70歳の女性。買い物での計算や自宅への道順を間違えるようになり、心配した家族に伴われて物忘れ外来を受診した。Alzheimer型認知症と診断され外来作業療法を開始した。患者は「どうして私がここへ来ないといけないの」、「だまされた。帰りたい」と訴えて興奮することが多い。その後、興奮が落ち着き、作業療法室に定期的に通うようになった。今後の作業療法での留意点で適切なのはどれか。
1: 個室で作業を行う。
2: 薬物の作用を学習させる。
3: 病気の説明を繰り返し行う。
4: 作業手順を1工程ずつ説明する。
5: 長時間かけて仕上げる作業を課題に選ぶ。
20歳の男性。幼少期は一人遊びが多かった。小学校から高校までは成績は概ね良かったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し、外来で作業療法が開始された。この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1: ルールや取り決めを明示しておく。
2: 興味や関心のある活動を導入する。
3: 作業手順を言葉で細かく伝える。
4: 心理教育プログラムを行う。
5: パラレルな場を用いる。
16歳の女子。6か月前から特にきっかけはないのに次第に手洗いと入浴の時間が長くなった。1か月前から手洗いに1時間半以上を使う状況となり、自分でもおかしいと感じるようになった。母親が途中でやめさせると余計に不安になり、最近ではやめさせようとすると反発して暴言を吐くようになった。そのため父親が本人を説得して精神科を受診した。この患者が示す症状はどれか。
1: 心気妄想
2: 強迫行為
3: 常同行為
4: チック障害
5: 精神運動興奮
50歳の男性。アルコール依存症。30歳代後半から仕事上のストレスで飲酒量が増えた。遅刻や欠勤を繰り返し、2年前にリストラされてからは昼夜を問わず連続飲酒の状態となった。妻に付き添われて精神科を受診し、アルコール専門病棟へ入院した。入院後2週経過し、離脱症状が落ち着いたため作業療法が開始された。この患者の導入期評価で優先度が高いのはどれか。
1: 認知機能
2: 作業能力
3: 金銭管理
4: 基礎体力
5: 対人関係
18歳の女子。高校生。好意を寄せている男性について「彼はスマートな子が好きらしい」という話を友人から聞いたことをきっかけにダイエットを始めた。食べたいという気持ちと痩せたいという気持ちを両立させるため、“食べた直後に故意に吐く”という行為を繰り返すうち、食べ物の量と食べる回数とが増えていった。冷蔵庫の中身の異常な減り方に気付いた母親に連れられ精神科病院を受診した。この時期の作業療法士の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 作品の自己管理を促す。
2: 患者の得意な作業種目を提供する。
3: 工程数が多い作業を取り入れる。
4: その都度作業の進め方を指示する。
5: 集団作業療法を導入する。
統合失調症患者の退院を目的とした作業療法で適切でないのはどれか。
1: 生活のリズムを整える。
2: 体力を向上させる。
3: 症状の自己管理能力を向上させる。
4: 依存欲求を満たす。
5: 家族調整を行う。
42歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。25歳時に「お前は泥棒だ」という声が聞こえるようになり初回入院した。今回も幻聴と被害妄想が出現し3回目の入院。入院5週目で病状は落ち着き作業療法が依頼された。疲れやすさと抑うつ傾向が目立つ。この時点で、作業適用を決める上で優先度の低いのはどれか。 ア.対人刺激の量イ.作業の難易度ウ.本人の希望エ.幻聴の有無オ.退院後の生活
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
19歳の男性。統合失調症。幻覚妄想がみられ、両親に付き添われて精神科病院を受診した。病識は曖昧であったが、外来医師と両親の説得で本人が入院に同意した。入院2日目の夜になって「こんなところにいては、お前はダメになる。薬を飲むと頭が変になってしまうぞという声が聞こえる。一刻も早く退院したい。入院時の同意は取り下げる」と強く訴え興奮したため、精神保健指定医の判断によって、両親の同意の下、非自発的な入院形態に変更された。この患者の変更後の入院形態はどれか。
1: 医療保護入院
2: 応急入院
3: 緊急措置入院
4: 措置入院
5: 任意入院
45歳の男性。統合失調症。自宅で単身生活をしている。精神症状は安定しているが、買い物に行くときを除き自宅に引きこもっている。週3回のヘルパーによる食事のサービスと惣菜による食事摂取をしている。偏食と間食が多く、身長167 cm、体重92 kgと肥満である。最近の血液検査の結果、脂質異常症と診断された。訪問作業療法における健康管理支援として適切なのはどれか。
1: 自炊を目指した調理訓練を提案する。
2: 抗精神病薬の変更を主治医に提案する。
3: 入院による生活リズムの改善を提案する。
4: 買い物はスタッフが代行することを提案する。
5: 散歩やストレッチなどの運動を取り入れることを提案する。
24歳の女性。自己愛性パーソナリティー障害。大学院を修了しサービス業に就いたが、自分より学歴の低い社員と同じ職場に配置されたことに腹を立て、上司に配置換えを要求した。客に尊大な態度を批判され、「なぜ自分が批判されるのか、配置換えの希望を無視した上司が悪い」と言い、怒りをあらわにした。その後、抑うつ感が強まり、自宅に引きこもるようになったため両親が精神科を受診させ、作業療法に通うことになった。この患者にみられやすい特徴はどれか。
