19歳の男性。てんかん及び軽度知的障害(IQ 60)。特別支援学校卒業後にクリーニング店に就職した。「接客態度が悪い」と注意されたことをきっかけに仕事に行けなくなり、引きこもりとなった。時々家族に暴力を振るうために、家族が主治医に相談して外来作業療法が処方された。本人、家族とも復職を希望している。この患者に対して優先すべき対応はどれか。
1: 暴力の内省を促す。
2: 対人技能の訓練を行う。
3: 注意力を高める作業を行う。
4: てんかんの疾病教育を行う。
5: 運動能力を高めるためのスポーツ活動を行う。
28歳の男性。統合失調症。持続性の幻聴や被害妄想のため、21歳から入退院を繰り返していたが「働きたい」という本人の希望を尊重して、一般就労を目指して支援することになった。作業療法士を含めた多職種によって生活を支援する一方、地域障害者職業センターやハローワークと協力して、マッチングを図りながら24か月を限度に支援を行っている。この患者が受けている就労支援サービスはどれか。
1: 就労移行支援
2: 職場適応訓練
3: リワーク支援
4: 就労継続支援A型
5: 就労継続支援B型
35歳の女性。現在、6か月児の子育て中であるが、1か月前からテレビも新聞も見る気が起こらないほど周囲への興味と関心が低下し、児と触れ合うこともおっくうになった。物事の判断が鈍くなり、子育てに自信をなくし、自分を責め、ささいなことから不安になりやすくなったため、児を祖母に預けて精神科病院に入院した。入院翌日から不安の軽減を目的に作業療法が開始された。この患者に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 運動によって体力の増強を図る。
2: 趣味をみつけるよう働きかける。
3: 子育ての情報提供により関心を高める。
4: 集団のレクリエーションで気分転換を図る。
5: ゆとりが持てるような日中の過ごし方を話し合う。
68歳の男性。21歳時に精神分裂病(統合失調症)を発症し入退院を数回繰り返した。50歳ころから症状が安定し家庭菜園をしながら弟の家族と同敷地内の離れ家で暮らしていた。今回、数年前からの多発性脳梗塞による認知症が進み、日常生活が困難となり、老人性認知症疾患療養病棟に入院した。開始時の作業活動で適切なのはどれか。
1: 籐細工
2: 園 芸
3: 音楽鑑賞
4: 絵 画
5: 文化刺繍
23歳の女性。境界型人格障害。中学時代から対人関係が不安定で、不登校、家出、過量服薬、恋人との激しいけんかなどを繰り返してきた。今回、失恋を契機に睡眠薬自殺を図ったが、救命救急センターで意識回復し精神科へ入院した。左手首に数本の切創痕を認める。母親に甘えた態度をとったり、大声で怒鳴ったり、死にたいと言ったりする。治療目的で作業療法が依頼された。この症例に認められない症状はどれか。
1: 情緒不安定
2: 薬物乱用
3: 退 行
4: 行動化
5: 強迫症状
52歳の男性。アルコール依存症。45歳ころからアルコールによる肝炎で入退院を繰り返し離婚した。単身生活になって飲酒が一層激しくなり、食事も摂らず泥酔状態が続くところを保護されて入院した。離脱症状が消失した時点で作業療法が開始されたが、落ち込んだ様子や自己中心的な行動が見られたり、理由なく作業療法を欠席したりすることがある。この時点での作業種目で適切なのはどれか。
1: マクラメ
2: 散歩
3: パソコン操作
4: 革細工
5: 木工
42歳の男性。アルコール依存症。事務職。35歳ころから飲酒による肝機能障害を呈する。最近、連続飲酒で長期無断欠勤となったため、本人も断酒を決意せざるを得なくなり入院となった。離脱症状の消褪後3週で作業療法が処方された。作業療法の初期評価で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.身体耐久性の評価イ.職場復帰の可能性ウ.断酒への決意の確認エ.家族間の力動の評価オ.他の患者との協調性の程度
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
26歳の女性。衝動的な浪費や奔放な異性交遊の後に抑うつ状態となり、リストカットを繰り返していた。常に感情が不安定で、空虚感や見捨てられることへの不安を訴える。職場での対人関係の悪化をきっかけに自殺企図が認められたため入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 患者の申し出に応じて面接を行う。
2: 初回面接で自殺企図について話し合う。
3: 攻撃性がみられた場合には治療者を替える。
4: 患者の希望に合わせてプログラムを変更する。
5: 治療目標や治療上の契約を繰り返し確認する。
20歳の女性。境界性人格障害。中学時代から拒食、嘔吐、極端なやせとリストカットが始まり、不登校となった。摂食行動や不登校を注意されると、「自分の気持ちを誰も分かってくれない」と言い、リストカットをする。高校中退後もその状態が続いた。職に就かないことを母親に指摘されたのをきっかけに、薬物による自殺企図で入院となった。入院3か月後には、一応の安定がみられたため作業療法が開始された。参加2週間後、作業療法中に過呼吸症候群となった。その場は主治医の処置で症状が消失した。今後の対応について適切でないのはどれか。
1: 呼吸困難時の状況を患者に聞く。
2: 患者が望むときは時間外の面接も行う。
3: 場面設定に問題がないか再検討する。
4: 患者との治療関係を検討する。
5: 主治医、病棟スタッフと対応を話し合う。
35歳の女性。統合失調症。デイケアの就労準備プログラムに参加している。普段は生真面目で穏やかな性格であったが、3週前から些細なことでいら立ち怒り出すようになった。悪化の原因を理解することを目的とした面接において、担当の作業療法士が優先して確認すべき項目はどれか。
1: 食欲
2: 服薬状況
3: 家族の問題
4: 就労に向けた不安
5: デイケアの人間関係
72歳の女性。夫は1年前に亡くなり1人暮らしをしている。家事をこなし地域のボランティア活動にも参加して活動的であるが「最近、下肢の深いところに虫が這うような不快さがあり、週3日くらいよく眠れない。20代のときにも同じような症状があった」と訴えている。作業療法士の助言で適切なのはどれか。
