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第47回午前:第15問

21歳の男性。大学入学後、クラスの中で強い緊張を感じ、身体のふるえや手掌の発汗が止まらなくなった。その後、自宅に引きこもるようになったため家族に伴われて精神科外来を受診した。外来作業療法に通うことになった。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。  

1: 個室を使用する。

2: SSTを取り入れる。

3: 生活リズムを整える。

4: 自己評価の特徴を話し合う。

5: リラクセーションの練習をする。

第54回午後:第45問

境界性パーソナリティ障害の患者が自傷行為をほのめかしたとき、作業療法士の行うべき対応はどれか。  

1: 緊急入院を勧める。

2: 死にたい気持ちの有無を確認する。

3: 作業療法を延長し関わる時間を増やす。

4: 過去の自傷行為の回数について詳しく聴取する。

5: 自傷行為をしたら作業療法は続けられないと伝える。

  • 答え:2
  • 解説:境界性パーソナリティ障害の患者が自傷行為をほのめかしたとき、作業療法士は患者の死にたい気持ちの有無を確認することが適切な対応です。ただし、過剰に反応しないように注意が必要です。
  • 緊急入院を勧めることは、患者の代わりに行動を考えることになり、患者の退行を強める危険性があるため、適切な対応ではありません。
  • 死にたい気持ちの有無を確認することは適切な対応であり、患者の状況を把握することができます。ただし、過剰に反応しないように注意が必要です。
  • 作業療法を延長し関わる時間を増やすことは、患者の要望にすぐに応えることになり、一貫したルールや態度で接する必要があるため、適切な対応ではありません。
  • 過去の自傷行為の回数について詳しく聴取することは、患者の感情的反応に対してポジティブフィードバックとして作用する危険性があるため、適切な対応ではありません。
  • 自傷行為をしたら作業療法は続けられないと伝えることは、事前に治療契約としてルールを決めていない場合は効力がなく、適切な対応ではありません。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第56回午前:第16問

19歳の女性。大学1年生。小学生の時より、水泳に秀でていて競技大会では常に優勝を競うほどであった。しかし、高校時代にスランプに陥り当時身長160 cm、体重58 kgであったが体重を落とせば記録が伸びると思い込み、ダイエットをしているうちに無月経になり、気づくと体重32 kgになっていた。心配した母親が本人を説得し病院の精神科外来を受診したところ低栄養で危機的状況にあると医師が判断し精神科病棟への入院を勧めたが、病識のない本人は納得せず、母親の同意による医療保護入院となった。その後作業療法に参加するようになり、1週間が経過した。患者に対する作業療法士の関わり方で適切なのはどれか。  

1: 集団作業療法を勧める。

2: 食事の摂取を積極的に促す。

3: 現在取り組めていることを認める。

4: 高校時代のスランプについて深く聞く。

5: 食べ物を隠れて捨てるのを見つけたら叱る。

  • 答え:3
  • 解説:この患者は摂食障害と推察され、急性期にあると予想できます。作業療法士として適切な関わり方は、患者が取り組めていることを認め、自尊心を保ちながら治療に参加する手段を提供することです。
  • 急性期で作業療法が開始されて間もない時期であり、個別作業療法が望ましいため、集団作業療法を勧めるのは適切ではありません。
  • 患者には病識がないため、摂食を積極的に促しても効果は乏しいです。適切な関わり方ではありません。
  • 現在取り組めていることを認めることで、患者が自尊心を保って行動を開始する手段にできます。これが適切な関わり方です。
  • 患者の病態中心にある「スランプ」の体験を語らせることは、心理療法としても難易度が高く、作業療法が開始された時期には適切でないです。低栄養の時期には脳機能が低下し、感情の制御や自己認識が適切にできないことがあるため、この選択肢は適切ではありません。
  • 食べ物を隠れて捨てる行為を叱ると、患者の自尊心を傷つけることがあります。食事に対する自分の行動と自意識を他者から否定されることなく承認されると、患者の治療参加を促すことにつながります。この選択肢は適切ではありません。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第45回午後:第14問

52歳の男性。アルコール依存症。7年前から飲酒量が増え、コントロールがつかず昼から飲むようになり、2年前に会社を辞めた。2か月前から連続飲酒の状態となったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。離脱症状が改善されたため作業療法を開始した。この時期にみられやすいのはどれか。2つ選べ。  

