40歳の男性。うつ病。意欲低下と睡眠障害が出現し会社を休職した。アパートで1人暮らしをしながらデイケア通所していたが、この1週間、デイケアも休みがちになり訪問の指示が出た。訪問時の評価で優先するのはどれか。
1: 生活リズム
2: 金銭の管理
3: 服薬の管理
4: 症状の再燃
5: 身辺処理技能
アルコールによる精神障害について正しいのはどれか。
1: 振戦せん妄は酩酊中に生じる。
2: Wernicke脳症はビタミンB12の欠乏による。
3: 急性中毒は長期のアルコール摂取により生じる。
4: アルコール依存症の治療には集団療法が有効である。
5: アルコール摂取を続けると、少量の酒でも酔いやすくなる。
21歳の女性。統合失調症。大学に進学後1人暮らしをしていたが、4年生になっても就職先が決まらず、不眠と焦燥感が出現した。その後、他の学生から悪口を言われている声も聴こえ始め、アパートに閉じこもるようになった。母親が患者の異変に気付き精神科を受診させ休学となった。外来受診を継続し1か月半が経過したところで、外来での作業療法が処方された。この患者の作業療法導入時の面接内容として優先すべき項目はどれか。
1: 悪口の内容を確認する。
2: 家族に対する思いを尋ねる。
3: 一日の過ごし方を確認する。
4: 就職の不安について尋ねる。
5: 興味のある授業について尋ねる。
55歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。29歳時に「『修道院に行けばお金をたくさんもらえる』という声が聞こえる」と言うようになり初回入院した。現在、4回目の入院中で、最近は病的な体験を述べることは減少したが、無為傾向が強いため、その改善を目的に作業療法が開始された。作業療法の初期評価で適切でないのはどれか。
1: 病的体験の影響
2: 対人関係の範囲
3: 興味・関心の内容
4: 指示理解の程度
5: 作業の巧緻性
19歳の男性。てんかん及び軽度知的障害(IQ 60)。特別支援学校卒業後にクリーニング店に就職した。「接客態度が悪い」と注意されたことをきっかけに仕事に行けなくなり、引きこもりとなった。時々家族に暴力を振るうために、家族が主治医に相談して外来作業療法が処方された。本人、家族とも復職を希望している。この患者に対して優先すべき対応はどれか。
1: 暴力の内省を促す。
2: 対人技能の訓練を行う。
3: 注意力を高める作業を行う。
4: てんかんの疾病教育を行う。
5: 運動能力を高めるためのスポーツ活動を行う。
22歳女性。摂食障害。同僚との対人関係の悪化から過食が始まり、食費を乱費するようになり入院となった。入院後は入院を不満として拒食に転じたが、3か月後には退院可能になった。退院後、再び過食が始まり、盗食や下剤の乱用がみられ再入院となった。入院後直ちに作業療法が処方された。作業療法開始当初にみられないのはどれか。
1: 作業療法上の約束には一応従う。
2: 作業種目を自ら希望する。
3: 作業療法士に万能感を抱く。
4: 自己中心的な行動をする。
5: 作品の出来映えに満足感を抱く。
22歳の男性。統合失調症。作業療法の開始後、しばらくして「周りの人が自分の悪口を言っている気がする」と訴えてきた。作業療法士の対応として適切なのはどれか。
1: 訴えを助長しないよう聞き流す。
2: 個室に移動させ、作業を継続させる。
3: 休憩を取り入れ、周りの人たちの様子を観察させる。
4: 勘違いであることを説明し、気にしないよう説得する。
5: 周りの人たちに、悪口を言ったかどうかを1人ずつ確認する。
45歳の男性。統合失調症。25年間の入院の後、退院してグループホームに入居することになった。作業療法士は患者の強みとしての性格、才能、希望、環境について、日常生活、経済的事項、仕事などの項目に分けて本人と一緒に確認の上文章化し、患者の言葉を用いて退院後の目標を立てた。本アセスメントの根拠となるモデルはどれか。
1: ICFモデル
2: 作業適応モデル
3: 人間作業モデル
4: ストレングスモデル
5: CMOP〈Canadian Model of Occupational Performance〉
43歳の男性。統合失調症。幻聴と妄想が消失せず9年間の入院生活を送っていたが、入院患者の地域生活移行を進める方針の下、地域のアパートを借りて退院することになった。そこで、本人の地域生活を支えるため、作業療法士、看護師、精神保健福祉士、医師らがチームを組み、24時間365日体制で相談や訪問のサービスを開始した。このサービスに該当するのはどれか。
1: Assertive Community Treatment〈ACT〉
2: Illness Management and Recovery〈IMR〉
3: Individual Placement and Support〈IPS〉
4: Intentional Peer Support〈IPS〉
5: Wellness Recovery Action Plan〈WRAP〉
65歳の女性。約1年前から抑うつ気分、意欲低下、判断力低下、不眠、食思不振などがあり、約9か月前に精神科外来を初めて受診した。希死念慮や貧困妄想も加わり、約8か月前に医療保護入院となっている。抗うつ剤投与により不眠、食思不振はある程度改善されたが、悲観的な思考内容は遷延化した。促してかろうじて病棟外への散歩に応じるようになり、数か月が経過したところで、主治医から作業療法の依頼があった。この時点での作業療法として適切でないのはどれか。
1: 本人の自己決定を見守る。
2: 個別のかかわりから開始する。
3: 1回の活動時間は短く設定する。
4: 長期間をかけて完成する課題を採用する。
5: なじみのある課題より初めての課題を採用する。
