42歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。25歳時に「お前は泥棒だ」という声が聞こえるようになり初回入院した。今回も幻聴と被害妄想が出現し3回目の入院。入院5週目で病状は落ち着き作業療法が依頼された。疲れやすさと抑うつ傾向が目立つ。開始後まもなく「退院して就職したい」と言ってきた。作業療法士の対処として適切でないのはどれか。
1: 職種の検討
2: ストレス対処技能の訓練
3: 方針確認の会議の開催
4: 現在の障害の確認
5: 主治医との話し合い
24歳の女性。自己愛性パーソナリティー障害。大学院を修了しサービス業に就いたが、自分より学歴の低い社員と同じ職場に配置されたことに腹を立て、上司に配置換えを要求した。客に尊大な態度を批判され、「なぜ自分が批判されるのか、配置換えの希望を無視した上司が悪い」と言い、怒りをあらわにした。その後、抑うつ感が強まり、自宅に引きこもるようになったため両親が精神科を受診させ、作業療法に通うことになった。この患者にみられやすい特徴はどれか。
1: 自罰傾向
2: 特権意識
3: 自生思考
4: 不定愁訴
5: 嫉妬妄想
17歳の女子。転換性障害。高校1年の2学期終了前にボーイフレンドと別れてから欠席がちとなり、頭痛、肩こり、無気力を訴えた。進級後も欠席が多く大学病院を受診したが、症状の改善がみられず2か月入院した。入院中に手首を切ったことがある。その後、復学したが教室で頻回に倒れ再入院となった。復学を目的に作業療法が処方された。作業に気乗りしないと頭痛を訴え、難しいと依存的になる。作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 訴えを聞き作業を休ませる。
2: 復学を条件に作業を続ける。
3: 難しいところは療法士が手伝う。
4: 患者とルールを決めて作業を行う。
5: 患者の希望した作業を行う。
25歳の女性。境界型人格障害。友人と些細なことで口論となり大量服薬して入院となった。症状が落ち着いてきたので、作業療法に参加することになった。この患者への作業療法で適切でないのはどれか。
1: 社会的な役割の体験
2: 試行錯誤の作業体験
3: 作業援助を受ける体験
4: 作業活動による成功体験
5: 自己肯定感を高める体験
63歳の女性。脳血管性認知症。55歳の頃、一過性脳虚血発作で倒れたことがある。最近、そのような事実はないのに、「息子たちが無断で家の売却の話を進めた」と被害的になり、興奮状態となった。また、日中から雨戸を閉めきり、「家中に虫がいる」と言うようになり入院した。入院後は、問題行動も消失し、作業療法の導入が計画された。この患者の導入時の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.共同作業から参加させる。イ.作業の間違いはすぐに指摘するウ.作業内容は変化の多いものにする。エ.短時間でできる作業を選ぶ。オ.毎回同じ作業療法士が指導する。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
40歳の男性。うつ病。意欲低下と睡眠障害が出現し会社を休職した。アパートで1人暮らしをしながらデイケア通所していたが、この1週間、デイケアも休みがちになり訪問の指示が出た。訪問が継続されることになった。訪問時の対応で正しいのはどれか。
1: 退職を勧める。
2: SSTを勧める。
3: 心配事を聞く。
4: 服薬の変更を勧める。
5: 職場適応訓練を開始する。
67歳の女性。認知症。2年前ごろから身だしなみに気を遣わずに出かけるようになった。次第に同じ食事メニューを繰り返し作る、日常会話で相手の言葉をオウム返しにする、買い物をしても代金を払わず、とがめられても気にしないといったことが多くなったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1: 転倒しやすい。
2: 情動失禁がみられる。
3: 手続き記憶が損なわれる。
4: 時刻表的生活パターンがみられる。
5: 「部屋にヘビがいる」といった言動がある。
26歳の女性。衝動的な浪費や奔放な異性交遊の後に抑うつ状態となり、リストカットを繰り返していた。常に感情が不安定で、空虚感や見捨てられることへの不安を訴える。職場での対人関係の悪化をきっかけに自殺企図が認められたため入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 患者の申し出に応じて面接を行う。
2: 初回面接で自殺企図について話し合う。
3: 攻撃性がみられた場合には治療者を替える。
4: 患者の希望に合わせてプログラムを変更する。
5: 治療目標や治療上の契約を繰り返し確認する。
24歳の女性。幼少時に母親から虐待を受けていた。高校中退後から仕事を転々としている。男性との関係は不安定で別れ話のたびに大量服薬を繰り返した。いつもむなしくて死にたい気持ちがあると自覚して、精神科クリニックを受診した。この患者の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 退行の促進
2: 枠組みの提供
3: 依存欲求の促進
4: 衝動の適応的発散
5: 失敗しない作業の提供
13歳の女子。中学に入学してから頭痛などを理由に欠席が多くなり、2学期からは不登校となった。自宅で母親への暴力がみられるようになったため、精神科を受診し外来作業療法に通うこととなった。この患者への対応で適切でないのはどれか。
1: 作業療法場面の見学をさせ作業療法の利用法を一緒に考える。
2: 家族や教師との連絡が必要な場合は事前に本人の了解を得る。
3: 嫌なことは無理に話したり行ったりしなくてよいことを保証する。
4: 作業療法に毎日通えるようになることを目指す。
5: 本人の希望や要求を可能な範囲で取り入れる。
