25歳の女性。解離(転換)性障害。23歳時に結婚し,24歳ころから頭痛、吐き気、四肢のしびれ感と麻痺が出現するようになった。母親への依存と反発が強い一方で、性格のおとなしい夫に対して不満が強い。今回、過量服薬が疑われる意識障害で入院したが、一般状態が安定したので作業療法が開始された。作業療法開始時の対応で適切なのはどれか。
1: しびれと麻痺の原因を聞く。
2: 過量服薬の理由を聞く。
3: 母親との関係を聞く。
4: 葛藤と症状の関係を話し合う。
5: 興味のある活動を聞く。
78歳の女性。Alzheimer型認知症。物忘れが激しくなるに従い、何をするにも介護者である夫に頼り、そばを離れない状態となった。そのため、主治医にデイケアを勧められ、通所を開始した。在宅での生活を継続させるために作業療法で優先するのはどれか。
1: 体力の維持
2: 不安の軽減
3: 合併症の予防
4: 対人交流の拡大
5: ストレスの発散
うつ病の作業療法として適切なのはどれか。
1: 活発な言語的交流を促す。
2: 作品を完成させるよう励ます。
3: 自己判断が多い種目を選択する。
4: 休憩を取りやすいよう配慮する。
5: 病前の状態と比較しやすくする。
42歳の男性。アルコール依存症。事務職。35歳ころから飲酒による肝機能障害を呈する。最近、連続飲酒で長期無断欠勤となったため、本人も断酒を決意せざるを得なくなり入院となった。離脱症状の消褪後3週で作業療法が処方された。作業療法の初期評価で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.身体耐久性の評価イ.職場復帰の可能性ウ.断酒への決意の確認エ.家族間の力動の評価オ.他の患者との協調性の程度
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
67歳の女性。認知症。2年前ごろから身だしなみに気を遣わずに出かけるようになった。次第に同じ食事メニューを繰り返し作る、日常会話で相手の言葉をオウム返しにする、買い物をしても代金を払わず、とがめられても気にしないといったことが多くなったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1: 転倒しやすい。
2: 情動失禁がみられる。
3: 手続き記憶が損なわれる。
4: 時刻表的生活パターンがみられる。
5: 「部屋にヘビがいる」といった言動がある。
26歳の女性。感情が不安定でリストカットを繰り返している。これまでいくつも職歴があるが、いずれも対人的なトラブルが原因で辞めている。大量服薬をしたため精神科病院に入院となった。作業療法士の対応で適切でないのはどれか。
1: 有能感を満たす。
2: 判断を引き受ける。
3: 心理的距離を保つ。
4: 現実検討の機会を作る。
5: 衝動の統制を手助けする。
初老期うつ病の作業療法開始時の留意点で適切なのはどれか。
1: 静かな環境を設定する。
2: 回想法を導入する。
3: 病前に得意だった活動を導入する。
4: グループ活動を導入する。
5: 失敗したときはその都度励ます。
33歳の男性。ミュージシャンを志していたが、21歳時に統合失調症を発症し、2回の入院歴がある。3か月前から就労移行支援事業所への通所を開始し、支援によってコンサートホールの照明係のアルバイトに就いた。就労移行支援事業所のスタッフは、定期的に職場訪問を実施して本人と雇用主の関係調整を行っており、主治医やケースワーカーとも連携して支援活動をしている。この患者に行われているプログラムはどれか。
1: CBT〈Cognitive Behavioral Therapy〉
2: IPS
3: NEAR
4: SST
5: WRAP
9歳の男児。自閉症。外来通院時に作業療法を実施することとなった。作業療法室では落ち着きなく歩き回り、周囲の物音や人の数などの環境の変化によって自分の手を噛んだり、手で頭を打ったりすることがある。紙折りに取り組ませてもごく短時間しかできない。作業中に観察される行動はどれか。
1: 作業療法士の行動をまねる。
2: 失敗を修正しようとする。
3: 紙をクルクルと回し続ける。
4: 作品の出来映えにこだわる。
5: 作業療法士に援助を求める。
34歳の女性。掃除と整理整頓が趣味というほど几帳面な性格である。職場での昇進によって仕事量が増え、そのため夜遅くまで残り、懸命にこなすように努力していた。しばらくして、抑うつ状態になり、早朝覚醒、体重減少などの身体症状も出現し、精神科を受診した。抑うつ気分は朝方に強く、夕方に軽くなる傾向が認められる。この患者でみられやすいのはどれか。
1: まわりくどく説明する。
2: 他人からの依頼を断れない。
3: 早朝から友人に電話をかける。
4: 他人からの評価を気にしない。
5: 不必要なものをいろいろと買い込む。
