第46回午前第15問の類似問題

第44回午前:第37問

24歳の女性。幼少時に母親から虐待を受けていた。高校中退後から仕事を転々としている。男性との関係は不安定で別れ話のたびに大量服薬を繰り返した。いつもむなしくて死にたい気持ちがあると自覚して、精神科クリニックを受診した。この患者の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 退行の促進

2: 枠組みの提供

3: 依存欲求の促進

4: 衝動の適応的発散

5: 失敗しない作業の提供

第42回午前:第35問

32歳の男性。会社員。課長になってから会議が多くなり、会議中にマイクを持つ手が震え、激しい動悸と発汗が出現するようになった。次第に恥をかきたくないと、会議が恐怖となっていった。精神科外来受診後に外来作業療法を開始した。この患者への作業療法士の対応で適切なのはどれか。  

1: 自殺企図に注意する。

2: 少量の飲酒を勧める。

3: 仕事を休むよう助言する。

4: 幼児期の体験を話題にする。

5: リラクセーションを指導する。

第54回午後:第15問

65歳の女性。元来、几帳面な性格だが友人も多く活動的に過ごしていた。3か月前に、自宅のリフォームを契機に、早朝覚醒、食思不振、抑うつ気分や意欲低下が生じ、友人とも会わないようになった。自宅で自殺を企図したが未遂に終わり、1か月前に家族が精神科を受診させ、即日医療保護入院となった。単独散歩はまだ許可されていないが、抗うつ薬による治療で抑うつ気分は改善傾向にあり、病棟での軽い体操プログラムへの参加を看護師から勧められて、初めて参加した。この時点での患者に対する作業療法士の関わりで適切でないのはどれか。  

1: 必要に応じて不安を受け止める。

2: 過刺激を避けながら短時間で行う。

3: 具体的体験により現実感の回復を促す。

4: 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。

5: 薬物療法の副作用が生じていないかアセスメントする。

  • 答え:4
  • 解説:この患者は急性期のうつ病であり、抗うつ薬による治療が始まっているが、まだ完全に回復していない状態です。作業療法士として関わる際には、患者の状態に配慮し、適切な対応が求められます。
  • 急性期のうつ病患者が訴える不安に対しては、共感的に傾聴する姿勢が重要であるため、この選択肢は適切です。
  • 急性期の作業療法では、1回の活動時間は15~20分程度と短く設定し、回復に沿って徐々に延長することが適切であるため、この選択肢も適切です。
  • うつ病の急性期には、具体的体験により、抑うつ的な考え・症状から心理的に距離をとることで、現実的な時間を過ごすための関わりが適切であるため、この選択肢も適切です。
  • うつ病の急性期に明確な目標を設定すると、患者はその目標の達成のために真面目に取り組み、無理をしがちになってしまうため、この選択肢は適切でないです。
  • 抗うつ薬は、服用してから効果が発現するまでに2~4週間要すとされる。薬効には個人差があるため、服薬の効果と副作用を継続的に観察していくことが重要であるため、この選択肢は適切です。
  • 科目:気分障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第44回午前:第38問

20歳の男性。広汎性発達障害。高校の普通科を卒業後、工場に就職するが職場で上司に指示されたことが途中で変更になったことで怒ったり、昼休みの同僚との会話からトラブルとなったりして退職した。その後、抑うつ的な状態が続き、精神科受診となった。この患者の行動特性はどれか。2つ選べ。  

1: 場の雰囲気を読み取ることが苦手である。

2: 順番を待つことができない。

3: 新しいことが覚えられない。

4: 不測の事態に対応できない。

5: 常に落ち着きがない。

第39回午前:第81問

アルコール依存症患者との関わりで適切なのはどれか。2つ選べ。  

1: 本人の行動には指示的に接する。

2: 焦燥感の表出には受容的に接する。

3: 身体機能の評価を行う。

4: 個人的な要求を優先する。

5: 作業量の調節は本人に任せる。

第38回午前:第31問

25歳の女性。境界型人格障害。手首の自傷行為の反復、睡眠薬遊びや万引きがある。「何でも良いからやれる仕事をやってはどうか」と言う母親に暴力を振るい、止めに入った父親の前で「死んでやる」と言って再び手首の自傷行為に及び入院した。入院後、穏やかになり作業療法が開始された。作業療法を開始する上で適切でないのはどれか。  

