64歳の女性。右利き。脳梗塞。約1か月前に左大脳に発症。現在は聴覚理解に問題はないが、発語は非流暢かつ緩徐である。話す言葉の量は少なく、発語の際には多大な努力を要している。四肢の麻痺はみられない。この患者への対応として正しいのはどれか。
1: 患者の話す内容が文法的に誤っていれば医療者が即座に細かく修正する。
2: 患者が「はい」「いいえ」で答えることができるように質問する。
3: 医療者が口頭で説明をするときにはジェスチャーを交える。
4: コミュニケーションエイドを導入する。
5: 患者にメモをとるように指導する。
60歳の男性。脳梗塞。発症後9か月経過。現在、左片麻痺は軽度だが、日常生活上の介助量は多大である。模写課題の結果を図に示す。この患者への対応で誤っているのはどれか。
1: 物品呼称の訓練
2: 左方注意の習慣化
3: 構成課題の訓練
4: 口頭での行為確認の習慣化
5: 衣服への目印の付加
65歳の女性。右利き。脳出血による左片麻痺。発症後6か月経過。Brunnstrom法ステージは上肢IV、手指IV、下肢V。感覚障害と高次脳機能障害とはない。屋内は独歩可能である。日常生活で実用可能な両手動作はどれか。2つ選べ。
1: 財布から硬貨を出す。
2: ズボンを引き上げる。
3: りんごの皮をナイフでむく。
4: 荷物を頭上の棚の上に載せる。
5: 首の後ろでネックレスを留める。
45歳の男性。髄膜脳炎。手足の麻痺はなく、1年後には身の回りの動作が自立した。新しいことが覚えられない記銘力障害が残った。病前の職業は会社員(営業)。WAIS-RはVIQ 110、PIQ 90。訓練アプローチで適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.絵カードの呼称イ.メモの利用ウ.一日のスケジュール表作成エ.新聞の音読オ.電話対応の練習
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
60歳の女性。主婦。発症後2か月の脳卒中右片麻痺。ブルンストローム法ステージは上下肢、手指いずれもIVである。認知的問題はない。表は患者が現時点で改善したいと考える活動とそれらの活動の重要さ、出来ばえ、現状の満足感を各々10点満点で 主観的に判断した結果を示す。この表から作業療法士がする判断で適切なのはどれか。
1: 「炊事」へのアプローチは満足感が得やすい。
2: 「買物」へのアプローチは成功体験が得やすい。
3: 「電話」へのアプローチは優先度が高い。
4: 列挙された活動のニーズは同等である。
5: 列挙された活動の意味と行い方を分析する。
58歳の女性。脳梗塞による右片麻痺。発症後5日経過。理学療法では座位訓練が開始された。評価により意識レベルはJCS(Japan Coma Scale)で1桁、ブルンストローム法ステージは上肢・下肢ともにII、手指はIであった。早期プログラムとして適切でないのはどれか。
1: 座位での上肢帯のポジショニングの指導
2: 麻痺側の自動介助運動の指導
3: 臥位時の三角巾による上肢の固定方法の指導
4: 非麻痺手による物品操作の指導
5: 食事動作の指導
28歳の男性。右利き。交通事故による右前頭葉背外側部の頭部外傷のため入院した。作業療法が開始され、4か月が経過した。四肢に運動麻痺や感覚障害を認めず、歩行は自立している。日中はボーッとして過ごすことが多いが、促されると日課を行う。話しかければ日常会話は問題なく成立するが、自発話は乏しい。この患者の高次脳機能評価として最も適切なのはどれか。
1: BADS
2: SLTA
3: SPTA
4: VPTA
5: CBS〈Catherine bergego scale〉
60歳の男性。左片麻痺。脳梗塞発症後1か月経過。認知機能や感覚機能に問題はない。ブルンストローム法ステージは上肢II、下肢V。上肢運動機能の回復促進で適切でないのはどれか。
46歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ、手指Ⅴ、下肢Ⅴ。発症後7か月が経過し、認知機能はMMSEが24点、軽度の注意障害を認めている。既に退院し、父母と同居している。発症前は内装業に従事していたが、同職での復職が困難であることから、就労移行支援による雇用を目指している。作業療法士が患者に実施する内容で正しいのはどれか。
1: 就労準備は課題がなくなるまで続ける。
2: 雇用されたら支援が終了となる。
3: 実際の場面での職業評価を行う。
4: 雇用条件通りの就業を目指す。
5: 通勤は付き添いを前提とする。
