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第36回午前:第14問

48歳の女性。慢性関節リウマチ。発症後3年経過。スタインブロッカー機能障害度分類クラスIII。車椅子移動は介助。排泄動作の自立を目的に他院から紹介があり入院した。作業療法開始時に適切でないのはどれか。  

1: ズボンの着脱訓練

2: 補高便座の利用

3: 家屋改造案の提示

4: 車椅子操作訓練

5: ポータブルトイレへの移乗訓練

第53回午後:第20問

30歳の男性。統合失調症。3週前に工場で働き始めた。外来作業療法ではパソコンを使用した認知リハビリテーションを継続している。ある時、同じ作業療法に参加する2人の患者から同時に用事を頼まれ、混乱した様子で相談に来た。この患者の職場における行動で最もみられる可能性があるのはどれか。  

1: 挨拶ができない。

2: 心気的な訴えが多い。

3: 体力がなく疲れやすい。

4: すぐに仕事に飽きてしまう。

5: 仕事の段取りがつけられない。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、統合失調症の患者が職場で最もみられる可能性がある問題行動を考える必要があります。患者が2人から同時に用事を頼まれて混乱していることから、仕事の段取りがつけられないことが最も可能性が高いと考えられます。
  • 挨拶ができないという問題は、遂行機能との直接的関連はなく、この患者の職場でみられる問題行動としては考えにくいです。
  • 心気的な訴えが多いという問題は、問題文に記載がないため、この患者の職場での問題行動としては可能性が低いです。
  • 体力がなく疲れやすいという問題は、患者が工場勤務に加えて外来作業療法にも通院できていることから、体力の低下が生じているとは考えにくいです。
  • すぐに仕事に飽きてしまうという問題は、患者が少なくとも3週間は工場勤務ができていることから、最もみられる可能性のある職場での問題行動とは考えにくいです。
  • 仕事の段取りがつけられないという問題は、患者が2人から同時に用事を頼まれて混乱していることから、複数の課題に優先順位をつけ、自分の能力に合わせて仕事を処理することが困難な傾向があると考えられるため、最も可能性が高いと判断できます。
  • 科目:統合失調症
  • 重要度:プレミアム特典
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第54回午後:第36問

慢性閉塞性肺疾患患者のADLで息切れを軽減させるための指導として適切なのはどれか。  

1: 洗髪は両手で行う。

2: 靴下の着脱は床に座り行う。

3: ズボンの着脱は立位で行う。

4: 和式トイレを洋式トイレに変更する。

5: 前開きシャツをかぶり型シャツに変更する。

  • 答え:4
  • 解説:慢性閉塞性肺疾患患者のADLで息切れを軽減させるための指導は、呼吸困難を誘発しにくい方法や、胸腹部を圧迫しない方法を選択することが重要です。
  • 両手での洗髪は呼吸補助筋を緊張させ、呼吸困難を誘発しやすいため、慢性閉塞性肺疾患患者には片手での洗髪を指導するのが適切です。
  • 靴下の着脱を床座位で行うと、体幹を屈曲させることになり、胸腹部を圧迫し、横隔膜の活動を制限してしまうため、適切ではありません。椅子座位で足を組んで実施するとよいです。
  • ズボンの着脱を立位で実施すると、体幹前屈位になり呼吸がしにくくなるため、適切ではありません。椅子座位で息を吐きながら実施するとよいです。
  • 和式トイレは体幹前屈位になるため、洋式トイレに変更することで呼吸が楽になります。また、排便の際は、力んで息苦しくならないよう、呼吸に合わせて息を吐きながら力むようにすることが適切です。
  • 腕を肩よりも上げると息苦しくなるため、かぶり型シャツよりも前開きシャツの方が慢性閉塞性肺疾患患者にとって望ましい選択です。
  • 科目:内科疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第49回午後:第31問

慢性閉塞性肺疾患の患者に対するADL・IADLの指導で適切でないのはどれか。  

1: 歩行:歩行開始前に呼気をし、吸気と同時に歩行を開始する。

2: 更衣:椅子座位で開排位に足を組み靴下を着脱する。

3: 洗濯:胸の高さに洗濯物を干す。

4: 洗体:長めのタオルを使用する。

5: 食事:軽い食器を使用する。

第34回午前:第73問

デュシェンヌ型筋ジストロフィーのステージ4(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類による)のADLで誤っているのはどれか。2つ選べ。 ア.平地歩行は可能イ.車椅子操作は可能ウ.両手手すりでの階段昇降は可能エ.椅子からの立ち上がりは可能オ.ずり這い移動は可能  

1: ア

2: イ

3: ウ

4: エ

5: オ

第37回午前:第9問

60 歳の女性。筋萎縮性側索硬化症。下肢の痙縮が強く、介助歩行でははさみ足の傾向がある。手指は鷲手変形を呈し、上肢近位部の筋力は2。最近、嗄声が進行している。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。  

