20歳の男性。幼少期は一人遊びが多かった。小学校から高校までは成績は概ね良かったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し、外来で作業療法が開始された。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: ルールや取り決めを明示しておく。
2: 興味や関心のある活動を導入する。
3: 作業手順を言葉で細かく伝える。
4: 心理教育プログラムを行う。
5: パラレルな場を用いる。
32歳の男性。会社員。課長になってから会議が多くなり、会議中にマイクを持つ手が震え、激しい動悸と発汗が出現するようになった。次第に恥をかきたくないと、会議が恐怖となっていった。精神科外来受診後に外来作業療法を開始した。この患者の病態として適切なのはどれか。
1: 強迫性障害
2: 社会不安障害
3: 回避性人格障害
4: 身体表現性障害
5: 急性ストレス反応
14歳の男子。8歳時に軽度の注意欠陥・多動を伴う学習障害の診断を受けた。中学校(普通学級)に入学したが、最近、登校しないことが多くなった。進学準備の時期を迎えているが、生活リズムも乱れがちとなり、思春期外来への通院時に作業療法を実施することになった。当面の目標設定として適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.生活リズムの改善イ.問題解決能力の向上ウ.課題遂行能力の向上エ.親との関係の改善オ.作業療法の継続的参加
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
65歳の男性。意識が消失し緊急入院となった。発症後2日目においても意識障害は重度である。MRI拡散強調画像(別冊No.2A、B)を別に示す。この時点で行う管理で誤っているのはどれか。
1: 座位耐久性訓練
2: 肩関節の可動域訓練
3: 2時間毎の体位変換
4: 下腿三頭筋のストレッチ
5: 下腿に弾性ストッキング装着
65歳の男性。多系統萎縮症。日常生活活動では一部に介助を要するが、明らかな廃用症候群はみられない。最近、起床して布団から立ち上がるときに、ふらつきを強く感じるようになった。ふらつきの原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
1: 運動麻痺
2: 視覚障害
3: アテトーゼ
4: 協調運動障害
5: 起立性低血圧
統合失調症について正しいのはどれか。
1: 男性が女性より3倍多い。
2: 緊張型では昏迷がみられる。
3: 病前性格は循環気質が多い。
4: 死亡率は健常者と同じである。
5: 妄想型は破瓜型より発症年齢が低い。
16歳の女子。てんかん。IQ 80。5歳時に大発作が出現した。中学卒業までの間に数回の発作があったが、服薬で発作はコントロールされてきた。卒業後、アルバイトを始めて4か月経過した時点で、発作が出現した。その直後から自室に引きこもって何もしなくなり、外来受診も嫌がるようになった。本人は主治医に「自分には何もできない」「定時制高校で勉強したいが自信がない」と話し、本人と相談の結果、週3回の個人作業療法に参加することとなった。両親は「家事でもしてくれれば」と希望している。導入時の目標で適切なのはどれか。
1: 休まず作業療法に参加する。
2: 家事手伝いをするようになる。
3: 個人作業療法の場で同年齢の友人を作る。
4: アルバイトを再開する。
5: 定時制高校入学の準備を始める。
78歳の女性。Alzheimer型認知症。物忘れが激しくなるに従い、何をするにも介護者である夫に頼り、そばを離れない状態となった。そのため、主治医にデイケアを勧められ、通所を開始した。在宅での生活を継続させるために作業療法で優先するのはどれか。
1: 体力の維持
2: 不安の軽減
3: 合併症の予防
4: 対人交流の拡大
5: ストレスの発散
21歳の男性。大学入学後、クラスの中で強い緊張を感じ、身体のふるえや手掌の発汗が止まらなくなった。その後、自宅に引きこもるようになったため家族に伴われて精神科外来を受診した。外来作業療法に通うことになった。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 個室を使用する。
2: SSTを取り入れる。
3: 生活リズムを整える。
4: 自己評価の特徴を話し合う。
5: リラクセーションの練習をする。
55歳の男性。急性心筋梗塞後合併症なく4週で自宅退院となった。復職までの2か月は自宅療養の予定である。自宅療養中の生活指導として適切でないのはどれか。
1: 1日に1~2 kmの歩行
2: 休みながらの階段昇降
3: 脈拍120/分以下での自転車エルゴメーター
4: 洗車・ワックスがけ
5: ボルグ指数12以下での運動
75歳の男性。脳卒中による左片麻痺。ブルンストローム法ステージは上下肢ともIII。屋内はプラスチック短下肢装具装着で歩行、屋外は車椅子で移動することで退院計画を立てることになった。住宅改造の指導で適切でないのはどれか。
1: 廊下に横手すりを設置する。
2: あがりかまちにL字型手すりを設置する。
3: 玄関口とあがりかまちの間に座れる椅子を置く。
4: 玄関の出入り口の段差にスロープを設置する。
5: 廊下に毛足の長いじゅうたんを敷き詰める。
75歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後1か月で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。平行棒内歩行にて立脚相で図のような状況を呈した。立位歩行練習時の患側への対応で適切でないのはどれか。
