20歳の女性。高校卒業後、コンビニエンスストアの仕事についた。2年が経過した頃、人手不足もあり業務に追われる状態が続いた。次第に集中困難、頭が回らない感覚、不眠、動悸や呼吸困難感が現れ始め、休職するに至った。約1か月の自宅療養で呼吸困難感は軽減したが、頭痛、めまいによる歩行のふらつき、不眠が出現し、たえず漠然とした不安に襲われ外に出られなくなった。その様子を心配した家族が本人を連れて精神科を受診し、外来作業療法が導入された。導入時の作業療法で最も適切なのはどれか。
1: 全身のストレッチ
2: 高負荷の歩行訓練
3: ワークサンプル法による職業訓練
4: 遂行機能に対する認知リハビリテーション
5: 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ
30歳の男性。統合失調症。高校時代から体調不良を訴えるようになり、自宅に引きこもっていた。5年前に幻覚妄想状態のため入院し作業療法を継続していたが、最近、「退院したい」と意欲を見せ始めた。作業療法種目を変更した3日後に患者が身体的不調を訴え始めた。対応で適切なのはどれか。
1: 休憩の時間を増やす。
2: 以前の作業種目に戻す。
3: 直ちに作業療法を中止する。
4: 他の作業療法士が担当する。
5: 就労意欲を高める種目に変更する。
22歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校1年時にうつ状態で3か月入院した。その後、毎年入退院を繰り返し5回目の入院となった。入院後1か月が経過したが、自発性の減退および引きこもりがみられる。また「私の結婚相手を姉に取られた。私の考えがすべて他人に分かってしまい自分がなくなってしまうみたいで困る。他人の声が左の頭に聞こえる。」と訴えている。その時点で作業療法が処方された。この患者の作業療法の目的として適切でないのはどれか。
1: 自発性の改善
2: 作業習慣の定着
3: 幻聴の消失
4: 対人関係の拡大
5: 生活自己管理能力の向上
16歳の女子。6か月前から特にきっかけはないのに次第に手洗いと入浴の時間が長くなった。1か月前から手洗いに1時間半以上を使う状況となり、自分でもおかしいと感じるようになった。母親が途中でやめさせると余計に不安になり、最近ではやめさせようとすると反発して暴言を吐くようになった。そのため父親が本人を説得して精神科を受診した。この患者が示す症状はどれか。
1: 心気妄想
2: 強迫行為
3: 常同行為
4: チック障害
5: 精神運動興奮
42歳の女性。躁うつ病。高校卒業後からスーパーマーケットに勤務。30歳のとき躁状態で入院した。以後、躁状態またはうつ状態で6回入退院を繰り返した。今回は、パートタイムで働いていたが次第に不眠、抑うつ気分を呈するようになり入院した。入院から1か月後、作業療法が開始された。作業療法導入時の対応として適切でないのはどれか。
1: 作業療法の目標を取り決める。
2: 症状の変動を確認する。
3: 参加の意思を確認する。
4: 作業種目の決定を促す。
5: 作業の耐久性を評価する。
50歳の女性。10年前に義母の介護に際して突然の視力障害を訴えたが、眼科的異常はみられなかった。1か月前に夫の単身赴任が決まってから、下肢の冷感、疼痛を主訴として、整形外科、血管外科などを受診するも異常所見は指摘されなかった。次第に食事もとれなくなり、心配した夫が精神科外来を受診させ、本人はしぶしぶ同意して任意入院となった。主治医が、身体以外のことに目を向けるようにと作業療法導入を検討し、作業療法士が病室にいる本人を訪問することになった。本人は着座すると疼痛が増強するからと立位のままベッドの傍らに立ち続けて、他科受診できるよう主治医に伝えてほしいと同じ発言を繰り返す。この患者に対する病室での作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1: 他科受診できるよう約束する。
2: 夫の単身赴任をどのように感じているか尋ねる。
3: 痛みが軽減することを約束して作業療法への参加を促す。
4: 身体的には問題がなく、心の問題であることを繰り返し伝える。
5: 他のスタッフの発言との食い違いが生じないよう、聞き役に徹する。
