76歳の男性。誰もいないのに「自分の布団に知らない子どもが寝ている」と訴え、妻に連れられて受診した。妻の話では、数年前から些細な物忘れが増え、日中ぼう然としていることも多いという。歩行中に転倒することも増えてきているという。作業療法室でみられるこの患者の特徴はどれか。
1: 些細なことで泣き出す。
2: 他人の物を勝手に持っていこうとする。
3: 時間どおりに来室し必ず同じ席に座る。
4: わからない質問に対し言い繕って答える。
5: 日によって意識レベルの低下度合いが異なる。
75歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後1か月で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。平行棒内歩行にて立脚相で図のような状況を呈した。立位歩行練習時の患側への対応で適切でないのはどれか。
1: 踵部の補高
2: 短下肢装具の使用
3: 膝屈曲位での立位保持練習
4: 前脛骨筋の治療的電気刺激
5: 下腿三頭筋へのタッピング
60 歳の女性。筋萎縮性側索硬化症。下肢の痙縮が強く、介助歩行でははさみ足の傾向がある。手指は鷲手変形を呈し、上肢近位部の筋力は2。最近、嗄声が進行している。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: ベッド上動作を容易にするため滑りやすい布をシーツとして使う。
2: 夜間家族を呼ぶため足スイッチコールを設置する。
3: PSBと万能カフを用いて食事をする。
4: ストロー付カップで補水をする。
5: 1スイッチ入力コミュニケーションエイドを使う。
70歳の女性。7年前にパーキンソン病の診断を受けた。現在、ヤールの重症度分類はステージIII。夫、息子夫婦と同居。発症前は夫とシルバーダンスクラブに所属し活躍していた。作業療法の指導として適切でないのはどれか。
1: 着座するときは椅子に下肢が触れてから腰をおろす。
2: 歩き出すときは「イチ、ニ、イチ、ニ」と掛け声をかける。
3: 歩行中に方向転換するときは一旦立ち止まる。
4: 趣味活動は同一姿勢で行うものにする。
5: 物を取るときは目で位置を確認して手を伸ばす。
66歳の女性。左変形性股関節症。後方アプローチによる人工股関節全置換術を受けた。全荷重で術後リハビリテーション中である。退院後の生活指導として正しいのはどれか。
1: 和式トイレを使用する。
2: 椅子に座る際には足を組む。
3: 椅子は通常よりも低いものを選ぶ。
4: 床のものを拾うときには非術側を前に出す。
5: 端座位で靴にかかとを入れるときは外側から手を伸ばす。
Parkinson病のすくみ足への対処法で誤っているのはどれか。
1: 常に同じ側の足から踏み出させる。
2: 一旦、足を後ろへ引いてから踏み出させる。
3: 「いち、に」などの声を出しながら踏み出させる。
4: 床にはしご状の目印を付けてまたがせる。
5: 目標物を注視させて歩かせる。
83歳の男性。大腿骨頸部骨折で入院中。受傷前は屋内歩行が自立していた。自宅退院に向けた準備を開始した。適切でないのはどれか。
1: 便座の高さは30 cmにする。
2: 玄関スペースは車椅子用に130 cm×130 cm確保する。
3: 洗い場、浴槽内とも滑り止めを敷く。
4: 廊下に足元灯をつける。
5: ベッドに移動バーをつける。
45歳の男性。筋萎縮性側索硬化症。発症から1年経過している。ADLは自立しているが、主に下肢の筋力低下、バランス不良および鶏歩が認められる。理学療法で適切なのはどれか。
1: 車椅子操作の練習
2: 下肢の漸増抵抗運動
3: 両松葉杖での歩行練習
4: 感覚再教育によるバランス練習
5: プラスチックAFOを装着した歩行練習
75歳の男性。脳卒中による左片麻痺。ブルンストローム法ステージは上下肢ともIII。屋内はプラスチック短下肢装具装着で歩行、屋外は車椅子で移動することで退院計画を立てることになった。住宅改造の指導で適切でないのはどれか。
1: 廊下に横手すりを設置する。
2: あがりかまちにL字型手すりを設置する。
3: 玄関口とあがりかまちの間に座れる椅子を置く。
4: 玄関の出入り口の段差にスロープを設置する。
5: 廊下に毛足の長いじゅうたんを敷き詰める。
