35歳の女性。現在、6か月児の子育て中であるが、1か月前からテレビも新聞も見る気が起こらないほど周囲への興味・関心が低下し、子と触れ合うこともおっくうになった。物事の判断が鈍くなり、子育てに自信をなくし、自分を責め、ささいなことから不安になりやすくなったため、子を祖母に預けて精神科病院に入院した。入院翌日から不安の軽減を目的に作業療法が開始された。この患者に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 体力の増強を図る。
2: 趣味をみつけるよう促す。
3: 子育てへの関心を高める。
4: 日中の過ごし方を話し合う。
5: 共同作業で他者と役割を分担させる。
60歳の男性。統合失調症。21歳時に発症し、過去に5回の入院歴があった。35歳時に被害妄想が再燃し、6回目の入院となって以来、父親との折り合いが悪く退院先が決まらないまま25年間入院していた。父親が亡くなったことを契機に、一人暮らしとなった84歳の母親と本人の希望により、自宅退院に向けた支援を行うことになった。この患者が退院後に利用する生活支援サービスとして適切でないのはどれか。
1: 訪問看護
2: デイケア
3: 通院患者リハビリテーション事業
4: 地域生活支援センター
5: ホームヘルプサービス
10歳の男児。学業成績は中位だが授業中に落ちつきがなく、隣の子に一方的に話しかける、落書きをする、忘れ物をするなどでよく注意を受けていた。片付けも苦手で自室は乱雑であった。心配した母親と共に精神科を受診し、外来作業療法が開始された。この男児に予測される作業療法での様子はどれか。
1: 同じ動作を繰り返す。
2: 根拠のない自信を示す。
3: 道具をしばしばなくす。
4: 詳細を作業療法士に確認する。
5: 手順にこだわって作業をする。
認知症患者への作業療法で適切なのはどれか。
1: 徘徊するため、着席を求めた。
2: 食べ物がわかりやすいよう、模様のある皿を使用した。
3: 患者の趣味開発のために体験のない生け花を取り入れた。
4: 日付の見当識障害に対し、文字の大きなカレンダーに変えた。
5: ガスの消し忘れでボヤを起こしたので、介助者とともに調理させた。
32歳の女性。統合失調症。大学卒業後商社に勤務していた。28歳ころから「心身ともに疲れる」と言うようになり、このころから幻聴が出現した。定期的に受診し服薬を続けていたが、1か月前から職場で自分の悪口を言われているような幻聴が増加したため休職し、外来作業療法が処方された。作業療法の評価で優先するのはどれか。
1: 生活歴
2: 基礎体力
3: 金銭管理能力
4: 対人関係能力
5: 余暇の過ごし方
32歳の女性。統合失調症。デイケアに通所しているが、いつも人を避けるように過ごしていることが多い。スタッフが面談の中でその理由を尋ねると「会話をしていると、途中から何を話しているのか分からなくなります。それが恐くて人と話をする自信がないです」と訴えた。この患者の症状の評価で最も適切なのはどれか。
1: GAF
2: BADS
3: WCST
4: Rehab
5: BACS-J
神経性無食欲症患者の入院治療について正しいのはどれか。
1: 活動量は目標体重に達してから増やす。
2: 早期から高カロリーの栄養補給を行う。
3: 全身状態の安定より先に行動療法を行う。
4: 食行動の問題が改善するまで入院は継続する。
5: 入院中に自己誘発性嘔吐がみられたときは退院させる。
16歳の男子。高機能広汎性発達障害。友人との交流は少ないが、学校では大きな問題もなく普通高校に進学した。高校1年の夏休み後から登校できなくなり、思春期外来を受診した。通院しながら外来作業療法を実施することになった。半年後、この患者は面接で「学校には戻りたくない」と希望を述べた。対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 学校に戻りたくない理由を説明させる。
2: 学校に戻る手助けをすることを伝える。
3: 転校を勧める。
4: 学校の支援体制について確認する。
5: 家族の希望を聞く。
45歳の男性。統合失調症。自宅で単身生活をしている。精神症状は安定しているが、買い物に行くときを除き自宅に引きこもっている。週3回のヘルパーによる食事のサービスと惣菜による食事摂取をしている。偏食と間食が多く、身長167 cm、体重92 kgと肥満である。最近の血液検査の結果、脂質異常症と診断された。訪問作業療法における健康管理支援として適切なのはどれか。
1: 自炊を目指した調理訓練を提案する。
2: 抗精神病薬の変更を主治医に提案する。
3: 入院による生活リズムの改善を提案する。
4: 買い物はスタッフが代行することを提案する。
5: 散歩やストレッチなどの運動を取り入れることを提案する。
40歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。日常生活能力には問題なく、退院を勧められているが、「退院後の生活が不安で自信がない」と退院に踏み切れないでいる。この患者への作業療法士の働きかけで適切でないのはどれか。
1: 作業療法場面での成功体験を積み重ねる。
2: 多少の失敗はおそれないように励ます。