1: 自罰傾向
2: 特権意識
3: 自生思考
4: 不定愁訴
5: 嫉妬妄想
10歳の男児。幼少時期から内気で、友達と遊ぶ時も受身な態度が多かった。学校では全く口をきかないため仲間はずれになり、不登校となった。家族との会話もあるが、学校のことに触れられると物を投げつけたりするようになったため、両親に連れられ外来受診。週2回の個別作業療法が開始された。4か月後には、作業療法士との関係も成立し、学校のことも本人から少しずつ話すようになってきた。しかし、自分の気に入らないことに直面すると、道具を投げつけたりする行動が時折みられた。このような状態への対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 不登校の原因を明らかにする。
2: 行動化は明確に制止する。
3: 本人の得意なものを取り入れる。
4: 15人程度のグループに移行する。
5: 担当者以外は関わらないようにする。
19歳の男性。てんかん及び軽度知的障害(IQ 60)。特別支援学校卒業後にクリーニング店に就職した。「接客態度が悪い」と注意されたことをきっかけに仕事に行けなくなり、引きこもりとなった。時々家族に暴力を振るうために、家族が主治医に相談して外来作業療法が処方された。本人、家族とも復職を希望している。この患者に対して優先すべき対応はどれか。
1: 暴力の内省を促す。
2: 対人技能の訓練を行う。
3: 注意力を高める作業を行う。
4: てんかんの疾病教育を行う。
5: 運動能力を高めるためのスポーツ活動を行う。
17歳の女子。統合失調症。授業中に突然叫び声をあげ、教科書と筆記用具を窓から投げ捨てた。両親が付き添い精神科病院に入院し、陽性症状の落ち着いた3週目に退院となり、精神科ショートケアに紹介された。この時期の精神科ショートケア利用の目的はどれか。
1: 仲間づくり
2: 居場所づくり
3: 社会資源の利用
4: 対人交流技能の改善
5: 基本的生活リズムの回復
63歳の女性。脳血管性認知症。55歳の頃、一過性脳虚血発作で倒れたことがある。最近、そのような事実はないのに、「息子たちが無断で家の売却の話を進めた」と被害的になり、興奮状態となった。また、日中から雨戸を閉めきり、「家中に虫がいる」と言うようになり入院した。入院後は、問題行動も消失し、作業療法の導入が計画された。作業療法開始時の留意点として適切でないのはどれか。
1: 一過性脳虚血発作の兆候に注意する。
2: 指示の理解能力を評価する。
3: 被害的な話の真偽を確かめる。
4: 家での生活リズムについて聞く。
5: せん妄の有無を確かめる。
27歳の男性、大学卒業後、建設会社に就職し設計の仕事をしていた。新たなプロジェクトの責任者として仕事に追われるようになってから眠れない日が続き、急に怒り出すようになった。プレゼンテーションの日に昏迷状態となり、統合失調症と診断されて入院した。入院後1週で症状が徐々に落ち着いてきたため作業療法が開始された。この時点での作業療法の目的で適切なのはどれか。
1: 自信の回復
2: 気分の安定
3: 役割の遂行
4: 社会資源の利用
5: 対人関係の改善
うつ病患者の作業療法でみられないのはどれか。
1: 疲労感の訴え
2: 思考の制止
3: 行動の途絶
4: 焦燥感の訴え
5: 食欲不振の訴え
13歳の男子。恐怖症性不安障害。父親の転勤で中学転校時から、漠然とした不安感情が表れるようになった。ある日、授業中に動悸や息切れがひどくなり発作性の震えが出現、養護教諭のすすめで精神科クリニックを受診した。その後、不安発作が激しくなり不登校の日が続いた。主治医・両親・患者・学校側との相談の結果、クリニック付設デイケアに参加することになった。2か月して不安発作も落ち着き、新学期には登校を再開する予定になったが、本人は不安を述べている。この時点での対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 両親に登校の必要性を説得してもらう。
2: スタッフの付き添いで登校する。
3: 教師に自宅へ迎えに行くように依頼する。
4: スタッフが定期的に面接する。
5: 登校できない時はデイケアに参加する。
52歳の男性。統合失調症。精神科病院に5年間入院している。作業療法が開始され、作業遂行の特徴と問題解決技能とを評価する目的で、箱づくり法を行うことになった。箱の作成過程で、患者から見本提示の希望があった場合、見本を段階的に提示する順序で正しいのはどれか。
1: A→B→C→D
2: B→C→D→A
3: C→D→A→B
4: D→A→B→C
5: A→C→B→D
52歳の男性。アルコール依存症。45歳ころから入退院を繰り返し離婚した。単身生活になって飲酒が一層激しくなり、食事も摂らず泥酔状態が続くところを保護されて入院した。離脱症状が消失した時点で作業療法が開始されたが、落ち込んだ様子や自己中心的な行動がみられたり、理由なく作業療法を欠席したりすることがある。この時点での作業種目で適切なのはどれか。
1: 散歩
2: 革細工
3: パソコン操作
4: バレーボール
5: 院内新聞の編集
48歳の男性。妻と2人暮らし。会社の営業課長をしていたが、重要な打合せを忘れたり、得意先へ行く道を迷ったりするようになり、妻の勧めで物忘れ外来を受診した。頭部MRIで脳萎縮が認められ、作業療法が処方された。作業療法開始時の目的で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 休息の促し
2: 不安の軽減
3: 仕事の継続
4: 他者との交流
5: 自己認識の向上