67歳の男性。Lewy小体型認知症。退職しているにもかかわらず時々会社に行こうとするが、説明をすると納得する。「子供が部屋の中にいる」と訴えることが増えた。日常の動作は緩慢となり、歩行も困難になったため入院した。この患者に対する作業療法の際に適切なのはどれか。
1: 幻視の訴えを正す。
2: 身体の活動量を減らす。
3: リズムのある反復動作は避ける。
4: 転倒しやすいことを本人に伝える。
5: 過覚醒を防ぐために照明を暗くする。
Parkinson病のすくみ足を改善させる方法はどれか。
1: 足下を注視する。
2: 体幹を屈曲する。
3: 踵を持ち上げる。
4: 一歩目を小さく前に出す。
5: 床に引かれた横線をまたぐ。
68歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後3か月時、腰掛座位において図のように右上下肢で接触面を強く押して左側に転倒する現象を認めた。座位バランス獲得のための理学療法で適切でないのはどれか。
1: 鏡で姿勢の傾きを認知させる。
2: 座面を上げて両下肢を浮かせる。
3: 治療者が左側から繰り返し押し返す。
4: 右上肢を前方のテーブルに載せる。
5: 点滴棒など垂直指標に体幹を合わせる。
70歳の男性。変形性膝関節症に対する人工関節全置換術後6週経過。全荷重歩行可能。日常生活の指導で誤っているのはどれか。2つ選べ。 ア.和式トイレ動作イ.あぐら座位ウ.シャワー椅子座位エ.T字杖歩行訓練オ.固定自転車こぎ
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
パーキンソン病患者(ヤールの重症度分類ステージIII)の理学療法で正しいのはどれか。
1: 寝返り動作では体幹を丸太状にして身体を回旋させる。
2: 椅子からの立ち上がりでは身体重心を後方に移動させる。
3: 立位保持では脊柱を前屈して重心を前方に移動させる。
4: 平地歩行では歩行路に設置した横線をまたぎ歩かせる。
5: 階段昇降では下肢のリズムに合わせて両腕を大きく振らせる。
58歳の男性。パーキンソン病でヤールの重症度分類はステージIII。運動に対する意欲は強い。運動療法で適切でないのはどれか。
1: 棒体操
2: メトロノームで足踏み練習
3: 歩行率を高めた歩行練習
4: マット上での寝返り練習
5: 目印に沿った歩行練習
57歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。発症後3か月経過。分回し歩行で歩行時に内反尖足と反張膝とがみられる。足関節は他動的に背屈すると、かろうじて0゚まで矯正可能である。理学療法で誤っているのはどれか。
1: 患側膝軽度屈曲位での体重支持訓練
2: 前脛骨筋のバイオフィードバック療法
3: 下腿三頭筋のストレッチング
4: ハムストリングスの促通
5: 下肢の伸展・内転・外旋PNFパターンの使用
70歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。Brunnstrom法ステージは下肢Ⅲ。関節可動域制限はない。ダブルクレンザック足継手付き両側金属支柱型短下肢装具を用いて歩行練習を実施している。足継手を背屈0~20度で可動するように設定すると左立脚中期に膝折れが出現した。装具の調整で正しいのはどれか。
1: 足継手の可動範囲を背屈0~5度に設定する。
2: スウェーデン式膝装具を併用する。
3: Tストラップを追加する。
4: 外側ウェッジを入れる。
5: 装具の踵を高くする。
すくみ足現象がみられるParkinson病患者の歩行練習を理学療法士の近位見守り下で実施した。このときの練習法で適切でないのはどれか。
1: 横歩き
2: 階段昇降
3: スラローム歩行
4: 歩隔を狭めた歩行
5: メトロノームの音を活用した歩行
62歳の男性。心筋梗塞発症当日に入院。発症後3日から理学療法を開始している。合併症はない。発症後5日の理学療法で適切でないのはどれか。
1: ベッド上での肘関節自動運動
2: ベッド上での足関節自動運動
3: 両下肢の他動運動
4: ギャッチベッド上での座位
5: ブリッジ運動
45歳の女性。脊髄小脳変性症。ADLは自立している。独歩は可能で、会社へは電車で通勤している。最近ふらつきが多くなり、時に転倒することがあるという。この患者に指導する内容として適切なのはどれか。
1: 杖歩行
2: 片脚起立訓練
3: 下肢のスクワット訓練
4: 職場での車椅子の使用
5: リズムに合わせた歩行訓練