32歳の男性。感情障害。営業の仕事で成績も良かったが、29歳時に躁病性興奮で約10か月入院した。退院後、復職したが服薬を自己調節し始め、次第に多弁となり顧客とのトラブルが多くなり、上司の勧めで2回目の入院となった。薬物療法によって入院2か月で落ち着いたため、安定した行動の維持を目標に作業療法が処方された。まとまりのある行動を見せているが、要求が通らない場合に他患に攻撃的な言動を表出することがある。この患者の作業で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.非構成的な作業イ.巧緻性の必要な作業ウ.自由参加の集団作業エ.手順の明確な作業オ.粗大運動的な作業
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
30歳の男性。統合失調症。高校時代から体調不良を訴えるようになり、自宅に引きこもっていた。5年前に幻覚妄想状態のため入院し作業療法を継続していたが、最近、「退院したい」と意欲を見せ始めた。作業療法種目を変更した3日後に患者が身体的不調を訴え始めた。対応で適切なのはどれか。
1: 休憩の時間を増やす。
2: 以前の作業種目に戻す。
3: 直ちに作業療法を中止する。
4: 他の作業療法士が担当する。
5: 就労意欲を高める種目に変更する。
24歳の女性。幼少時に母親から虐待を受けていた。高校中退後から仕事を転々としている。男性との関係は不安定で別れ話のたびに大量服薬を繰り返した。いつもむなしくて死にたい気持ちがあると自覚して、精神科クリニックを受診した。この患者の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 退行の促進
2: 枠組みの提供
3: 依存欲求の促進
4: 衝動の適応的発散
5: 失敗しない作業の提供
55歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。29歳時に「『修道院に行けばお金をたくさんもらえる』という声が聞こえる」と言うようになり初回入院した。現在、4回目の入院中で、最近は病的な体験を述べることは減少したが、無為傾向が強いため、その改善を目的に作業療法が開始された。作業療法中、口周囲部に緩徐で不規則な不随意運動がみられた。この不随意運動はどれか。
1: パーキンソニズム
2: 急性ジストニア
3: アカシジア
4: 遅発性ジスキネジア
5: 遅発性ジストニア
26歳の女性。感情が不安定でリストカットを繰り返している。これまでいくつも職歴があるが、いずれも対人的なトラブルが原因で辞めている。大量服薬をしたため精神科病院に入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 実施時間を明確に決める。
2: 特定の担当者を決めない。
3: 集団で協力する活動を導入する。
4: 目標は複数回参加した後で決める。
5: 実施頻度は本人の要求に応じて変更する。
14歳の男子。8歳時に軽度の注意欠陥・多動を伴う学習障害の診断を受けた。中学校(普通学級)に入学したが、最近、登校しないことが多くなった。進学準備の時期を迎えているが、生活リズムも乱れがちとなり、思春期外来への通院時に作業療法を実施することになった。初回面接の事項として適切でないのはどれか。 ア.不登校の理由イ.学校の友人関係ウ.一日の過ごし方エ.最近の興味オ.将来の進路
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
8歳の男児。学習障害。外来通院で作業療法を実施。聴覚的短期記憶に問題があり学校での課題の取り組みに困難を示している。知能検査は下位検査にばらつきがあるが発達遅滞は認められない。作業療法の留意点として適切でないのはどれか。
1: 課題に対する興味を持たせる。
2: 集団への参加を促す。
3: 自己評価の低下を防ぐ。
4: 本人の障害特性を家族や教師に説明する。
5: 学校の成績が良くなるように手伝う。
34歳の主婦。解離性(転換性)障害。23歳の時から入退院を繰り返している。今回、夫婦喧嘩の後ふらつきがひどくなり、意識を失って入院した。1か月後にふらつきはまだあるものの、作業療法が導入された。当初の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.ふらつきの原因を探る。イ.夫婦関係を調整する。ウ.無意識の葛藤について洞察させる。エ.歩行訓練を行う。オ.不安感を発散する作業を行う。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
急性期を脱した後、まだ外的刺激への敏感さが残る統合失調症患者の作業療法導入時の対応で適切なのはどれか。
1: 役割を付与する。
2: 対人交流を促す。
3: 定期的な実施を心がける。
4: 複数の作業療法士で対応する。
5: 退行的行動に対しては関与を控える。
20歳の男性。幼少期は一人遊びが多かった。小学校から高校までは成績は概ね良かったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し、外来で作業療法が開始された。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: ルールや取り決めを明示しておく。
2: 興味や関心のある活動を導入する。
3: 作業手順を言葉で細かく伝える。
4: 心理教育プログラムを行う。
5: パラレルな場を用いる。
25歳の会社員。通勤中に電車内で突然の心悸亢進、発汗、身体のふるえ及び窒息感におそわれ搬入された。心電図、脳波および血液検査で異常を認めなかったため自宅に戻った。その後も週2、3回同様の発作が生じ、外出が困難となったため精神科を受診した。この患者に対する作業療法で適切でないのはどれか。
1: 生活リズムを整える。
2: 身体運動を取り入れる。
3: 外出の練習を取り入れる。
4: リラクセーションの練習をする。
5: 社会生活技能訓練(SST)を行う。