1: ベッド上動作を容易にするため滑りやすい布をシーツとして使う。

2: 夜間家族を呼ぶため足スイッチコールを設置する。

3: PSBと万能カフを用いて食事をする。

4: ストロー付カップで補水をする。

5: 1スイッチ入力コミュニケーションエイドを使う。

第48回午前:第35問

Duchenne型筋ジストロフィーのステージ5(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類による)のときのADLアプローチで正しいのはどれか。2つ選べ。  

1: 食器は体幹を動かさずに届く範囲に配置する。

2: 万能カフでブラシを把持して整髪する。

3: ズボンの着脱は立位で行う。

4: 便器への移乗にトランスファーボードを用いる。

5: 洗体時に座位保持椅子を導入する。

第47回午前:第19問

80歳の女性。5年前に発症した脳梗塞による右片麻痺がある。Brunnstrom法ステージは上肢、手指および下肢でⅢである。全失語を認める。FIMでは、ベッドへの移乗項目は3点で、車椅子での移動項目は3点である。訪問リハビリテーションを導入する際、目標として適切なのはどれか。  

1: 屋外杖歩行の自立

2: 屋内杖なし歩行の獲得

3: 移乗動作の安定性の改善

4: 右手指機能の改善

5: 失語症の改善

第54回午前:第7問

20歳の男性。頸髄完全損傷。受傷3週後のDanielsらの徒手筋力テストにおける上肢の評価結果を示す。この患者が獲得する可能性の最も高いADLはどれか。 

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1: 床から車椅子へ移乗する。

2: 10 cmの段差をキャスター上げをして昇る。

3: ベッド上背臥位からベッド柵を使用せずに寝返る。

4: ベッド端座位のプッシュアップで20 cm殿部を持ち上げる。

5: 車椅子上、体幹前屈位からアームサポートに手をついて上半身を起こす。

第38回午前:第67問

脳性麻痺児のADLで適切でないのはどれか。  

1: 座位は腹臥位→四つ這い位→座位の順で行うのが容易である。

2: 痙直型では割り座位が安定するので奨励する。

3: 痙直型では男子用トイレでは体幹支持バーが介助に有効である。

4: アテトーゼ型では滑り止めマットなどで食器を固定すると良い。

5: アテトーゼ型では足で蹴って車椅子駆動を行う。

第50回午前:第14問

20歳の女性。幼少期に両親が離婚した後、友人関係が不安定となりトラブルが絶えなかった。中学入学後から些細なことでリストカットするようになり、精神科を受診し、その後、入退院を繰り返していた。男女関係のもつれをきっかけに過量服薬し救急車で搬送された。入院後は、医療者に対して依存的だが要求が通らないと激しく責める状態である。最も考えられるのはどれか。  

1: 身体表現性障害

2: 気分変調性障害

3: 統合失調感情障害

4: 演技性パーソナリティ障害

5: 境界性パーソナリティ障害

第42回午前:第31問

32歳の女性。躁うつ病。18歳で発病。24歳で結婚し、2児をもうけ、スーパーで仕事をしていた。長男が小学校へ入学し、PTAの役員を引き受けた頃から仕事も忙しくなり、気分が高揚し外出や買い物が頻繁となった。心配した夫とともに受診し、入院となった。入院2週目、高揚気分は徐々に治まり、本人から「手芸がしたい」という希望があり、作業療法が開始された。この時点での作業療法として適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 現在の病棟での生活の様子を病棟スタッフから聞く。

2: 過剰な刺激を避けるため静かな環境から開始する。

3: 運動を中心としたプログラムを選択する。

4: 手芸用品を持っていき、どのような手芸が好きか本人に確認する。

5: 自宅でどのような役割があるのか本人に確認する。

第38回午前:第12問

42歳の女性。多発性硬化症。両側視神経萎縮を伴う四肢麻痺で移動は車椅子レベル。筋力低下が強く徒手筋力テストで上肢近位部は3+、遠位部は4。有痛性けいれんがある。作業療法で実施困難なのはどれか。 ア.七宝焼きでピアスを作る。イ.刻印面の小さな刻印で小銭入れの模様をつける。ウ.卓上織機でミニマフラーを作る。エ.ひも作りで小皿を作る。オ.ざる編みで籐カゴを作る。  

1: ア、イ

2: ア、オ

3: イ、ウ

4: ウ、エ

5: エ、オ

第35回午前:第26問

18歳の女性。統合失調症。高校入学後成績が低下して不登校となり、自室に閉居しがちとなったため入院した。入院後3か月経過。時折、院内を徘徊しているが、日中は自室に閉じこもりがちである。この時点で作業療法が処方された。導入期に利用する作業種目で正しいのはどれか。2つ選べ。 ア.簡単な構成的作業イ.軽い身体運動ウ.創造的作業エ.肉体労働的作業オ.ゲーム・競争的作業  