1: チームの間でかかわり方の合意をしておく。

2: 実施時間を明確に決めておく。

3: 短期間で結果が得られるものを選ぶ。

4: 作業種目の選択を本人に任せる。

5: グループ作業を勧める。

第44回午前:第34問

48歳の男性。市役所に勤務。住民の苦情に対応する業務に就いたころから、不眠、食欲不振、意欲低下および思考抑制が始まった。3か月間の休職を取り自宅療養をしていたが「自分は役に立たない」と言い、希死念慮を認めたため入院となり、2週後から作業療法が開始された作業療法の初期評価で把握すべき内容として適切でないのはどれか。  

1: 興味関心

2: 身体症状の有無

3: 病前の生活状況

4: 現在の睡眠状態

5: 集団への参加技能

第42回午前:第36問

25歳の女性。境界型人格障害。友人と些細なことで口論となり大量服薬して入院となった。症状が落ち着いてきたので、作業療法に参加することになった。この患者の作業療法場面でしばしばみられるのはどれか。2つ選べ。  

1: 一人で作業をやりたがる。

2: 一つの作業に執着する。

3: 作業手順が覚えられない。

4: 病棟スタッフの悪口を言う。

5: 些細なことで自傷行為をする。

第56回午前:第18問

45歳の女性。20歳前後から、心理的負荷がかかるとリストカットを行うようになり縫合を必要とすることが多かった。また、自分の思い通りにいかないと易怒的となり、周囲に暴言を吐くこともあった。25歳時に精神科を初めて受診し、以後、過量服薬時に数回の入院歴があるが、現在は調理の仕事に就いて3年目となる。最近、職場の人間関係で正論を吐きすぎて孤立し、結果として焦燥感が強まり、主治医の勧めで仕事のシフトのない平日の日中に外来作業療法を開始することになった。この時点での作業療法士の関わりとして最も適切なのはどれか。  

1: 転職を勧める。

2: 主治医に入院処遇を依頼する。

3: チームでの統一した対応をこころがける。

4: 行動化に対しては心的距離を縮めて対応する。

5: 本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する。

  • 答え:3
  • 解説:この患者は境界性パーソナリティ障害の特徴を持っており、外来作業療法が開始される時点で、治療者は患者が他人を操作しないように行動の規範を示すことが重要です。そのため、医療チーム内で統一した対応を心掛けることが最も適切な関わりとなります。
  • 患者は調理の仕事に就いて3年目であり、治療を進めながら仕事を続ける計画が立てられているため、この段階で転職を勧める理由はありません。
  • 患者は外来作業療法を処方されており、治療が開始される時点です。病状変化が記載されていないため、主治医に入院処遇を依頼する必要性はありません。
  • 患者は境界性パーソナリティ障害の特徴的な言動を持っているため、医療チーム内で統一した治療的枠組みにより制御することが重要です。この選択肢が正しいです。
  • 行動化は患者の心理的葛藤が他者依存を強める行動に表れることであり、心的距離を縮めて対応することは適切ではありません。むしろ、適切な距離を保つことが重要です。
  • 患者に対しては、行動の規範を示すことが重要であり、臨機応変な対応は緩めることにもつながるため、適切ではありません。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第40回午前:第37問

25歳の男性。知的障害。IQ 60。両親と3人暮らし。18歳から近所の漬物工場で仕事をしている。周期性の不機嫌がみられていたが、最近、不機嫌が改善せず、物を投げたり両親を攻撃したりするため、入院となった。入院1か月後に状態が安定したので、退院を目標に作業療法が処方された。作業中、いつも患者は周囲をきょろきょろ見回して、落ち着かない。この状況の説明として適切でないのはどれか。  

1: 状況対応力の低さ

2: 過度の緊張

3: 不安の発現

4: 複雑部分発作の前兆

5: 注意集中の困難

第46回午前:第19問

55歳の男性。うつ病。職場で苦手なパソコン操作を行う業務を担当するようになり、不眠、意欲低下および抑うつ気分がみられるようになった。希死念慮も認められたため入院となった。入院後1か月経過し、作業療法が開始された。初回評価で優先度が高いのはどれか。2つ選べ。  

1: 家族関係

2: 睡眠障害

3: 思考障害

4: 作業能力

5: 職場環境

第41回午前:第32問

40歳の男性。4月に職場の配属先が変わり新しい仕事に慣れない日が続いていた。会社に行くと手に冷や汗が出て、胸がどきどきするようになった。1か月前から不眠、意欲の低下が出現した。会社に行く気力がなくなり、朝からふさぎこむようになったため、妻と一緒に精神科を受診し、入院となった。この症例に出現しない症状はどれか。2つ選べ。  

