24歳の女性。幼少時に母親から虐待を受けていた。高校中退後から仕事を転々としている。男性との関係は不安定で別れ話のたびに大量服薬を繰り返した。いつもむなしくて死にたい気持ちがあると自覚して、精神科クリニックを受診した。この患者にみられない特徴はどれか。
1: 理想化
2: 行動化
3: 身体化
4: 物盗られ妄想
5: ストーカー行為
18歳の女子。高校生。好意を寄せている男性について「彼はスマートな子が好きらしい」という話を友人から聞いたことをきっかけにダイエットを始めた。食べたいという気持ちと痩せたいという気持ちを両立させるため、“食べた直後に故意に吐く”という行為を繰り返すうち、食べ物の量と食べる回数とが増えていった。冷蔵庫の中身の異常な減り方に気付いた母親に連れられ精神科病院を受診した。この時期の作業療法士の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 作品の自己管理を促す。
2: 患者の得意な作業種目を提供する。
3: 工程数が多い作業を取り入れる。
4: その都度作業の進め方を指示する。
5: 集団作業療法を導入する。
9歳の男児。自閉症。外来通院時に作業療法を実施することとなった。作業療法室では落ち着きなく歩き回り、周囲の物音や人の数などの環境の変化によって自分の手を噛んだり、手で頭を打ったりすることがある。紙折りに取り組ませてもごく短時間しかできない。作業中に観察される行動はどれか。
1: 作業療法士の行動をまねる。
2: 失敗を修正しようとする。
3: 紙をクルクルと回し続ける。
4: 作品の出来映えにこだわる。
5: 作業療法士に援助を求める。
20歳の男性。統合失調症(精神分裂病)。 1か月前、街中で「誰もがお前を殺してやると言っている。やられる前にやらなければ」と言って暴れたため入院。入院後も「お前なんか殺してやると言われるので不安で落ち着かない」という訴えが続いている。「やられる前にやらなければ」という考えのもとにある症状はどれか。
1: 自閉
2: 強迫観念
3: 被害妄想
4: 作為体験
5: 感情鈍麻
20歳の女性。境界性人格障害。中学時代から拒食、嘔吐、極端なやせとリストカットが始まり、不登校となった。摂食行動や不登校を注意されると、「自分の気持ちを誰も分かってくれない」と言い、リストカットをする。高校中退後もその状態が続いた。職に就かないことを母親に指摘されたのをきっかけに、薬物による自殺企図で入院となった。入院3か月後には、一応の安定がみられたため作業療法が開始された。参加2週間後、作業療法中に過呼吸症候群となった。その場は主治医の処置で症状が消失した。今後の対応について適切でないのはどれか。
1: 呼吸困難時の状況を患者に聞く。
2: 患者が望むときは時間外の面接も行う。
3: 場面設定に問題がないか再検討する。
4: 患者との治療関係を検討する。
5: 主治医、病棟スタッフと対応を話し合う。
10歳の男児。学業成績は中位だが授業中に落ちつきがなく、隣の子に一方的に話しかける、落書きをする、忘れ物をするなどでよく注意を受けていた。片付けも苦手で自室は乱雑であった。心配した母親と共に精神科を受診し、外来作業療法が開始された。この男児に対する作業療法での対応で適切なのはどれか。
1: 小集団活動に導入する。
2: 強い口調で指示を伝える。
3: ほめずに見守りを重視する。
4: 作業手順を詳細に説明する。
5: 問題行動には触れずにおく。
68歳の女性。アルツハイマー型痴呆。最近、臥床傾向が強くなり、抑うつ的で食事・入浴などに拒否的となり入院した。入院後約2週で臥床傾向も改善し始め、食事・入浴などは拒否せず誘導に応じるようになった。作業療法の内容設定で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.変化に富んだ設定イ.複数の課題のある設定ウ.刺激を制限した設定エ.安心感のある設定オ.手順の多い設定
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
19歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校卒業後スーパーマーケットに就職した。約1年経ったころから情緒不安定となり、幻覚・妄想に支配された異常な言動が活発になったので入院した。薬物療法によって入院3か月で一応の安定が得られたので作業療法の依頼があった。作業療法中に、「居ても立ってもいられない。じっとしていられない」と訴えて落ち着かなくなった。考えられる要因はどれか。2つ選べ。 ア.パーキンソニズムイ.遅発性ジスキネジアウ.急性ジストニアエ.アカシジアオ.精神症状の悪化
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
28歳の男性。統合失調症。持続性の幻聴や被害妄想のため、21歳から入退院を繰り返していたが「働きたい」という本人の希望を尊重して、一般就労を目指して支援することになった。作業療法士を含めた多職種によって生活を支援する一方、地域障害者職業センターやハローワークと協力して、マッチングを図りながら24か月を限度に支援を行っている。この患者が受けている就労支援サービスはどれか。
1: 就労移行支援
2: 職場適応訓練
3: リワーク支援
4: 就労継続支援A型
5: 就労継続支援B型
