作業療法における慢性期精神分裂病(統合失調症)患者の特徴でないのはどれか。
1: 持続力に乏しい。
2: リズムに乗りにくい。
3: とっさの判断に戸惑う。
4: 周囲の患者に干渉しやすい。
5: 作業手順に慣れるのに時間がかかる。
55歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。29歳時に「『修道院に行けばお金をたくさんもらえる』という声が聞こえる」と言うようになり初回入院した。現在、4回目の入院中で、最近は病的な体験を述べることは減少したが、無為傾向が強いため、その改善を目的に作業療法が開始された。作業療法中、口周囲部に緩徐で不規則な不随意運動がみられた。この不随意運動はどれか。
1: パーキンソニズム
2: 急性ジストニア
3: アカシジア
4: 遅発性ジスキネジア
5: 遅発性ジストニア
精神分裂病(統合失調症)の作業療法の初回面接で適切でないのはどれか。 ア.病棟での日常生活状況を聞く。イ.作業療法参加の動機を確認する。ウ.作業療法に対する希望を聞く。エ.発病時の症状を聞く。オ.家庭の経済状況を聞く。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
統合失調症(精神分裂病)について誤っているのはどれか。
1: 多くが30歳までに発症する。
2: 発病率は女性の方が高い。
3: 患者の子供での発病率は一般人口の発病率よりも高い。
4: 我が国では精神科入院患者に占める割合が最も多い。
5: 再発予防には薬物療法が必要である。
急性期精神分裂病(統合失調症)の作業療法の留意点として適切でないのはどれか。
1: 作業活動は短時間でできるものにする。
2: グループ活動を禁止する。
3: 途中退室を保障する。
4: 身体状態を把握する。
5: 病棟との連絡を密にする。
24歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。「死ね」という幻聴があり、自室に閉居して食事をとらなくなったため入院した。入院後、幻聴は軽減したが、不安が強く対人関係を避けて横になっていることが多い。作業中に幻聴に聞き入り、作業を中断した。作業療法士の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.「また聞こえてきたの」と声をかける。イ.「死ねと聞こえてくるの」と聞く。ウ.「どうしたの」と他患者から声をかけてもらう。エ.「別室で休んでいなさい」という。オ.「作業を続けましょう」と促す。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
22歳の男性。注意欠如・多動性障害。大学卒業後に営業職に就いた。顧客との約束や書類を忘れるなどの失敗が続き、上司が度々指導をしても改善しなかった。子供のころから不注意傾向があり、母親は「しつけをしてこなかった自分に非がある」という。その後も失敗が続いて自信を喪失し、1週前から欠勤し精神科の受診に至った。入院となり作業療法が処方された。この時期の作業療法士の対応として適切なのはどれか。
1: 仕事に適性がないと伝えて転職を勧める。
2: 休養に専念し職場復帰を焦らないように伝える。
3: 母親のしつけの失敗の影響が残っていると告げる。
4: 上司の指導方法が病気の誘因であることを説明する。
5: 職場復帰のために対人技能向上を目的とした作業活動を勧める。
45歳の男性。統合失調症。自宅で単身生活をしている。精神症状は安定しているが、買い物に行くときを除き自宅に引きこもっている。週3回のヘルパーによる食事のサービスと惣菜による食事摂取をしている。偏食と間食が多く、身長167 cm、体重92 kgと肥満である。最近の血液検査の結果、脂質異常症と診断された。訪問作業療法における健康管理支援として適切なのはどれか。
1: 自炊を目指した調理訓練を提案する。
2: 抗精神病薬の変更を主治医に提案する。
3: 入院による生活リズムの改善を提案する。
4: 買い物はスタッフが代行することを提案する。
5: 散歩やストレッチなどの運動を取り入れることを提案する。
28歳の男性。統合失調症。持続性の幻聴や被害妄想のため、21歳から入退院を繰り返していたが「働きたい」という本人の希望を尊重して、一般就労を目指して支援することになった。作業療法士を含めた多職種によって生活を支援する一方、地域障害者職業センターやハローワークと協力して、マッチングを図りながら24か月を限度に支援を行っている。この患者が受けている就労支援サービスはどれか。
1: 就労移行支援
2: 職場適応訓練
3: リワーク支援
4: 就労継続支援A型
5: 就労継続支援B型
27歳の男性。統合失調症。大学卒業後、建設会社に就職し設計の仕事をしていた。新たなプロジェクトの責任者として仕事に追われるようになってから、眠れない日が続き、急に怒り出すこともあった。プレゼンテーションの日に昏迷状態となり入院した。1週後、症状が徐々に落ち着いてきた時点で作業療法が開始された。この時点での作業療法の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 自信の回復
2: 役割の遂行
3: 安心感の提供
4: 対人関係の改善
5: 生活リズムの回復
20歳の男性。広汎性発達障害。高校の普通科を卒業後、工場に就職するが職場で上司に指示されたことが途中で変更になったことで怒ったり、昼休みの同僚との会話からトラブルとなったりして退職した。その後、抑うつ的な状態が続き、精神科受診となった。この患者への作業療法の目的で最も適切なのはどれか。
1: 体力の向上
2: 自尊心の回復
3: 見当識の改善
4: 行動の自己洞察
5: 生活リズムの回復