3: 作業検査や知能検査など、客観的データを用いて自信をつけさせる。
4: 退院の不安に対して相談にのる。
5: 外来での作業療法の利用方法を説明する。
34歳の主婦。解離性(転換性)障害。23歳の時から入退院を繰り返している。今回、夫婦喧嘩の後ふらつきがひどくなり、意識を失って入院した。1か月後にふらつきはまだあるものの、作業療法が導入された。この患者が作業療法で革細工に熱中し、決められた時間以外にも作業療法室で作業をしたいと言ってきた。対応で適切なのはどれか。
1: 作業は時間内に行うよう指導する。
2: 患者の希望どおりにする。
3: 作業療法を中止する。
4: 作業療法の種目を変更する。
5: 作業時間を短縮する。
52歳の男性。アルコール依存症。45歳ころからアルコールによる肝炎で入退院を繰り返し離婚した。単身生活になって飲酒が一層激しくなり、食事も摂らず泥酔状態が続くところを保護されて入院した。離脱症状が消失した時点で作業療法が開始されたが、落ち込んだ様子や自己中心的な行動が見られたり、理由なく作業療法を欠席したりすることがある。この時点での目標で優先度の低いのはどれか。
1: 自ら作業療法士に相談することができる。
2: 他患の作業に協力することができる。
3: 大グループに参加することができる。
4: 身体的回復を優先することができる。
5: 欠席の理由を伝えることができる。
17歳の男子。自閉症。自分なりの特定のやり方にこだわり融通が利かず、臨機応変に振る舞えずに失敗体験を積み重ね、自尊感情が著しく低下している。この常同性に関わる特性を踏まえた上での作業療法上の配慮として、最も重要なのはどれか。
1: 静かな環境で作業する。
2: 用件は具体的に伝える。
3: 図や表を用いた説明を行う。
4: 1つずつ段階を踏んで作業する。
5: 予定変更がある時は前もって伝える。
摂食障害患者の作業療法でみられる特徴はどれか。
1: 周囲に対する過剰適応
2: 課題の頻回な変更
3: 中途での投出し
4: 集中力の低下
5: 意欲の低さ
40歳の男性。4月に職場の配属先が変わり新しい仕事に慣れない日が続いていた。会社に行くと手に冷や汗が出て、胸がどきどきするようになった。1か月前から不眠、意欲の低下が出現した。会社に行く気力がなくなり、朝からふさぎこむようになったため、妻と一緒に精神科を受診し、入院となった。この患者の入院初期の治療として適切でないのはどれか。
1: 対人技能訓練を行う。
2: 隠れた身体疾患を検索する。
3: 睡眠薬を処方する。
4: 抗うつ薬を処方する。
5: 充分な休息を与える。
27歳の男性。統合失調症。大学卒業後、建設会社に就職し設計の仕事をしていた。新たなプロジェクトの責任者として仕事に追われるようになってから、眠れない日が続き、急に怒り出すこともあった。プレゼンテーションの日に昏迷状態となり入院した。1週後、症状が徐々に落ち着いてきた時点で作業療法が開始された。この時点での作業療法の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 自信の回復
2: 役割の遂行
3: 安心感の提供
4: 対人関係の改善
5: 生活リズムの回復
13歳の男子。幼児期は図鑑をひとりで眺めて過ごしていた。小学校に入ると、しつこく意味を確認する癖や協調性がとれないことを教師に注意されることが多くなり、級友からいじめられるようになった。最近、級友の話し声に過敏に反応したり、家族への暴言と暴力が頻繁となり入院となった。この患者の診断として考えられるのはどれか。
1: 自閉症
2: 統合失調症
3: Rett症候群
4: Asperger症候群
5: 注意欠陥/多動性障害
16歳の男子。高機能広汎性発達障害。友人との交流は少ないが、学校では大きな問題もなく普通高校に進学した。高校1年の夏休み後から登校できなくなり、思春期外来を受診した。通院しながら外来作業療法を実施することになった。開始時の作業で適切でないのはどれか。
1: 単純なもの
2: 短時間で完成できるもの
3: 本人の興味があるもの
4: 他者と共同で行うもの
5: 粗大動作が多いもの
52歳の男性。アルコール依存症。7年前から飲酒量が増え、コントロールがつかず昼から飲むようになり、2年前に会社を辞めた。2か月前から連続飲酒の状態となったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。離脱症状が改善されたため作業療法を開始した。この患者の退院に向けた支援で適切でないのはどれか。
1: 心理教育を行う。
2: 作業時間を増やす。
3: 家族会を紹介する。
4: デイケアの利用を検討する。
5: 自助グループへの参加を促す。
68歳の男性。21歳時に精神分裂病(統合失調症)を発症し入退院を数回繰り返した。50歳ころから症状が安定し家庭菜園をしながら弟の家族と同敷地内の離れ家で暮らしていた。今回、数年前からの多発性脳梗塞による認知症が進み、日常生活が困難となり、老人性認知症疾患療養病棟に入院した。作業療法場面での留意点で適切でないのはどれか。
1: 自動症
2: せん妄
3: 転倒
4: 脳卒中発作
5: 精神分裂病(統合失調症)の悪化