1: ペットを飼うように勧める。
2: 家族と一緒に住むようにと家族介入をする。
3: 筋肉量が少ないため筋力トレーニングを勧める。
4: 薬物療法の適応について医師へ相談するよう勧める。
5: 認知症の可能性があるので、介護保険を受けるように勧める。
13歳の女子。中学に入学してから頭痛などを理由に欠席が多くなり、2学期からは不登校となった。自宅で母親への暴力がみられるようになったため、精神科を受診し外来作業療法に通うこととなった。作業療法プログラムの留意点で適切でないのはどれか。
1: 同年代の患者との交流を楽しめる機会を提供する。
2: 電子メールなどのコミュニケーション機器の利用法を指導する。
3: 授業の遅れを取り戻すために学習の時間を取り入れる。
4: 1週間の過ごし方を工夫し基本的な生活リズムを整える。
5: 身体運動や創作活動を利用し自己表現の機会を提供する。
24歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。「死ね」という幻聴があり、自室に閉居して食事をとらなくなったため入院した。入院後、幻聴は軽減したが、不安が強く対人関係を避けて横になっていることが多い。作業中に幻聴に聞き入り、作業を中断した。作業療法士の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.「また聞こえてきたの」と声をかける。イ.「死ねと聞こえてくるの」と聞く。ウ.「どうしたの」と他患者から声をかけてもらう。エ.「別室で休んでいなさい」という。オ.「作業を続けましょう」と促す。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
68歳の男性。アルツハイマー型痴呆。数年前から道で迷ったり、電話できちんと受け答えしたのに、その内容を家人に伝えられなかったりした。最近では夜間になると興奮して動き回り、昼間はうとうとしている。半年ぶりに会った息子に初対面の人に挨拶するように対応したため、家人が心配して受診させ入院に至った。この患者に当てはまらないのはどれか。
1: 地誌的障害
2: せん妄
3: 失語
4: 記銘力障害
5: 人物誤認
49歳の男性。アルコール依存症。建設会社の営業社員。接待で飲酒の機会が多く、3年前に発症。断酒会を継続していたが、会社が倒産したのち連続飲酒となった。再就職のために断酒を希望し入院した。入院後1週で離脱症状から回復した。離脱症状でみられるのはどれか。2つ選べ。 ア.躁状態イ.睡眠障害ウ.幻 視エ.微小妄想オ.夜間せん妄
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
50歳の女性。10年前に義母の介護に際して突然の視力障害を訴えたが、眼科的異常はみられなかった。1か月前に夫の単身赴任が決まってから、下肢の冷感、疼痛を主訴として、整形外科、血管外科などを受診するも異常所見は指摘されなかった。次第に食事もとれなくなり、心配した夫が精神科外来を受診させ、本人はしぶしぶ同意して任意入院となった。主治医が、身体以外のことに目を向けるようにと作業療法導入を検討し、作業療法士が病室にいる本人を訪問することになった。本人は着座すると疼痛が増強するからと立位のままベッドの傍らに立ち続けて、他科受診できるよう主治医に伝えてほしいと同じ発言を繰り返す。この患者に対する病室での作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1: 他科受診できるよう約束する。
2: 夫の単身赴任をどのように感じているか尋ねる。
3: 痛みが軽減することを約束して作業療法への参加を促す。
4: 身体的には問題がなく、心の問題であることを繰り返し伝える。
5: 他のスタッフの発言との食い違いが生じないよう、聞き役に徹する。
25歳の女性。境界型人格障害。友人と些細なことで口論となり大量服薬して入院となった。症状が落ち着いてきたので、作業療法に参加することになった。この患者への作業療法で適切でないのはどれか。
1: 社会的な役割の体験
2: 試行錯誤の作業体験
3: 作業援助を受ける体験
4: 作業活動による成功体験
5: 自己肯定感を高める体験
22歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校1年時にうつ状態で3か月入院した。その後、毎年入退院を繰り返し5回目の入院となった。入院後1か月が経過したが、自発性の減退および引きこもりがみられる。また「私の結婚相手を姉に取られた。私の考えがすべて他人に分かってしまい自分がなくなってしまうみたいで困る。他人の声が左の頭に聞こえる。」と訴えている。その時点で作業療法が処方された。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。
1: 姉の結婚に対する気持ちを聞く。
2: 日常生活の過ごし方について話し合う。
3: 作業種目について希望を聞く。
4: 参加の意思について聞く。
5: 病棟での他の患者との交流について話を聞く。
68歳の女性。アルツハイマー型痴呆。最近、臥床傾向が強くなり、抑うつ的で食事・入浴などに拒否的となり入院した。入院後約2週で臥床傾向も改善し始め、食事・入浴などは拒否せず誘導に応じるようになった。作業療法の内容設定で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.変化に富んだ設定イ.複数の課題のある設定ウ.刺激を制限した設定エ.安心感のある設定オ.手順の多い設定
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
62歳の男性。心筋梗塞発症当日に入院。発症後3日から理学療法を開始している。合併症はない。発症後5日の理学療法で適切でないのはどれか。
1: ベッド上での肘関節自動運動
2: ベッド上での足関節自動運動
3: 両下肢の他動運動
4: ギャッチベッド上での座位
5: ブリッジ運動