45歳の男性。3年前に受傷した頸髄損傷による完全四肢麻痺。在宅での訪問リハビリテーションの訓練中に突然激しい頭痛と著明な発汗とを認めた。取るべき対応で適切でないのはどれか。
1: 血圧を測定する。
2: 麻痺部の有害刺激の有無をみる。
3: 膀胱が充満しているかをみる。
4: 下肢を挙上して経過を観察する。
5: 関連する医療機関に連絡する。
72歳の男性。脳血管障害による右片麻痺。妻と2人暮らしで、デイケアに通っている。車椅子への移乗は監視レベル。車椅子駆動はゆっくりだが可能。住宅環境整備として適切でないのはどれか。2つ選べ。
1: 玄関に踏み台を置く。
2: トイレにL字型手すりをつける。
3: 屋内の通行路を広くするよう家具を並べかえる。
4: 敷居の段差解消に木製簡易スロープを設置する。
5: 入浴用リフターを設置する。
65歳の男性。4歳時に急性灰白髄炎に罹患し右下肢麻痺となった。歩行時には右膝を右手で押さえながら歩いていた。55歳ころから腰痛を自覚するようになり、最近は歩行時の疲労が増し下肢の冷感が強くなってきたため受診した。身長160 cm、体重75 kg(30歳時と比較して20 kg増加)。筋力はMMTで、右大腿四頭筋と右前脛骨筋は段階1である。ポリオ後症候群と診断され、理学療法を行うことになった。理学療法として適切なのはどれか。
1: 自転車エルゴメーターによる有酸素運動
2: 右下肢装具を装着しての歩行練習
3: 右大腿四頭筋の筋力増強運動
4: 四つ這いでの移動練習
5: 車椅子による移動
60歳の男性。脳血管障害による右片麻痺。ベッドから車椅子への移乗は1人で何とか可能である。ベッドから車椅子への移乗場面の初回評価において、ベッド、車椅子および作業療法士の相対的な位置関係で適切なのはどれか。
65歳の男性。右利き。突然の意識障害で搬送された。くも膜下出血の診断で、破裂脳動脈瘤のクリッピング手術を施行された。発症後3か月の頭部CTを示す。この患者に出現しやすい症状はどれか。
1: 上着の左右を間違えて袖を通す。
2: ジェスチャーの模倣ができない。
3: 移動する時に左側の人や物にぶつかりやすい。
4: 知っている人なのに声を聞かないとわからない。
5: 担当理学療法士に毎日初対面のように挨拶する。
66歳の女性。右利き。階段から転落。転落直後は意識消失していたが、数分後に意識回復。しばらくの間、意識は清明であったが、1時間後に手足の麻痺が出現し、再び意識が低下して昏睡になった。救急搬送時の頭部CTを示す。最も考えられるのはどれか。
1: 髄膜腫
2: 皮質下出血
3: くも膜下出血
4: 脳動静脈奇形
5: 急性硬膜下血腫
86歳の女性。軽度の左変形性膝関節症のため杖歩行であったが、ADLは自立していた。突然の右上下肢筋力低下と構音障害とが出現し、歩行不能となったため発症後1時間で緊急入院した。意識は清明で軽度の筋力低下を認めた。入院後2時間で筋力は徐々に元の状態まで改善し、発語も正常となった。頭部MRIとMRAとに明らかな異常を認めなかった。抗凝固薬の調整のため入院を継続した。この患者への介入方針で適切なのはどれか。
1: 入院後3日間はベッド上安静とする。
2: 嚥下障害が疑われるので禁食とする。
3: 両下肢筋力増強訓練が必要である。
4: 歩行訓練は7日目から開始する。
5: 持久性トレーニングは14日目から開始する。
42歳の女性。多発性硬化症。両側視神経萎縮を伴う四肢麻痺で移動は車椅子レベル。筋力低下が強く徒手筋力テストで上肢近位部は3+、遠位部は4。有痛性けいれんがある。作業療法で実施困難なのはどれか。 ア.七宝焼きでピアスを作る。イ.刻印面の小さな刻印で小銭入れの模様をつける。ウ.卓上織機でミニマフラーを作る。エ.ひも作りで小皿を作る。オ.ざる編みで籐カゴを作る。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
37歳の女性。5年前に多発性硬化症と診断。発症当初は再発寛解型であったが、2年前に二次進行型に移行し右痙性片麻痺がある。2週前から右内反尖足位の痙縮が増悪し、MAS(modified Ashworth scale)で段階2である。右足の痙縮に対する治療で適切なのはどれか。
1: 赤外線療法
2: ホットパック
3: 電気刺激療法
4: アキレス腱延長術
5: 経頭蓋磁気刺激法
52歳の女性。右手根管症候群。右上肢に感覚障害と運動麻痺を認める。感覚障害の領域で正しいのはどれか。
80歳の男性。3年前に脳梗塞による右片麻痺を発症したが、独歩は可能であり、ADLは自立していた。肺炎のため1週間の安静臥床が続いた後、伝い歩きはできるものの独歩は困難となった。最も考えられる原因はどれか。
