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第50回午後:第18問

82歳の女性。認知症。会社員の娘と認知症初期の夫との3人暮らしで、家族に介護されている。患者は興奮すると夫に暴言を吐き、物を投げつけ、不安が強くなると仕事中の娘に十数回電話する状況である。集団を嫌いデイサービスの利用は拒否していたため、訪問作業療法の指示が出た。まず行うべきなのはどれか。  

1: 服薬指導

2: 家族への助言

3: 身体機能の維持

4: 趣味活動の拡大

5: 記憶障害の改善

第56回午後:第14問

20歳の女性。高校卒業後、コンビニエンスストアの仕事についた。2年が経過した頃、人手不足もあり業務に追われる状態が続いた。次第に集中困難、頭が回らない感覚、不眠、動悸や呼吸困難感が現れ始め、休職するに至った。約1か月の自宅療養で呼吸困難感は軽減したが、頭痛、めまいによる歩行のふらつき、不眠が出現し、たえず漠然とした不安に襲われ外に出られなくなった。その様子を心配した家族が本人を連れて精神科を受診し、外来作業療法が導入された。導入時の作業療法で最も適切なのはどれか。  

1: 全身のストレッチ

2: 高負荷の歩行訓練

3: ワークサンプル法による職業訓練

4: 遂行機能に対する認知リハビリテーション

5: 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ

  • 答え:1
  • 解説:この患者は、漠然とした不安を呈しており、全般性不安障害が疑われる。外来作業療法の導入期では、心身の疲労に留意し、リラクゼーションを促す方法が適切である。
  • 全身のストレッチは、身体のリラクゼーションを促し、患者にリフレッシュした気分を醸成させることができる。これにより、活動の導入をはかることができる。
  • 高負荷の歩行訓練は、患者に疲労をもたらし、動悸や呼吸困難感の実体験とつながってしまうため、適切ではない。
  • ワークサンプル法による職業訓練は、患者にとって心理的ストレスが高く、作業療法導入時には適切ではない。職場での業務が発症の起因となっていると推察されるため、休職後も症状が残っている状態では、職業に関する作業は避けるべきである。
  • 遂行機能に対する認知リハビリテーションは、この患者の症状について遂行機能の問題が記述されていないため、必然性がなく、適切ではない。
  • 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイは、職業に関することであり、選択肢3と同じ理由でこの患者の導入時期に行うことは適切でない。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第42回午前:第33問

18歳の男子。大学入学後、サークル活動時に不潔恐怖が出現し、手洗いが頻回となり、1時間以上も続けるようになった。本人の希望で精神科を受診し、入院となった。1週後に作業療法が開始された。開始時の作業療法で正しいのはどれか。  

1: 疲労軽減のため音楽を聴く。

2: 作業療法中の手洗い行為を禁止する。

3: 対人関係改善のためSSTを行う。

4: 意欲向上を目的として運動を行う。

5: 大学生活の過ごし方を話し合う。

第54回午後:第18問

14歳の女子。生来健康で活発であった。6か月前からダイエットを契機に拒食や過食嘔吐をするようになり、体重が58 kg(身長158 cm)から41 kgまで減少した。心配した母親に連れられて精神科を受診し、入院となった。3週後、体重は47 kgを超えて作業療法が開始となったが、部屋にある料理の本をずっと眺めており「したいことに集中できない」と訴えた。この患者に対する作業療法士の声かけで適切なのはどれか。  

