が高まり、強迫行為が出現しやすくなることがあるため、適切ではありません。
  • 患者は職場での強迫行為が原因で離職しており、再就職を促すと本人の不安が増大する危険があるため、適切ではありません。
  • 家の中の消毒は、患者の手に汚物がついていることを家族が追認することになり、不安を助長するため、適切ではありません。
  • 患者は病気の原因が自分自身の不安と自分の意思に反して生じている考えであることを理解しているが、それをわかっていてもやめられないため、家族と話し合いをしても解決できないため、適切ではありません。
  • 患者本人の確認要求に応じないことで、患者が自分で心理葛藤に立ち向かえるようになり、強迫行為を克服することができるため、適切です。
  • 科目:その他の精神障害
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