統合失調症の回復過程の急性期における作業療法として適切なのはどれか。
1: 身体感覚の獲得
2: 現実への移行の準備
3: 身辺処理能力の回復
4: 生活管理能力の改善
5: 対人交流技能の改善
8歳の男児。自閉症。小学校に入学後、好きな算数以外の授業中に奇声をあげるようになった。家ではこだわり行為を制する母親に暴力を振るうようになり、養護教諭の勧めで児童・思春期外来を受診した。受診後すぐに作業療法が開始された。患児の行動で予測されるものはどれか。2つ選べ。
1: 質問し終わる前に答え始める。
2: 話しかけに応じない。
3: 同じことを繰り返し聞いてくる。
4: しゃべり続ける。
5: 他者の邪魔をする。
35歳の女性。現在、6か月児の子育て中であるが、1か月前からテレビも新聞も見る気が起こらないほど周囲への興味と関心が低下し、児と触れ合うこともおっくうになった。物事の判断が鈍くなり、子育てに自信をなくし、自分を責め、ささいなことから不安になりやすくなったため、児を祖母に預けて精神科病院に入院した。入院翌日から不安の軽減を目的に作業療法が開始された。この患者に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 運動によって体力の増強を図る。
2: 趣味をみつけるよう働きかける。
3: 子育ての情報提供により関心を高める。
4: 集団のレクリエーションで気分転換を図る。
5: ゆとりが持てるような日中の過ごし方を話し合う。
53歳の男性。うつ病。公務員。職場の配置転換後、苦手なパソコン使用を主とした業務に変わったことを契機に不眠、食欲不振および抑うつ気分を呈した。「仕事に行くのがおっくうになった。同僚に申し訳ない」と言い、希死念慮も認められたため入院。入院1か月後、作業療法が開始された。初回評価で優先度が低いのはどれか。
1: 生活リズム
2: 職場での対人関係
3: 作業遂行能力
4: 疲労度
5: 作業療法への希望
19歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校卒業後スーパーマーケットに就職した。約1年経ったころから情緒不安定となり、幻覚・妄想に支配された異常な言動が活発になったので入院した。薬物療法によって入院3か月で一応の安定が得られたので作業療法の依頼があった。作業療法中に、「居ても立ってもいられない。じっとしていられない」と訴えて落ち着かなくなった。考えられる要因はどれか。2つ選べ。 ア.パーキンソニズムイ.遅発性ジスキネジアウ.急性ジストニアエ.アカシジアオ.精神症状の悪化
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
慢性精神分裂病(統合失調症)患者と知的障害患者への作業の教え方として共通でないのはどれか。
1: 作業時の道具の配置
2: 短い指示
3: 一つの指示に一つの動作
4: 先に進む前に教えた技法の確認
5: 成功した場合の強化
作業療法の場面で躁状態とうつ状態に共通してみられるのはどれか。
1: 他者への干渉
2: 焦燥感の表出
3: 自殺に関する言動
4: 他罰的な言動
5: 自己評価の低下
35歳の男性。母親との2人暮らし。大学卒業後に就職した。統合失調症を発症したために退職し、精神科に外来通院しながら自閉的な生活をしていた。主に家事を行っていた母親が体調を崩したために同居生活が困難となり、精神科に入院した。入院6か月で自宅退院となり、母親の負担軽減のために日中の家事援助を受けることになった。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に規定されるサービスの中でこの患者が利用できるのはどれか。
1: 共同生活援助
2: 居宅介護(ホームヘルプ)
3: 重度訪問介護
4: 短期入所(ショートステイ)
5: 同行援護
21歳の男性。大学入学後、クラスの中で強い緊張を感じ、身体のふるえや手掌の発汗が止まらなくなった。その後、自宅に引きこもるようになったため家族に伴われて精神科外来を受診した。外来作業療法に通うことになった。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 個室を使用する。
2: SSTを取り入れる。
3: 生活リズムを整える。
4: 自己評価の特徴を話し合う。
5: リラクセーションの練習をする。
統合失調症の作業場面での特徴はどれか。
1: 同じ間違いが少ない。
2: 作業能力の変動が少ない。
3: 援助によって達成量が増える。
4: 同時並行の作業が得意である。
5: 全体を見て判断することができる。