1: 「気分転換できる作業を探しましょう」

2: 「復学に向けた計画を考えていきましょう」

3: 「料理に興味があるのですね。簡単なものから作ってみましょう」

4: 「食物から距離を取るために、ここでは料理の本を見るのはやめましょう」

5: 「休養が大事な時期です。何もせずゆっくり過ごすことを目標にしましょう」

  • 答え:1
  • 解説:この患者は摂食障害と考えられ、作業療法では症状にとらわれず楽しめる時間を提供することが重要です。患者が「したいことに集中できない」と訴えているため、気分転換できる作業を探すことが適切な声かけとなります。
  • 患者が食べることや食事にとらわれて他のことに目が向かない状態から注意をそらし、作業を介した楽しむ時間をもつことが重要であるため、「気分転換できる作業を探しましょう」という声かけが適切です。
  • 現時点で患者からの復学の希望は聞かれておらず、作業療法も開始したばかりの時期であるため、「復学に向けた計画を考えていきましょう」という声かけは時期尚早です。
  • 摂食障害の患者に対しては、食べることや料理など、症状と関連することにとらわれずに、作業を介した楽しむ時間をもつことが重要であるため、「料理に興味があるのですね。簡単なものから作ってみましょう」という声かけは適切ではありません。
  • 摂食障害の患者が食べることから意識をそらすためには、別のものを意識させて注意を向けさせるほうがよいですが、「食物から距離を取るために、ここでは料理の本を見るのはやめましょう」という声かけは否定的な体験が上回ってしまう可能性があるため適切ではありません。
  • 患者は現在体重が増えつつあり、休養を要する時期は脱していると考えられるため、「休養が大事な時期です。何もせずゆっくり過ごすことを目標にしましょう」という声かけは適切ではありません。この時期には軽めの身体的活動をさせ、自分の身体の状態に気づけるようにすることが重要です。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第50回午後:第17問

24歳の女性。高校の授業で教科書を音読する際に声が震えて読めなくなり、それ以降、人前で発表することに恐怖感を抱くようになった。就職後、会議のたびに動悸や手の震え、発汗が生じるようになり、「変だと思われていないだろうか」、「声が出るだろうか」と強い不安を感じるようになった。最近になり「人の視線が怖い」、「会議に出席するのがつらい」と言うようになり、精神科を受診し外来作業療法が開始された。この患者に対する作業療法士の初期の対応で適切なのはどれか。  

1: 会議準備を十分行うよう助言する。

2: 人前で発表する練習を取り入れる。

3: リラクセーションを指導する。

4: 集団作業療法を基本とする。

5: 体力の向上を促す。

第41回午前:第39問

19歳の男性。てんかん。IQ 70。養護学校卒業後にクリーニング店に就職した。仕事ののみ込みが悪いと店主に注意されたことがきっかけで仕事に行けなくなり、家に引きこもりがちとなった。時々家族に暴力を振るうようになり、家族が主治医に相談した結果、外来作業療法が処方された。本人、家族とも「仕事ができれば」と希望を語っている。この患者の就労支援で適切でないのはどれか。 ア.障害者職業センターで評価を受ける。イ.援護寮を見学する。ウ.作業療法士が就職先を紹介する。エ.通院患者リハビリテーション事業を紹介する。オ.ハローワークの障害者窓口で相談する。  

1: ア、イ

2: ア、オ

3: イ、ウ

4: ウ、エ

5: エ、オ

第57回午前:第15問

21歳の男性。大学生。1年前から様々な場面で不安感が出現し、急に動悸やめまいがして大量の汗をかくようになった。最近は特に理由もなく、いらいらして落ち着かず、窒息感や脱力感、抑うつ、吐き気がひどくなり、大学にも通えず日常生活にも支障が出るようになった。精神科クリニックを受診し、外来作業療法を受けることになった。この患者の作業療法場面でみられる特徴はどれか。2つ選べ。  

1: 演技的行動

2: 呼吸促迫

3: 集中困難

4: 常同行為

5: 連合弛緩

  • 答え:2 ・3
  • 解説:この患者は全般性不安障害の症状が見られており、作業療法場面で特徴的な症状は呼吸促迫と集中困難です。
  • 演技的行動は演技性パーソナリティ障害の特徴であり、この患者の症状とは関連がありません。
  • 呼吸促迫は全般性不安障害において自律神経過活動の症状の一つであり、この患者の症状と一致します。
  • 集中困難は全般性不安障害の症状であり、落ち着きのなさや不安感からくるもので、この患者の症状と一致します。
  • 常同行為は前頭側頭型認知症に見られる症状であり、この患者の症状とは関連がありません。
  • 連合弛緩は統合失調症の症状であり、この患者の症状とは関連がありません。
  • 科目:その他の身体障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第49回午前:第17問

