第42回午前第32問の類似問題

第46回午前:第17問

19歳の男性。統合失調症。大学入学後、授業中に突然大声で叫ぶようになり、幻聴と被害妄想とが認められたため入院となった。治療開始後1か月経過し症状が改善したため自宅へ退院したが、疲労感が強く半年間引きこもっていた。このため、復学を目標として外来作業療法が開始された。この時期の作業療法の役割はどれか。  

1: 休息援助

2: 仲間づくり

3: 余暇の利用

4: 社会性の獲得

5: 生活リズムの獲得

第56回午後:第14問

20歳の女性。高校卒業後、コンビニエンスストアの仕事についた。2年が経過した頃、人手不足もあり業務に追われる状態が続いた。次第に集中困難、頭が回らない感覚、不眠、動悸や呼吸困難感が現れ始め、休職するに至った。約1か月の自宅療養で呼吸困難感は軽減したが、頭痛、めまいによる歩行のふらつき、不眠が出現し、たえず漠然とした不安に襲われ外に出られなくなった。その様子を心配した家族が本人を連れて精神科を受診し、外来作業療法が導入された。導入時の作業療法で最も適切なのはどれか。  

1: 全身のストレッチ

2: 高負荷の歩行訓練

3: ワークサンプル法による職業訓練

4: 遂行機能に対する認知リハビリテーション

5: 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ

  • 答え:1
  • 解説:この患者は、漠然とした不安を呈しており、全般性不安障害が疑われる。外来作業療法の導入期では、心身の疲労に留意し、リラクゼーションを促す方法が適切である。
  • 全身のストレッチは、身体のリラクゼーションを促し、患者にリフレッシュした気分を醸成させることができる。これにより、活動の導入をはかることができる。
  • 高負荷の歩行訓練は、患者に疲労をもたらし、動悸や呼吸困難感の実体験とつながってしまうため、適切ではない。
  • ワークサンプル法による職業訓練は、患者にとって心理的ストレスが高く、作業療法導入時には適切ではない。職場での業務が発症の起因となっていると推察されるため、休職後も症状が残っている状態では、職業に関する作業は避けるべきである。
  • 遂行機能に対する認知リハビリテーションは、この患者の症状について遂行機能の問題が記述されていないため、必然性がなく、適切ではない。
  • 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイは、職業に関することであり、選択肢3と同じ理由でこの患者の導入時期に行うことは適切でない。
  • 科目:その他の精神障害
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第38回午前:第31問

25歳の女性。境界型人格障害。手首の自傷行為の反復、睡眠薬遊びや万引きがある。「何でも良いからやれる仕事をやってはどうか」と言う母親に暴力を振るい、止めに入った父親の前で「死んでやる」と言って再び手首の自傷行為に及び入院した。入院後、穏やかになり作業療法が開始された。作業療法を開始する上で適切でないのはどれか。  

1: チームの間でかかわり方の合意をしておく。

2: 実施時間を明確に決めておく。

3: 短期間で結果が得られるものを選ぶ。

4: 作業種目の選択を本人に任せる。

5: グループ作業を勧める。

第55回午前:第14問

53歳の男性。うつ病の診断で10年前に精神科通院治療を受けて寛解した。1か月前から抑うつ気分、食思不振、希死念慮があり、入院して抗うつ薬の投与を受けていた。1週前からパラレルの作業療法に参加していたが、本日から他患者に話しかけることが増え、複数の作業療法スタッフに携帯電話番号など個人情報を尋ねてまわるようになった。「食欲も出てきた」と大声を出している。この時点での作業療法士の対応として最も適切なのはどれか。  

1: 食欲が戻ったので調理実習を計画する。

2: その場で作業療法室への出入りを制限する。

3: 患者との関係作りのため携帯電話番号を教える。

4: 担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告する。

5: 行動的となったことを本人にポジティブ・フィードバックする。

  • 答え:4
  • 解説:この患者はうつ病の治療を受けていたが、躁病相の症状が現れ始めている。そのため、適切な対応は担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告し、今後の対応について検討することである。
  • 食欲増進は躁病相によるものと考えられるため、調理実習を計画することは患者の症状を増強させる可能性があり、望ましくない。
  • 患者の要求に対してすぐに制限をかけることは、欲求不満を拡大させ、反発や攻撃性を強化するため、すぐに作業療法室への出入りを制限すべきではない。
  • 躁病相の症状が現れた患者に対しては、行動の枠組みを守るようにする。患者が枠組みを超えた要求をしてきた際には、きっぱりとした態度で要求を断る必要がある。
  • 患者の状態が躁病相に変化していることから、担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告し、今後の対応について検討する必要がある。これが最も適切な対応である。
  • 患者が行動的になったのは躁病相になったためと考えられる。ポジティブ・フィードバックすることで、症状をさらに強めてしまうこともあるため、望ましくない。
  • 科目:気分障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第37回午前:第38問