1: 過度な頑張り

2: 感情の平板化

3: 自己評価の低下

4: 基礎体力の低下

5: 主体的な役割行動

第51回午前:第17問

40歳の女性。長年のアルコール摂取による肝硬変、膵炎および2次性糖尿病の合併症がある。飲酒を継続し家事ができなくなったことにより夫婦間の口論が多くなり、夫に連れられて精神科を受診し、入院となった。離脱症状が治まり、作業療法が開始された。作業療法士の支援で適切なのはどれか。  

1: SSTを実施する。

2: 他者との協調行動を促す。

3: 酒害に関する心理教育を行う。

4: 作業療法士への依存は容認する。

5: 作業に対する頑張りを強化する。

第39回午前:第29問

68歳の男性。アルツハイマー型痴呆。数年前から道で迷ったり、電話できちんと受け答えしたのに、その内容を家人に伝えられなかったりした。最近では夜間になると興奮して動き回り、昼間はうとうとしている。半年ぶりに会った息子に初対面の人に挨拶するように対応したため、家人が心配して受診させ入院に至った。作業療法の導入で適切でないのはどれか。  

1: 単純で繰り返しの多いものから始める。

2: 時間を要するものから始める。

3: 個別プログラムから始める。

4: 自信が得られるものから始める。

5: 得意であったものを取り入れる。

第56回午後:第19問

8歳の男児。幼児期より落ち着きがなくじっとしていられず、家族で外出した際にはよく迷子になり、両親も養育に困難を感じていた。小学校に入学してからは、授業中に勝手に席を立って歩き出したり、順番を守ることも難しく、日常的に忘れ物や落とし物も多く、うっかりミスをして教師に注意されるが、その後も同じミスを繰り返していた。授業中は周囲の雑音に注意を削がれて勉強に集中できず、最近では学業不振が目立ち始めたため放課後等デイサービスで作業療法士が対応することになった。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。  

1: 感覚統合療法を実施する。

2: ペアレントトレーニングを実施する。

3: 社会生活技能訓練〈SST〉を実施する。

4: 学校を訪問して授業の様子を観察する。

5: 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。

  • 答え:5
  • 解説:この男児は注意欠如・多動性障害の特徴的な行動があり、適切な介入が必要です。選択肢1~4は作業療法士が行うべき対応ですが、選択肢5は適切でない対応です。
  • 感覚統合療法は、周囲からの知覚情報を調整して患児の注意欠陥多動に対応する介入法として適しているため、適切な対応です。
  • ペアレントトレーニングは、家族と保護者を対象に、子どもへの肯定的な働きかけと環境調整を学ばせ、保護者の認知を肯定的に修正するものであり、適切な対応です。
  • 社会生活技能訓練〈SST〉は、自分の行動と他者の行動とを比較して、行動のレパートリーを増やしたり修正したりするものであり、適切な対応です。
  • 学校を訪問して授業の様子を観察することは、デイサービスでの作業療法支援計画の参考にできるため、適切な対応です。
  • 担当教員から行動修正を促されるだけでは、男児はどのように行動してよいかわからず、混乱の原因にもなる。適切な介入が必要であるため、選択肢5は適切でない対応です。
  • 科目:発達・小児疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第49回午前:第17問

13歳の男子。幼児期は図鑑をひとりで眺めて過ごしていた。小学校に入ると、しつこく意味を確認する癖や協調性がとれないことを教師に注意されることが多くなり、級友からいじめられるようになった。最近、級友の話し声に過敏に反応したり、家族への暴言と暴力が頻繁となり入院となった。この患者に対する作業療法実施時の声かけとして適切なのはどれか。  

1: 「この作業をしてみたいですか」

2: 「休みは適当にとってください」

3: 「周囲の人に配慮して行動してください」

4: 「その作業の難しい点はどの辺りですか」

5: 「私の話す説明をよく覚えて作業に取り掛かってください」

第42回午前:第35問

32歳の男性。会社員。課長になってから会議が多くなり、会議中にマイクを持つ手が震え、激しい動悸と発汗が出現するようになった。次第に恥をかきたくないと、会議が恐怖となっていった。精神科外来受診後に外来作業療法を開始した。この患者への作業療法士の対応で適切なのはどれか。  

