70歳の男性。仕事における意欲と作業能率の低下を主訴に来院した。最近、物をよく置き忘れる、金庫の暗証番号を思い出せない、得意先にたどり着けないといったことが多くなってきた。頭部MRIを示す。この患者にみられる可能性が高い症状はどれか。
1: 幻覚
2: 尿失禁
3: 希死念慮
4: 症状日内変動
5: 地誌的見当識障害
66歳の女性。歌が好きでカラオケをよく楽しんでいたが、1年前から言葉数が少なくなり夫が心配して精神科を初めて受診した。MMSEは正常範囲内であった。MRIでは前頭葉優位の限局性脳萎縮があり、SPECTでは両側の前頭葉から側頭葉に血流低下が認められた。現在は定年退職した夫と2人暮らしをしており、家事は夫が行っている。デイケアに週1回通所しており、好きだった塗り絵や和紙工芸などの作業活動に参加するが、落ち着きがなく途中で立ち去ろうとする行動が頻回にみられる。作業活動の持続を促す対応として最も適切なのはどれか。
1: 注意がそれたら道具や材料を見せながら声をかける。
2: 顔見知りのメンバーが多いフロアに移動する。
3: 立ち去ってはいけないとはっきり伝える。
4: 初めて体験する手工芸を取り入れる。
5: セラピストを変更する。
16歳の女子。6か月前から特にきっかけはないのに次第に手洗いと入浴の時間が長くなった。1か月前から手洗いに1時間半以上を使う状況となり、自分でもおかしいと感じるようになった。母親が途中でやめさせると余計に不安になり、最近ではやめさせようとすると反発して暴言を吐くようになった。そのため父親が本人を説得して精神科を受診した。この患者が示す症状はどれか。
1: 心気妄想
2: 強迫行為
3: 常同行為
4: チック障害
5: 精神運動興奮
自閉症スペクトラム障害患者が就労継続支援A型事業所を利用する際の作業療法士の対応として適切なのはどれか。
1: 巧緻性が要求される作業を任せる。
2: 事業所での経験を振り返るための面接をする。
3: 事業所内のルールについてはその都度伝える。
4: 利用開始時に苦手な場面から慣らしていく。
5: 利用者同士で行う流れ作業から導入する。
正しい組合せはどれか。
1: 統合失調症-もうろう状態
2: うつ病-感情鈍麻
3: パニック障害-思考散乱
4: ナルコレプシー-睡眠麻痺
5: アルコール精神病-自生思考
統合失調症について正しいのはどれか。
1: 男性が女性より3倍多い。
2: 緊張型では昏迷がみられる。
3: 病前性格は循環気質が多い。
4: 死亡率は健常者と同じである。
5: 妄想型は破瓜型より発症年齢が低い。
85歳の女性。右利き。突然の意識消失のため救急搬入された。入院後、意識は回復した。発症後2時間のMRI拡散強調像を示す。今後この患者に生じる可能性の高い症状はどれか。
1: 拮抗失行
2: 左右失認
3: 運動性失語
4: 社会的行動障害
5: 左半側空間無視
42歳の男性。アルコール依存症。事務職。35歳ころから飲酒による肝機能障害を呈する。最近、連続飲酒で長期無断欠勤となったため、本人も断酒を決意せざるを得なくなり入院となった。離脱症状の消褪後3週で作業療法が処方された。この患者の作業種目で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: マージャン
2: 小動物の世話
3: 散歩
4: ジョギング
5: パソコン操作
「他人からあやつり人形のように動かされる」と訴える精神分裂病(統合失調症)の症状はどれか。
1: 作為体験
2: 反響症状
3: 考想吹入
4: 関係妄想
5: 被害妄想
16歳の女子。約6か月前から壁に向かってぶつぶつと独りで話をしている。悪口が聞こえる、と周囲を怖がる様子がみられ、学校に行かず自宅に閉じこもることが多くなった。両親に説得されて病院を受診したが、自分は病気ではないと治療に抵抗するため、ACT〈Assertive Community Treatment〉による訪問が開始された。この患者に優先すべきなのはどれか。
1: SSTを実施する。
2: 復学に向けた検討を行う。
3: 治療の必要性を納得させる。
4: 集団心理教育プログラムを行う。
5: 患者の興味を話題にして関係性を築く。
46歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ、手指Ⅴ、下肢Ⅴ。発症後7か月が経過し、認知機能はMMSEが24点、軽度の注意障害を認めている。既に退院し、父母と同居している。発症前は内装業に従事していたが、同職での復職が困難であることから、就労移行支援による雇用を目指している。作業療法士が患者に実施する内容で正しいのはどれか。
1: 就労準備は課題がなくなるまで続ける。
2: 雇用されたら支援が終了となる。
3: 実際の場面での職業評価を行う。
4: 雇用条件通りの就業を目指す。
5: 通勤は付き添いを前提とする。
回復期前期の統合失調症患者に対する作業療法の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 楽しむ体験
2: 対人交流の促進
3: 社会参加のための情報収集
4: 身体感覚の回復
5: 就労支援
76歳の女性、HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)が19点のAlzheimer型認知症。グループホームで異食や他の入居者への暴力がみられるようになり、対応困難で精神科病院に入院となった。作業療法中にみられる行動障害への対応で適切なのはどれか。
1: 患者に注意する。
2: 患者を説得する。
3: 行動を黙認する。
4: 行動を制止する。
5: 患者に理由を尋ねる。
統合失調症回復期前期の作業療法で優先して考慮するのはどれか。
1: 社会性
2: 疲労度
3: 就労準備性
4: 対人依存性
5: 作品の完成度
精神分裂病(統合失調症)の症状でないのはどれか。
1: 感情鈍麻
2: 観念奔逸
3: 考想化声
4: 思考奪取
5: 作為体験
精神分裂病(統合失調症)患者の面接でみられる特徴的な症状はどれか。
1: 作話
2: 語間代
3: 吃音
4: 言語新作
5: 談話心迫
18歳の男子。大学入学後、サークル活動時に不潔恐怖が出現し、手洗いが頻回となり、1時間以上も続けるようになった。本人の希望で精神科を受診し、入院となった。1週後に作業療法が開始された。開始時の作業療法で正しいのはどれか。
1: 疲労軽減のため音楽を聴く。
2: 作業療法中の手洗い行為を禁止する。
3: 対人関係改善のためSSTを行う。
4: 意欲向上を目的として運動を行う。
5: 大学生活の過ごし方を話し合う。
統合失調症の精神病後抑うつからの回復初期の指標はどれか。2つ選べ。
1: 億却感
2: 空腹感
3: 熟眠感
4: 疲労感
5: 不安感
76歳の男性。誰もいないのに「自分の布団に知らない子どもが寝ている」と訴え、妻に連れられて受診した。妻の話では、数年前から些細な物忘れが増え、日中ぼう然としていることも多いという。歩行中に転倒することも増えてきているという。作業療法室でみられるこの患者の特徴はどれか。
1: 些細なことで泣き出す。
2: 他人の物を勝手に持っていこうとする。
3: 時間どおりに来室し必ず同じ席に座る。
4: わからない質問に対し言い繕って答える。
5: 日によって意識レベルの低下度合いが異なる。
うつ病患者への復職支援について正しいのはどれか。
1: 薬物療法が終了してから復職させる。
2: 配置転換を希望しないように指示する。
3: 発症前の勤務時間で復職するよう促す。
4: 体力づくり活動に休まず参加するよう促す。
5: ストレスへの対処法について心理教育を行う。