統合失調症の回復期後期に行う作業療法の目的で適切なのはどれか。
1: 休息援助
2: 対人交流
3: 衝動発散
4: 欲求充足
5: 鎮静と賦活
25歳の会社員。通勤中に電車内で突然の心悸亢進、発汗、身体のふるえ及び窒息感におそわれ搬入された。心電図、脳波および血液検査で異常を認めなかったため自宅に戻った。その後も週2、3回同様の発作が生じ、外出が困難となったため精神科を受診した。この患者に対する作業療法で適切でないのはどれか。
1: 生活リズムを整える。
2: 身体運動を取り入れる。
3: 外出の練習を取り入れる。
4: リラクセーションの練習をする。
5: 社会生活技能訓練(SST)を行う。
47歳の男性。アルコール依存症。30歳代後半から仕事のストレスのために飲酒量が増え、40歳ころから高脂血症と肝機能障害とがある。年末年始に連続飲酒の状態となり、妻と両親に付き添われて精神科を受診した。アルコール専門病棟へ入院し、2週目に作業療法が開始された。導入時の評価で重要度の高いのはどれか。2つ選べ。
1: 離脱症状
2: 飲酒状況
3: 基礎体力
4: 就労経験
5: 家族関係
精神分裂病(統合失調症)の作業療法開始時の対応で適切でないのはどれか。
1: 安心してくつろげる場を提供する。
2: 精神内界を表現できるよう配慮する。
3: 周囲に受け入れられる体験をさせる。
4: 両価的感情を受容する。
5: 受け入れられないことはその旨を明確に伝える。
65歳の男性。老年期うつ病。妻と2人暮らし。会社を定年退職後、不眠および食欲不振などの体調不良を訴え始める。些細なことを気にするようになり、「簡単なことも出来なくなっている。物忘れがひどくなった。痴呆ではないか。」などと言ってふさぎ込んでいる。家族も対応に困り入院となった。入院後1か月で睡眠がとれるようになったが、抑うつ気分は続いている。この時点で作業療法が処方された。導入時の作業種目で適切でないのはどれか。 ア.牛乳パックを利用した紙漉きの葉書作りイ.草むしりや移植ゴテの使用による園芸作業ウ.卓上織機を使用した織物の作製エ.ワープロを使用した自分史の作成オ.ハンカチ大の藍染め
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
81歳の女性。多発性脳梗塞と心不全を併発したため入院した。日中に家族がいるときはしっかりしているが、夜間には「大きな声を出す」、「窓から外に出ようとする」、「服を脱ぐ」などの行為が見られるようになった。この患者の病態で考えられるのはどれか。
1: 昏迷
2: せん妄
3: 多幸症
4: 不安発作
5: 抑うつ状態
統合失調症患者。会話の内容がずれ、自分の考えに偏った一方的な発言ばかりで、相手の立場になって考えることができない。障害が疑われるのはどれか。
1: 遂行機能
2: 行動制御
3: 社会的認知
4: 注意の選択性
5: プライミング
42歳の男性。アルコール依存症。事務職。35歳ころから飲酒による肝機能障害を呈する。最近、連続飲酒で長期無断欠勤となったため、本人も断酒を決意せざるを得なくなり入院となった。離脱症状の消退後3週で作業療法が処方された。この患者が飲酒して作業療法に参加した。このときの対応で適切なのはどれか。
1: 他の患者への影響を考え黙認する。
2: 患者が作業を失敗しないよう見守る。
3: 他の患者の邪魔をしないように伝えて続けさせる。
4: 他の患者の前で注意する。
5: 患者を別室に呼び参加中止を伝える。
22歳の男性。職場でケアレスミスがあまりにも多いため、産業医の勧めで精神科を受診した。母親の話によると、幼少時から落ち着きがなく、小学校の担任から「人の話を聞いていない」、「順番を守れない」、「隣の子にちょっかいを出す」などと注意されたことがあり、大学でも提出物の締め切りを守れないなどといった問題から成績は悪かった。この患者に薬物療法を行う場合、最も適切と思われる向精神薬はどれか。
1: 気分安定薬
2: 抗うつ薬
3: 抗精神病薬
4: 抗不安薬
5: 精神刺激薬
統合失調症回復期前期の作業療法で優先して考慮するのはどれか。
1: 社会性
2: 疲労度
3: 就労準備性
4: 対人依存性
5: 作品の完成度
精神分裂病(統合失調症)患者の作業場面の行動特徴でないのはどれか。
1: 場面に応じた対応が混乱しやすい。
2: 全体の会話の流れから外れやすい。
3: 複数の課題を同時に遂行するのが苦手である。
4: 作業手順に慣れるのが早い。
5: 待てないで先を急ごうとする。
74歳の女性。アルツハイマー型老年認知症。約6年前から、朝食の内容を昼には忘れてしまう。最近、貯金通帳の置き場所を忘れ、長女夫婦が盗んだと非難することが多くなり、「他人が勝手に玄関から入ってくる」と訴え入院となった。入院後は落ち着き、作業療法を実施することになった。この患者に作業療法を実施する際の留意点で誤っているのはどれか。