28歳の女性。電車を待つホームで突然動悸が激しくなり、死ぬのではないかという恐怖と息苦しさに襲われ、しゃがみこんでしまった。後日精神科を受診し、外来作業療法が開始された。この患者への作業療法で適切でないのはどれか。
1: 内省を促す。
2: 心理教育を取り入れる。
3: 屋外でのプログラムを含める。
4: コラージュで自己表現を促す。
5: リラクセーションを指導する。
17歳の女子。転換性障害。高校1年の2学期終了前にボーイフレンドと別れてから欠席がちとなり、頭痛、肩こり、無気力を訴えた。進級後も欠席が多く大学病院を受診したが、症状の改善がみられず2か月入院した。入院中に手首を切ったことがある。その後、復学したが教室で頻回に倒れ再入院となった。復学を目的に作業療法が処方された。作業に気乗りしないと頭痛を訴え、難しいと依存的になる。作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 訴えを聞き作業を休ませる。
2: 復学を条件に作業を続ける。
3: 難しいところは療法士が手伝う。
4: 患者とルールを決めて作業を行う。
5: 患者の希望した作業を行う。
16歳の男子。乳幼児健診で異常を指摘されたことはなかったが、乳幼児期、母親の後追いをせず、履いている靴がボロボロになっても他の靴では嫌だと強いこだわりを見せた。大人びた話し方をし、小学校では自分の関心事について熱中して一方的に話すために、友達から避けられるようになって孤立していた。中学校入学後は不登校になり、ゲームに熱中するようになったため、心配した母親が児童思春期専門の医療機関を受診させた。評価に用いるテストとして適切なのはどれか。
1: ASQ
2: HTP
3: WAIS-Ⅲ
4: バウムテスト
5: CAARS〈Conners' Adult ADHD Rating Scales〉
21歳の男性。統合失調症。高校2年ころから男女の声の幻聴や注察妄想が出現。精神科クリニックに通院しながら高校卒業。浪人2年目、突然予備校をやめて自室に閉じこもるようになった。家人に暴力を振るうなど問題行動が重なり、精神科病院へ入院した。1か月後、作業療法に参加となった。参加2週ころから女性患者と仲良くなり、プログラム中に抱きつくなど目に余る行動がでてきた。男性患者への適切な対処はどれか。
1: そのまま経過を観察する。
2: 他のメンバーから様子を聞く。
3: 直ちに男性患者の家族に連絡する。
4: 面接で男女の付き合い方を話し合う。
5: 作業療法を中断する。
17歳の女子。統合失調症。授業中に突然叫び声をあげ、教科書と筆記用具を窓から投げ捨てた。両親が付き添い精神科病院に入院し、陽性症状の落ち着いた3週目に退院となり、精神科ショートケアに紹介された。通所2か月目から復学に向けた支援を開始した。適切でないのはどれか。
1: 心理教育に参加させる。
2: 特別支援学校に転校させる。
3: 再発防止プランを作成させる。
4: 修業年限の延長を視野に入れた計画を立てる。
5: 担当教師、家族および本人を交えたケア会議を開催する。
38歳の女性。1年前から夫が単身赴任。中学2年生の息子のことで心労が重なっていた。1か月前から眠れなくなり食欲も低下した。その後、気分が落ちこみ口数が減り、もともと好きであったテレビドラマも楽しめなくなった。母として妻としての自分を責め、涙をこぼすようになり、夫に付き添われ精神科を受診し、入院となった。患者は「料理の作り方が分からなくなりました」と訴えた。この訴えに該当するのはどれか。
1: 行為心迫
2: 罪業妄想
3: 抑うつ気分
4: 喜びの喪失
5: 遂行機能障害
21歳の男性。知的障害。養護学校の高等部を卒業後、魚屋に住み込みで3年間働いていた。接客をすることになったころから、腹痛で休みがちとなった。つり銭を間違えたことがきっかけとなり、自分の頭を壁にたたきつけるなどの自傷行為がみられるようになり、精神科に入院となった。入院1週後に作業療法を開始した。復職に向けた支援で重要でないのはどれか。
1: 住み込み先への外泊
2: 苦手な作業の確認
3: 体力の向上
4: 対人技能の訓練
5: 職場との調整