67歳の女性。認知症。2年前ごろから身だしなみに気を遣わずに出かけるようになった。次第に同じ食事メニューを繰り返し作る、日常会話で相手の言葉をオウム返しにする、買い物をしても代金を払わず、とがめられても気にしないといったことが多くなったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1: 転倒しやすい。
2: 情動失禁がみられる。
3: 手続き記憶が損なわれる。
4: 時刻表的生活パターンがみられる。
5: 「部屋にヘビがいる」といった言動がある。
32歳の女性。躁うつ病。18歳で発病。24歳で結婚し、2児をもうけ、スーパーで仕事をしていた。長男が小学校へ入学し、PTAの役員を引き受けた頃から仕事も忙しくなり、気分が高揚し外出や買い物が頻繁となった。心配した夫とともに受診し、入院となった。入院2週目、高揚気分は徐々に治まり、本人から「手芸がしたい」という希望があり、作業療法が開始された。1か月後に集団作業療法を行うことになった。面接で「子供たちのために早く退院したい」と希望を述べた。このときの評価すべき内容で適切でないのはどれか。
1: 疲労度
2: 集中力
3: 感情のコントロール
4: 対人関係
5: 就労能力
68歳の男性。半年前から睡眠中に奇声をあげたり、気分が沈みがちになることがあった。次第に物忘れや立ちくらみ、手の震えが出現した。最近、「玄関に小人が立っている」と言うことが増えたため、家族に付き添われて精神科病院に入院し、作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。2つ選べ。
1: 動きが緩慢になる。
2: 症状が変動しやすい。
3: 毎食のメニューにこだわる。
4: 周囲に対し一方的な要求をする。
5: 環境からの刺激を受けても集中できる。
統合失調症患者の退院を目的とした作業療法で適切でないのはどれか。
1: 生活のリズムを整える。
2: 体力を向上させる。
3: 症状の自己管理能力を向上させる。
4: 依存欲求を満たす。
5: 家族調整を行う。
35歳の女性。現在、6か月児の子育て中であるが、1か月前からテレビも新聞も見る気が起こらないほど周囲への興味と関心が低下し、児と触れ合うこともおっくうになった。物事の判断が鈍くなり、子育てに自信をなくし、自分を責め、ささいなことから不安になりやすくなったため、児を祖母に預けて精神科病院に入院した。入院翌日から不安の軽減を目的に作業療法が開始された。この患者に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 運動によって体力の増強を図る。
2: 趣味をみつけるよう働きかける。
3: 子育ての情報提供により関心を高める。
4: 集団のレクリエーションで気分転換を図る。
5: ゆとりが持てるような日中の過ごし方を話し合う。
22歳の女性。幼少期に両親と死別したが、祖父母の支援などで問題なく学校生活を過ごした。学業成績は良かったが、感情が不安定で自傷行為を繰り返し、精神科クリニックに通院しながら高校を卒業した。卒業後は事務職として就職したが、感情が不安定でしばしばトラブルを起こした。最近、些細なことで友人と喧嘩になり、激怒して大量服薬して入院となった。入院後、早期に作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1: 完璧主義
2: 作為体験
3: 衝動行為
4: 脱力発作
5: 振戦せん妄
25歳の女性。境界型人格障害。高校時代から希死念慮や情緒不安定があった。アルバイト先の男性従業員と同棲していたが、21歳のときけんか別れして帰省した。帰省後は母親と生活していたが、母親への暴力と希死念慮が激しくなり入院した。入院後、落ち着いた時点で作業療法が開始された。この患者が作業療法中に希死念慮を漏らすようになった。対応として適切でないのはどれか。 ア.苦悶の気持ちを聴くようにする。イ.課題を一緒に考えていく姿勢を示す。ウ.作業療法を中止する。エ.希死念慮の背景を説明する。オ.主治医に報告する。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
26歳の女性。衝動的な浪費や奔放な異性交遊の後に抑うつ状態となり、リストカットを繰り返していた。常に感情が不安定で、空虚感や見捨てられることへの不安を訴える。職場での対人関係の悪化をきっかけに自殺企図が認められたため入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 患者の申し出に応じて面接を行う。
2: 初回面接で自殺企図について話し合う。
3: 攻撃性がみられた場合には治療者を替える。
4: 患者の希望に合わせてプログラムを変更する。
5: 治療目標や治療上の契約を繰り返し確認する。
26歳の男性。Asperger症候群。小学校でいじめに遭い、以後、学校では友人はほとんどできなかった。大学卒業後、建築関連の会社に就職したが、同僚からは「融通がきかない、人の気持ちを逆なでする」などと責められることが多く、ストレスから徐々に抑うつ気分が強くなった。欠勤が続いたため、上司が精神科クリニックを紹介し、復職を目標にデイケアに通うことになった。デイケアで行う支援で適切なのはどれか。
1: コミュニケーションのマナーについてマニュアルを作成する。
2: 職場の同僚には障害のあることを伏せる。
3: ミーティングで自由な発言を促す。
4: 就労支援事業所の利用を勧める。
5: 多様な作業を経験させる。
82歳の女性。認知症。会社員の娘と認知症初期の夫との3人暮らしで、家族に介護されている。患者は興奮すると夫に暴言を吐き、物を投げつけ、不安が強くなると仕事中の娘に十数回電話する状況である。集団を嫌いデイサービスの利用は拒否していたため、訪問作業療法の指示が出た。まず行うべきなのはどれか。
1: 服薬指導
2: 家族への助言
3: 身体機能の維持
4: 趣味活動の拡大
5: 記憶障害の改善