76歳の女性。物忘れのために日常生活で失敗が目立った。最近、夫の浮気を疑うようになり、顔を合わせると興奮し物を投げるなどの行為がみられる。息子が誤りであることをいくら説明しても納得しない。この患者の精神症状を評価する尺度として適切なのはどれか。
1: HRS-D
2: NPI
3: POMS
4: SANS
5: SDS
21歳の男性。大学入学後、クラスの中で強い緊張を感じ、身体のふるえや手掌の発汗が止まらなくなった。その後、自宅に引きこもるようになったため家族に伴われて精神科外来を受診した。この疾患の特徴はどれか。
1: 思春期に好発する。
2: 回避傾向がみられる。
3: 強迫行為が主症状である。
4: 患者の大多数が男性である。
5: 見知らぬ人と同席できない。
24歳の女性。高校の授業で教科書を音読する際に声が震えて読めなくなり、それ以降、人前で発表することに恐怖感を抱くようになった。就職後、会議のたびに動悸や手の震え、発汗が生じるようになり、「変だと思われていないだろうか」、「声が出るだろうか」と強い不安を感じるようになった。最近になり「人の視線が怖い」、「会議に出席するのがつらい」と言うようになり、精神科を受診し外来作業療法が開始された。この患者に対する作業療法士の初期の対応で適切なのはどれか。
1: 会議準備を十分行うよう助言する。
2: 人前で発表する練習を取り入れる。
3: リラクセーションを指導する。
4: 集団作業療法を基本とする。
5: 体力の向上を促す。
40歳の女性。長年のアルコール摂取による肝硬変、膵炎および2次性糖尿病の合併症がある。飲酒を継続し家事ができなくなったことにより夫婦間の口論が多くなり、夫に連れられて精神科を受診し、入院となった。離脱症状が治まり、作業療法が開始された。作業療法士の支援で適切なのはどれか。
1: SSTを実施する。
2: 他者との協調行動を促す。
3: 酒害に関する心理教育を行う。
4: 作業療法士への依存は容認する。
5: 作業に対する頑張りを強化する。
72歳の男性。アルツハイマー型認知症(認知症性老人の日常生活自立度判定基準ランクIV)。5年前に発症してデイケア通所をしていた。徘徊や興奮のために在宅介護が困難となり、老人性認知症疾患治療病棟に入院した。集団活動を用いて情緒の安定と精神活動の活性化を図るときに、導入設定として適切なのはどれか。
1: 覚醒度を上げる身体活動を用いる。
2: 活動内容に変化をもたせる。
3: 役割をもたせる。
4: 共同の描画作品に参加させる。
5: 活動時間は2時間程度とする。
26歳の女性。異性問題でリストカットを繰り返し入院となった。その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている。入院後2週が経過して作業療法が処方された。この患者にみられやすいのはどれか。
1: 心気症
2: 注意障害
3: 強迫症状
4: させられ体験
5: 見捨てられ恐怖
78歳の女性。Alzheimer型認知症。物忘れが激しくなるに従い、何をするにも介護者である夫に頼り、そばを離れない状態となった。そのため、主治医にデイケアを勧められ、通所を開始した。在宅での生活を継続させるために作業療法で優先するのはどれか。
1: 体力の維持
2: 不安の軽減
3: 合併症の予防
4: 対人交流の拡大
5: ストレスの発散
20歳の男性。幼少期は一人遊びが多かった。小学校から高校までは成績は概ね良かったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し、外来で作業療法が開始された。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: ルールや取り決めを明示しておく。
2: 興味や関心のある活動を導入する。
3: 作業手順を言葉で細かく伝える。
4: 心理教育プログラムを行う。
5: パラレルな場を用いる。
70歳の男性。仕事における意欲と作業能率の低下を主訴に来院した。最近、物をよく置き忘れる、金庫の暗証番号を思い出せない、得意先にたどり着けないといったことが多くなってきた。頭部MRIを示す。この画像で顕著にみられる所見はどれか。
1: 後頭葉萎縮
2: 小梗塞多発
3: 脳幹部萎縮
4: 前頭葉萎縮
5: 側頭葉内側部萎縮
32歳の女性。8歳の娘が担任の先生の勧めで1週前に精神科を受診し、注意欠如・多動性障害と診断を受けた。放課後等デイサービスを利用することになり、作業療法士がこの女性と面接したところ「集中力が続かないし、物忘れもひどかったけど、まさか自分の子どもが障害児なんて思っておらずいつも叱っていた。お友達ともうまくいっていない状況が続いており、とても心配していた。これからどうしたら良いでしょうか」と話す。この時の作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1: 娘への不適切な対応を指摘する。
2: 障害の特徴について解説する。
3: 他の障害児の親に会わせる。
4: 障害は改善すると伝える。
5: 不安を受け止める。
38歳の女性。性格は几帳面、完全主義。仕事仲間との関係性に悩んでいた。そうした中、浮腫を自覚したため内科を受診したところネフローゼ症候群と診断され、副腎皮質ステロイド薬の投与が開始された。投薬開始1か月後から蛋白尿は消失したが、「何事にも興味が湧かない」などの言葉が聞かれるようになり、趣味のコーラスもやめてしまった。今後検討すべき治療方針として、最も優先順位が高いのはどれか。
1: 家族療法
2: 音楽療法
3: 精神分析療法
4: 抗うつ薬による薬物療法
5: 副腎皮質ステロイド薬の調整