11歳の女児。小学5年時の2学期から不登校となった。家から出て行くが校門に近づくと嘔気が出現し、校内に入れない状態が続いた。母親が付き添って登校したが、教室には入れず保健室登校となった。担任教師の依頼で相談医が母親とともに数回面接したのち、作業療法が必要と判断され開始された。作業療法開始時の目標で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.身体症状の改善イ.友達づくりの援助ウ.母親との関係の改善エ.不安への共感オ.安心できる場の提供  

1: ア

2: イ

3: ウ

4: エ

5: オ

第43回午前:第39問

21歳の男性。知的障害。養護学校の高等部を卒業後、魚屋に住み込みで3年間働いていた。接客をすることになったころから、腹痛で休みがちとなった。つり銭を間違えたことがきっかけとなり、自分の頭を壁にたたきつけるなどの自傷行為がみられるようになり、精神科に入院となった。入院1週後に作業療法を開始した。この患者の行動特性はどれか。2つ選べ。  

1: 同じ動作を繰り返す。

2: 1つのことにこだわる。

3: 感情表出が苦手である。

4: 単純な作業は得意である。

5: じっとしていられない。

第41回午前:第37問

13歳の女子。中学に入学してから頭痛などを理由に欠席が多くなり、2学期からは不登校となった。自宅で母親への暴力がみられるようになったため、精神科を受診し外来作業療法に通うこととなった。作業療法プログラムの留意点で適切でないのはどれか。  

1: 同年代の患者との交流を楽しめる機会を提供する。

2: 電子メールなどのコミュニケーション機器の利用法を指導する。

3: 授業の遅れを取り戻すために学習の時間を取り入れる。

4: 1週間の過ごし方を工夫し基本的な生活リズムを整える。

5: 身体運動や創作活動を利用し自己表現の機会を提供する。

第53回午後:第20問

30歳の男性。統合失調症。3週前に工場で働き始めた。外来作業療法ではパソコンを使用した認知リハビリテーションを継続している。ある時、同じ作業療法に参加する2人の患者から同時に用事を頼まれ、混乱した様子で相談に来た。この患者の職場における行動で最もみられる可能性があるのはどれか。  

1: 挨拶ができない。

2: 心気的な訴えが多い。

3: 体力がなく疲れやすい。

4: すぐに仕事に飽きてしまう。

5: 仕事の段取りがつけられない。

  • 答え:5
  • 解説:この問題では、統合失調症の患者が職場で最もみられる可能性がある問題行動を考える必要があります。患者が2人から同時に用事を頼まれて混乱していることから、仕事の段取りがつけられないことが最も可能性が高いと考えられます。
  • 挨拶ができないという問題は、遂行機能との直接的関連はなく、この患者の職場でみられる問題行動としては考えにくいです。
  • 心気的な訴えが多いという問題は、問題文に記載がないため、この患者の職場での問題行動としては可能性が低いです。
  • 体力がなく疲れやすいという問題は、患者が工場勤務に加えて外来作業療法にも通院できていることから、体力の低下が生じているとは考えにくいです。
  • すぐに仕事に飽きてしまうという問題は、患者が少なくとも3週間は工場勤務ができていることから、最もみられる可能性のある職場での問題行動とは考えにくいです。
  • 仕事の段取りがつけられないという問題は、患者が2人から同時に用事を頼まれて混乱していることから、複数の課題に優先順位をつけ、自分の能力に合わせて仕事を処理することが困難な傾向があると考えられるため、最も可能性が高いと判断できます。
  • 科目:統合失調症
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第44回午前:第39問