18歳の男子。幼少時から一人遊びが多かった。運動や言語の発達に目立った問題はないが、視線が合わないことが多い。急な予定変更や大きな音でパニックになることがあった。中学校や高校では場の空気が読めないことでいじめられた経験があり、現在は自室に引きこもり、ほとんどの時間をインターネットに接続したパソコンでアニメやゲームなどに興じている。心配した親が相談機関を訪れ、作業療法士が対応した。この男子の特徴としてみられやすいのはどれか。
1: 手先が器用である。
2: 特定の物事にこだわる。
3: 特定の領域の学習が苦手である。
4: 特定の場面で発語が困難になる。
5: 意思を伝える際に身振りを多用する。
16歳の男子。高機能広汎性発達障害。友人との交流は少ないが、学校では大きな問題もなく普通高校に進学した。高校1年の夏休み後から登校できなくなり、思春期外来を受診した。通院しながら外来作業療法を実施することになった。半年後、この患者は面接で「学校には戻りたくない」と希望を述べた。対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 学校に戻りたくない理由を説明させる。
2: 学校に戻る手助けをすることを伝える。
3: 転校を勧める。
4: 学校の支援体制について確認する。
5: 家族の希望を聞く。
25歳の女性。境界型人格障害。手首の自傷行為の反復、睡眠薬遊びや万引きがある。「何でも良いからやれる仕事をやってはどうか」と言う母親に暴力を振るい、止めに入った父親の前で「死んでやる」と言って再び手首の自傷行為に及び入院した。入院後、穏やかになり作業療法が開始された。作業中に「息が苦しくなり手がしびれる」と言い出した。考えられる発作はどれか。
1: 低血糖発作
2: 過呼吸発作
3: けいれん発作
4: 欠神発作
5: 情動脱力発作
55歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。29歳時に「『修道院に行けばお金をたくさんもらえる』という声が聞こえる」と言うようになり初回入院した。現在、4回目の入院中で、最近は病的な体験を述べることは減少したが、無為傾向が強いため、その改善を目的に作業療法が開始された。作業療法の初期評価で適切でないのはどれか。
1: 病的体験の影響
2: 対人関係の範囲
3: 興味・関心の内容
4: 指示理解の程度
5: 作業の巧緻性
45歳の男性。統合失調症。自宅で単身生活をしている。精神症状は安定しているが、買い物に行くときを除き自宅に引きこもっている。週3回のヘルパーによる食事のサービスと惣菜による食事摂取をしている。偏食と間食が多く、身長167 cm、体重92 kgと肥満である。最近の血液検査の結果、脂質異常症と診断された。訪問作業療法における健康管理支援として適切なのはどれか。
1: 自炊を目指した調理訓練を提案する。
2: 抗精神病薬の変更を主治医に提案する。
3: 入院による生活リズムの改善を提案する。
4: 買い物はスタッフが代行することを提案する。
5: 散歩やストレッチなどの運動を取り入れることを提案する。
34歳の女性。掃除と整理整頓が趣味というほど几帳面な性格である。職場での昇進によって仕事量が増え、そのため夜遅くまで残り、懸命にこなすように努力していた。しばらくして、抑うつ状態になり、早朝覚醒、体重減少などの身体症状も出現し、精神科を受診した。抑うつ気分は朝方に強く、夕方に軽くなる傾向が認められる。この患者でみられやすいのはどれか。
1: まわりくどく説明する。
2: 他人からの依頼を断れない。
3: 早朝から友人に電話をかける。
4: 他人からの評価を気にしない。
5: 不必要なものをいろいろと買い込む。
22歳の男性。職場でケアレスミスがあまりにも多いため、産業医の勧めで精神科を受診した。母親の話によると、幼少時から落ち着きがなく、小学校の担任から「人の話を聞いていない」、「順番を守れない」、「隣の子にちょっかいを出す」などと注意されたことがあり、大学でも提出物の締め切りを守れないなどといった問題から成績は悪かった。この患者に薬物療法を行う場合、最も適切と思われる向精神薬はどれか。
1: 気分安定薬
2: 抗うつ薬
3: 抗精神病薬
4: 抗不安薬
5: 精神刺激薬