25歳の女性。境界型人格障害。高校時代から希死念慮や情緒不安定があった。アルバイト先の男性従業員と同棲していたが、21歳のときけんか別れして帰省した。帰省後は母親と生活していたが、母親への暴力と希死念慮が激しくなり入院した。入院後、落ち着いた時点で作業療法が開始された。この患者が作業療法中に希死念慮を漏らすようになった。対応として適切でないのはどれか。 ア.苦悶の気持ちを聴くようにする。イ.課題を一緒に考えていく姿勢を示す。ウ.作業療法を中止する。エ.希死念慮の背景を説明する。オ.主治医に報告する。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
68歳の男性。半年前から睡眠中に奇声をあげたり、気分が沈みがちになることがあった。次第に物忘れや立ちくらみ、手の震えが出現した。最近、「玄関に小人が立っている」と言うことが増えたため、家族に付き添われて精神科病院に入院し、作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。2つ選べ。
1: 動きが緩慢になる。
2: 症状が変動しやすい。
3: 毎食のメニューにこだわる。
4: 周囲に対し一方的な要求をする。
5: 環境からの刺激を受けても集中できる。
82歳の女性。認知症。会社員の娘と認知症初期の夫との3人暮らしで、家族に介護されている。患者は興奮すると夫に暴言を吐き、物を投げつけ、不安が強くなると仕事中の娘に十数回電話する状況である。集団を嫌いデイサービスの利用は拒否していたため、訪問作業療法の指示が出た。まず行うべきなのはどれか。
1: 服薬指導
2: 家族への助言
3: 身体機能の維持
4: 趣味活動の拡大
5: 記憶障害の改善
34歳の女性。掃除と整理整頓が趣味というほど几帳面な性格である。職場での昇進によって仕事量が増え、そのため夜遅くまで残り、懸命にこなすように努力していた。しばらくして、抑うつ状態になり、早朝覚醒、体重減少などの身体症状も出現し、精神科を受診した。抑うつ気分は朝方に強く、夕方に軽くなる傾向が認められる。この患者でみられやすいのはどれか。
1: まわりくどく説明する。
2: 他人からの依頼を断れない。
3: 早朝から友人に電話をかける。
4: 他人からの評価を気にしない。
5: 不必要なものをいろいろと買い込む。
81歳の女性。1人暮らし。1年前からたびたび鍋をこがしたり同じ内容の電話を何回もかけたりすることがあった。娘が自宅を訪ねると、冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん詰め込まれており、室内に衣服が散乱していた。本人が生気のない表情で座り込んでいたため来院した。この患者が外来作業療法に通うことになった。この時期の作業療法の目的で優先されるのはどれか。
1: 作業遂行機能
2: 対人関係
3: 知的機能
4: 役割遂行
5: 環境適応
48歳の男性。アルコール依存症。30歳ころから仕事上のストレスにより飲酒量が増えてきた。40歳ころから遅刻や欠勤を繰り返すようになり2年前に会社をやめた。2か月前から連続飲酒状態となったため妻に付き添われて精神科を受診し、入院した。入院後2週経過し、離脱症状が落ち着いたため作業療法が開始された。この時期の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 家族同伴で心理教育を行う。
2: 集団内で仲間意識を育てる。
3: 自助グループへの参加を促す。
4: プログラムでの頑張りを促す。
5: 退院後の生活について助言する。
74歳の女性。アルツハイマー型老年認知症。約6年前から、朝食の内容を昼には忘れてしまう。最近、貯金通帳の置き場所を忘れ、長女夫婦が盗んだと非難することが多くなり、「他人が勝手に玄関から入ってくる」と訴え入院となった。入院後は落ち着き、作業療法を実施することになった。この患者に作業療法を実施する際の留意点で誤っているのはどれか。
1: 身体機能の評価を行う。
2: 意欲低下がみられる場合は励ます。
3: 言い間違いは指摘する。
4: 単純な作業から始める。
5: 過去に行った作業を適用する。
21歳の男性。統合失調症。高校2年ころから男女の声の幻聴や注察妄想が出現。精神科クリニックに通院しながら高校卒業。浪人2年目、突然予備校をやめて自室に閉じこもるようになった。家人に暴力を振るうなど問題行動が重なり、精神科病院へ入院した。1か月後、作業療法に参加となった。参加2週ころから女性患者と仲良くなり、プログラム中に抱きつくなど目に余る行動がでてきた。男性患者への適切な対処はどれか。
1: そのまま経過を観察する。
2: 他のメンバーから様子を聞く。
3: 直ちに男性患者の家族に連絡する。
4: 面接で男女の付き合い方を話し合う。
5: 作業療法を中断する。
26歳の女性。異性問題でリストカットを繰り返し入院となった。その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている。入院後2週が経過して作業療法が処方された。この患者への対応として適切なのはどれか。
1: 集団プログラムへの参加を優先する。
2: 自分で考えて行動するよう働きかける。
3: 逸脱行動にはすぐに介入せず様子を見る。
4: 患者の希望に応じてプログラムを柔軟に変更する。
5: 作業療法士を攻撃する言動が生じたら担当を変更する。
52歳の男性。統合失調症で精神科入院歴があるが、この9年間は治療中断しており、時々幻聴に影響された言動がみられる。医師の往診の後、何とか本人の同意を得て訪問支援開始となった。初回訪問時、居間で20分ほど落ち着いて話ができる状況である。初期の訪問において、作業療法士が最も留意すべきなのはどれか。
1: 服薬勧奨を積極的に行う。
2: 1日に複数回の訪問を行う。
3: 身の回りの整理整頓を促す。
4: 毎回違うスタッフが訪問する。
5: 本人の興味や関心事を把握する。