1: 褥瘡
2: 脳梗塞の再発
3: 下肢筋力低下
4: 呼吸機能低下
5: 精神機能低下
78歳の女性。脳梗塞による左片麻痺。身長160 cm。発症後7か月経過。便座上座位保持時、立ち上がり時および立位保持時には手すりが必要で、下衣着脱は手すりに右肩を当てて行う。トイレに図のようなL型手すりを設置する。設置位置の寸法で適切なのはどれか。
1: a:40 cm、b:50 cm、c:120 cm
2: a:65 cm、b:75 cm、c:150 cm
3: a:65 cm、b:25 cm、c:150 cm
4: a:80 cm、b:75 cm、c:150 cm
5: a:80 cm、b:25 cm、c:120 cm
48歳の女性。上肢の麻痺を訴え受診した。患者が、手関節と手指を、軽度屈曲位にした状態から伸展しようとしたときの手の写真を示す。この病態の原因はどれか。
1: 橈骨神経上位麻痺
2: Guyon管症候群
3: 前骨間神経麻痺
4: 後骨間神経麻痺
5: 肘部管症候群
29歳の男性。バイク転倒事故による右前頭葉脳挫傷および外傷性くも膜下出血。事故から2週間後に意識清明となり、作業療法が開始された。運動麻痺と感覚障害はない。礼節やコミュニケーション能力は保たれているが、感情表出は少なく、ぼんやりとしていることが多い。既知の物品操作方法は覚えているが、事故後の出来事に関する情報は忘れやすい。作業療法開始時間までに支度を整えることが難しく、しばしば時間に遅れる。この患者の状態を評価するために適切と考えられる評価法はどれか。2つ選べ。
1: BADS
2: RBMT
3: SLTA
4: SPTA
5: VPTA
50歳の女性。左椎骨動脈解離によるWallenberg症候群で3週経過した。四肢に麻痺と高次脳機能障害はないが、摂食嚥下障害があり経鼻経管栄養が開始された。嚥下造影では咽頭収縮不良による左側咽頭通過障害を認め、唾液を常にティッシュで拭っている状態である。発熱はなく、呼吸状態は安定している。この患者への対応で正しいのはどれか。
1: 間接訓練は禁忌である。
2: 頸部左回旋して嚥下する。
3: 間欠的経管栄養の適応はない。
4: 垂直座位で唾液の誤嚥を防ぐ。
5: 頸部の筋力訓練は禁忌である。
72歳の女性。心原性脳梗塞。入院時、血圧145/78 mmHg、心拍数102/分、GCS E4 V5 M6、Brunnstrom法ステージ左上肢II、左下肢II、左上下肢筋緊張低下。入院時のMRIを示す。翌日に理学療法を行う場合、離床練習を中止すべき所見はどれか。
1: 心拍数105/分
2: GCS E2 V2 M5
3: 血圧160/72 mmHg
4: 左上下肢筋緊張軽度亢進
5: Brunnstrom法ステージ左上肢III、左下肢III
35歳の女性。四肢のしびれで発症し、視力障害、不全四肢麻痺、体性感覚障害および息苦しさの増悪と寛解を繰り返した。小脳症状はない。MRIでは脳脊髄白質に多発性・散在性の脱髄斑が認められた。理学療法で適切なのはどれか。
1: 胸郭の可動性拡大運動
2: ボルグ指数で「きつい」運動
3: しびれに対するホットパック
4: 水温38~39℃の水中歩行訓練
5: 下肢に重錘を装着しての歩行訓練
54歳の男性。勤務中に突然の気分不快を訴え病院を受診し、脳梗塞による左片麻痺にて入院となった。妻と子供との3人暮らしで家事は妻が担っていた。職業は会社員で事務仕事を行い、会社までは電車で通勤していた。3か月が経過して、ADLは自立し、患者は復職を希望するようになった。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅲ、手指Ⅱ、下肢Ⅴで病院内外の杖歩行は自立している。認知機能に明らかな問題はない。この時点でのIADL評価で優先すべきなのはどれか。
1: 買い物
2: 公共交通機関の利用
3: 食事の用意
4: 火の始末
5: ベッドメイキング
脳血管障害による片麻痺患者の理学療法で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 下肢装具は立ち上がりが自立してから用いる。
2: 歩行時の膝折れに膝軽度屈曲位で体重負荷を行う。
3: 座位バランスが完成してから立位訓練を開始する。
4: 痙縮筋の緊張抑制の目的で持続伸張法を行う。
5: 麻痺筋に対しては筋力増強訓練を行わない。
脳血管障害患者のブルンストローム法ステージテストで、「手を背中の後に」「ペグを取って」の指示に対して図のような運動をした。上肢・手指のステージはどれか。
1: 上肢IV・手指V
2: 上肢IV・手指IV
3: 上肢IV・手指III
4: 上肢III・手指IV
5: 上肢III・手指III