1: 踵部の補高
2: 短下肢装具の使用
3: 膝屈曲位での立位保持練習
4: 前脛骨筋の治療的電気刺激
5: 下腿三頭筋へのタッピング
61歳の男性。BMI 27.5。前頭葉および側頭葉に著明な萎縮を認めて入院加療中。発語は発症前より減少しているが、エピソード記憶や手続き記憶は比較的残存している。自分の昼食を食べ終えた後も他人の食事や配膳車の残飯を勝手に取って食べる行為があり、取り戻そうとすると激しく怒り出す。午後の集団体操プログラムではすぐに立ち去ろうとする一方、カラオケには興味を示し、集中して数曲を歌う。食行動に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1: 減量の必要性を説明する。
2: 他の患者に状況を説明し、受容的に対応してもらう。
3: 毎回の昼食が終了次第、体操プログラムを導入する。
4: 毎回の昼食が終了次第、カラオケのプログラムを導入する。
5: 他人の食事を勝手に食べてはいけないことを言葉で簡潔に伝える。
70歳の女性。買い物での計算や自宅への道順を間違えるようになり、心配した家族に伴われて物忘れ外来を受診した。Alzheimer型認知症と診断され外来作業療法を開始した。患者は「どうして私がここへ来ないといけないの」、「だまされた。帰りたい」と訴えて興奮することが多い。この時期の患者に対する作業療法の目的として適切なのはどれか。
1: 食事動作の維持
2: 精神的混乱の軽減
3: 廃用症候群の予防
4: 非言語的交流の活用
5: 福祉用具の適用評価
65歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後3か月。1か月前から平行棒内で歩行練習を行っている。現在の歩行パターンを図に示した。この症例の一歩行周期における二重支持期の時間で正しいのはどれか。ただし、図の数値は経過時間を示す。
1: 0.6秒
2: 1.0秒
3: 1.6秒
4: 2.0秒
5: 2.7秒
17歳の女子。転換性障害。高校1年の2学期終了前にボーイフレンドと別れてから欠席がちとなり、頭痛、肩こり、無気力を訴えた。進級後も欠席が多く大学病院を受診したが、症状の改善がみられず2か月入院した。入院中に手首を切ったことがある。その後、復学したが教室で頻回に倒れ再入院となった。復学を目的に作業療法が処方された。作業療法開始後、1か月経過。作業療法室で突然に転倒することが頻回にあるが、けがはない。転倒時の作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 倒れた状態を確認してそのまま観察する。
2: ベルトをゆるめたり、ボタンをはずしたりして呼吸を楽にする。
3: 抱き起こして意識の有無を確認する。
4: すぐに主治医を呼び手当をしてもらう。
5: 周りの患者に手伝ってもらい別室に運び休ませる。
38歳の男性。30歳ころから歩行時にふらふらする感じを自覚していた。最近、階段昇降で手すりが必要となり、構音障害と上肢の協調性低下も出現した。症状が徐々に進行し、屋内つたい歩きとなったため入院した。意識は清明。知能は正常である。感覚障害はなく、病的反射も認めない。兄も同様の症状を呈している。MRI(写真①~⑤)を示す。この症例はどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
30代前半の男性。システムエンジニア。自転車走行中に自動車とぶつかり、外傷性脳損傷を生じ入院となった。作業療法は受傷後20日目から開始。麻痺はみられない。病棟では、食事、更衣、整容、排泄などは自立しているが、トイレや病室の場所が覚えられない、今日の日付が分からない、担当者の顔は分かっているが名前が覚えられない、などがみられた。この患者に行う評価で必要性が低いのはどれか。
1: RBMT
2: 前頭葉機能検査(FAB)
3: Trail making test(TMT)
4: 標準高次動作性検査(SPTA)
5: Mini mental state examination(MMSE)
56歳の男性。左片麻痺。脳梗塞発症後3 か月経過。ブルンストローム法ステージは上肢III、手指III、下肢IV。認知や感覚に問題はない。この患者の動作指導で適切でないのはどれか。
1: 寝返りでの肩甲帯の前方突出と肩関節内転
2: 前開きシャツの袖通しでの肘伸展
3: ファスナー開閉での母指と示指での側腹つまみ
4: 食事中のテーブル上での上肢保持
5: 小物入れ保持での肩内旋・肘屈曲
8歳の男児。幼児期より落ち着きがなくじっとしていられず、家族で外出した際にはよく迷子になり、両親も養育に困難を感じていた。小学校に入学してからは、授業中に勝手に席を立って歩き出したり、順番を守ることも難しく、日常的に忘れ物や落とし物も多く、うっかりミスをして教師に注意されるが、その後も同じミスを繰り返していた。授業中は周囲の雑音に注意を削がれて勉強に集中できず、最近では学業不振が目立ち始めたため放課後等デイサービスで作業療法士が対応することになった。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。
1: 感覚統合療法を実施する。
2: ペアレントトレーニングを実施する。
3: 社会生活技能訓練〈SST〉を実施する。
4: 学校を訪問して授業の様子を観察する。
5: 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。