42歳の女性。躁うつ病。高校卒業後からスーパーマーケットに勤務。30歳のとき躁状態で入院した。以後、躁状態またはうつ状態で6回入退院を繰り返した。今回は、パートタイムで働いていたが次第に不眠、抑うつ気分を呈するようになり入院した。入院から1か月後、作業療法が開始された。作業療法開始後1か月で「早く退院したい」という申し出があった。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。 ア.主治医に報告する。イ.理由を尋ねる。ウ.作業種目を変更する。エ.就労訓練を始める。オ.退院の意志を確かめる。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
19歳の男性。てんかん。IQ 70。養護学校卒業後にクリーニング店に就職した。仕事ののみ込みが悪いと店主に注意されたことがきっかけで仕事に行けなくなり、家に引きこもりがちとなった。時々家族に暴力を振るうようになり、家族が主治医に相談した結果、外来作業療法が処方された。本人、家族とも「仕事ができれば」と希望を語っている。この患者の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.作業内容は患者に選択させる。イ.運動能力を高める作業を行う。ウ.自己表現の練習を行う。エ.対人技能の訓練を行う。オ.集中力を高める作業を行う。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
30歳の男性。統合失調症で5年前に幻覚妄想状態で家族に対する興奮があり、医療保護入院となった既往がある。退院後はほぼ規則的に通院し、毎食後服薬していたが、3か月前から治療を中断し、幻聴や被害関係妄想が悪化し、両親を自宅から閉め出して引きこもってしまった。注察妄想もあり本人も自宅から外出できない状況である。多職種訪問支援チームが1年前から関わっており、訪問は受け入れてもらえている。この患者への今後の介入で最も適切なのはどれか。
1: 本人の意思に関わらず、繰り返し服薬を強く促す。
2: 両親を自宅に同行させ、その場で本人に両親への謝罪を促す。
3: 民間救急を利用し、中断していた精神科病院の救急外来に搬送する。
4: 本人の希望や生活上の困り事を根気よく引き出し、関係を深める努力をする。
5: 訪問頻度を減らし、本人が助けを求めるのを待って精神科外来に結びつける。
身体表現性障害の患者に対する作業療法で最も適切なのはどれか。
1: 現実検討能力を高める。
2: 不安な気持ちを解釈する。
3: 集団作業療法を基本とする。
4: 対人関係能力の向上を図る。
5: 感情表現を促す活動を提供する。
81歳の女性。1人暮らし。1年前からたびたび鍋をこがしたり同じ内容の電話を何回もかけたりすることがあった。娘が自宅を訪ねると、冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん詰め込まれており、室内に衣服が散乱していた。本人が生気のない表情で座り込んでいたため来院した。この患者が外来作業療法に通うことになった。この時期の作業療法の目的で優先されるのはどれか。
1: 作業遂行機能
2: 対人関係
3: 知的機能
4: 役割遂行
5: 環境適応
24歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。「死ね」という幻聴があり、自室に閉居して食事をとらなくなったため入院した。入院後、幻聴は軽減したが、不安が強く対人関係を避けて横になっていることが多い。入院3週目に対人関係の改善を目的に作業療法が処方された。この時点で協同で行える作業種目はどれか。
1: 模造紙大のタイルモザイク
2: 10枚組みの陶板絵
3: 画用紙大のはり絵
4: 10枚組みのキルト
5: テレビゲーム
50歳の男性。アルコール依存症。30歳代後半から仕事上のストレスで飲酒量が増えた。遅刻や欠勤を繰り返し、2年前にリストラされてからは昼夜を問わず連続飲酒の状態となった。妻に付き添われて精神科を受診し、アルコール専門病棟へ入院した。入院後2週経過し、離脱症状が落ち着いたため作業療法が開始された。この患者の導入期評価で優先度が高いのはどれか。
1: 認知機能
2: 作業能力
3: 金銭管理
4: 基礎体力
5: 対人関係
作業療法における慢性期精神分裂病(統合失調症)患者の特徴でないのはどれか。
1: 持続力に乏しい。
2: リズムに乗りにくい。
3: とっさの判断に戸惑う。