精神分裂病(統合失調症)患者の作業場面の行動特徴でないのはどれか。
1: 場面に応じた対応が混乱しやすい。
2: 全体の会話の流れから外れやすい。
3: 複数の課題を同時に遂行するのが苦手である。
4: 作業手順に慣れるのが早い。
5: 待てないで先を急ごうとする。
32歳の男性。感情障害。営業の仕事で成績も良かったが、29歳時に躁病性興奮で約10か月入院した。退院後、復職したが服薬を自己調節し始め、次第に多弁となり顧客とのトラブルが多くなり、上司の勧めで2回目の入院となった。薬物療法によって入院2か月で落ち着いたため、安定した行動の維持を目標に作業療法が処方された。まとまりのある行動を見せているが、要求が通らない場合に他患に攻撃的な言動を表出することがある。開始に当たっての留意事項で適切でないのはどれか。
1: 患者の述べることを十分に聴く。
2: 作業種目は本人の希望で決定する。
3: 段階的に行動範囲の拡大を図る。
4: 疲労し過ぎないように配慮する。
5: 最低限の規則は明確に設定する。
68歳の男性。21歳時に精神分裂病(統合失調症)を発症し入退院を数回繰り返した。50歳ころから症状が安定し家庭菜園をしながら弟の家族と同敷地内の離れ家で暮らしていた。今回、数年前からの多発性脳梗塞による認知症が進み、日常生活が困難となり、老人性認知症疾患療養病棟に入院した。開始時の作業活動で適切なのはどれか。
1: 籐細工
2: 園 芸
3: 音楽鑑賞
4: 絵 画
5: 文化刺繍
32歳の男性。感情障害。営業の仕事で成績も良かったが、29歳時に躁病性興奮で約10か月入院した。退院後、復職したが服薬を自己調節し始め、次第に多弁となり顧客とのトラブルが多くなり、上司の勧めで2回目の入院となった。薬物療法によって入院2か月で落ち着いたため、安定した行動の維持を目標に作業療法が処方された。まとまりのある行動を見せているが、要求が通らない場合に他患に攻撃的な言動を表出することがある。この患者の作業で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.非構成的な作業イ.巧緻性の必要な作業ウ.自由参加の集団作業エ.手順の明確な作業オ.粗大運動的な作業
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
32歳の女性。幼いころから落ち着きがなく、忘れ物も多かった。大学卒業後、医療事務の仕事に就いたが、仕事が忙しくなるとミスが多くなり、同僚にかんしゃくを起こすなど感情が不安定となった。仕事を休むことも多くなったため、職場の上司に勧められ、精神科を受診し、入院となった。2週後、情緒的に落ち着いたところで作業療法が開始された。この患者の作業療法で予測される行動はどれか。
1: 読書に没頭する。
2: 他者との接触を避ける。
3: 他者の作業種目に目移りする。
4: 物を置いた場所を何度も確認する。
5: 自分の作品の出来栄えに固執する。
30歳の男性。統合失調症で5年前に幻覚妄想状態で家族に対する興奮があり、医療保護入院となった既往がある。退院後はほぼ規則的に通院し、毎食後服薬していたが、3か月前から治療を中断し、幻聴や被害関係妄想が悪化し、両親を自宅から閉め出して引きこもってしまった。注察妄想もあり本人も自宅から外出できない状況である。多職種訪問支援チームが1年前から関わっており、訪問は受け入れてもらえている。この患者への今後の介入で最も適切なのはどれか。
1: 本人の意思に関わらず、繰り返し服薬を強く促す。
2: 両親を自宅に同行させ、その場で本人に両親への謝罪を促す。
3: 民間救急を利用し、中断していた精神科病院の救急外来に搬送する。
4: 本人の希望や生活上の困り事を根気よく引き出し、関係を深める努力をする。
5: 訪問頻度を減らし、本人が助けを求めるのを待って精神科外来に結びつける。
25歳の男性。知的障害。IQ 60。両親と3人暮らし。18歳から近所の漬物工場で仕事をしている。周期性の不機嫌がみられていたが、最近、不機嫌が改善せず、物を投げたり両親を攻撃したりするため、入院となった。入院1か月後に状態が安定したので、退院を目標に作業療法が処方された。作業中、いつも患者は周囲をきょろきょろ見回して、落ち着かない。この状況の説明として適切でないのはどれか。
1: 状況対応力の低さ
2: 過度の緊張
3: 不安の発現
4: 複雑部分発作の前兆
5: 注意集中の困難
43歳の男性。統合失調症。幻聴と妄想が消失せず9年間の入院生活を送っていたが、入院患者の地域生活移行を進める方針の下、地域のアパートを借りて退院することになった。そこで、本人の地域生活を支えるため、作業療法士、看護師、精神保健福祉士、医師らがチームを組み、24時間365日体制で相談や訪問のサービスを開始した。このサービスに該当するのはどれか。
1: Assertive Community Treatment〈ACT〉
2: Illness Management and Recovery〈IMR〉
3: Individual Placement and Support〈IPS〉
4: Intentional Peer Support〈IPS〉
5: Wellness Recovery Action Plan〈WRAP〉
25歳の女性。対人関係が不安定で、母親に甘えたかと思うと急に怒り出すなど、感情が変わりやすく、時に激しく落ち込むことが多かった。漠然とした不安感を訴え、自傷行為を繰り返すため精神科外来を受診し、入院することとなった。入院後2週経過し作業療法が開始された。この患者の作業療法導入時の対応で適切でないのはどれか。
1: 特定の相談相手を決める。
2: 作業療法の目標を話し合う。
3: チームで一貫した対応を行う。
4: 集団プログラムへの参加を促す。
5: 実施頻度と時間を明確に決める。