13歳の男子。幼児期は図鑑をひとりで眺めて過ごしていた。小学校に入ると、しつこく意味を確認する癖や協調性がとれないことを教師に注意されることが多くなり、級友からいじめられるようになった。最近、級友の話し声に過敏に反応したり、家族への暴言と暴力が頻繁となり入院となった。この患者に対する作業療法実施時の声かけとして適切なのはどれか。  

1: 「この作業をしてみたいですか」

2: 「休みは適当にとってください」

3: 「周囲の人に配慮して行動してください」

4: 「その作業の難しい点はどの辺りですか」

5: 「私の話す説明をよく覚えて作業に取り掛かってください」

第40回午前:第87問

不潔恐怖のある強迫性障害患者が作業療法場面で見せる特徴で適切でないのはどれか。  

1: 予定通り行われることにこだわる。

2: 他の人が触れたものを避ける。

3: 手順に間違いがないか確認する。

4: 作業療法士に手洗いを要求する。

5: 自分のこだわりに無自覚である。

第44回午前:第34問

48歳の男性。市役所に勤務。住民の苦情に対応する業務に就いたころから、不眠、食欲不振、意欲低下および思考抑制が始まった。3か月間の休職を取り自宅療養をしていたが「自分は役に立たない」と言い、希死念慮を認めたため入院となり、2週後から作業療法が開始された作業療法の初期評価で把握すべき内容として適切でないのはどれか。  

1: 興味関心

2: 身体症状の有無

3: 病前の生活状況

4: 現在の睡眠状態

5: 集団への参加技能

第38回午前:第38問

52歳の男性。アルコール依存症。45歳ころからアルコールによる肝炎で入退院を繰り返し離婚した。単身生活になって飲酒が一層激しくなり、食事も摂らず泥酔状態が続くところを保護されて入院した。離脱症状が消失した時点で作業療法が開始されたが、落ち込んだ様子や自己中心的な行動が見られたり、理由なく作業療法を欠席したりすることがある。この時点での作業種目で適切なのはどれか。  

1: マクラメ

2: 散歩

3: パソコン操作

4: 革細工

5: 木工

第36回午前:第31問

17歳の男子高校生。恐怖症。2人兄弟の兄。弟とふざけていて、弟が持つボールペンの先が本人の手掌部に突き刺さった。傷は短期間で治癒したが、それ以後ボールペンや包丁などの先の尖ったものを怖がるようになり、勉強も手につかず、不登校となった。弟に対する暴力も時々みられた。通院を開始し、3か月が経過したが、尖端に対する恐怖心や不登校は持続している。この時点で作業療法が開始された。作業療法開始時の作業療法士の対応で適切でないのはどれか。  

1: 適度な距離をおいて接する。

2: 作業療法の場でできることを説明する。

3: 作業活動は生活体験に基づいたものを用いる。

4: 努力・成果を認めるようにする。

5: 症状の意味を伝える。

第56回午前:第16問

19歳の女性。大学1年生。小学生の時より、水泳に秀でていて競技大会では常に優勝を競うほどであった。しかし、高校時代にスランプに陥り当時身長160 cm、体重58 kgであったが体重を落とせば記録が伸びると思い込み、ダイエットをしているうちに無月経になり、気づくと体重32 kgになっていた。心配した母親が本人を説得し病院の精神科外来を受診したところ低栄養で危機的状況にあると医師が判断し精神科病棟への入院を勧めたが、病識のない本人は納得せず、母親の同意による医療保護入院となった。その後作業療法に参加するようになり、1週間が経過した。患者に対する作業療法士の関わり方で適切なのはどれか。  