86歳の女性。脳梗塞による左片麻痺、発症後1年半が経過した。ADLは介助すればおかゆなどの調理食を食べる以外は全介助、ドーナツ型の枕を使用してベッド上で臥床している。全身の筋萎縮、筋短縮と関節拘縮を著明に認める。退院時に介護保険を利用してベッドやマットを準備したが、体圧分散マットのような特殊マットは利用していない。作業療法士が自宅訪問したときのベッド上での肢位を示す。褥瘡予防と姿勢保持のために背臥位でポジショニングを行う。クッションを置く部位で正しいのはどれか。
1: 後頸部
2: 肩甲骨背面
3: 腰背部
4: 右大転子部
5: 両大腿内側
10歳の男児。学業成績は中位だが授業中に落ちつきがなく、隣の子に一方的に話しかける、落書きをする、忘れ物をするなどでよく注意を受けていた。片付けも苦手で自室は乱雑であった。心配した母親と共に精神科を受診し、外来作業療法が開始された。この男児に予測される作業療法での様子はどれか。
1: 同じ動作を繰り返す。
2: 根拠のない自信を示す。
3: 道具をしばしばなくす。
4: 詳細を作業療法士に確認する。
5: 手順にこだわって作業をする。
発病後間もないうつ病患者への対応で適切なのはどれか。
1: 気分転換になる活動を勧める。
2: 自殺についての話題は避ける。
3: 回復の可能性は高いことを強調する。
4: 心構えに問題があることを説明する。
5: 重大な決断は早く済ませるように促す。
統合失調症患者の退院を目的とした作業療法で適切でないのはどれか。
1: 生活のリズムを整える。
2: 体力を向上させる。
3: 症状の自己管理能力を向上させる。
4: 依存欲求を満たす。
5: 家族調整を行う。
精神遅滞(知的障害)の作業療法の目的で誤っているのはどれか。
1: 日常生活動作の獲得を目指す。
2: 作業体験の機会を提供する。
3: 対人交流の練習をする。
4: ストレス対処法を学ぶ。
5: 自己洞察を促す。
32歳の女性。アルコール依存症。美容師として働く兼業主婦。25歳ごろから飲酒量が増えた。現時点では、仕事や家事に大きな支障はない。このまま飲酒を続けていると大変なことになると思い、飲酒量を減らそうと努力しているが、飲み始めるといつも深酒してしまう。1人の力では断酒できないと悩み、自ら精神科病院を受診して入院治療を受けることになった。回復を目的とした作業療法の評価で最も重要度が高いのはどれか。
1: 見当識
2: 基礎体力
3: 金銭管理
4: 自己評価
5: 日常生活能力
19歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校卒業後スーパーマーケットに就職した。約1年経ったころから情緒不安定となり、幻覚・妄想に支配された異常な言動が活発になったので入院した。薬物療法によって入院3か月で一応の安定が得られたので作業療法の依頼があった。作業療法中に、「居ても立ってもいられない。じっとしていられない」と訴えて落ち着かなくなった。考えられる要因はどれか。2つ選べ。 ア.パーキンソニズムイ.遅発性ジスキネジアウ.急性ジストニアエ.アカシジアオ.精神症状の悪化
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
55歳の男性。慢性腎不全。高血圧症を合併。外来にて3年間、週2回前腕シャントによる人工透析を受けていた。日常生活で強い倦怠感を覚え独歩にて来院した。基礎体力改善のための運動療法で適切でないのはどれか。
1: 血圧はシャントのない側で測る。
2: 転倒に注意する。
3: 筋力強化は等尺性運動で行う。
4: ヘモグロビン値に注意する。
5: 運動指標として心拍数を利用する。
21歳の男性。大学入学後、クラスの中で強い緊張を感じ、身体のふるえや手掌の発汗が止まらなくなった。その後、自宅に引きこもるようになったため家族に伴われて精神科外来を受診した。外来作業療法に通うことになった。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 個室を使用する。
2: SSTを取り入れる。
3: 生活リズムを整える。
4: 自己評価の特徴を話し合う。
5: リラクセーションの練習をする。
57歳の女性。アルコール依存症。専業主婦。以前から台所で飲酒していたが、夫が退職したころから、昼夜に関係なく隠れ飲みするようになり、半年後に入院となった。入院後、著明な離脱症状はなかったが、しばらく不安、抑うつが続いた。薬物療法によって、これらの症状が軽減したので作業療法が処方された。作業療法導入時の対応で適切でないのはどれか。 ア.断酒の決意について聞く。イ.夫との関係について聞く。ウ.趣味について聞く。エ.作業種目について希望を聞く。オ.病室での一日の過ごし方を聞く。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