50歳の女性。10年前に義母の介護に際して突然の視力障害を訴えたが、眼科的異常はみられなかった。1か月前に夫の単身赴任が決まってから、下肢の冷感、疼痛を主訴として、整形外科、血管外科などを受診するも異常所見は指摘されなかった。次第に食事もとれなくなり、心配した夫が精神科外来を受診させ、本人はしぶしぶ同意して任意入院となった。主治医が、身体以外のことに目を向けるようにと作業療法導入を検討し、作業療法士が病室にいる本人を訪問することになった。本人は着座すると疼痛が増強するからと立位のままベッドの傍らに立ち続けて、他科受診できるよう主治医に伝えてほしいと同じ発言を繰り返す。この患者に対する病室での作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1: 他科受診できるよう約束する。
2: 夫の単身赴任をどのように感じているか尋ねる。
3: 痛みが軽減することを約束して作業療法への参加を促す。
4: 身体的には問題がなく、心の問題であることを繰り返し伝える。
5: 他のスタッフの発言との食い違いが生じないよう、聞き役に徹する。
成人のパーソナリティ障害への治療介入で正しいのはどれか。
1: 薬物療法は有効である。
2: 家族との連携を控える。
3: 早期に診断して患者に告知する。
4: 秩序を乱した行動に対して何も言わない。
5: 自傷行為などが頻回な場合は電気けいれん療法を行う。
26歳の女性。異性問題でリストカットを繰り返し入院となった。その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている。入院後2週が経過して作業療法が処方された。この患者にみられやすいのはどれか。
1: 心気症
2: 注意障害
3: 強迫症状
4: させられ体験
5: 見捨てられ恐怖
知的障害児の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 作業課題への興味を拡大させる。
2: 集団内での対人技能を向上させる。
3: 自己評価の低下を防ぐ。
4: 障害特性を家族に説明する。
5: 不得意な教科の成績を向上させる。
作業療法導入時の注意欠如・多動性障害の患者に対する配慮として正しいのはどれか。
1: ルールや禁止事項を数多く設ける。
2: 他者と共同で行う作業を提供する。
3: 失敗体験を基にした動機づけを図る。
4: 不適応反応時の落ち着ける場所を確保する。
5: 周囲からの刺激を受けやすい環境を設定する。
気分障害(うつ状態)の患者の作業療法中にみられないのはどれか。
1: 作業能率の低下
2: 作業種目への執着
3: 評価への高い関心
4: 複雑な作業への困惑
5: 失敗へのこだわり
気分障害(うつ病)の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 工程がはっきりとした作業
2: 短時間で完成できる作業
3: 非競争的な作業
4: 病前に得意だった作業
5: 受身的な作業
57歳の女性。アルコール依存症。専業主婦。以前から台所で飲酒していたが、夫が退職したころから、昼夜に関係なく隠れ飲みするようになり、半年後に入院となった。入院後、著明な離脱症状はなかったが、しばらく不安、抑うつが続いた。薬物療法によって、これらの症状が軽減したので作業療法が処方された。退院前の作業療法施行時に、泣き出すなど情緒不安定になった。作業療法士の対応で適切でないのはどれか。
1: 支持的な態度で患者の訴えを聴いた。
2: 訴えを聞くうちに落ち着いてきたので作業を続けた。
3: 作業終了後、情緒不安定になった事を主治医に報告した。
4: 退院後の生活への不安が情緒不安定の原因と本人に告げた。
5: 今後も患者の行動に注意することを他のスタッフと確認した。
60歳の男性。脳梗塞による片麻痺と高次脳機能障害に対して理学療法を実施している。時折、能力以上の動作を行おうとするために転倒のリスクが指摘されていた。理学療法終了後、搬送担当者がわずかに目を離した間に立ち上がりバランスを崩して床に座りこんだが、明らかな打撲や血圧の変化はみられなかった。対応として適切でないのはどれか。
1: 家族に経過を説明する。
2: 再発防止の具体案を提案する。
3: 口頭で速やかに主治医へ報告する。
4: 発生した状況を詳細に文書で報告する。
5: 理学療法士に責任がないことを明確にする。
回復期前期の統合失調症患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 身体感覚を促すための身体運動を行う。
2: 現実検討を促すためのミーティングを行う。
3: 対人交流技能を促すためのSSTを行う。
4: 自立生活を促すための就労準備訓練を行う。
5: 地域参加を促すための社会活動を行う。