70歳の男性。アルツハイマー型認知症。約1年前、家族に言動を注意されてからふさぎ込んだ。それ以来、家族との会話も少なくなった。最近、財布の置き場所を忘れたり、お湯を沸かそうとしてガスをつけたまま外出してしまうことが目立つようになった。1か月前、買い物に行ったまま自宅への帰り道がわからなくなり保護され入院した。症状で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.観念失行イ.失見当識ウ.記銘力障害エ.感覚失語オ.ゲルストマン症候群
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
22歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校1年時にうつ状態で3か月入院した。その後、毎年入退院を繰り返し5回目の入院となった。入院後1か月が経過したが、自発性の減退および引きこもりがみられる。また「私の結婚相手を姉に取られた。私の考えがすべて他人に分かってしまい自分がなくなってしまうみたいで困る。他人の声が左の頭に聞こえる。」と訴えている。その時点で作業療法が処方された。この患者の作業療法の目的として適切でないのはどれか。
1: 自発性の改善
2: 作業習慣の定着
3: 幻聴の消失
4: 対人関係の拡大
5: 生活自己管理能力の向上
67歳の女性。数か月前から、「子どもが枕元に座っている」と言うようになった。最近では歩行が小刻みになってきて転びやすくなり、物忘れが目立つようになった。疾患として考えられるのはどれか。2つ選べ。 ア.Alzheimer型認知症イ.Pick病ウ.血管性認知症エ.Lewy(レビー)小体型認知症オ.遅発性統合失調症
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
55歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。29歳時に「『修道院に行けばお金をたくさんもらえる』という声が聞こえる」と言うようになり初回入院した。現在、4回目の入院中で、最近は病的な体験を述べることは減少したが、無為傾向が強いため、その改善を目的に作業療法が開始された。作業療法の初期評価で適切でないのはどれか。
1: 病的体験の影響
2: 対人関係の範囲
3: 興味・関心の内容
4: 指示理解の程度
5: 作業の巧緻性
68歳の男性。21歳時に精神分裂病(統合失調症)を発症し入退院を数回繰り返した。50歳ころから症状が安定し家庭菜園をしながら弟の家族と同敷地内の離れ家で暮らしていた。今回、数年前からの多発性脳梗塞による認知症が進み、日常生活が困難となり、老人性認知症疾患療養病棟に入院した。開始時の作業活動で適切なのはどれか。
1: 籐細工
2: 園 芸
3: 音楽鑑賞
4: 絵 画
5: 文化刺繍
28歳の女性。産後うつ病。育児休暇中である。元来、何事にも手を抜けない性格。出産から4か月経過したころから、子どもの成長が気になり始め、夫に不安をぶつけるようになった。次第に「母親失格」と言ってはふさぎ込むようになったため、夫に連れられて精神科を受診し入院となった。1か月半後、個別的作業療法が開始となったが、手芸中に「私は怠け者」とつぶやく様子がみられた。この患者に対する作業療法士の対応として適切なのはどれか。
1: 日記を取り入れる。
2: 育児の振り返りを行う。
3: 患者の不安な気持ちに寄り添う。
4: 家族の育児への協力方法について話し合う。
5: 性格による自己否定的考えについて話し合う。
35歳の男性。母親との2人暮らし。大学卒業後に就職した。統合失調症を発症したために退職し、精神科に外来通院しながら自閉的な生活をしていた。主に家事を行っていた母親が体調を崩したために同居生活が困難となり、精神科に入院した。入院6か月で自宅退院となり、母親の負担軽減のために日中の家事援助を受けることになった。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に規定されるサービスの中でこの患者が利用できるのはどれか。
1: 共同生活援助
2: 居宅介護(ホームヘルプ)
3: 重度訪問介護
4: 短期入所(ショートステイ)
5: 同行援護
70代の女性。Alzheimer型認知症の診断を受けデイケアを利用しながら自宅で生活を続けている。独歩での移動は可能であるが、屋外では道に迷う。IADLは全介助である。感情のコントロールができなくなり、デイケア施設職員に文句を言ったり介護に抵抗することもある。この患者に対するデイケアプログラムで優先すべき目標はどれか。
1: 気分の安定
2: 買い物の練習
3: 対人関係の改善
4: 家事動作の練習
5: 短期記銘力の向上
76歳の女性。物忘れのために日常生活で失敗が目立った。最近、夫の浮気を疑うようになり、顔を合わせると興奮し物を投げるなどの行為がみられる。息子が誤りであることをいくら説明しても納得しない。この患者の精神症状を評価する尺度として適切なのはどれか。
1: HRS-D
2: NPI
3: POMS
4: SANS
5: SDS
80代の女性。息子の家族と同居。孫の名前を忘れる、日付がわからない、居眠りする、洗濯や掃除を完了せず放置するなどのエピソードが頻繁にあり受診したところ、Alzheimer型認知症と診断され作業療法の指示が出た。介入で適切なのはどれか。
1: 家事はできるだけ減らすよう指導する。
2: 家事を複数同時に行わないよう指導する。
3: 休憩を今まで以上に多く取るよう指導する。
4: 「今日は何月何日ですか」と家族に尋ねさせる。
5: 「お孫さんの名前はなんでしたか」と毎回聞く。