31歳の女性。2か月前に地元が大規模な災害に遭い、親が死亡したものの看護師として救助隊に加わり1か月活動した。通常の勤務に復帰後1週ころから不眠や中途覚醒が続くようになり、災害発生時の情景を夢で見るようになった。夫が様子を聞いても詳細を語ろうとせず、その後、自ら精神科を受診し外来作業療法が処方された。考えられる疾患はどれか。
1: 適応障害
2: パニック障害
3: 全般性不安障害
4: 急性ストレス障害
5: PTSD〈外傷後ストレス障害〉
42歳の女性。躁うつ病。高校卒業後からスーパーマーケットに勤務。30歳のとき躁状態で入院した。以後、躁状態またはうつ状態で6回入退院を繰り返した。今回は、パートタイムで働いていたが次第に不眠、抑うつ気分を呈するようになり入院した。入院から1か月後、作業療法が開始された。作業療法開始後1か月で「早く退院したい」という申し出があった。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。 ア.主治医に報告する。イ.理由を尋ねる。ウ.作業種目を変更する。エ.就労訓練を始める。オ.退院の意志を確かめる。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)について正しいのはどれか。
1: 聴覚過敏は稀である。
2: クレーン現象がみられる。
3: 注意欠如・多動性障害は合併しない。
4: 視覚情報より聴覚情報への注目の方が優位である。
5: 4~5歳で「サリーとアン課題」ができるようになることが多い。
8歳の男児。学習障害。外来通院で作業療法を実施。聴覚的短期記憶に問題があり学校での課題の取り組みに困難を示している。知能検査は下位検査にばらつきがあるが発達遅滞は認められない。作業療法を実施する上で適切でないのはどれか。
1: 課題に取り組んだ場合は積極的にほめる。
2: 視覚的な情報提示を多くする。
3: 繰り返し内容を口頭で説明する。
4: 指示は簡単にする。
5: 言われたことをノートに書くように指導する。
32歳の男性。感情障害。営業の仕事で成績も良かったが、29歳時に躁病性興奮で約10か月入院した。退院後、復職したが服薬を自己調節し始め、次第に多弁となり顧客とのトラブルが多くなり、上司の勧めで2回目の入院となった。薬物療法によって入院2か月で落ち着いたため、安定した行動の維持を目標に作業療法が処方された。まとまりのある行動を見せているが、要求が通らない場合に他患に攻撃的な言動を表出することがある。開始に当たっての留意事項で適切でないのはどれか。
1: 患者の述べることを十分に聴く。
2: 作業種目は本人の希望で決定する。
3: 段階的に行動範囲の拡大を図る。
4: 疲労し過ぎないように配慮する。
5: 最低限の規則は明確に設定する。
63歳の女性。脳血管性認知症。55歳の頃、一過性脳虚血発作で倒れたことがある。最近、そのような事実はないのに、「息子たちが無断で家の売却の話を進めた」と被害的になり、興奮状態となった。また、日中から雨戸を閉めきり、「家中に虫がいる」と言うようになり入院した。入院後は、問題行動も消失し、作業療法の導入が計画された。この患者の導入時の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.共同作業から参加させる。イ.作業の間違いはすぐに指摘するウ.作業内容は変化の多いものにする。エ.短時間でできる作業を選ぶ。オ.毎回同じ作業療法士が指導する。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
30歳の女性。うつ病。子育てに専念するため、仕事をやめた後から徐々に気力が低下し、不眠が出現し家事全般に支障をきたすようになった。夫と相談の上、近隣の精神科診療所で通院を開始し、約1か月で落ち着きを取り戻した。その時点で作業療法士が週1回生活上の相談・援助を担当することになった。本人は「悪くなるのが心配だ」「好きな編み物もできないような気がする」などと述べている。治療関係も成立し約3か月経過したころ、本人から「少しずつ家事ができるようになったが、まだ自信がない」と述べてきた。この時の対応で適切でないのはどれか。
1: 自宅を訪問し家事評価を行う。
2: 来院時の面接で家事評価を行う。
3: ホームヘルパーの派遣を依頼する。
4: 夫との家事の分担を調整する。
5: 小グループでの家事訓練に参加する。
7歳の男児。几帳面なところがある。小学校に入学して数か月後から肩をすくめる、まばたきをすることが目立ってきた。最近、授業中に顔しかめや首ふりなども激しくなり、担任の先生から注意されることが増えた。友達と遊んでいるときや眠っているときは起こらない。悩んだ母親が本人を連れて来院、チック障害と診断され作業療法の導入となった。作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 本人に困っていることを聞く。
2: 本人にチックが起こるときの状況を尋ねる。
3: チックを起こさないよう努力するように本人に言う。
4: 緊張に慣れる目的で最前列に座らせるよう担任の先生に依頼する。
5: クラスメートに障害のことは知らせずにおくよう担任の先生に依頼する。
30歳の男性。統合失調症で5年前に幻覚妄想状態で家族に対する興奮があり、医療保護入院となった既往がある。退院後はほぼ規則的に通院し、毎食後服薬していたが、3か月前から治療を中断し、幻聴や被害関係妄想が悪化し、両親を自宅から閉め出して引きこもってしまった。注察妄想もあり本人も自宅から外出できない状況である。多職種訪問支援チームが1年前から関わっており、訪問は受け入れてもらえている。この患者への今後の介入で最も適切なのはどれか。
1: 本人の意思に関わらず、繰り返し服薬を強く促す。
2: 両親を自宅に同行させ、その場で本人に両親への謝罪を促す。
3: 民間救急を利用し、中断していた精神科病院の救急外来に搬送する。
4: 本人の希望や生活上の困り事を根気よく引き出し、関係を深める努力をする。
5: 訪問頻度を減らし、本人が助けを求めるのを待って精神科外来に結びつける。