第38回午後第59問の類似問題

第53回午後:第18問

20歳の男性。幼少期は一人遊びが多かった。小学校から高校までは成績は概ね良かったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し、外来で作業療法が開始された。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。  

1: ルールや取り決めを明示しておく。

2: 興味や関心のある活動を導入する。

3: 作業手順を言葉で細かく伝える。

4: 心理教育プログラムを行う。

5: パラレルな場を用いる。

  • 答え:3
  • 解説:この患者は自閉スペクトラム症(ASD)が考えられるため、作業療法においては、ルールや取り決めを明示する、興味や関心のある活動を導入する、心理教育プログラムを行う、パラレルな場を用いるなどの対応が適切である。ただし、作業手順を言葉で細かく伝えることは、混乱を招くことがあるため適切ではない。
  • 自閉スペクトラム症に対する作業療法の導入では、あらかじめ約束事(ルール)を明示するとよい。これにより、患者が安心して活動に取り組むことができる。
  • 作業療法の導入には興味・関心のある活動を用いて、治療・援助の目標や約束などを具体的に取り決めることが望ましい。これにより、患者が自分の興味に基づいて活動に取り組むことができる。
  • 自閉スペクトラム症では、作業手順を言葉で細かく伝えても混乱することがある。言葉の場合はなるべく簡潔に、具体的表現で伝えたほうがよい。また、作業手順は図示するなど、言語以外の表記法を用いるとよい。この選択肢は適切でないため、答えとなります。
  • 心理教育プログラムは、患者に症状の自己理解を促す点で適切である。これにより、患者が自分の状況を理解し、適切な対応ができるようになる。
  • この患者は引きこもりがあるため、作業療法はパラレルな場で始めた方がよい。人と場を共有させつつ、人と同じことをしなくてもよい、制約の少ない場での作業を体験させ、他人との成功体験を重ねることで、集団の中で過ごすことに慣れていくと考えられる。
  • 科目:発達・小児疾患
  • 重要度:プレミアム特典
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第56回午前:第81問

老年期における精神保健上の問題として正しいのはどれか。  

1: 自我同一性の獲得

2: エディプス葛藤

3: 空の巣症候群

4: モラトリアム

5: 社会的孤立

  • 答え:5
  • 解説:老年期における精神保健上の問題として正しいのは、社会的孤立である。これは、社会の中で居場所や社会的な安定性を持たない状態であり、老年期の人々が抱える問題である。他にも若者、学生、外国人なども対象になる。
  • 自我同一性の獲得は、青年期に獲得されるべき心理社会的課題であり、老年期の精神保健上の問題ではない。
  • エディプス葛藤は、3~6歳の男子が父親に敵意を抱き、母親に愛情を求めようとする性的願望のことであり、老年期の精神保健上の問題ではない。
  • 空の巣症候群は、40~50歳の母親が子供の独立により起こる一過性の抑うつ症状のことであり、老年期の精神保健上の問題ではない。
  • モラトリアムは、青年期に社会で役割を引き受けるようになるまで猶予期間のことであり、老年期の精神保健上の問題ではない。
  • 社会的孤立は、社会の中で居場所や社会的な安定性を持たない状態であり、老年期の精神保健上の問題である。他にも若者、学生、外国人なども対象になる。
  • 科目:老年期障害と臨床医学
  • 重要度:プレミアム特典
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