45歳の男性。髄膜脳炎。手足の麻痺はなく、1年後には身の回りの動作が自立した。新しいことが覚えられない記銘力障害が残った。病前の職業は会社員(営業)。この患者の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。 ア.計算ドリルの練習イ.メモの利用ウ.一日のスケジュール表作成エ.新聞の音読オ.電話対応の練習
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
75歳の女性。右利き。脳梗塞を発症し救急車で搬入された。発症翌日に症状の悪化を認めた。発症3日目の頭部MRIの拡散強調像を示す。最も出現しやすい症状はどれか。
1: 片麻痺
2: 失語症
3: 運動失調
4: 嚥下障害
5: 視野障害
65歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後3か月。1か月前から平行棒内で歩行練習を行っている。現在の歩行パターンを図に示した。この症例の一歩行周期における二重支持期の時間で正しいのはどれか。ただし、図の数値は経過時間を示す。
1: 0.6秒
2: 1.0秒
3: 1.6秒
4: 2.0秒
5: 2.7秒
70歳の男性。脳梗塞片麻痺、発症後2か月。図の上の絵を患者の正面に置き、模写を指示したところ、下の図のように描いた。考えられる障害はどれか。
1: 半側空間無視
2: 失 書
3: 失 語
4: 左同名半盲
5: 物体失認
80歳の女性。多発性脳梗塞。動作の観察から、明らかな運動麻痺はみられないが軽度の感覚障害が予想される。軽度の認知症があり、口頭での詳細な手順の説明は理解しにくい。深部感覚検査として適切なのはどれか。
1: 非検査肢の自動運動による模倣試験
2: 非検査肢の他動運動による模倣試験
3: 検査肢の自動運動による再現試験
4: 検査肢の他動運動による再現試験
5: 関節定位覚(母指探し)検査
57歳の男性。視床出血後に表在感覚と深部感覚との障害を認める。運動麻痺は認めない。この患者に行う知覚再教育で誤っているのはどれか。
1: 開眼で代償させる。
2: 運動や動作は可能な限りゆっくり行う。
3: 15分程度の知覚再教育を一日に数回行う。
4: 識別素材を固定し、患側手を動かして識別させる。
5: 書字の際に、筆記具と手との接触個所で筆記具の特徴を感じさせる。
80歳の女性。右利き。脳梗塞急性期の頭部MRI拡散強調像を示す。この患者の症状で考えられるのはどれか。
1: 失行
2: 失語
3: 体幹失調
4: 右片麻痺
5: 左半身の感覚障害
87歳の女性。脳卒中による重度の右片麻痺。回復期リハビリテーション病棟に入院中。座位での基本動作は自立。認知機能は保たれている。短下肢装具と4点杖で5 mまでは自力での歩行が可能。介助があればT字杖で20 m程度の歩行は可能。ここ2か月は状態に大きな変化はみられない。最近、介護老人保健施設への退院が決まった。退院後の生活上の移動手段で実用的なのはどれか。
1: T字杖を使用した介助歩行
2: 4点杖を使用した自力歩行
3: 4点杖を使用した介助歩行
4: 手すりを利用した自力歩行
5: 車椅子
80歳の女性。5年前に発症した脳梗塞による右片麻痺がある。Brunnstrom法ステージは上肢、手指および下肢でⅢである。全失語を認める。FIMでは、ベッドへの移乗項目は3点で、車椅子での移動項目は3点である。訪問リハビリテーションを導入する際、目標として適切なのはどれか。
1: 屋外杖歩行の自立
2: 屋内杖なし歩行の獲得
3: 移乗動作の安定性の改善
4: 右手指機能の改善
5: 失語症の改善
外傷性脳損傷について誤っているのはどれか。
1: グラスゴー・コーマ・スケールは意識障害の評価法である。
2: 麻痺が軽くても種々の行動障害が問題となる。
3: 受傷直後には一見正常に行動していてもそれを記憶していない時期がある。
4: 重症例では多発外傷を伴いやすい。
5: 記憶障害の頻度は脳卒中より少ない。
65歳の男性。意識が消失し緊急入院となった。発症後2日目においても意識障害は重度である。MRI拡散強調画像(別冊No.2A、B)を別に示す。その後、意識状態が改善した。歩行が困難であるにもかかわらず、ひとりでベッドから立ち上がろうとする。この患者に認められる可能性が高い症状はどれか。
1: 右手は自由に動かせるが、ジャンケンのチョキが模倣できない。
2: 5つの物品の中から指示した物を選択できない。
3: 「左手足は動きますか」と聞くと「はい」と答える。
4: 指示に対して右手足をほとんど動かせない。
5: 眼鏡を見て「めがね」と呼称できない。