1: ア

2: イ

3: ウ

4: エ

5: オ

第49回午前:第5問

30代前半の男性。システムエンジニア。自転車走行中に自動車とぶつかり、外傷性脳損傷を生じ入院となった。作業療法は受傷後20日目から開始。麻痺はみられない。病棟では、食事、更衣、整容、排泄などは自立しているが、トイレや病室の場所が覚えられない、今日の日付が分からない、担当者の顔は分かっているが名前が覚えられない、などがみられた。このような症状がある時期に適切な作業療法はどれか。  

1: 調理

2: 日記

3: 買い物訓練

4: 職業前訓練

5: 電車乗車訓練

第55回午後:第18問

21歳の女性。衝動的に食器を割ったり、自身の手首を切ったりするなどの行為が続いたため精神科病院へ入院となった。夜になると両親に電話し、自分を見捨てるのではないかと脅迫的に責めたてた。また主治医を罵倒し、椅子を投げつけるなどの暴力を振るった後すぐに「先生はすばらしいお医者さんですからどうか治してください」と泣きながら懇願することもあった。この患者の作業療法を行う上で適切でないのはどれか。  

1: 患者の退行的な言動を受け入れる。

2: 作業療法以外の治療状況を把握する。

3: 作業療法士の中に生じてくる感情を自覚する。

4: 行動化による自己破壊的な結果を患者に説明する。

5: 患者、作業療法士の双方が守るべき規則を明確にする。

  • 答え:1
  • 解説:この患者は境界性パーソナリティ障害であると考えられる。作業療法を行う上で適切でないのは、患者の退行的な言動を受け入れることである。境界性パーソナリティ障害患者に対しては、明確な枠組みを提供し、治療契約を重視することが重要である。
  • 患者の退行的な言動を受け入れることは適切でない。境界性パーソナリティ障害患者の退行的な言動を許容すると、問題行動がエスカレートしやすいため、明確な枠組みを提供することが重要である。
  • 作業療法以外の治療状況を把握することは適切である。境界性パーソナリティ障害患者は、不安定な対人関係がみられ、ときに対人操作があり、関わっている人によって対応が異なる場合がある。そのため、作業療法以外の治療状況も十分に把握する必要がある。
  • 作業療法士の中に生じてくる感情を自覚することは適切である。境界性パーソナリティ障害患者に対する関わりでは、治療者も、患者の両極端な言動によって感情に影響を受けることがある。治療者として対応を検討するため、できるだけ冷静に自分の関わり方や気持ちの動きを自覚して振り返ることが重要である。
  • 行動化による自己破壊的な結果を患者に説明することは適切である。境界性パーソナリティ障害患者は、分離や喪失に対する精神病的な退行、自己破壊的な退行を生じやすい。患者の行動化に対しては、行動の背景にある感情に理解を示しつつも、行った行動に対しては「行ってはいけない」ということを明示する必要がある。
  • 患者、作業療法士の双方が守るべき規則を明確にすることは適切である。境界性パーソナリティ障害患者に対する作業療法では、枠組みを明確にし、患者の要求のままに変更に応じないようにする。恒常的な関係性を保てない患者に対しての「治療契約」として重要である。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第50回午前:第17問

80歳の女性。多発性脳梗塞。動作の観察から、明らかな運動麻痺はみられないが軽度の感覚障害が予想される。軽度の認知症があり、口頭での詳細な手順の説明は理解しにくい。深部感覚検査として適切なのはどれか。  

1: 非検査肢の自動運動による模倣試験

2: 非検査肢の他動運動による模倣試験

3: 検査肢の自動運動による再現試験

4: 検査肢の他動運動による再現試験

5: 関節定位覚(母指探し)検査

第51回午後:第7問

79歳の女性。脳卒中後の左片麻痺。プラスチックAFOを装着してT字杖歩行が可能である。装具は足尖までの長さで足継手はない。Brunnstrom法ステージでは上肢Ⅳ、下肢Ⅴ。左立脚後期が歩行周期の中で極端に短く安定性も低下している。歩容を改善するために有用な方法はどれか。  

1: 外側フレアを付ける。

2: 足部のベルクロの固定を緩める。

3: 装具の高さを下腿中央付近まで低くする。

4: 装具の中足指節関節部から遠位部を切除する。

5: 足関節部の固定性を強化(コリュゲーション)する。

第54回午前:第12問

70歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ、下肢Ⅲ。下肢の随意運動は共同運動がわずかに認められる程度である。歩行はT字杖にて室内は自立している。ADL指導で正しいのはどれか。2つ選べ。

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第37回午前:第36問

25歳の女性。境界型人格障害。高校時代から希死念慮や情緒不安定があった。アルバイト先の男性従業員と同棲していたが、21歳のときけんか別れして帰省した。帰省後は母親と生活していたが、母親への暴力と希死念慮が激しくなり入院した。入院後、落ち着いた時点で作業療法が開始された。この時期の実施上の留意点で適切でないのはどれか。  

1: 参加に当たっての約束事を確認する。

2: 種目は患者に任せる。

3: 短期間で行えるものを選ぶ。

4: 手順と結果が明確なものを選ぶ。

5: 場面設定を一定にする。