25歳の女性。境界型人格障害。手首の自傷行為の反復、睡眠薬遊びや万引きがある。「何でも良いからやれる仕事をやってはどうか」と言う母親に暴力を振るい、止めに入った父親の前で「死んでやる」と言って再び手首の自傷行為に及び入院した。入院後、穏やかになり作業療法が開始された。作業中に「息が苦しくなり手がしびれる」と言い出した。考えられる発作はどれか。
1: 低血糖発作
2: 過呼吸発作
3: けいれん発作
4: 欠神発作
5: 情動脱力発作
35歳の女性。現在、6か月児の子育て中であるが、1か月前からテレビも新聞も見る気が起こらないほど周囲への興味・関心が低下し、子と触れ合うこともおっくうになった。物事の判断が鈍くなり、子育てに自信をなくし、自分を責め、ささいなことから不安になりやすくなったため、子を祖母に預けて精神科病院に入院した。入院翌日から不安の軽減を目的に作業療法が開始された。この患者に用いる作業活動で適切なのはどれか。
1: 就労準備活動
2: 会話を促す活動
3: 創造力を要する活動
4: 決断力を要する活動
5: 短時間で完結する活動
26歳の女性。躁病。雑誌の編集員。昼夜が逆転し、職場では同僚や上司に無遠慮な言動が目立ち始めた。日常行動もまとまりに欠けてきたので入院した。入院後1か月で落ち着き始め、職場復帰に向けて作業療法が開始された。開始時の評価内容で適切でないのはどれか。
1: 集中力の程度
2: 自我機能
3: 疲労度
4: 対人関係のパターン
5: 集団適応力
20歳の男性。1年浪人した後に大学に入学し親元を離れた。夏休みに帰省した時に独語や空笑が目立ち始め、バイクに乗って信号無視したところを警察に捕まった。事情聴取の中で「逃げないと殺される」といった支離滅裂な言動がみられたため、連絡を受けた両親に付き添われ精神科を受診し入院となった。入院から1か月後、幻聴と妄想が減弱したところで作業療法が開始となった。この時点での作業療法の役割で正しいのはどれか。
1: 自信の回復
2: 疲労度の調整
3: 達成感の獲得
4: 対人交流の拡大
5: 身辺処理能力の回復
25歳の男性。事務職。外傷性脳損傷後5か月経過。明らかな麻痺はなく、いつも落ち着きなく動き回る。些細なことですぐに怒り出し、軽度の記銘力障害がある。作業療法の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。 ア.メモを利用する。イ.怒ったときは本人に詳しく理由を聞く。ウ.慣れたことより目新しい課題を設定する。エ.定期的に受傷前の職場に通う。オ.作業工程を短く区切って指示する。
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
47歳の男性。幼少期からクラスメートとの喧嘩が絶えず、しばしば担任から注意を受けていた。中学校卒業後、暴行と傷害とで少年院に2回の入院歴、刑務所に4回の服役歴がある。最後の出所後、クリーニング工場に勤めたが、同僚への暴言によるトラブルをきっかけに飲酒量が増加し、飲食店で他の客と口論になって刃物を持ち出して逮捕された。その後、連続飲酒状態を繰り返すようになり、アルコール依存症と肝障害との診断を受けて入院した。作業療法では他の患者の発言に反応して威圧的な態度をとることが多く、指摘しても問題を感じている様子がない。合併するパーソナリティ障害として考えられるのはどれか。
1: 強迫性パーソナリティ障害
2: 境界性パーソナリティ障害
3: 回避性パーソナリティ障害
4: 自己愛性パーソナリティ障害
5: 反社会性パーソナリティ障害
20歳の女性。幼少期に両親が離婚した後、友人関係が不安定となりトラブルが絶えなかった。中学入学後から些細なことでリストカットするようになり、精神科を受診し、その後、入退院を繰り返していた。男女関係のもつれをきっかけに過量服薬し救急車で搬送された。入院後は、医療者に対して依存的だが要求が通らないと激しく責める状態である。最も考えられるのはどれか。
1: 身体表現性障害
2: 気分変調性障害
3: 統合失調感情障害
4: 演技性パーソナリティ障害
5: 境界性パーソナリティ障害
53歳の男性。アルコール依存症。34歳から頻回の入院を繰り返し、仕事も失い、妻とも離婚した。1週前から終日飲酒して、食事も摂らない状態が続くため入院となった。入院後は振戦せん妄がみられたが、3週後には状態が安定し、体力強化を目的に作業療法が処方された。作業療法場面でみられやすいのはどれか。
1: 柔軟な判断
2: 高い目標設定
3: 共感的な感情表出
4: 熟慮に基づく行動
5: 円滑な対人関係の構築
52歳の男性。統合失調症で精神科入院歴があるが、この9年間は治療中断しており、時々幻聴に影響された言動がみられる。医師の往診の後、何とか本人の同意を得て訪問支援開始となった。初回訪問時、居間で20分ほど落ち着いて話ができる状況である。初期の訪問において、作業療法士が最も留意すべきなのはどれか。
1: 服薬勧奨を積極的に行う。
2: 1日に複数回の訪問を行う。
3: 身の回りの整理整頓を促す。
4: 毎回違うスタッフが訪問する。
5: 本人の興味や関心事を把握する。
42歳の男性。精神分裂病(統合失調症)。25歳時に「お前は泥棒だ」という声が聞こえるようになり初回入院した。今回も幻聴と被害妄想が出現し3回目の入院。入院5週目で病状は落ち着き作業療法が依頼された。疲れやすさと抑うつ傾向が目立つ。開始後まもなく「退院して就職したい」と言ってきた。作業療法士の対処として適切でないのはどれか。
1: 職種の検討
2: ストレス対処技能の訓練
3: 方針確認の会議の開催
4: 現在の障害の確認
5: 主治医との話し合い