21歳の男性。2か月前から「自分しか知らないはずのことを皆が知っている」と訴えるようになった。1か月前から自室にこもるようになり、一人きりで誰かに応答しているような様子がみられた。1週前から「変な味がする」と言い、母が作る食事を食べなくなった。家族が精神科の受診を勧めたが、本人は「自分はどこも悪くない」と言って頑なに拒んだ。この患者にみられない症状はどれか。
1: 観念奔逸
2: 思考伝播
3: 対話性幻聴
4: 被毒妄想
5: 病識欠如
25歳の女性。境界型人格障害。高校時代から希死念慮や情緒不安定があった。アルバイト先の男性従業員と同棲していたが、21歳のときけんか別れして帰省した。帰省後は母親と生活していたが、母親への暴力と希死念慮が激しくなり入院した。入院後、落ち着いた時点で作業療法が開始された。この時期の実施上の留意点で適切でないのはどれか。
1: 参加に当たっての約束事を確認する。
2: 種目は患者に任せる。
3: 短期間で行えるものを選ぶ。
4: 手順と結果が明確なものを選ぶ。
5: 場面設定を一定にする。
72歳の男性。アルツハイマー型認知症(認知症性老人の日常生活自立度判定基準ランクIV)。5年前に発症してデイケア通所をしていた。徘徊や興奮のために在宅介護が困難となり、老人性認知症疾患治療病棟に入院した。集団活動を用いて情緒の安定と精神活動の活性化を図るときに、導入設定として適切なのはどれか。
1: 覚醒度を上げる身体活動を用いる。
2: 活動内容に変化をもたせる。
3: 役割をもたせる。
4: 共同の描画作品に参加させる。
5: 活動時間は2時間程度とする。
22歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校1年時にうつ状態で3か月入院した。その後、毎年入退院を繰り返し5回目の入院となった。入院後1か月が経過したが、自発性の減退および引きこもりがみられる。また「私の結婚相手を姉に取られた。私の考えがすべて他人に分かってしまい自分がなくなってしまうみたいで困る。他人の声が左の頭に聞こえる。」と訴えている。その時点で作業療法が処方された。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。
1: 姉の結婚に対する気持ちを聞く。
2: 日常生活の過ごし方について話し合う。
3: 作業種目について希望を聞く。
4: 参加の意思について聞く。
5: 病棟での他の患者との交流について話を聞く。
85歳の女性。多発性脳梗塞。2年前大腿骨転子間骨折。T字杖歩行をしていたが、最近、転倒がみられるようになった。また、痴呆が出現し声かけをしないと歩行をしなくなり、ベッドに臥床することが多くなった。介護者である嫁の要請があり訪問による理学療法を開始した。理学療法および指導で適切でないのはどれか。
1: 大腿四頭筋の等尺性筋力強化訓練
2: 介助歩行とその指導
3: 廊下に手すりを設置
4: ポータブルトイレへの移乗訓練
5: 屋外用車椅子の貸与
66歳の男性。要介護1となり介護老人保健施設に入所した。入所1週後、作業療法士によるリハビリテーションを行うために機能訓練室に来室した際、動作の緩慢さと手指の振戦が観察された。妻は本人が中空に向かって「体操服姿の小学生がそこにいる」と言うのを心配していた。本人に尋ねると、見えた内容について具体的に語っていた。疾患として考えられるのはどれか。
1: Creutzfeldt-Jakob病
2: Alzheimer型認知症
3: Lewy小体型認知症
4: 意味性認知症
5: 正常圧水頭症
21歳の女性。統合失調症。大学でグループ課題の実習中に錯乱状態となり入院した。入院後2週からベッドサイドでの作業療法が開始され、入院後7週で症状が落ち着いたため退院することになった。しかし、眠気やだるさ、疲労感があり、一方で復学への焦りが強い。この時期の作業療法士の対応で適切でないのはどれか。
1: デイケアでの集団活動を促す。
2: 自宅での過ごし方を指導する。
3: 復学準備の開始時期を話し合う。
4: 作業遂行の特徴を家族に伝える。
5: 外来作業療法で支援を継続する。
48歳の女性。うつ病。教育熱心な母親としてパート勤務をしながら2人の娘を育てた。娘達が家を離れた頃から何もする気がなくなり、抑うつ状態となった。希死念慮がみられたため夫に付き添われて精神科を受診し入院となった。「何かしていないと落ち着かない」と訴えたため入院後5日目から作業療法が開始された。作業療法開始時の評価項目で適切なのはどれか。
1: 対人関係
2: 作業経験
3: 自己評価
4: 知的機能
5: 職業興味
78歳の女性。Alzheimer型認知症。物忘れが激しくなるに従い、何をするにも介護者である夫に頼り、そばを離れない状態となった。そのため、主治医にデイケアを勧められ、通所を開始した。デイケア導入時に行う知的機能検査で適切なのはどれか。
1: WPPSI
2: WAIS-Ⅲ
3: Blessed dementia rating scale(DRS)
4: Mini mental state examination(MMSE)
5: Behavioral pathology in Alzheimer’s disease rating scale(BEHAVE-AD)
32歳の女性。統合失調症。デイケアに通所しているが、いつも人を避けるように過ごしていることが多い。スタッフが面談の中でその理由を尋ねると「会話をしていると、途中から何を話しているのか分からなくなります。それが恐くて人と話をする自信がないです」と訴えた。この患者の症状の評価で最も適切なのはどれか。
1: GAF
2: BADS
3: WCST
4: Rehab
5: BACS-J