1: 集団作業療法を勧める。

2: 食事の摂取を積極的に促す。

3: 現在取り組めていることを認める。

4: 高校時代のスランプについて深く聞く。

5: 食べ物を隠れて捨てるのを見つけたら叱る。

  • 答え:3
  • 解説:この患者は摂食障害と推察され、急性期にあると予想できます。作業療法士として適切な関わり方は、患者が取り組めていることを認め、自尊心を保ちながら治療に参加する手段を提供することです。
  • 急性期で作業療法が開始されて間もない時期であり、個別作業療法が望ましいため、集団作業療法を勧めるのは適切ではありません。
  • 患者には病識がないため、摂食を積極的に促しても効果は乏しいです。適切な関わり方ではありません。
  • 現在取り組めていることを認めることで、患者が自尊心を保って行動を開始する手段にできます。これが適切な関わり方です。
  • 患者の病態中心にある「スランプ」の体験を語らせることは、心理療法としても難易度が高く、作業療法が開始された時期には適切でないです。低栄養の時期には脳機能が低下し、感情の制御や自己認識が適切にできないことがあるため、この選択肢は適切ではありません。
  • 食べ物を隠れて捨てる行為を叱ると、患者の自尊心を傷つけることがあります。食事に対する自分の行動と自意識を他者から否定されることなく承認されると、患者の治療参加を促すことにつながります。この選択肢は適切ではありません。
  • 科目:その他の精神障害
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第36回午前:第84問

転換性障害患者に対する作業療法の留意点で適切でないのはどれか。  

1: 不安感の緩和

2: 生活リズムの安定化

3: 身体症状の解釈

4: 意欲の向上

5: 家族関係の調整

第43回午前:第32問

48歳の男性。妻と二人暮らし。昇進後しばらくして、不眠・食欲不振等の体調不良を訴え始めた。些細な事を気にして「考えがまとまらない。楽しいと感じることがない」などと言ってふさぎ込むようになった。近くの精神科病院を受診し、うつ病と診断され入院となった。入院後1か月で睡眠が取れるようになったが、抑うつ気分は続いている。この時点で作業療法が開始された。作業療法開始時の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 病状認識の促し

2: 病前生活への復帰

3: 生活リズムの回復

4: 社会的役割の提供

5: 不安の軽減

第46回午後:第13問

29歳の女性。歩行困難を主訴に整形外科外来を受診したが、検査では異常は認められなかった。紹介されて精神科外来を受診し、入院することとなった。手足がふるえ、軽い麻痺のような脱力があり、自立歩行ができないため車椅子を使用している。立位保持や移乗に介助を必要とし、ADLはほぼ全介助である。この患者の障害はどれか。  

1: 社会恐怖

2: 強迫性障害

3: 離人性障害

4: 転換性障害

5: パニック障害

第52回午前:第45問

発病後間もないうつ病患者への対応で適切なのはどれか。  

1: 気分転換になる活動を勧める。

2: 自殺についての話題は避ける。

3: 回復の可能性は高いことを強調する。

4: 心構えに問題があることを説明する。

5: 重大な決断は早く済ませるように促す。

第48回午後:第17問

19歳の女性。大学入学後、ファッションモデルに憧れてダイエットを始めた。身長は162 cm、体重は半年間で52 kgから33 kgに減少した。ランニング中に意識を失って救急搬送された。その後、精神科に入院し、作業療法が開始された。この疾患の特徴はどれか。  

1: 活動性が低い。

2: 病識を有する。

3: 躁状態になりやすい。

4: 自分の感情に鈍感である。

5: 人からの評価を気にしない。

第41回午前:第92問

身体表現性障害の患者に対する作業療法士の対応で適切でないのはどれか。  

1: 受容的・支持的に関わる。

2: 矛盾する身体症状の理由を話し合う。

3: 葛藤解決や対処方法を話し合う。

4: アンビバレンツな言動を許容する。

5: 心理的距離を保つ。

第54回午前:第14問

20歳の男性。1年浪人した後に大学に入学し親元を離れた。夏休みに帰省した時に独語や空笑が目立ち始め、バイクに乗って信号無視したところを警察に捕まった。事情聴取の中で「逃げないと殺される」といった支離滅裂な言動がみられたため、連絡を受けた両親に付き添われ精神科を受診し入院となった。入院から1か月後、幻聴と妄想が減弱したところで作業療法が開始となった。この時点での作業療法の役割で正しいのはどれか。  

1: 自信の回復

2: 疲労度の調整

3: 達成感の獲得

4: 対人交流の拡大

5: 身辺処理能力の回復