17歳の女子。転換性障害。高校1年の2学期終了前にボーイフレンドと別れてから欠席がちとなり、頭痛、肩こり、無気力を訴えた。進級後も欠席が多く大学病院を受診したが、症状の改善がみられず2か月入院した。入院中に手首を切ったことがある。その後、復学したが教室で頻回に倒れ再入院となった。復学を目的に作業療法が処方された。作業に気乗りしないと頭痛を訴え、難しいと依存的になる。作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 訴えを聞き作業を休ませる。
2: 復学を条件に作業を続ける。
3: 難しいところは療法士が手伝う。
4: 患者とルールを決めて作業を行う。
5: 患者の希望した作業を行う。
48歳の男性。アルコール依存症。30歳ころから仕事上のストレスにより飲酒量が増えてきた。40歳ころから遅刻や欠勤を繰り返すようになり2年前に会社をやめた。2か月前から連続飲酒状態となったため妻に付き添われて精神科を受診し、入院した。入院後2週経過し、離脱症状が落ち着いたため作業療法が開始された。この時期の作業療法で適切でないのはどれか。
1: 家族同伴で心理教育を行う。
2: 集団内で仲間意識を育てる。
3: 自助グループへの参加を促す。
4: プログラムでの頑張りを促す。
5: 退院後の生活について助言する。
26歳の女性。躁病。雑誌の編集員。昼夜が逆転し、職場では同僚や上司に無遠慮な言動が目立ち始めた。日常行動もまとまりに欠けてきたので入院した。入院後1か月で落ち着き始め、職場復帰に向けて作業療法が開始された。開始時の作業で適切でないのはどれか。
1: 短時間で達成可能なもの
2: 巧緻性の低いもの
3: 粗大運動の要素が多いもの
4: エネルギー発散の要素が強いもの
5: 量的達成度を求めるもの
広汎性発達障害児の就学に向けた作業療法で適切でないのはどれか。
1: 学校の環境調整を図る。
2: 身辺処理能力の向上を目指す。
3: 異年齢集団での対人交流を促す。
4: 家族へ障害の特徴を伝える。
5: 遊びの幅を広げる。
18歳の女性。統合失調症。高校入学後成績が低下して不登校となり、自室に閉居しがちとなったため入院した。入院後3か月経過。時折、院内を徘徊しているが、日中は自室に閉じこもりがちである。この時点で作業療法が処方された。導入期に利用する作業種目で正しいのはどれか。2つ選べ。 ア.簡単な構成的作業イ.軽い身体運動ウ.創造的作業エ.肉体労働的作業オ.ゲーム・競争的作業
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
40歳の男性。うつ病。会社員。管理職に昇進後、父方のいとこがうつ状態で自殺したのを契機に、約3か月前から不眠、食欲不振、自信喪失および抑うつ気分を呈し、「仕事をする意欲がわかない。みんなに申し訳ない。」と言い、希死念慮が認められ入院となった。入院後1か月で症状が改善し、退院を目的に作業療法が処方された。作業療法で適切でないのはどれか。
1: 簡単で繰り返しのある構成的作業から導入する。
2: 導入時はグループ活動は避ける。
3: 作業量の少ない種目から導入する。
4: 自信をもつよう励ます。
5: 作品完成の目標について話し合う。
32歳の男性。会社員。課長になってから会議が多くなり、会議中にマイクを持つ手が震え、激しい動悸と発汗が出現するようになった。次第に恥をかきたくないと、会議が恐怖となっていった。精神科外来受診後に外来作業療法を開始した。この患者への作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 自殺企図に注意する。
2: 少量の飲酒を勧める。
3: 仕事を休むよう助言する。
4: 幼児期の体験を話題にする。
5: リラクセーションを指導する。
22歳の女性。精神分裂病(統合失調症)。高校1年時にうつ状態で3か月入院した。その後、毎年入退院を繰り返し5回目の入院となった。入院後1か月が経過したが、自発性の減退および引きこもりがみられる。また「私の結婚相手を姉に取られた。私の考えがすべて他人に分かってしまい自分がなくなってしまうみたいで困る。他人の声が左の頭に聞こえる。」と訴えている。その時点で作業療法が処方された。この患者の作業療法の目的として適切でないのはどれか。
1: 自発性の改善
2: 作業習慣の定着
3: 幻聴の消失
4: 対人関係の拡大
5: 生活自己管理能力の向上
60歳の男性。統合失調症。21歳時に発症し、過去に5回の入院歴があった。35歳時に被害妄想が再燃し、6回目の入院となって以来、父親との折り合いが悪く退院先が決まらないまま25年間入院していた。父親が亡くなったことを契機に、一人暮らしとなった84歳の母親と本人の希望により、自宅退院に向けた支援を行うことになった。この時期の作業療法の目的で適切でないのはどれか。
1: 服薬管理
2: 金銭管理
3: 外出体験
4: 対人関係の改善
5: 自宅での役割の検討
48歳の女性。うつ病。教育熱心な母親としてパート勤務をしながら2人の娘を育てた。娘達が家を離れた頃から何もする気がなくなり、抑うつ状態となった。希死念慮がみられたため夫に付き添われて精神科を受診し入院となった。「何かしていないと落ち着かない」と訴えたため入院後5日目から作業療法が開始された。入院1か月後に退院が決まった。本人は「日中、一人でどう過ごせばよいかわからない」と不安を訴えている。この時点の対応で適切でないのはどれか。
1: 退院前訪問指導を行い生活の場を把握する。
2: ハローワークに同伴し求職者登録をする。
3: 1週間の生活スケジュールを立てる。
4: 家族心理教育の機会を取り入れる。
5: 外来作業療法の利用を検討する。