58歳の男性。生来健康であったが、突然のめまいと歩行困難で救急搬送された。脳梗塞の診断で理学療法が開始された。理学療法の初期評価では、めまい、眼振とともに、右側には小脳性の運動失調、Horner症候群および顔面の温痛覚障害がみられた。左側には上下肢の温痛覚障害がみられたが深部感覚は保たれていた。この患者が立位をとったところ、不安定で突進するような現象(pulsion)がみられるために介助が必要であった。この現象がみられる方向はどれか。
1: 後方
2: 前方
3: 右側方
4: 左側方
5: 全方向
片麻痺の異常歩行と理学療法との組合せで誤っているのはどれか。
1: 分回し歩行-膝・足関節屈筋の促通
2: 尖足歩行-下腿三頭筋の機能的電気刺激
3: 患側立脚相の短縮-患肢への体重負荷訓練
4: 患側立脚相の股関節屈曲-PNFによる骨盤の前方回旋
5: 患側への体幹側屈-体幹筋群の促通
脳卒中片麻痺の下肢症状と理学療法との組合せで適切でないのはどれか。
1: 内反尖足-体重負荷による持続的伸張
2: 下垂足-反射を利用した足背屈の誘発
3: 膝折れ-長下肢装具の使用
4: 反張膝-底屈制限10°の短下肢装具の使用
5: はさみ足-神経ブロックと伸張訓練との併用
脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼に対する対策で適切でないのはどれか。
1: 車椅子へのアームトレイ設置
2: 麻痺筋への機能的電気刺激(FES)
3: EMGバイオフィードバック
4: アームスリングの装着
5: 上肢の体幹固定
片麻痺患者がエスカレーターを利用するときの方法で最も適切なのはどれか。
1: 上りは、患側から乗って患側から降りる。
2: 上りは、健側から乗って患側から降りる。
3: 下りは、健側から乗って健側から降りる。
4: 下りは、患側から乗って患側から降りる。
5: 下りは、患側から乗って健側から降りる。
28歳の男性。右利き。交通事故による右前頭葉背外側部の頭部外傷のため入院した。作業療法が開始され、4か月が経過した。四肢に運動麻痺や感覚障害を認めず、歩行は自立している。日中はボーッとして過ごすことが多いが、促されると日課を行う。話しかければ日常会話は問題なく成立するが、自発話は乏しい。この患者の高次脳機能評価として最も適切なのはどれか。
1: BADS
2: SLTA
3: SPTA
4: VPTA
5: CBS〈Catherine bergego scale〉
60歳の女性。視床出血発症後1か月。左片麻痺を認め、Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ、手指Ⅱ、下肢Ⅳである。左手指の発赤、腫脹および疼痛を認め、訓練に支障をきたしている。この患者に対する治療で正しいのはどれか。
1: 交代浴を行う。
2: 肩関節の安静を保つ。
3: 手指の可動域訓練は禁忌である。
4: 疼痛に対し手関節の固定装具を用いる。
5: 肩関節亜脱臼にはHippocrates法による整復を行う。
アテトーゼ型脳性麻痺児の症状とアプローチとの組合せで適切でないのはどれか。
1: 定頸不良-腹臥位での頭部挙上
2: 体幹過伸展-座面の高い椅子での座位訓練
3: 動的バランス不良-セラピーボールでのバランス訓練
4: 手指の過伸展-ビンの蓋の開け閉め
5: 目と手の協調障害-ペグ差しの練習
50歳の男性。脳卒中発症後3か月経過した片麻痺。ブルンストローム法ステージは下肢III。中等度痙縮のため足部内反尖足を呈する。理学療法で適切でないのはどれか。
1: 長・短腓骨筋の筋再教育
2: 後脛骨筋の徒手的伸張法
3: 後脛骨筋の筋力増強訓練
4: 下腿三頭筋の持続伸張法
5: 下腿三頭筋への寒冷療法
45歳の男性。脳出血による左片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ、下肢Ⅲ。感覚障害は中等度。非麻痺側機能はおおむね良好。裸足での歩行は可能であるが、安定性が低下し速度も遅い。麻痺側の遊脚相で分回し歩行と強い内反尖足が出現する。立脚中期の膝ロッキングがみられる。この患者に適した装具はどれか。
1: 長下肢装具
2: 金属支柱付膝装具
3: クレンザック足継手付短下肢装具
4: プラスチック短下肢装具(足継手なし)
5: 靴型装具(長靴)
60歳の男性。脳梗塞。発症後9か月経過。現在、左片麻痺は軽度だが、日常生活上の介助量は多大である。模写課題の結果を図に示す。この患者の病巣部位はどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
42歳の女性。多発性硬化症による両側視神経炎を伴う四肢麻痺。筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。Danielsらの徒手筋力テストでは上肢近位部3+、遠位部4。有痛性けいれんがある。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 木工作業で本棚を作る。
2: 七宝焼きでピアスを作る。
3: ざる編みで籐カゴを作る。
4: 卓上編み機でマフラーを編む。
5: 小さな刻印で革に模様をつける。
40歳の男性。右橈骨神経麻痺で長橈側手根伸筋の徒手筋力テストは1(Trace)。EMGバイオフィードバック療法で誤っているのはどれか。
1: 治療法の原理を十分説明する。
2: 静かな室内で実施する。
3: 前腕肢位を中間位で行う。
4: 記録電極を前腕尺側に設置する。
5: 筋電波形の閾値設定は細かく調節する。
左片麻痺患者。移乗はFIMで3。車椅子からベッドへの移乗動作の開始直後の場面で適切なのはどれか。
1: 介助者の位置
2: 車椅子の向き
3: 患側下肢の位置
4: 健側下肢の位置
5: 前輪の向き
72歳の女性。右中大脳動脈領域の脳梗塞による左片麻痺。立位時に左下肢の外旋と足部内反が著明であり、歩行時に装具を装着している。最も適応となりにくいのはどれか。
1: ツイスター
2: 非麻痺側補高
3: 逆Thomasヒール
4: 外側フレアヒール
5: 内側Yストラップ
6歳の女児。痙直型脳性麻痺。就学に備えた作業療法を外来で行っている。歩行器と短下肢装具を用いて屋内を歩くことができる。この児が使用する椅子で適切でないのはどれか。
1: 座面は両足底が床につく高さにする。
2: 座面に内転防止のパッドをつける。
3: 背もたれにヘッドレストをつける。
4: 体幹側屈防止のパッドをつける。
5: アームレストで前腕支持を助ける。
脳卒中片麻痺の病的共同運動で正しいのはどれか。
1: 肩甲骨挙上に伴う肘関節伸展
2: 肘関節屈曲に伴う手関節背屈
3: 股関節外転に伴う膝関節伸展
4: 股関節内旋に伴う膝関節屈曲
5: 膝関節屈曲に伴う足関節背屈
脳性麻痺で正しいのはどれか。
1: アテトーゼ型では下肢より上肢の支持性が良い。
2: アテトーゼ型では初期は低緊張である。
3: 痙直型では出生直後から筋緊張が亢進する。
4: 痙直型両麻痺では下肢より上肢の麻痺が重度である。
5: 痙直型片麻痺では上肢より下肢の麻痺が重度である。
Lewy小体型認知症患者の作業療法にみられる特徴はどれか。
1: 活動にむらがある。
2: 姿勢保持が良い。
3: 多幸的である。
4: 作話が多い。
5: 歩き回る。