1: 自殺企図に注意する。

2: 少量の飲酒を勧める。

3: 仕事を休むよう助言する。

4: 幼児期の体験を話題にする。

5: リラクセーションを指導する。

第47回午後:第14問

70歳の女性。買い物での計算や自宅への道順を間違えるようになり、心配した家族に伴われて物忘れ外来を受診した。Alzheimer型認知症と診断され外来作業療法を開始した。患者は「どうして私がここへ来ないといけないの」、「だまされた。帰りたい」と訴えて興奮することが多い。その後、興奮が落ち着き、作業療法室に定期的に通うようになった。今後の作業療法での留意点で適切なのはどれか。  

1: 個室で作業を行う。

2: 薬物の作用を学習させる。

3: 病気の説明を繰り返し行う。

4: 作業手順を1工程ずつ説明する。

5: 長時間かけて仕上げる作業を課題に選ぶ。

第35回午前:第86問

精神分裂病(統合失調症)の作業療法開始時の対応で適切でないのはどれか。  

1: 安心してくつろげる場を提供する。

2: 精神内界を表現できるよう配慮する。

3: 周囲に受け入れられる体験をさせる。

4: 両価的感情を受容する。

5: 受け入れられないことはその旨を明確に伝える。

第44回午前:第26問

48歳の男性。妻と2人暮らし。会社の営業課長をしていたが、重要な打合せを忘れたり、得意先へ行く道を迷ったりするようになり、妻の勧めで物忘れ外来を受診した。頭部MRIで脳萎縮が認められ、作業療法が処方された。作業療法開始時の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 休息の促し

2: 不安の軽減

3: 仕事の継続

4: 他者との交流

5: 自己認識の向上

第50回午後:第19問

25歳の男性。統合失調症。大学卒業後、営業職に就いたものの、まもなく発症して入院となった。退院後、就労支援を受けたいという本人の希望があり、現在は配食サービスを行う事業所に通っている。事業所とは雇用契約を交わしており、職業指導員の下に調理と配達業務を担当し、業務以外の悩みについては生活支援員に相談している。この患者が利用している就労支援サービス事業所として適切なのはどれか。  

1: 障害者就業・生活支援センター

2: 就労継続支援A型事業所

3: 就労継続支援B型事業所

4: 障害者職業能力開発校

5: 就労移行支援事業所

第57回午後:第20問

33歳の男性。ミュージシャンを志していたが、21歳時に統合失調症を発症し、2回の入院歴がある。3か月前から就労移行支援事業所への通所を開始し、支援によってコンサートホールの照明係のアルバイトに就いた。就労移行支援事業所のスタッフは、定期的に職場訪問を実施して本人と雇用主の関係調整を行っており、主治医やケースワーカーとも連携して支援活動をしている。この患者に行われているプログラムはどれか。  

1: CBT〈Cognitive Behavioral Therapy〉

2: IPS

3: NEAR

4: SST

5: WRAP

  • 答え:2
  • 解説:この患者に行われているプログラムはIPS(Individual Placement and Support)である。IPSは就労支援の方法で、従来の訓練をしてから仕事に就くのではなく、仕事の場において訓練するという方法である。
  • CBT(Cognitive Behavioral Therapy)は、認知の歪みや偏りを修正して問題解決を図る精神療法であり、この患者の状況とは関係がない。
  • IPS(Individual Placement and Support)は正解であり、就労移行支援事業所を通じて職場での訓練を行い、主治医やケースワーカーと連携して支援活動を行っている。
  • NEAR(Neuropsychological Educational Approach to Rehabilitation)は、コンピューターゲームを用いて行う認知機能改善のためのプログラムであり、この患者の状況とは関係がない。
  • SST(Social Skills Training)は、対人関係など社会生活に必要な技能をロールプレイを用いて訓練する方法であり、この患者の状況とは関係がない。
  • WRAP(Wellness Recovery Action Plan)は、具合が悪くなったときに回復を促すために自分で行動計画を作るものであり、この患者の状況とは関係がない。
  • 科目:統合失調症
  • 重要度:プレミアム特典
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第38回午前:第78問

精神分裂病(統合失調症)患者の急性期症状消退時の作業療法の目的で適切なのはどれか。  

1: 対人技能の向上

2: 金銭の自己管理の向上

3: 自己決定力の向上

4: 疲労感の軽減

5: 職場獲得の援助

第54回午後:第11問

30歳の男性。調理師。頭部外傷受傷後4か月が経過し、回復期リハビリテーション病棟に入院している。麻痺はないが、明らかな企図振戦がある。意識障害や著しい記銘力低下はないが、些細なことで怒り出す。作業をする場合にはすぐに注意がそれてしまい継続できず、口頭での促しが必要である。ADLは自立し、現職復帰を希望している。この時期の作業療法の指導で正しいのはどれか。  