20歳の男性。広汎性発達障害。高校の普通科を卒業後、工場に就職するが職場で上司に指示されたことが途中で変更になったことで怒ったり、昼休みの同僚との会話からトラブルとなったりして退職した。その後、抑うつ的な状態が続き、精神科受診となった。この患者への作業療法の目的で最も適切なのはどれか。  

1: 体力の向上

2: 自尊心の回復

3: 見当識の改善

4: 行動の自己洞察

5: 生活リズムの回復

第42回午前:第36問

25歳の女性。境界型人格障害。友人と些細なことで口論となり大量服薬して入院となった。症状が落ち着いてきたので、作業療法に参加することになった。この患者の作業療法場面でしばしばみられるのはどれか。2つ選べ。  

1: 一人で作業をやりたがる。

2: 一つの作業に執着する。

3: 作業手順が覚えられない。

4: 病棟スタッフの悪口を言う。

5: 些細なことで自傷行為をする。

第48回午後:第14問

17歳の女子。統合失調症。授業中に突然叫び声をあげ、教科書と筆記用具を窓から投げ捨てた。両親が付き添い精神科病院に入院し、陽性症状の落ち着いた3週目に退院となり、精神科ショートケアに紹介された。通所2か月目から復学に向けた支援を開始した。適切でないのはどれか。  

1: 心理教育に参加させる。

2: 特別支援学校に転校させる。

3: 再発防止プランを作成させる。

4: 修業年限の延長を視野に入れた計画を立てる。

5: 担当教師、家族および本人を交えたケア会議を開催する。

第54回午後:第15問

65歳の女性。元来、几帳面な性格だが友人も多く活動的に過ごしていた。3か月前に、自宅のリフォームを契機に、早朝覚醒、食思不振、抑うつ気分や意欲低下が生じ、友人とも会わないようになった。自宅で自殺を企図したが未遂に終わり、1か月前に家族が精神科を受診させ、即日医療保護入院となった。単独散歩はまだ許可されていないが、抗うつ薬による治療で抑うつ気分は改善傾向にあり、病棟での軽い体操プログラムへの参加を看護師から勧められて、初めて参加した。この時点での患者に対する作業療法士の関わりで適切でないのはどれか。  

1: 必要に応じて不安を受け止める。

2: 過刺激を避けながら短時間で行う。

3: 具体的体験により現実感の回復を促す。

4: 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。

5: 薬物療法の副作用が生じていないかアセスメントする。

  • 答え:4
  • 解説:この患者は急性期のうつ病であり、抗うつ薬による治療が始まっているが、まだ完全に回復していない状態です。作業療法士として関わる際には、患者の状態に配慮し、適切な対応が求められます。
  • 急性期のうつ病患者が訴える不安に対しては、共感的に傾聴する姿勢が重要であるため、この選択肢は適切です。
  • 急性期の作業療法では、1回の活動時間は15~20分程度と短く設定し、回復に沿って徐々に延長することが適切であるため、この選択肢も適切です。
  • うつ病の急性期には、具体的体験により、抑うつ的な考え・症状から心理的に距離をとることで、現実的な時間を過ごすための関わりが適切であるため、この選択肢も適切です。
  • うつ病の急性期に明確な目標を設定すると、患者はその目標の達成のために真面目に取り組み、無理をしがちになってしまうため、この選択肢は適切でないです。
  • 抗うつ薬は、服用してから効果が発現するまでに2~4週間要すとされる。薬効には個人差があるため、服薬の効果と副作用を継続的に観察していくことが重要であるため、この選択肢は適切です。
  • 科目:気分障害
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第51回午前:第15問

31歳の女性。2か月前に地元が大規模な災害に遭い、親が死亡したものの看護師として救助隊に加わり1か月活動した。通常の勤務に復帰後1週ころから不眠や中途覚醒が続くようになり、災害発生時の情景を夢で見るようになった。夫が様子を聞いても詳細を語ろうとせず、その後、自ら精神科を受診し外来作業療法が処方された。考えられる疾患はどれか。  

1: 適応障害

2: パニック障害

3: 全般性不安障害

4: 急性ストレス障害

5: PTSD〈外傷後ストレス障害〉

第57回午後:第19問

22歳の男性。注意欠如・多動性障害。大学卒業後に営業職に就いた。顧客との約束や書類を忘れるなどの失敗が続き、上司が度々指導をしても改善しなかった。子供のころから不注意傾向があり、母親は「しつけをしてこなかった自分に非がある」という。その後も失敗が続いて自信を喪失し、1週前から欠勤し精神科の受診に至った。入院となり作業療法が処方された。この時期の作業療法士の対応として適切なのはどれか。  