1: 身体機能の評価を行う。
2: 意欲低下がみられる場合は励ます。
3: 言い間違いは指摘する。
4: 単純な作業から始める。
5: 過去に行った作業を適用する。
32歳の男性。会社員。課長になってから会議が多くなり、会議中にマイクを持つ手が震え、激しい動悸と発汗が出現するようになった。次第に恥をかきたくないと、会議が恐怖となっていった。精神科外来受診後に外来作業療法を開始した。この患者への作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 自殺企図に注意する。
2: 少量の飲酒を勧める。
3: 仕事を休むよう助言する。
4: 幼児期の体験を話題にする。
5: リラクセーションを指導する。
48歳の女性。うつ病。教育熱心な母親としてパート勤務をしながら2人の娘を育てた。娘達が家を離れた頃から何もする気がなくなり、抑うつ状態となった。希死念慮がみられたため夫に付き添われて精神科を受診し入院となった。「何かしていないと落ち着かない」と訴えたため入院後5日目から作業療法が開始された。入院1か月後に退院が決まった。本人は「日中、一人でどう過ごせばよいかわからない」と不安を訴えている。この時点の対応で適切でないのはどれか。
1: 退院前訪問指導を行い生活の場を把握する。
2: ハローワークに同伴し求職者登録をする。
3: 1週間の生活スケジュールを立てる。
4: 家族心理教育の機会を取り入れる。
5: 外来作業療法の利用を検討する。
26歳の女性。異性問題でリストカットを繰り返し入院となった。その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている。入院後2週が経過して作業療法が処方された。この患者への対応として適切なのはどれか。
1: 集団プログラムへの参加を優先する。
2: 自分で考えて行動するよう働きかける。
3: 逸脱行動にはすぐに介入せず様子を見る。
4: 患者の希望に応じてプログラムを柔軟に変更する。
5: 作業療法士を攻撃する言動が生じたら担当を変更する。
20歳の女性。高校卒業後、コンビニエンスストアの仕事についた。2年が経過した頃、人手不足もあり業務に追われる状態が続いた。次第に集中困難、頭が回らない感覚、不眠、動悸や呼吸困難感が現れ始め、休職するに至った。約1か月の自宅療養で呼吸困難感は軽減したが、頭痛、めまいによる歩行のふらつき、不眠が出現し、たえず漠然とした不安に襲われ外に出られなくなった。その様子を心配した家族が本人を連れて精神科を受診し、外来作業療法が導入された。導入時の作業療法で最も適切なのはどれか。
1: 全身のストレッチ
2: 高負荷の歩行訓練
3: ワークサンプル法による職業訓練
4: 遂行機能に対する認知リハビリテーション
5: 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ
病状が安定している慢性期統合失調症患者が単身生活を始める場合に、優先して身に付けるべき技能はどれか。
1: 就業のための技能
2: 服薬管理の技能
3: 調理の技能
4: 余暇を楽しむ技能
5: 近所付き合いの技能
精神分裂病(統合失調症)の作業療法でみられないのはどれか。
1: 判断が一面的になりやすい。
2: 物事への関心が低い。
3: 対人関係の距離が混乱しやすい。
4: 物事の全体的把握が苦手である。
5: 一つの作業に長時間没頭する。
46歳の男性。アルコール依存症。以前から大酒家で、糖尿病、高脂血症および肝障害があった。出張先で連続飲酒状態になり、家族と会社嘱託医師の勧めでアルコール専門病棟に初回入院。離脱症状が治まって1週後、作業療法に参加となる。順調に経過し2か月後に退院予定となったが、職場で断酒を継続することの不安や困難を訴えてきた。このときの対応で適切でないのはどれか。
1: 作業場面で指導的役割をもたせる。
2: 自助グループへの参加を勧める。
3: 不安の内容を具体的に聞く。
4: 飲酒欲求への対応策を考える。
5: 飲酒場面に対応するためのロールプレイをする。
35歳の男性。母親との2人暮らし。大学卒業後に就職した。統合失調症を発症したために退職し、精神科に外来通院しながら自閉的な生活をしていた。主に家事を行っていた母親が体調を崩したために同居生活が困難となり、精神科に入院した。入院6か月で自宅退院となり、母親の負担軽減のために日中の家事援助を受けることになった。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に規定されるサービスの中でこの患者が利用できるのはどれか。
1: 共同生活援助
2: 居宅介護(ホームヘルプ)
3: 重度訪問介護
4: 短期入所(ショートステイ)
5: 同行援護