4: 周囲の患者に干渉しやすい。
5: 作業手順に慣れるのに時間がかかる。
20歳の女性。大学生。友人に「最近、太ったね」と言われたことをきっかけにダイエットを始めた。身長158 cm。体重は54 kgから37 kgに減少したが、期末試験のストレスから過食と嘔吐が始まり、緩下剤や利尿薬を乱用するようになった。抑うつ傾向もみられたため、母親に付き添われて精神科を受診し入院となった。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 自己表現を促す。
2: 調理実習を行う。
3: 体力の向上を促す。
4: 課題集団への参加を促す。
5: 食べ吐きの理由を話し合う。
19歳の男性。Asperger症候群。普通高校を中位の成績で卒業し、就職したが、指示どおりに仕事ができない、しつこく同じ話を繰り返して同僚を怒らせるなどの対人トラブルが絶えず解雇され、職を転々としている。作業療法で工夫する点はどれか。
1: 表現活動を促す。
2: 競争的作業を取り入れる。
3: 集団のリーダー役を担わせる。
4: 説明を箇条書きにして手渡す。
5: 興味のあることを自由にしてもらう。
8歳の男児。幼児期より落ち着きがなくじっとしていられず、家族で外出した際にはよく迷子になり、両親も養育に困難を感じていた。小学校に入学してからは、授業中に勝手に席を立って歩き出したり、順番を守ることも難しく、日常的に忘れ物や落とし物も多く、うっかりミスをして教師に注意されるが、その後も同じミスを繰り返していた。授業中は周囲の雑音に注意を削がれて勉強に集中できず、最近では学業不振が目立ち始めたため放課後等デイサービスで作業療法士が対応することになった。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。
1: 感覚統合療法を実施する。
2: ペアレントトレーニングを実施する。
3: 社会生活技能訓練〈SST〉を実施する。
4: 学校を訪問して授業の様子を観察する。
5: 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。
作業療法場面での統合失調症者の行動特徴で誤っているのはどれか。
1: 柔軟な判断が苦手である。
2: 計画的な遂行が苦手である。
3: 慣れの効果が持続する。
4: 注意の配分が片寄る。
5: 緊張の亢進が持続する。
74歳の女性。アルツハイマー型老年認知症。約6年前から、朝食の内容を昼には忘れてしまう。最近、貯金通帳の置き場所を忘れ、長女夫婦が盗んだと非難することが多くなり、「他人が勝手に玄関から入ってくる」と訴え入院となった。入院後は落ち着き、作業療法を実施することになった。この患者に作業療法を実施する際の留意点で誤っているのはどれか。
1: 身体機能の評価を行う。
2: 意欲低下がみられる場合は励ます。
3: 言い間違いは指摘する。
4: 単純な作業から始める。
5: 過去に行った作業を適用する。
27歳の男性、大学卒業後、建設会社に就職し設計の仕事をしていた。新たなプロジェクトの責任者として仕事に追われるようになってから眠れない日が続き、急に怒り出すようになった。プレゼンテーションの日に昏迷状態となり、統合失調症と診断されて入院した。入院後1週で症状が徐々に落ち着いてきたため作業療法が開始された。この時点での作業療法の目的で適切なのはどれか。
1: 自信の回復
2: 気分の安定
3: 役割の遂行
4: 社会資源の利用
5: 対人関係の改善
心因性のけいれん発作を繰り返す患者への対応で適切なのはどれか。
1: 叱咤激励する。
2: 心理検査を提案する。
3: 作業療法への参加を中止する。
4: その都度プログラムを変更する。
5: ストレス状況について話し合う。
統合失調症について正しいのはどれか。
1: 症状寛解後は薬物治療を中止する。
2: 家族心理教育を行うことで再発率が低下する。
3: 精神病未治療期間の長短は予後と無関係である。
4: 服薬自己管理の練習は急性増悪期から開始する。
5: 障害者試行雇用〈トライアル雇用〉の対象にはならない。
転換性障害患者に対する作業療法の留意点で適切でないのはどれか。
1: 不安感の緩和
2: 生活リズムの安定化
3: 身体症状の解釈
4: 意欲の向上
5: 家族関係の調整
神経症性障害患者の作業療法導入時の評価で最も重視すべきなのはどれか。
1: 就労関連技能
2: 身辺処理能力
3: 精神内界の葛藤
4: 基本的な心身機能
5: 症状への対処方法