1: 仕事に適性がないと伝えて転職を勧める。

2: 休養に専念し職場復帰を焦らないように伝える。

3: 母親のしつけの失敗の影響が残っていると告げる。

4: 上司の指導方法が病気の誘因であることを説明する。

5: 職場復帰のために対人技能向上を目的とした作業活動を勧める。

  • 答え:2
  • 解説:注意欠如・多動性障害(ADHD)の患者で、不注意傾向から業務上の問題行動があって職場の指導では改善が見られない。患者は自信を喪失して欠勤していることから、自尊心の回復が対応すべき課題である。
  • 患者は営業職に就いていたが、不注意傾向はどのような業務にも影響があり、転職しても解決にはならない。失敗が続いて自信を喪失している患者に転職を勧めると、自尊心を傷つけることになる。
  • 入院した時期に作業療法が処方されており、急性期にあると推察される。急性期には休息させ心身の回復を図ることが重要である。この選択肢が正しい。
  • 患者に現在の状況が母親の責任だと伝えたとしても、患者が損なった自尊感情を回復することにはならない。母親は自戒の念を述べているが、これが患者の能力と欠勤の原因と判断することは困難。
  • 上司の指導方法が、患者の不注意と業務失敗の誘因とは言えない。また、業務上の失敗が患者の責任でないことが事実だとしても、それを急性期の患者に伝えても、患者は失敗を思い出しては内省を繰り返す危険がある。
  • 急性期には、患者が逃避した職場への復帰を直接的な目的とした作業を勧めることはできない。患者は自信を失っている状態であり、職場復帰を想像することがストレスとなる。
  • 科目:発達・小児疾患
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第56回午後:第17問

50歳の男性。妻と二人暮らし。1年前に支店長に昇進してから仕事量が増え、持ち前の几帳面さと責任感から人一倍多くの仕事をこなしていた。半年前に本社から計画通りの業績が出ていないことを指摘され、それ以来仕事が頭から離れなくなり、休日も出勤して仕事をしていた。2か月前から気分が沈んで夜も眠れなくなり、1か月前からは仕事の能率は極端に低下し、部下たちへの指揮も滞りがちとなった。ある朝、「自分のせいで会社が潰れる、会社を辞めたい、もう死んで楽になりたい」と繰り返しつぶやいて布団にうずくまっていた。心配した妻が本人を連れて精神科病院を受診し、同日入院となった。入院後1週間が経過した時に気分を聞くと、返答までに長い時間がかかり、小さな声で「そうですねえ」と答えるのみであった。作業療法士の対応として適切なのはどれか。  

1: 退職を勧める。

2: 気晴らしを勧める。

3: 十分な休息を勧める。

4: 自信回復のために激励する。

5: 集団認知行動療法を導入する。

  • 答え:3
  • 解説:この患者はうつ病の疑いがあり、心身の疲労回復に努める時期であるため、十分な休息を勧めるのが適切な対応である。
  • うつ病の疑いがある患者には判断能力が減退していることがあるため、退職という重大な決断を勧めることは適切ではない。
  • 返答までに長い時間がかかる状態の患者には、気晴らしを勧められることでも心理負担であるため、適切ではない。
  • 患者は心理的に不活性であり、「もう死んで楽になりたい」と思い詰めている状況であるため、十分な休息を勧めることが適切である。
  • 患者は個人の限界に達して職能が破綻していることから、激励することは患者を心理的に追い詰めてしまうことになるため、適切ではない。
  • 患者が自分のペースや能力を超えて活動しようとすることが予測されるため、集団での活動は避けた方が良い。集団認知行動療法を行うとすれば、患者の症状が明らかに回復に向かい、自分の気持ちと現実との関係性をポジティブに認識できる時期からでも良い。
  • 科目:気分障害
  • 重要度:プレミアム特典
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第50回午前:第17問

20歳の男性。統合失調症。専門学校に通っていたが、いじめをきっかけに引きこもる生活となった。次第に容姿を批判される幻聴が生じ、不穏興奮状態となって精神科に入院した。3週後、不穏興奮は落ち着いたため作業療法が開始されたが、抑うつ気分の訴え、睡眠過剰および無力感などの状態がみられていた。この患者の回復指標として適切なのはどれか。  