1: 受傷前の職場を訪問させる。

2: 包丁を用いた調理訓練を行う。

3: 作業の工程リストを作らせる。

4: 訓練はラジオを聴かせながら行う。

5: 怒り出したときには厳格に注意する。

  • 答え:3
  • 解説:この患者は頭部外傷により企図振戦や注意の持続性低下、易怒性などの前頭葉症状があります。作業療法の指導では、患者の症状に配慮し、効果的な方法を選択することが重要です。
  • 受傷後4か月でまだ回復の見込みがあり、前頭葉症状や企図振戦が残存しているため、現時点で職場を訪問すると悪い評価を受ける可能性があります。職場の訪問は復職の目処が立ってから行うべきです。
  • 患者には企図振戦があるため、包丁の使用は危険です。また、現時点では調理訓練を行う必要性は低いため、この選択肢は正しくありません。
  • 患者の記銘力は保たれているため、工程リストを作成することで作業に復帰しやすくなり、他者からの口頭での促しの頻度も減少できます。この選択肢が正しいです。
  • 注意の持続性が低下している患者に対して、ラジオを聞かせながら作業を行わせると注意がさらに散漫になる可能性が高いため、この選択肢は適切ではありません。
  • 患者の易怒性は頭部外傷によるものであり、厳格に注意しても感情制御の改善は期待できません。感情抑制ができるようになるまで許容的に待つか、怒った場所や状況から距離をとらせて傾聴する対応が望ましいです。
  • 科目:高次脳機能障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第39回午前:第32問

10歳の男児。幼少時期から内気で、友達と遊ぶ時も受身な態度が多かった。学校では全く口をきかないため仲間はずれになり、不登校となった。家族との会話もあるが、学校のことに触れられると物を投げつけたりするようになったため、両親に連れられ外来受診。週2回の個別作業療法が開始された。4か月後には、作業療法士との関係も成立し、学校のことも本人から少しずつ話すようになってきた。しかし、自分の気に入らないことに直面すると、道具を投げつけたりする行動が時折みられた。このような状態への対応として適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 不登校の原因を明らかにする。

2: 行動化は明確に制止する。

3: 本人の得意なものを取り入れる。

4: 15人程度のグループに移行する。

5: 担当者以外は関わらないようにする。

第34回午前:第37問

46歳の女性。知的障害。IQは75。23歳で結婚したが数か月で離婚。実家に戻ったが家出を繰り返し、家では易刺激的、多量に飲水をするようになり入院。退院後も大量服薬したり、相手かまわず電話をする。また、1日に40~50本喫煙し、ボヤを起こし再入院した。入院後2か月目に社会性の向上を目的に作業療法が処方された。作業中10~20分ごとにタバコを吸う。自分のタバコがなくなると他患者にねだり作業が進まない。このときの対応で適切なのはどれか。  

1: 喫煙を全面禁止する。

2: 他患者から苦情がきたら禁煙する。

3: 持ってくるタバコの本数を増やす。

4: 吸う本数を他患者の前で決める。

5: 作業療法士の前で喫煙を許可する。

第34回午前:第35問

17歳の女子。転換性障害。高校1年の2学期終了前にボーイフレンドと別れてから欠席がちとなり、頭痛、肩こり、無気力を訴えた。進級後も欠席が多く大学病院を受診したが、症状の改善がみられず2か月入院した。入院中に手首を切ったことがある。その後、復学したが教室で頻回に倒れ再入院となった。復学を目的に作業療法が処方された。作業療法開始後、1か月経過。作業療法室で突然に転倒することが頻回にあるが、けがはない。転倒時の作業療法士の対応で適切なのはどれか。  

1: 倒れた状態を確認してそのまま観察する。

2: ベルトをゆるめたり、ボタンをはずしたりして呼吸を楽にする。

3: 抱き起こして意識の有無を確認する。

4: すぐに主治医を呼び手当をしてもらう。

5: 周りの患者に手伝ってもらい別室に運び休ませる。

第46回午後:第47問

精神科長期入院患者の退院を支援するケア会議(カンファレンス)を行うことになった。会議の実施方法で最も望ましいのはどれか。  

1: 退院時に1回行う。

2: 患者本人も出席する。

3: 過去の病歴を検討する。

4: 司会は主治医に固定する。

5: 参加メンバーを固定する。