1: 精神運動抑制

2: 観念奔逸

3: 連合弛緩

4: 罪業妄想

5: 希死念慮

第38回午前:第39問

68歳の男性。21歳時に精神分裂病(統合失調症)を発症し入退院を数回繰り返した。50歳ころから症状が安定し家庭菜園をしながら弟の家族と同敷地内の離れ家で暮らしていた。今回、数年前からの多発性脳梗塞による認知症が進み、日常生活が困難となり、老人性認知症疾患療養病棟に入院した。作業療法場面での留意点で適切でないのはどれか。  

1: 自動症

2: せん妄

3: 転倒

4: 脳卒中発作

5: 精神分裂病(統合失調症)の悪化

第39回午前:第36問

22歳の女性。統合失調症(精神分裂病)。17歳時、周囲から悪口を言う声が聞こえ初回入院し、退院後はアルバイトの生活を続けていた。今回、突然2階から飛び降りた。けがは軽症で済んだが、興奮と幻覚妄想が顕著となり、2回目の入院。入院3週目で症状は軽減したが、疲弊状態が前面に出ている。主治医から、再発後の疲れやすさへの対処を目的とした作業療法が指示された。導入時の身体活動として適切なのはどれか。  

1: シャッフルボード

2: バレーボール

3: テニス

4: バスケットボール

5: ソフトボール

第38回午前:第33問

34歳の主婦。解離性(転換性)障害。23歳の時から入退院を繰り返している。今回、夫婦喧嘩の後ふらつきがひどくなり、意識を失って入院した。1か月後にふらつきはまだあるものの、作業療法が導入された。当初の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.ふらつきの原因を探る。イ.夫婦関係を調整する。ウ.無意識の葛藤について洞察させる。エ.歩行訓練を行う。オ.不安感を発散する作業を行う。  

1: ア

2: イ

3: ウ

4: エ

5: オ

第55回午前:第44問

アルコール依存症に合併しやすい症状とそれに対する治療との組合せで正しいのはどれか。  

1: アルコール幻覚症――抗不安薬の投与

2: Wernicke脳症――――ビタミンDの投与

3: 再飲酒―――――――断酒会

4: 振戦せん妄―――――抗酒薬の投与

5: 人格変化――――――修正型電気けいれん療法

  • 答え:3
  • 解説:アルコール依存症に合併しやすい症状とそれに対する治療の組合せについて問う問題です。正しい組合せは再飲酒と断酒会です。
  • アルコール幻覚症はアルコール依存症に合併しやすい症状の一つですが、抗不安薬の投与ではなく、抗精神病薬の投与が適切な治療となります。
  • Wernicke脳症はアルコール依存症に合併しやすい症状ですが、ビタミンDの投与ではなく、ビタミンB1(チアミン)の投与が適切な治療となります。
  • 再飲酒はアルコール依存症に合併しやすい症状であり、断酒会はその治療として適切です。断酒会では、アルコール依存症の患者が互いに支え合いながら、アルコールを断つことができます。
  • 振戦せん妄はアルコール依存症に合併しやすい症状ですが、抗酒薬の投与ではなく、抗精神病薬や抗不安薬の投与が適切な治療となります。
  • 人格変化はアルコール依存症に合併しやすい症状の一つですが、修正型電気けいれん療法(m-ECT)はうつ病や統合失調症などの難治性の精神疾患に対して適応となる治療であり、アルコール依存症に対する直接的な治療ではありません。
  • 科目:その他の精神障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第37回午前:第27問

74歳の女性。アルツハイマー型老年認知症。約6年前から、朝食の内容を昼には忘れてしまう。最近、貯金通帳の置き場所を忘れ、長女夫婦が盗んだと非難することが多くなり、「他人が勝手に玄関から入ってくる」と訴え入院となった。入院後は落ち着き、作業療法を実施することになった。この患者に作業療法を実施する際の留意点で誤っているのはどれか。   

1: 身体機能の評価を行う。

2: 意欲低下がみられる場合は励ます。

3: 言い間違いは指摘する。

4: 単純な作業から始める。

5: 過去に行った作業を適用する。

第38回午前:第28問

36歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。20歳代に発病。就労を目的としてデイケアの通所を開始。対人関係は表面的には如才なく接している。しかし、女性や年下の人には横柄で命令的な反面、目上や初対面の人には緊張して口もきけない状態になることもある。就労に関しては公共職業安定所で職探しをしている。デイケアの活動で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.集団療法で過去の職歴について話し合う。イ.生活技能訓練で面接訓練を行う。ウ.外部機関への単独訪問を制限する。エ.自由画などの創造的作業を行う。オ.興味のある趣味的な作業を行う。  