1: 億却さを訴える。

2: 発語が減少する。

3: 退屈感を訴える。

4: 異常体験を訴える。

5: 作業手順が混乱する。

第52回午前:第18問

57歳の女性。夫と寝たきりの母親との3人暮らし。編み物を趣味としていた。患者は手の抜けない真面目な性格で、介護が2年続いたころから「体が動かない。死んでしまいたい」と寝込むようになった。夫に連れられ精神科病院を受診し入院。1か月後に作業療法が導入となった。しかし、作業療法士に「母のことが気になるんです。ここにいる自分が情けない」と訴えた。この患者への対応として適切なのはどれか。  

1: 主治医に早期の退院を提案する。

2: 他の患者をお世話する役割を提供する。

3: 趣味の編み物をしてみるように提案する。

4: 休むことも大切であることを説明する。

5: 他の患者との会話による気晴らしを促す。

第37回午前:第39問

11歳の女児。小学5年時の2学期から不登校となった。家から出て行くが校門に近づくと嘔気が出現し、校内に入れない状態が続いた。母親が付き添って登校したが、教室には入れず保健室登校となった。担任教師の依頼で相談医が母親とともに数回面接したのち、作業療法が必要と判断され開始された。作業療法を実施する上で適切でないのはどれか。  

1: 気楽に取り組める作業を選ぶ。

2: 出来栄えをほめる。

3: 作業の進歩を本人に示す。

4: 授業の遅れを取り戻す。

5: 言語的な表現に留意する。

第43回午前:第40問

21歳の男性。知的障害。養護学校の高等部を卒業後、魚屋に住み込みで3年間働いていた。接客をすることになったころから、腹痛で休みがちとなった。つり銭を間違えたことがきっかけとなり、自分の頭を壁にたたきつけるなどの自傷行為がみられるようになり、精神科に入院となった。入院1週後に作業療法を開始した。復職に向けた支援で重要でないのはどれか。  

1: 住み込み先への外泊

2: 苦手な作業の確認

3: 体力の向上

4: 対人技能の訓練

5: 職場との調整

第56回午前:第17問

65歳の女性。約1年前から抑うつ気分、意欲低下、判断力低下、不眠、食思不振などがあり、約9か月前に精神科外来を初めて受診した。希死念慮や貧困妄想も加わり、約8か月前に医療保護入院となっている。抗うつ剤投与により不眠、食思不振はある程度改善されたが、悲観的な思考内容は遷延化した。促してかろうじて病棟外への散歩に応じるようになり、数か月が経過したところで、主治医から作業療法の依頼があった。この時点での作業療法として適切でないのはどれか。  

1: 本人の自己決定を見守る。

2: 個別のかかわりから開始する。

3: 1回の活動時間は短く設定する。

4: 長期間をかけて完成する課題を採用する。

5: なじみのある課題より初めての課題を採用する。

  • 答え:4
  • 解説:この問題では、高齢期のうつ病患者に対する作業療法の適切な方法について問われています。回復期にある患者に対して、自己決定を尊重し、個別のかかわりを重視し、短時間の活動を行い、なじみのある課題を選択することが適切です。一方で、長期間をかけて完成する課題は適切ではありません。
  • 患者の自己決定による行動は、うつ病による行動不活性の改善を示すものであり、患者が安全に行動できるように見守ることは適切です。
  • うつ病患者に作業療法を開始するときは、患者が自分のペースで行える個別のものがよい。集団で他者との関わりがある作業では患者が「他者と自己の比較」を行って自己卑下することや、作業ペースが合わずに自信を失うことがあるため、個別のかかわりから開始することが適切です。
  • 作業療法の開始時期には、1回の活動時間は短くし、患者の疲労度を確認しながら活動量を調節して進めることが適切です。
  • 長期間をかけて完成する課題は適切ではありません。患者が作業での成功体験を得るために、作業療法の初期には簡単で短時間に完成できる作業を選択し、完成した作品などはその場で満足が得られるように配慮することが重要です。
  • うつ病患者にとってなじみのある作業は、病前の自分と比較して、病気になった自責感や劣等感を抱くことがあるため、なじみのある課題を採用することが適切です。
  • 科目:気分障害
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