1: ア

2: イ

3: ウ

4: エ

5: オ

第57回午後:第19問

22歳の男性。注意欠如・多動性障害。大学卒業後に営業職に就いた。顧客との約束や書類を忘れるなどの失敗が続き、上司が度々指導をしても改善しなかった。子供のころから不注意傾向があり、母親は「しつけをしてこなかった自分に非がある」という。その後も失敗が続いて自信を喪失し、1週前から欠勤し精神科の受診に至った。入院となり作業療法が処方された。この時期の作業療法士の対応として適切なのはどれか。  

1: 仕事に適性がないと伝えて転職を勧める。

2: 休養に専念し職場復帰を焦らないように伝える。

3: 母親のしつけの失敗の影響が残っていると告げる。

4: 上司の指導方法が病気の誘因であることを説明する。

5: 職場復帰のために対人技能向上を目的とした作業活動を勧める。

  • 答え:2
  • 解説:注意欠如・多動性障害(ADHD)の患者で、不注意傾向から業務上の問題行動があって職場の指導では改善が見られない。患者は自信を喪失して欠勤していることから、自尊心の回復が対応すべき課題である。
  • 患者は営業職に就いていたが、不注意傾向はどのような業務にも影響があり、転職しても解決にはならない。失敗が続いて自信を喪失している患者に転職を勧めると、自尊心を傷つけることになる。
  • 入院した時期に作業療法が処方されており、急性期にあると推察される。急性期には休息させ心身の回復を図ることが重要である。この選択肢が正しい。
  • 患者に現在の状況が母親の責任だと伝えたとしても、患者が損なった自尊感情を回復することにはならない。母親は自戒の念を述べているが、これが患者の能力と欠勤の原因と判断することは困難。
  • 上司の指導方法が、患者の不注意と業務失敗の誘因とは言えない。また、業務上の失敗が患者の責任でないことが事実だとしても、それを急性期の患者に伝えても、患者は失敗を思い出しては内省を繰り返す危険がある。
  • 急性期には、患者が逃避した職場への復帰を直接的な目的とした作業を勧めることはできない。患者は自信を失っている状態であり、職場復帰を想像することがストレスとなる。
  • 科目:発達・小児疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第55回午後:第16問

37歳の男性。日頃から職場での待遇に不満を感じており、たまたま入ったパチンコ店で大勝してから、パチンコを繰り返すようになった。負けを繰り返す中、妻に黙って娘の学資保険を解約するなどしてお金をつぎ込んでいた。その後も借金を繰り返すがやめられず、借金に気づいた妻から「このままだと離婚する」と言われ、妻の勧めで精神科を受診し、病的賭博(ギャンブル障害)の診断を受けた。この障害の特徴で正しいのはどれか。  

1: 生活のストレスはパチンコの衝動に影響しない。

2: アルコール・薬物依存症を合併しやすい。

3: 一般人口の1割に同様の問題がみられる。

4: 女性では思春期に発症することが多い。

5: 女性に多い。

  • 答え:2
  • 解説:病的賭博(ギャンブル障害)は、賭博を繰り返すことで生活が破綻し、多額の負債や法律問題が生じる障害です。ストレスが強まると賭博の衝動が増強し、アルコール・薬物依存症や他の精神障害を合併しやすい傾向があります。一般人口の1%に病的賭博が見られ、男性に多く、女性は遅い時期に発症することが多いです。
  • 選択肢1は間違いです。ギャンブル障害による賭博の衝動は、生活のストレスが強まると増強する傾向があります。
  • 選択肢2は正しいです。ギャンブル障害患者は、アルコール・物質使用障害やうつ病・双極性障害、非社会性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害などを合併しやすい傾向があります。
  • 選択肢3は間違いです。疫学的研究によると、一般人口の3~5%に賭博の問題が、1%には病的賭博が見出されるとされています。
  • 選択肢4は間違いです。ギャンブル障害は、女性の場合、思春期よりも遅い時期に発症することが多いです。一方、男性は、思春期に発症することが多いです。
  • 選択肢5は間違いです。ギャンブル障害患者の大多数が男性であり、女性の割合は低いです。
  • 科目:その他の精神障害
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